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第327話「ジェローム殿、もしや君はアルナルディ騎士爵家の身内かね?」

アロイスが心労で伏す寝室は、

リオネルが放った回復魔法『全快』の神々しい魔力で満ちた。


「お、おおお! な、何だ!? か、身体にち、力が! 力がみなぎる!」


心身に満ちた『力』に驚き戸惑うアロイス。

まるで肉体が若返ったかのような錯覚さえ覚えるのだ。


「お父様! お、お身体は!?」


「あ、ああ、だ、大丈夫。起きられそうだ……」


何と何と!

伏せっていたアロイスは、ゆっくりとベッドの上で半身を起こした。

自分でも信じられない様子だ。


「……ど、どうした事だ? こ、これは!」


対して、エリーゼが叫ぶ。


「お父様! お顔の色が! と、とても良くなっていらっしゃいますわ!」


バンジャマン、従士長も叫ぶ。


「「ご主人様!」」


…………治癒は上手く行った。

リオネルの上位回復魔法『全快』により、アロイス・カントルーブ男爵は快癒したのだ。


更にリオネルは、エリーゼへ申し入れし、

負傷したカントルーブ男爵家の従士25人の治癒も急ぎ行った。

行使したのは当然『全快』である。


結果、軽傷の者は完全に回復し、重傷の者も起き上がったり、歩けるようになったのは、まさに奇跡であった。


ただ……

さすがに、ゴブリンどもに殺された者15人は戻っては来ない。

失われた命は戻っては来ないのだ……


しかし、生き残った者は、心身に受けたダメージが癒え、

また再び力を合わせ、ともに暮らして行く事が出来る。


大喜びしたエリーゼが、リオネルとジェロームへ深く感謝し、厚く礼を言い、

ゴブリン討伐の完遂確認をすぐに行うと宣言する。

すると、愛娘に続き、同じく感謝の意を告げつつ、

「自分もぜひ同行したい」と、回復した父アロイスは告げた。


という事で、リオネル、ジェローム、アロイス、エリーゼの父娘。

家令バンジャマン、従士長、自警団団長、副団長は、ゴブリンの巣穴前に赴く事に。


ちなみに、アロイス、エリーゼの父娘はカントルーブ家の馬車で、

バンジャマン、従士長が騎馬、以外の者は、リオネルとジェロームの馬車へ乗り込み、移動した。


……一行がゴブリンの巣穴前に到着すると、リオネルが撤収した時と同様、

10体のゴーレムが居並び、積み上げたゴブリンどもの死骸を守っていた。


初めて見る者は、強靭なゴーレム達に驚く。


またリオネルとジェローム以外は、死骸となって積み上げられた、

おびただしい数のゴブリンどもを見て、尚更驚いた。


ゴブリンとの2年に亘る戦いが、本当に終結したのだと実感する。


「おおお!! す、凄いな!!」


「ほ、本当に!!」


呆れながら大いに感嘆するアロイス、エリーゼの父娘。


家令バンジャマン、従士長、自警団団長、副団長も同様である。


そしてリオネルは依頼完遂の報告をする。


「では! 皆様へ依頼完遂のご報告を致します。今回の討伐対象ゴブリンの総数は1,155体。うち680体をここ一帯にて掃討。死骸は全て不死(アンデッド)化せぬよう塵にして処理しました。巣穴に潜んでいた残りの475体も全て倒し、この通り積み上げました」


仕事きっちり!というリオネルの完璧な報告。


「安全面を考え、680体は塵にしましたが、この475体は念の為、数をご確認ください」


はっきり言って、ゴブリンの死骸は不気味だった。


「お父様! 私が討伐数を確認致します!」


意外と言ったら失礼だが、エリーゼがしっかりと数を確認し、リオネルの言葉通りだと、父アロイスへ報告した。

見かけはきゃしゃな15歳の少女だが、エリーゼは気丈な性格なのだ。


確認が終わり、再び厚く礼を告げるアロイス、エリーゼ。


「うむ、良いだろう。これで、カントルーブ男爵家当主として、依頼を完遂したと認めよう。リオネル殿、ジェローム殿、深く深く感謝するぞ! これで亡くなった者も浮かばれよう」


「父ととともに御礼申し上げます! 本当に本当にありがとうございます!」


「ご確認ありがとうございます。ではこちらへサインを」


リオネルが差し出した依頼完遂書に、アロイスとエリーゼは連名でサインした。

これで、依頼は完遂された事となった。


「うむ、成る程。エリーゼの言う通りだな」


アロイスは言い、リオネルの傍らに立つジェロームをまじまじと見た。


「そうでしょう、お父様」


と追随するエリーゼ。


「ああ、ジェローム殿は今は亡き我が息子アンリにそっくりだ」


うんうんと頷くアロイス。


やはり、アロイスから見ても、ジェロームは亡き愛息に酷似しているらしい。


そしてアロイスはズバリ言う。


「ジェローム・アルナルディ殿か……私はアルナルディ騎士爵家の噂を聞いた事があるぞ」


対してエリーゼは大反応。


「えええ!!?? う、噂って!!?? な、な、何ですか、お父様!!」


そんなエリーゼをスルー。

アロイスは、ジェロームへ問う。


「ジェローム殿、もしや君はアルナルディ騎士爵家の身内かね?」


「はい、自分はウジェーヌ・アルナルディ騎士爵の3男です。閣下がお聞きになった噂の通り、正妻の子ではない、婚外子です」


正直に告げるジェローム。


「え!? 婚外子!?」


更に驚くエリーゼ。


しかし、アロイスは微笑み、大きく頷いた。


「ふむ、ジェローム殿。その話、申し訳ないが、城館へ戻ったら、ゆっくり聞かせて貰えないか」


対してジェロームは、


「はい、包み隠さずお話し致します」


と了解したのである。

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