表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

272/758

第272話「全員が、『やる気』に満ちていた」

なごやかなランチの後……

パトリスと少年少女達は、リオネル達を、

『モーリス商会』の社屋兼店舗へ案内した。


社屋兼店舗は大きな平屋で、こちらも新築だという。

事務所は、真新しい木の香りで満ちており、

シンプルな社員用の机も10ほど置かれていた。


そして店舗は、社屋の半分以上の大きさ。

内部でつながって、表の出入り口以外、

事務所の中からも行き来できるようになっていた。


ちなみに店舗の片隅は、カウンター付きのキッチン。

テーブルが4つほどある、飲食スペースとなっていた。

この場所がミリアンの夢、飲食店経営の第一歩となるのだろう。


その事務所には、ひとりの女性が一行を待っていた。


笑顔のパトリスが紹介する。


「この女性をモーリス達は知っているだろうが、改めて、紹介しよう。モーリス商会経営店舗の運営責任者となるマルレーヌ・ビゼーさんだよ」


「モーリス様、リオネル様、ミリアン様、カミーユ様、改めまして、マルレーヌ・ビゼーでございます。この度は、未熟な私へお声がけ頂き、感謝致します」


パトリスに紹介され……

小柄で血色の良い女性が丁寧にお辞儀をした。


いかにも真面目!という雰囲気。

年齢は30代後半くらい……だろうか。


リオネルは記憶をたぐった。

モーリスからは話を聞いている。


マルレーヌさんは、両親から受け継いだ小さな『よろず屋』を農業と兼業で、

たったひとりで経営していたが……


兼業が体力的にきつくなったのと、

売り上げが伸びないので、近いうちに閉店を考えていた。


そこへ、パトリスさん経由で、移住するモーリスさんが出店を考えていると聞き……

「相談したい」と申し出たらしい。


そこから、モーリスさんと直接の手紙のやりとりで、話はとんとん拍子に進み……

マルレーヌさんは今、従事している農業の規模を縮小し、

店舗の運営責任者になるという事で双方が合意したのである。


店も、マルレーヌさんが営んでいた『よろず屋』となる事が決定。

とても張り切っているらしい。


ここで補足しよう。


よろず屋とは、漢字で万屋と書いて『よろずや』と読む。

よろずとは全てのもの、もしくはあらゆるものという意味であり、

すなわち何でも扱っている小規模な店の事をそう言うのである。

分かり易く言えば、現代のコンビニみたいな店なのだ。


キャナール村は、店がこの店1軒しかない田舎であり、

よろず屋は、いくつもの店を兼ねていた。


ちなみにマルレーヌの店は食料品、酒は勿論、し好品、生活必需品、

雑貨、薬品、薬草、魔法ポーション、武器防具に護符、

宝石や、指輪、アクセサリー等々、様々な商品を扱っていた。


しかし、旅の商隊が運んで来る『入荷』も不定期の上、滞りがち、

ほとんどの商品が、常に品切れ状態。


農業兼業の為、週の内、2日程度しか営業しない事もあり……

村民達に文句を頻繁に言われて、マルレーヌは嫌気がさしてもいたようだ。


ゴブリン騒動の時は、3か月ほど休業していて……

当初リオネル達は、村に店がないと、誤解した次第。

店の存在を知った後も、村民達からは、

「マルレーヌの店はいずれ廃業するよ」と言われており、

出店を決めるに至ったのである。


この合意は双方が、ウインウインの結果となる。


そもそも、マルレーヌは店の運営が大好きであり、営業を継続したかった事。

安定した給金が得られる事。

モーリス達の働きにより、

勤務時間、仕入れの問題、販売員の問題がクリアされる事。

これからは、品切れのクレームは少なくなり、逆に、新商品入荷等で、

村民に感謝される事が多くなる等々で、大喜び。


一方のモーリスも、村に常駐するわけにいかず、元々、店舗の責任者を探していた事。

マルレーヌが、ベテランの経験者で、新たな研修もほぼ不要である事。

元々廃業を考えていたマルレーヌの店を、閉店に追い込む事に加担せずに済んだ事。

パトリスが、誠実で頑張り屋たるマルレーヌの人柄を推してくれた等々により、

『渡りに船』……であった。


パトリスが晴れやかに笑う。


「ははははは、いっそ、昼飯を一緒に食べようとマルレーヌさんを誘ったが、本日が初日だから、モーリス様には仕事を行う社屋で会いたい、しっかり『けじめ』をつけてスタートを切りたいと言ってな」


「はい! 人生をリスタートするにあたり、、しっかり『けじめ』をつけてスタートを切りたいです!」


きっぱり言い切るマルレーヌは、やはり相当真面目なようだ。


ここで昼食をともにした、少年少女達からも、様々な未来への希望が出る。


「私、ミリアンと一緒に飲食のお店やりたい!」

「私も、カミーユから武道とシーフの技を教えて欲しいわ!」

「俺、カミーユとワレバットへ、商品を仕入れに行きたい!」

「魔法を覚えたい、俺に教えてくれよ、ミリアン」


マルレーヌは勿論、少年少女達も目がキラキラ輝き、

全員が、『やる気』に満ちていた。


嬉しそうに頷いたモーリスは、パトリスへ向かい、


「うむ! では早速、ワレバットから運んで来た商品の搬入を手伝って貰う。倉庫から店舗へ、移動させるぞ。パトリスも手伝ってくれるか?」


「おお、任せろ! この場の皆でやろう! その方が早い! さあ! やるぞ!」


「「「「「おう!!!」」」」」


マルレーヌ、少年少女達とともに、

ミリアン、カミーユと一緒に、元気に(とき)の声をあげたリオネル。


きびきび動き、大いに働いたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス刊

宜しければ、第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。

HJノベルス様公式サイトでは試し読みが可能です。

お気軽にどうぞ!


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス刊)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。


またこちらの「Gファンタジー」様公式HP内にも特設サイトがあります。

コミカライズ版第1話の試し読みが出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版がご愛読可能です!

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、他作品のご紹介を。


新作を公開しました。!


⛤『異世界ゲーム転生! モブ転生した俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』


そして下記の作品も宜しくお願い致します。


⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》


⛤『気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!』《完結》


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》


他の作品もありますので、何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ