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第265話「宴の夜①」

ワレバットで修行、数多の実績を積み、ランクAの超一流冒険者となって、

モーリス達と共に、アルエット村へ「帰って来た」リオネル。


我が村を救った英雄リオネルが出世して凱旋(がいせん)した!


歓迎の(うたげ)は大いに盛り上がった。


「ねえ、今夜は食べて飲んで歌って踊ろ!」


アンナが言った通り、アルエット村の村民達は村をあげての大騒ぎ。


皆、テンションMAX。

完全にパリピ……「パーティピーポー」「パーティピープル」と化していた。


そんな中……

宴席の片隅で、騒ぎを避けるような形で……

モーリスとクレマン、エレーヌは冷静に、『仕事の話』をしていた。


途中、リオネル達が立ち寄った町の宿の主や町長、助役同様、

アルエット村の村民達も、モーリス達の活動と良き評判を聞き及んでいたのだ。


しかしクラン「モーリス」として活動していた為、

リオネルの名が表に出ず、今回の来訪で事実を知り、

クレマン、エレーヌは大いに驚いていた。


そして例に漏れず、村長として村長代理として、クレマンとエレーヌからは、

『相談』したいと要請があったのである。


「それで、モーリス様。副司祭様、副村長としての責務を果たされている貴方様が、冒険者として、行っていらっしゃる『町村支援施策』の概要をお聞きしたいのです」


とクレマンが言えば、エレーヌも丁寧な物言いで告げる。


「ええ、村長の言う通りです。どのような内容で、我がアルエット村へ有償支援して頂けるのか、内容と、いくつかの実績を、村長と私へ教えて頂けますか?」


対して、モーリスも礼儀正しく言葉を戻す。


「クレマン様、エレーヌ様、ご丁寧なお問い合わせをして頂きありがとうございます。お話をする前に、私からご確認させてください」


「おお、確認ですか?」

「モーリス様、どのような事でしょうか?」


「はい。私達『クラン・モーリス』が、冒険者として行っている『町村支援施策』は、現場の皆様の意向を受け、ご領主様のご了解を得た上で、実施しております」


「成る程」

「納得ですね」


「そもそも、この『町村支援施策』は、リオネル君の発案でしてな。冒険者ギルド総本部に相談し、仲介して頂き、各地のご領主様が私達に依頼を発注した……という形になっておりました」


「ほう、そうだったのですか」

「さすが、リオネルさん!」


「はい、リオ君……私は親しみを込め、普段、彼をそう呼んでおりますが、リオ君の発案がきっかけで、数多の町村が救われました。とても誇らしいと思っております」


モーリスがきっぱり言い切ると、クレマンとエレーヌも同意し、大きく頷く。


「ああ、我がアルエット村も、オークどもの脅威から、リオネルさんによって、救って頂きました。私とエレーヌ、アンナを始め、村民達が前向きに元気に生きられるようになった事に感謝しております」


「ええ、今や村民達の気持ちはひとつになって、団結力がとても強くなりました」


クレマンは満足げに言い、

エレーヌは宴の様子を、自分の言葉通りだと嬉しそうに眺めた。


モーリスも笑顔で頷く。


「成る程。では、本題に戻りますね。現在は冒険者ギルド総本部から、発注を頂いたり、このように現場の方から直接発注を頂いております」


そう現状報告をした上で、モーリスは言う。


「それで、単刀直入にお聞きしますが、今回ご相談するにあたり、おふたりは、アルエット村のご領主様のご了解は取っておられますか? または実施に向けて交渉は可能そうでしょうか?」


「はははは! その心配なら無用です。書面にして、許可を取ってあります」

「ええ、予算の上限は決められておりますが、ウチの村の、作物を始めとした生産量がアップするならば、私達の裁量で決定して構わないと、ご領主様からはおっしゃって頂いております」


「おお、そうですか!」


ならばと、モーリスは説明を始める。


「村自体の外壁建設と整備、農地を外敵から防ぐ防護用の岩壁の建設と整備、荒らされた農地の開墾、畝づくり、作物の種付け、植え付けの各手伝い、灌漑設備建設の協力。ワレバッドの街からの救援資材の輸送と搬入、または依頼地からワレバットへの荷物送付……」


「おお、成る程」

「いろいろありますね」


「まだまだ、ありますぞ。……自警団への武技の指導、昼夜の警備方法の指導、及び周囲のパトロール方法の指導……墓地の除霊、浄化等々、メニュー以外の案件も対応可能ならば相談に乗ります。実施料金も『討伐のオプション』という事で、通常どこかへ個別に依頼するよりも、リーズナブルな価格にしようと考えておりますよ」


モーリスの説明を聞き、感嘆するクレマン。


「うむ、素晴らしい!」


「隣村だし、すぐに対応して頂けそうです。ただ……」


そしてエレーヌも笑顔を見せるが、少し口ごもってしまう。


「どうした、エレーヌ」


気になったクレマンが尋ねると、


「仕方がない事なのですが……リオネルさんは、いらっしゃれないのかもしれないのですよね」


昼間、クレマンの別宅で話した際……


リオネル達一行がアルエット村を出発し、キャナール村へ赴き……

そのまま、モーリス、ミリアン、カミーユはキャナール村へ移住。


しかし、リオネルだけがワレバットへ帰還。


頃合いを見て、

隣国アクィラ王国の迷宮都市フォルミーカへ旅立つと聞いたのである。


モーリスがしみじみ言う。


「私も、ミリアンもカミーユも、リオ君との別れはとても辛い。しかし、笑顔で見送ろうと決めております」


「エレーヌ、モーリス様のおっしゃる通りだ。明日は笑って、皆さんをお見送りしよう!」


上司であり父であるクレマンの言葉を聞き、


「はい!」


エレーヌは目を潤ませながら、大きな声で返事をしたのである。

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