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第316話「男子だって、女子との恋を語るのだ」

翌朝……

リオネル、ジェロームはたっぷり寝て、昼近くに起きた。

昨夜は、日付が変わるまで話し込んだ。


互いに生い立ちを話し、「『似た者同士』だなあ」

と大層盛り上がってしまったのである。


そして、昨夜今後の予定を決めたのだが、本日は完全休養日である。


但し、ジェロームは己にある課題を設けていた。


「じゃあ、リオネル、宜しく頼む!」


「ああ、こちらこそ」


ふたりは厨房に立っていた。

一緒に、朝食兼昼食の支度をしている。


リオネルは、ジェロームへ、ウインナー、ベーコンの焼き方。

スクランブルエッグ、野菜サラダの作り方などを教えていた。


これには理由があった。


以前から何回か、ジェロームはリオネルに「料理を習いたい」と申し入れている。

設けた課題とは、まずは『自炊可能レベル』の調理習得なのだ。


この完全休養日を利用し「まずは手ほどきをしてほしい」と、

昨夜、宴の席でお願いしたのである。


当然、リオネルは快諾。


という事で……こうやってふたりで一緒に昼飯を作って、食べ、ひと休みした後……

市場へ行って食材の買い物。

帰宅して、夕飯の支度をするという予定となっている。


意外と言ったら、失礼だが……ジェロームは結構、器用であった。


少し焦がしてしまったが、ウインナー、ベーコンをほどほどの加減で焼いた。


何回か練習して、卵を上手く割れるようになってからは、

スクランブルエッグも及第点のモノを作った。


サラダの野菜を切る包丁さばきも中々だ。


「結構な腕前じゃないか、ジェローム」


「ま、まあな。祖父母の家に居る時、いろいろと母の家事を手伝っていたんだ」


「そっかあ……俺はそういう思い出がないなあ。でもさ、ジェロームは、どうして、そんなに料理を習得したいんだ?」


「ええっと……」


「どうした?」


「ちょっと、言い(にく)いけど……」


「え? ちょっと? 言い難い?」


「ああ! でも、リオネル。今、お前とふたりだけだし、言うよ」


「無理しなくて構わないぞ、ジェローム」


「いや、リオネル、親友のお前には言いたい。……俺、彼女が……将来、愛する『想い人』が出来たら、美味い料理を作ってやりたいんだ。そして一緒に楽しく食べる! それが夢なんだよ! 思い描く幸せの形なんだ!」


「ああ、ジェローム、それ良いなあ! 素敵な夢じゃないか!」


「だろ! 俺、女子は笑顔なのが断然好きなんだ。……泣き顔や涙はもう絶対に見たくない。……なぜなら、俺の母親はいつも悲しそうな顔をしていて、よく泣いていたからさ」


「ジェローム……」


「リオネル、お前の亡くなられたお母さんはどんな方だったんだ?」


「ああ、家族の中で唯一、俺に優しい人だったよ。愛用の魔導懐中時計は母からのプレゼントさ」


そんな会話をしているうち、朝食が出来た。

リオネルとジェロームは、手分けして、朝食を居間へ運んだのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


居間のテーブルに朝食の皿が並べられた。


ジェロームが担当したウインナー、ベーコン焼き、スクランブルエッグ、サラダ以外にも、リオネルが調理したコンソメスープ、ポテトサラダもある。


パンは前日ワレバットの有名なパン店で購入済み。

塗るバター、ジャムも数種。

飲料は温かい紅茶。


万全の朝食兼昼食と言って良い。


「さあ! ジェローム、食べようぜ」

「何か、俺の担当した料理の仕上がりがどうなのか、どきどきするな!」


早速ふたりは食べ始めたが、ジェロームは少し顔をしかめる。


ウインナー、ベーコンの焼き加減はともかく、

スクランブルエッグの食感に、満足がいかないらしい。


「う~、全体的に、まだまだだなあ、特にスクランブルエッグが、今いちどころか、今さんだ!」


「悪くはないが、まあ、しょっぱなだし、これからだろ」


「フォロー、サンキュー、リオネル! よし! 料理の修行も、頑張るぞ!」


しかし、なんやかんやで会話が盛り上がる。

先ほど、ジェロームが自分の夢を語ったから、想い人~恋バナへと発展した。


初恋の思い出……

好きな女子のタイプ……

年上、年下どちらが好きなど……


冒険者ギルド総本部で出会ったクロエ、エステルなど綺麗どころの話も出た。


ふたりは青春真っただ中、バリバリの硬派ではないし、

男子だって、女子との恋を語るのだ。


ジェロームが問う。


「俺は全く経験がないけどさ」


「何を?」


「決まってる! リオネル、お前、女子の方から好きだって、告白された事はあるのか?」 


リオネルは少し躊躇(ちゅうちょ)した。

英雄の迷宮で、切々と愛を告げてくれたミリアンの事を思い出したのだ。


少し迷ったが……リオネルは正直に、ジェロームへ言う。


「ええっと……俺は……ある」


「な、何ぃぃ!! そ、それで、どうなったあ!!??」


「い、いや、可愛いし、素敵だけど、3つも年下で、仲の良い妹みたいな子だったから、OKしなかった」


これまたリオネルが正直に言うと、ジェロームの一喝。


「ば、ばかやろぉぉ!! 何でOKしなかったんだあ!! そんな事、俺達の人生に、もう二度とないかもしれないぞぉぉ!!」


「た、確かに……あははは……」


身を乗り出して叱るジェローム。

苦笑するリオネル。


そんなやりとりもまた楽しい。


……昼食後、リオネルとジェロームは、散歩も兼ね、ワレバットの市場へ買い物へ。

夕飯の食材を購入して戻り、大盛り上がりで、料理を作ったのである。

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