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第279話「俺は誰にも認められるくらい、強くなりたいんだ!」

路線馬車ゴブリン襲撃事件の事情聴取が終わった関係者は、

調書作成後、解放となる。


という事で、事情聴取の後、調書が文官の手で上がるまで、

リオネル、ゴーチェ、ジェロームは、しばし雑談。


ゴーチェは、リオネルをほめちぎる。

強さを、人柄を。

ローランドと、ブレーズのお気に入りである事も熱く語る。


ゴーチェから、王都時代の戦歴を聞かれ……

リオネルは、話した。

元々は薬草採集とスライム討伐から始めたと。


その後、ゴブリン討伐で勢いをつけ、いくつかの戦いを経て、

ワレバットの街へ来たという。


ここでゴーチェが、リオネルのゴブリン渓谷での活躍を、

そして自分が出会ってからのリオネルの戦歴を誇らしく述べる。

更にいくつかの町村の発展に寄与した事も。


リオネルは照れたが……

ジェロームは、リオネルを「凄いなあ」と尊敬の眼差しで見つめていた。


そろそろ頃合いと見たゴーチェ。

関係者の解放を宣言する。


「おう、お疲れさん! 全員帰って良いぞ。リオネル君、またな!」


「はあ、失礼しまっす」


最後に乗客達からお礼を言われたリオネルとジェローム。


詰め所から出た。


良い話がひとつあった。


リオネル、ジェロームとも、ゴブリンどもと戦った。

路線馬車の乗客を救った。

その功を称え、人命救助の報奨金が、王国と冒険者ギルドから、

数日後支払われるという。


時間はと、リオネルが愛用の懐中魔導時計を見れば、

もう午後1時30分を回っていた。


結構時間を取られてしまった。


ぐうううう……


ジェロームの腹が鳴った。


顔をしかめるジェローム。


「腹減ったなあ、リオネル」


対して、リオネルは大いに同意。

ジェロームへ、ランチ行きを提案する。


「ああ、ジェローム、腹が減ったな。じゃあ、飯食いに行くか! 気楽に食べる露店で良いなら、俺がおごるよ」


「おお! ラッキー! 露店かあ! 全然構わん! OKだあ! 俺はワレバットが初めてだから、リオネルが案内してくれ!」


「おう、任せろ!」


という事で、リオネルとジェロームは旅行用の荷物を抱え、

ワレバットの街、中央広場に隣接した市場内、露店が連なる場所に繰り出した。


ランチタイムは過ぎたから、人は数なくなっていた。

全ての料理を売り切って、閉店した店もある。


ジェロームは、素直に感嘆する。


「おお! リオネル、すっげぇな! ワレバットの露店って、王都以上の規模だ」


「ああ、ジェローム。俺も王都の露店へ行ったから分かるよ」


ふたりは露店を見て回る。


牛、豚、鶏、ジビエの串焼き肉、揚げ肉、ゆで肉、ミートパイ、ラグー、パテ、

同じく様々な魚、野菜、鶏卵の各種料理、サラダ、スープ、飲み物、デザートも売っていた。


選り取り見取りという感がある。


しかし、問題がひとつあった。


それらの料理を、露店共用で用意されたフードコート的な席で食べるのだが、


何と! 満席であった。

ランチタイムのピークはとうに過ぎているのに。


ふたりは食べ盛り。

多分、鬼のように食べる。


立ち食いしながら店を巡回するのも『あり』なのだが……


座って食べながら、改めてじっくりと語り合いたいという意見で、

ふたりは一致していた。


「困ったなあ、どうするよ、リオネル」


しばし考えたリオネルだが、ポンと手を叩く。


「テイクアウトして、俺の家で食べないか?」


「え? 家? お前、家があるのか?」


「ああ、借家だけどな」


「借家でも、すっげ~よ! さすが、ランクA! 稼いでるんだなあ」


「ははは、とりあえず料理と飲み物を買って、帰ろう」


「了解だ!」


リオネルとジェロームは各自好きな料理と飲み物をたくさん買い、

『乗り合い馬車』を止め、自宅へ。


この馬車は領主ローランドの施策で運営される一般用の乗合馬車である。

4人まで乗車が可能。

ワレバットの街中なら、目的地1か所まで、銀貨2枚でどこへでも行ってくれる。


購入した料理と飲み物、そして荷物を乗合馬車へ積み込み……

リオネルとジェロームは、リオネルの自宅へと向かったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


リオネルとジェロームは、リオネルの自宅へ到着した。


モーリスが契約していた自宅を引継ぎ、しばらくリオネルが居住するのだ。

近い将来、フォルミーカ迷宮へ旅立つ際、引き払う予定である。


冒険者ギルド総本部から徒歩の至近距離、居間、厨房、シャワー付きの風呂とトイレ、馬車の為の駐車場付き厩舎がある、庭の広い一軒家。


建物は2階建てで、広い居間に、個室が6つ。

そして地下室がある。


敷地を囲う外壁が5mと高い上、ミスリル合金製の頑丈で軽い正門は、

付属の魔導鈴が魔導水晶の来訪者確認モニター付きで防犯もバッチリ。


また庭も広く、芝生が綺麗に植えられていて美観にも優れ、

地下室がいくつか分かれていた。


ジェロームは、初めて見るリオネルの自宅に圧倒される。

外観にまず驚き、中の間取りをリオネルから聞き、呆然としていた。


貴族家の屋敷に比べれば、小規模の邸宅だが……

平民の若い18歳の冒険者がひとりで住む家だと考えたら、

とんでもなく豪華なのだ。


「す、す、凄いな……リオネルは、こんな立派な家に住んでいるのか」


「まあな。でも最初から、俺ひとりが住んでいたわけじゃない。仲間と4人で暮らしていたんだ」


「仲間と……」


「ああ、ここに住んでいた3人は、移住する為に、この家から出て行った。俺は3人を移住先へ送って行った帰りに、ジェロームの乗る路線馬車に遭遇したんだ」


「そ、そうだったんだ」


「ああ、俺は索敵……魔力感知が使えるから、馬車が襲撃されている事を認識し、駆けつけたという次第さ」


「索敵……魔力感知……そうなんだ! す、凄いな! リオネルは!」


「いや、俺は元々魔法使いだから、そういうのは比較的得意なんだよ」


自身で語ったように、ジェロームは武人であり、強さに憧れている。


家の事より、リオネルの強さに、あっさり興味が切り替わった。


ジェロームの脳裏には、リオネルの戦いぶりが甦っているようである。 


「リオネル!」


「おう!」


「頼みがある! 一生の頼みだ!」


「おいおい、ジェローム。いきなり、どうした?」


「リオネル! 年齢こそ同じ18歳だが、お前は、冒険者としてはキャリアを積んだ大先輩、とんでもない強者! そして誠実だ! 尊敬に値する!」


「ジェローム……」


「リオネル! 頼む! いろいろ手ほどきをしてくれ! 俺は誰にも認められるくらい、強くなりたいんだ!」


切々と、リオネルへ訴えるジェロームの目はぎらぎらと輝いていたのである。

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