第254話「あははは! やっぱり、リオは素敵♡」
新作連載です!
⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!
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リオネルは、高貴なる4界王のひとり、
地界王アマイモンの愛娘たる最上級精霊ティエラへ、
正直に、自分の心に嘘偽りなく、はっきりと決意を述べた
対して、ティエラは相変わらず笑っている。
「うふふふ、属性魔法だけでなく!あらゆる魔法の全てを極めたい、か。リオネル、あんた、ずいぶんと、大きく出たわね」
「ええ、目指す夢は、大きく持ちたいです」
リオネルはきっぱりと言い切った。
迷いは全くない。
後悔もない。
否、最上級精霊ティエラへ対してだからこそ、真摯に己の決意を告げたいのだ。
そんなリオネルのスタンスを、ティエラは大いに好ましく感じたらしい。
「うん! その通り! それでこそ全属性魔法使用者よ! リオネル……いえ、もうリオと呼ぶわ。あんたの事、凄く気に入った!」
「ありがとうございます」
リオネルが礼を告げると、
ティエラは10mほどジャンプし、空中で華麗に一回転し、再び農地へ降り立った。
着地し、にこにこっと、満面の笑みを浮かべる。
「よし! 決めた! リオ! この私ティエラ様が、特別に、あんたへ地の加護を与えてあげる!」
「え? 凄くお気に召して頂いて、地の加護も頂けるんですか。本当にありがとうございます。嬉しいです」
リオネルが改めて礼を告げると、ティエラは満足そうに何度も頷く。
「うんうん! よしよし、リオ♡ あんたにはね、転移魔法を始め、もっともっと地の属性魔法を上達して、ガンガン使って欲しいの。……他の属性よりもね」
他の属性よりもね。
って……どういう意味だろう?
何か、引っかかるティエラの言い方である。
リオネルはさりげなく尋ねる事にした。
「あの、ティエラ様」
「なあに、リオ」
「俺の気のせいかもしれませんが、もしかして、何かご懸念されていますか?」
このような時はストレートには尋ねない。
従士だが、遥かに上位の存在、魔獣ケルベロスとの会話が役にたった。
ティエラは、リオネルの気配りも感じたようだ。
「わお! リオ! あんた、鋭いわね」
「え? そうですか?」
「ええ、それも気に障らないような尋ね方をしてる」
「気に障らないような尋ね方ですか? ありがとうございます」
「うふふ、じゃあ、その気配りに免じて、私は正直に言っちゃう」
「はい、お聞きします」
真面目な話であろう。
リオネルは姿勢を正す。
真剣に聞く態勢へ入る。
「高貴なる存在、もしくは精霊、魔族を除き……人間族を始め、数多の種族たる魔法使いは、普通、持てる属性がひとつでしょ?」
「そうです。そう学びました」
「例えばリオ、あんたは、全属性魔法使用者に覚醒する前は、風の属性のみを持つ、いわゆる風の魔法使いだったわ」
「はい、ティエラ様のおっしゃる通りです」
「でも、現在リオは覚醒し、全ての属性魔法が使用可能な全属性魔法使用者となった」
「はい」
「全属性魔法使用者は勿論、ふたつ以上の属性魔法が使用可能な複数属性魔法使用者も、普通の術者もそうなんだけど……どうしても偏りが出るのよ」
偏り?
一体、何だろう?
「ティエラ様、偏り……ですか?」
「ええ、リオ。全ての魔法に長けた術者は滅多に居ない。極めた者など、皆無に等しい。行使可能な魔法の得手、不得手が顕著に出るの」
「行使可能な魔法の得手、不得手が顕著に出る……ですか。成る程」
だんだん、ティエラの話が見えて来た。
小さく頷くリオネル。
ティエラは、話を続ける。
「ええ、行使可能な魔法の中で、好き好き、使用頻度も関係して来るけど……どの魔法が、得手不得手なのか、偏っても普通は気にしない。まあ、そんな事は、よほどの完璧主義者か、超神経質な術者でなければ気にしないからね」
「まあ、そうです」
ティエラの言う通りである。
全ての魔法を同じように極めるのは、全ての術者の見果てぬ夢だといえよう。
更に全属性魔法使用者ならば、
そのスケールと難易度は計り知れない。
しかし夢は所詮、夢、理想である。
全ての魔法を同じように極めないと、絶対に許せない!
とか、リオネルもそこまでこだわりはない。
同意するリオネルだが、ティエラは首を横へ振る。
「でもね、地・水・風・火たる私達4大精霊は属性の優劣にこだわるの。術者の数は当然、そしてリオ、あんたみたいに全属性魔法使用者たる特別な存在には尚更ね」
「こだわる……そうですか」
「リオには、何故だか、分かる?」
もうリオネルには見えて来た。
地の最上級精霊ティエラの言わんとする事を。
なので、ここはストレートに答える。
「はい、想像は付きます。4大精霊の持つ力の根幹とは、この世界における大いなる自然の営み、そのスケール、そして属性を得手とする術者の力と数が大きく影響するからだと思います」
「ふふふ、正解! さすがね、リオ」
「ですか、ありがとうございます」
「ええ、あんたの言う通り、この世界における大いなる自然の営み、そのスケールは勿論、術者の持てる力と数が、私達4大精霊の力には、大きな影響を及ぼす」
「成る程」
「全知全能の創世神様を始めとする神々の力の根幹が、信仰の深さ、そして信者の数であるのと同じようにね」
「神々の力の根幹が、信仰の深さと信者の数ですか? 成る程。……だから、ティエラ様としては、全属性魔法使用者たる俺を、地の属性魔法を最も得手とする術者、にしたいのですね」
「ええ、その通り。そもそも精霊はね、とても誇り高く、己が最も優れていると考え、基本的には、優劣を絶対に譲らないの」
「精霊はとても誇り高く、己が最も優れていると考え、基本的には優劣を絶対に譲らない……」
「うん! だから、リオを属性魔法の中では、地の属性魔法を最も得手とする術者、全属性魔法使用者にしたいわ。そうなれば、この世界における地の魔力が著しく大きくなるからね」
「……成る程、理解はしました」
リオネルは無難な答えを戻した。
肯定も否定もしなかった。
ティエラは苦笑する。
リオネルの気持ちに気付いたらしい。
「うふふ、リオ。……その反応は、私の加護を遠慮したい、って感じね」
「ええ、おっしゃる通りです。申し訳ありません」
「へえ、じゃあ、私の加護を断る、理由を言って」
「はい、術者の傾向、精霊の本質は重々理解、承知した上で、俺は全ての魔法を極めたいです。……青臭い理想かもしれませんが、あくまでも夢を追い求めたいです」
リオネルは言葉を選びながらも、己の意思を的確に伝えた。
対して、ティエラは怒ったりしなかった。
むしろ逆であった。
「あははは! あくまでも夢を追い求めたいです、か! やっぱり、リオは素敵♡ この私ティエラが、地の加護を与えると言って、断ったのは貴方が初めてだもの!」
いつのまにか、ティエラの言うリオネルの呼び方『あんた』が、
『貴方』に変わっていた。
「うふふ、でもやっぱり、リオへ地の加護は与える! ここで私が地の加護を与えれば、空気界王オリエンス様も、水界王アリトン様も、火界王パイモン様も黙っていない。続々と、リオへ自分の加護を与えに来るわ」
「うわ、でも、それって、不毛な争いになりませんか?」
リオネルが気に病むと、ティエラは面白そうに笑う。
「あははははは! 不毛になんかならない! 大丈夫! みんな、フェアにやるから!」
「不毛にならないのなら、俺、ティエラ様の加護を受けても、構いませんが」
ティエラの言葉を聞き、リオネルがOKした瞬間!
「うおおっ!!??」
リオネルの心身に、不可思議で凄まじい力が満ちたのである。
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