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第328話「リオネルは裏方に徹し、親友のジェロームに花を持たせた」

完遂確認が終わり、リオネルは不死化防止の為、葬送魔法を発動し、

ゴブリンの死骸を塵にした。


更にゴーレム10体を収納の腕輪へ回収。

……一行はカントルーブ男爵家城館へ帰還する。


念の為、リオネルは地の魔法で巣穴の入り口……洞窟をふさいだ。


魔物は次元の裂け目から生まれる可能性もあるという。

もしも洞窟の底に次元の裂け目があればリスクが生じる。

リオネルは、新たなゴブリン発生のリスクを軽減したのだ。


一行が戻ると……城館の様子は明るかった。


回復した従士達、ほがらかになった使用人達が笑顔で出迎えてくれた。


リオネルの魔法により、当主アロイス、負傷していた従士達は回復、

そして、2年にわたり苦しめられていたゴブリンの完全討伐が果たされたからである。


闇でおおわれていたカントルーブ男爵家に、ようやく光がさしつつあるのだ。


そんなこんなで、ひと息つき、ここはアロイスの書斎。


現在、部屋に居るのは、先ほど完遂確認したのと同じメンバーではない。


話が話だけに、アロイス、エリーゼの父娘に、ジェローム。

そしてジェロームが事情を知る親友だと言い張り、

同席を望んだリオネルの4人のみだ。


すぐにジェロームの話が始まった。


……書斎でジェロームが話す内容は、以前リオネルが聞いたものとほぼ同じである。


しかし……


その時は、怒りの感情を露わにし、非道な父を罵っていたが、今は違っていた。


深い悲しみを碧眼に宿し、感情を殺し、淡々と自分の人生を語って行く。


騎士爵家当主の父、使用人の母との間に望まれぬ子として生まれ……

解雇され、追い出された母の実家で辛い人生を送り……

母の死後アルナルディ家へ引き取られ、兄達から虐待を受け、更に辛い思いをし……

騎士学校には通わせてもらったものの、裏工作で級友たちからは蔑まれ、

終いには、冒険者となったのを口実に実家から、あっさり追放された。


風のように現れたリオネルと出会い、ゴブリンの襲撃から救われ……

冒険者として修行を積み、4つの町村の難儀を救った。

ちなみに、どのようにして救ったのかという討伐以外の方法も説明した。


そんなこんなで、ジェロームの話は終わった……


アロイスはジェロームの身の上に心の底から同情し、沈痛な表情。

そして、4つの町村を救った事をほめたたえた。


エリーゼは、ジェロームの薄幸な身の上を思いやり、

ひどく辛いらしく目には大粒の涙を浮かべている。


そしてジェロームは更に言う。


「騎士として、修行を続けた自分ですが、独立し、自活する為にやむなく冒険者となり、実家から恥さらしと罵られ、追放されました」


しかし、ジェロームは柔らかく微笑む。


「結果的に、騎士をやめる事となりましたが、レサン村を含め、多くの人々を助ける事が出来ましたし、一片の悔いも未練もありません」


対してアロイスは、


「騎士をやめた事に一片の悔いも未練もない。そうか……潔いな!」


「はい! たとえ冒険者であっても、忠誠、公正、勇気、武芸、慈愛、寛容、礼節、奉仕の8つ、崇高な騎士道の精神は貫けます」


「おお! ジェローム殿は騎士道の本質を知る男だ! そして逆境に負けず、とても良く頑張っておる」


ジェロームの事を高く評価するアロイス。

涙ぐむエリーゼが、父の言葉を聞き、嬉しそうに微笑む。

まるで自分の事のように……


更にアロイスは、


「ご覧の通り、2年間にわたるゴブリンの被害で、レサン村はだいぶ荒れ果ててしまった」


と言い、大きく息を吐いた。


そしてジェロームを見据え、更に言う。


「農地は荒らされ、物資は不足し、村民達は疲れ果てている……丁度良い。報酬は支払うから、我がレサン村も、これまで救った4つの町村同様に、更にいろいろと助けて貰えないか?」


と、追加の依頼を打診して来た。


この後、別の依頼は入っていない。

スケジュール調整は問題がない。


ジェロームが「受諾に関し前向きに検討をして欲しい」という意思を込め、

ちらと見れば、即座にリオネルは無言で大きく頷いた。


依頼受諾OKは勿論、ここは「ジェロームから、アロイスへ告げれば良い」

というサインだ。


ここでしっかりと仕切れば、

ジェロームに対するアロイスの好感度と評価はますます上がる。


またエリーゼも、ジェロームを更に頼もしく思うに違いない。

ふたりの間柄はこれからどうなるのか、分からないが、少なくともデメリットはない。


リオネルは裏方に徹し、親友のジェロームに花を持たせたのだ。


「はい! 閣下! ご相談の上、実施可能なものがあれば、喜んでお引き受けさせて頂きます! 何卒宜しくお願い致します!」


リオネルのOKを貰い、ジェロームは、晴れ晴れとした表情をし、

ひときわ大きな声で言い放った。


……その後、アロイスは愛娘エリーゼとともにレサン村へ赴き、

村民達に無事な姿を見せるとともに、ゴブリン達の完全討伐を宣言した。


そしてアロイスとエリーゼは、リオネルへ依頼し、

城館の従士達同様、ゴブリンとの戦いで負傷し、疲弊した村民達へ、

金を惜しまずに、回復魔法を行使して貰ったのである。

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