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第333話「これでリオネルがやるべき事は全て済んだ」

がらんとした自宅でひさびさにゆっくり寝たリオネルだが……


翌日朝早く、起床。

手早く支度して、ワレバットを出発した。

昨日新たに自費で購入した馬車を元気な鹿毛の馬、2頭に牽かせている。


ジェロームとエリーゼの婚約祝いとして購入したペアのアミュレットには、

リオネルが得意とする究極防御魔法、破邪霊鎧(はじゃれいがい)の効果を付呪(エンチャント)していた。


これから助け合い人生を歩む門出にふさわしい一品である。


ジェロームへ贈ったオークキングの指輪とともに、

強力な魔力で、ふたりを支えてくれるに違いない。


荷台には、これまたリオネルが自費で購入した、

カントルーブ男爵家へ贈る食料品、資材がおびただしく積まれていた。


昨日はリオネルの物資支援の申し入れを「ありがたい!」と礼を言い、喜んでくれた領主アロイス。

自分達だけでなく、苦楽をともにしたレサン村の村民にも分け与えると約束してくれた。


そんな領主だからこそ、レサン村の村民は村長以下、一致団結し、

ゴブリンと戦い抜いてくれたのだろう。


さてさて!

カントルーブ男爵家城館への道中は昨日と同じである。


ワレバットを出て街道を走り、頃合いを見て転移魔法で、近くまで跳ぶ。

そしてしばし走り、城館へ到着するという予定だ。


もしも「行って帰って来るのが早すぎる!」という突っ込みがあったら、

「昨日の夜に出発し、夜通し走った」という話で辻褄を合わせるつもりだ。


修行の成果もあり、転移魔法の制御は完璧である。

移動距離もまだまだ伸びそうだ。


という事で、リオネルは城館の近くまで跳び、無事に転移。

更にしばし走り、城館へ到着した。


正門の前まで馬車を走らせ、大きく声を張り上げる。


「冒険者リオネル・ロートレック! ただいま戻って来ましたあ!」


城館内に話は通っている。

しかし!

やはりというか、あまりにも早すぎるリオネルの帰還に門番は仰天!!


何度も何度も確認した上で、リオネル本人だと最終確認し、ようやく正門を開けてくれた。


リオネル帰還!!


の報は、すぐ城館内に知れ渡り、ジェロームとエリーゼは勿論、アロイス、バンジャマン、従士長以下、全員が出迎える。


そして、ピカピカの馬車に元気な駿馬が牽く馬車に、おびただしい物資が積まれているのを見て、


「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」


と、全員が大歓声をあげたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


城館へ到着したリオネルは早速、バンジャマンにより、アロイスの書斎へ通された。


書斎には帰還を出迎えたアロイス、ジェロームとエリーゼが戻って待っていた。


さあ!

やるべき事をやってしまおう!


気合を入れ直したリオネルは声を張り上げる。


「まず男爵閣下へ物資をお渡し致します」


「おお! 申し訳ない! とても助かるし、約束通り、後ほど村民にも配給しよう!」


笑顔のアロイスへ、リオネルは持参した物資の補足説明をする。


まめなリオネルは、購入した物資……

武器防具、魔法ポーション、食料、日常生活必需品、資材等々、

を全て事細かく目録にしていた。

管理し、村民へ分け与える際も、円滑に作業出来るようにとの配慮である。


そして次に、


「これは、おふたりが婚約されたお祝いの品です。どうか、お納めください!」


と言い、ジェロームとエリーゼの為に購入したペアのアミュレットを渡した。


邪気を払うシルバーのチェーンに、同じくシルバーのトップがついたアミュレット……

ワレバットでも指折りの職人が作った素晴らしい逸品に、

リオネルの究極破邪魔法『破邪霊鎧』が付呪(エンチャント)された国宝級のお宝である。


愛し合うふたりを、家族を、領民達を、末永く守ってくれるに違いない。


「ありがとう! リオネル!」

「ありがとうございます! リオネル様!」


リオネルに断った上で、中身を確かめたジェロームとエリーゼが大喜びし、その場で身に着けたのは言うまでもない。


更にリオネルは、冒険者ギルド総本部から受け取った報奨金のうち、

預かっていた所属登録証とともに、ジェロームへ支払われる分を渡した。

またジェロームの私物は馬車に積んであるので、受け取って欲しいとも告げる。


最後にリオネルは乗って来た新品の馬車と牽く駿馬2頭もカントルーブ男爵家へ贈呈すると申し出た。


帰りは修行がてら、歩いてワレバットへ戻ると付け加えて。


……これでリオネルがやるべき事は全て済んだ。


改めて挨拶をしたリオネルは、辞去する旨を伝える。


すると、アロイスはリオネルの誠実な人柄とたぐいまれな才能を惜しみ、カントルーブ男爵家へ迎えたいと申し出た。


それも何と何と!

若干18歳の少年を『宰相』として迎えたい!

という破格の条件であった。


将来の当主となるジェロームを、気心のしれた親友たるリオネルなら支え、

盛り立ててくれると、アロイスは確信したからだ。


アロイスだけでなく、ジェロームとエリーゼも熱心に、リオネルを誘った。


貴族家当主を支える宰相。

親友ジェロームの片腕たる立場。


悪くない話だし、やりがいもある。


しかし、自分の夢を貫くべく……

リオネルは丁寧な言葉で柔らかく、3人からの誘いを断ったのである。

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