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第260話「これで全てにおいて!」

「ローランド様には、すぐ、ご納得して頂いた。パトリスが了解すれば、私の望み通りにするとおっしゃって頂いたよ!」


モーリスは、晴れやかに笑うと、再び大きく頷いた


という事で、モーリスの希望を聞き入れた、ローランド・コルドウェル伯爵。


腹心の秘書室長・ソランジュに命じ、

緊急魔法鳩便でキャナール村へ、パトリス宛で速達が送られた。


領主交代と、新たな領主ローランド着任の通達があってまもなく、速達が届き、

司祭兼村長のパトリスは、キャナール村で大いに驚いたに違いない。


前触れなく、いきなり!?

速達!!


一体、何事だろう!?


と恐る恐る、……封を開けたはずだ。


しかし!

入っていたのは、サプライズともいえる『大きな朗報』だった。


キャナール村の管理官任命の辞令と、

敬愛する親友モーリスも、同時に副管理官へ任命するという通知だったから。


そしてローランドは何と!

モーリスには告げず、『密かにもうふたつ』

『人事の発動通知』をパトリスへ送っていたのだ。


まず手紙で、返事を一報と、記載していた為……


速達を送って、折り返し2日後……


緊急魔法鳩便で、パトリスから意思確認を報せる速達は、

ローランド宛に届いた。


全員が、大いに気になる返事はやはり『朗報』であり……

『キャナール村管理官の任、謹んで、お受け致します』と書かれていた。


そして、

「朋友モーリスが副管理官になってくれるのなら、尚更です。本当にありがとうございます」

というお礼の言葉が、合わせて丁寧な表現で記してあった。


モーリスは再び、ローランドから呼び出しを受け、

辞令を受けた。


そして大いに驚愕し、リオネル、ミリアン、カミーユにその辞令の内容を告げた。


何故、モーリスは凄く驚愕したのだろうか?


リオネル達は不思議であったが……

モーリスから『辞令』の書面を『ふたつ』見せて貰い、原因が判明した。


秘書室長ソランジュ・デグベルから渡された、そのふたつの書面には、

『改めて出されたモーリスへの辞令』が記されている。


まず1枚目。


モーリス・バザン殿。


貴君をキャナール村副管理官。

同村、副村長兼務を命ず。


ソヴァール王国ワレバット兼キャナール村領主


伯爵ローランド・コルドウェル


これは、モーリス曰はく自分が望んだ通り、

驚きながらも、ありがたく思った『想定内の展開』であるという。


副管理官の任務と共に、村長が行う現場の政務においても、

何らかの形でパトリスを支えようと、モーリスは決意していたらしい。


気になる『驚愕の原因』は、同時に渡されたという、

2枚目、『別の辞令』に記された内容である。


モーリス・バザン殿。


貴君の、創世神教会への復帰を正式に認め、

改めてキャナール村、副司祭を命ず。


ソヴァール王国創世神教会枢機卿


何と何と!!

モーリスは、キャナール村の副司祭として正式な形で創世神教会へ復帰、

『聖職者』としてもパトリスを助けて行く事となったのだ。


「本当に予想外!! まさか!! と思った!!」

と、モーリスはまだ興奮冷めやらぬ表情で話した。


元・武闘僧(モンク)のモーリスは、自ら創世神教会司祭の僧籍を返上し、

べたな言い方だが『世俗の垢にまみれた冒険者』となった身である。


教会側からすれば、現状は『自己都合による退職扱い』の状態であった。

モーリス本人も、それを自覚している。


理由を告げず、創世神教会への復帰を希望したとしても、

すんなりと僧籍へ「戻ってくれ」と、教会側から告げるわけはない。


「司祭として教会へ復帰し、キャナール村へ移住して、難儀する司祭パトリスを、『親友』を助けたい!」


と、本音の理由を告げて、モーリスが聖職者への復帰を懇願したとしても、

希望が通る可能性は低いだろう。


それが、何と! 


結局モーリスはパトリスの部下として、

『副管理官』『副村長』『副司祭』の3役を務める事となった。


「キャナール村の領主ご着任を王国から要請された際、深謀遠慮で、このような展開を予想されていたローランド様のご尽力のおかげだ」


モーリスはしみじみと言う。


「ローランド様がな、長年親友付き合いをされて、とても懇意にされている枢機卿様へ、以前から、お願いされていたそうだ。私が創世神教会を退職した経緯と理由をお調べになって、更にいろいろとお考えになり、枢機卿様へお話しされたらしい」


涙をにじませ、モーリスは言う。


「ローランド様は、そこまで私の心を見通しておられたんだ! 本当にありがたい! 心から感謝したい!」


ローランドへの深い感謝を告げるモーリス。


更に、モーリスは自身の抱負を述べる。


「これで全てにおいて! 私は、パトリスを助けて生きて行ける! 私が生きる限り、あいつが生きる限り、ふたりで切磋琢磨(せっさたくま)し、互いに支え合える!」


リオネルは、思った。


聖職者として人生を全うしたかったモーリスが、

冒険者になったのは、自分の為ではないと。


孤児のミリアンとカミーユの引き取りと養子手続き、育成の為に、

敢えて僧籍を捨てたのだと。


その甲斐あって、本人達の努力も合わせて……

ミリアンとカミーユは、冒険者として、社会人として、

やりがいのある仕事にも巡り合い……一人前になりつつある。


そして今度は、キャナール村村民の為、その身をささげる親友パトリスを、

モーリスは、自分の人生をささげ、一生、助け、支えようとしている……


絞り出すように声を震わせるモーリスを、

リオネル、ミリアン、カミーユは、熱い眼差しを送り、

無言で見守っていたのである。

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