表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/754

第27話「ゴブリン渓谷へ!」

「分からない、う~ん、全く分からない。ナタリーさん、なぜ急に元気がなくなったんだろ?」


リオネルが王都を旅立つと聞き、ナタリーはひどく落ち込んでいた。


宿へ帰り、リオネルはアンセルムの手伝いをしながら、ず~っとず~っと考えたが……

仕事上の接点しかないナタリーが、単なるいち冒険者の自分が原因で悩むなど、全く思い当たらない。

全然想像がつかない。


もう一度だけ、もしや!と、都合の良い『妄想』をする。


自分が王都を旅立つのが寂しいとか?


まさか!

俺の事を気に入っている?

『好意』を持ってくれている?


あんな美人が?

引く手あまたの麗しき人が?


こんなにさえない自分を?

男子としての魅力など全くナッシングの自分を?


ありえない!

全くありえない!

俺の事、どう思います? とか、聞くわけにもいかないし。


という事は、やっぱり原因は不明。


結論!

いくら考えても解明不可能、ダメな時は、無理に答えを出さない。

大怪我や命にかかわるヤバイ案件でなければ、とりあえず先送りで十分。


リオネルは、「すぱっ」と切り替えて眠りにつく。

何故か、この夜はぐっすりと眠れた。


翌朝、悩む事をやめたリオネルは気持ちよく起床。

アンセルムの作った美味い朝食を食べ、出発した。

念の為、テントと寝袋等、キャンプ用品一式、1週間分の食料と水も収納の腕輪へ入れておく。


少し迷ったが……

昨夜リオネルは、アンセルムへ『ゴブリン渓谷討伐依頼』受諾の件を告げた。

数日泊まり込みになるかもしれないと伝える。


リオネルが単独で行くと聞き、アンセルムはとても心配した。

当然アンセルムはゴブリン渓谷の様子を知っている。

まだランクDになったばかりのリオネルが単身で行くのが無謀だといさめたのだ。


だがリオネルは、ゴブリンに対し、大きな優位性のある特技を会得したと話した。

ギフトスキル『ゴブリンハンター』の事だが、詳しくは言えない。

全てを話す事になるかもしれないからだ。

アンセルムを信じたいが、能力の秘匿は自分の絶対的ルールとして決めた事だ。


アンセルムを説得する為、証拠に、ここしばらくゴブリンとの戦いでかすり傷も負っていないとも告げる。

散々やり取りした後、アンセルムは渋々納得し、送り出してくれたのである。


さてさて!

リオネルは王都の正門を出て軽快に駆ける。


狼の能力を得て、疲れない速度で走る事にも、もう慣れた。


さてさて!

ゴブリン渓谷までは、約20㎞の距離である。

まずは渓谷手前の勝手知ったる手前の森の中『狩場』まで行く。


時速30㎞でゆったり?走り、狩場に約30分強で到着した。

犬、狼の能力から得た持久力のお陰で、リオネルの息は全く乱れていない。

ここで、ひと休憩。

静かに辺りを(うかが)う。


周囲にゴブリンを含め、敵の気配はなかった。


もてる能力をフルに使い、広範囲に索敵をしながら、用心して進んでは来たが…

ここから渓谷までは、更に更に慎重に、警戒しながら進んで行く。

リオネルはリスのように木や岩の陰を身を隠すのに上手く利用しながら、歩くのも猫のように足音を立てない。


徐々にゴブリンの気配が感じられて来る。

渓谷に近づくにつれ、どんどん多くなって来る。


ゴブリンが放つ波動は……空腹の怒りと暴力への渇望に満ちていた。

本来夜行性のゴブリンだが……

腹が減ったら何とやら、本能には素直に従う。

奴らは『朝食』の人間を捕食する為、街道へ出るのだろう。


リオネルは小さく独り言を、


「ゴブリンが街道で好き放題に暴れ、人間を喰らう……それも今日で終わりだ」


渓谷の地形は……購入した地図を念入りに見て、暗記してある。

改めてイメージしておく。

先制攻撃をかける為にベストポジションを取る為だ。


やがて、森が途切れ……

大きな岩がゴロゴロしている地形となる。

ゴブリン渓谷に近づいたのである。


リオネルは慎重に隠れながら、ゴブリン渓谷に出た。

目の前の現場を改めて確認する。


まずは依頼遂行開始の為、冒険者ギルドが設置した、渓谷の入り口に立つ柱を探す。

柱には、魔法水晶が埋め込まれているはずだ。


魔法水晶を埋め込んだ柱はすぐに見つかった。

リオネルは、静かに柱へ近づき、埋め込まれた魔法水晶へ自分の所属登録証をかざした。


ぴ!とわずかな音を立て、魔法水晶は反応。

これで、リオネルが倒したゴブリンは当該依頼の討伐対象としてカウントされる事となった。


気配を殺したまま、岩陰からそっと見れば、渓谷は、とんでもない数のゴブリン達で満ちていた。


しかし、不安はない。

ゴブリンはもう戦い慣れた相手だ。

既に、たっぷりとバトルを行い、ギフトスキル『ゴブリンハンター』の効能効果は実験、実証済みである。


「よし、行くか。まずは作戦本部となる大岩を探そう」


リオネルは不敵に笑うと、ゴブリンに気取られないよう、そっと歩き出していたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版第8巻が2/19に発売されました!《ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

既刊第1巻~7巻大好評発売中!

第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊第5巻が4/27に発売されました! 

コミカライズ版の一応の完結巻となります。

何卒宜しくお願い致します。


既刊第1巻~4巻大好評発売中!

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》

⛤『絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚』

⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』


も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ