第195話「この人、やっぱり」
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モーリスとリオネルからアドバイスされ、
破邪聖煌拳を基本に、いろいろな戦い方を組み合わせた、
ゴブリンシャーマンとの戦いで、ミリアンとカミーユは、完全に「一皮むけた」ようである。
鮮やかな勝利は、モチベーションのアップに直結する。
ゴブリンシャーマンを見事に討伐すると、
ふたりは張り切って、前衛を務め、地下4階層を探索し、
襲って来るゴブリンどもを討伐し続けた。
ミリアンは、破邪聖煌拳と水属性攻撃魔法を各種、
そしてリオネルの攻撃魔法『風矢』を込めた魔法杖を、
カミーユは、破邪聖煌拳とリオネル直伝のシールドバッシュ。
そして剣――スクラマサクスと、これまたリオネルの攻撃魔法『風矢』を込めた魔法杖を、
織り交ぜ、使い分けながら、自由自在もしくは千変万化で戦い続ける。
そして午後1時……
朝から探索とバトルを続け、リオネル達は早々と、
4階層未踏破部分の確認を終了した。
今回の前衛受け持ちにより、
ミリアンとカミーユはたっぷりゴブリンどもと戦い、経験を積み、
相当な自信を持ったようである。
立ち居振る舞い、物言いに、「堂々と穏やかに」という表現がぴったり来るくらいになっていたのだ。
午後1時という事で、ミリアンとカミーユは、まだまだやる気満々。
「夕方まではだいぶ時間があるし、充分に余力はある。このままゴブリンと戦うのも良し、6階のオークへ挑むのも良し」
と、双子の姉弟は言うのだが……
「無理をせず、本日はここまで、次に赴く地下6階層は明日以降に……」
というモーリスとリオネルの判断で、今日の探索業務は完全に終了。
5階へ戻って、いくつかの商店で『買い物』をして宿へ戻り、
次の探索に向けて休養を兼ね、部屋で『打合せ』をする事となった。
意気揚々と引き上げるリオネル一行。
「帰還のついでに」と現れるゴブリンどもを倒して行く……
同じく、「うさばらし」とばかりに、少し離れた場所において、
ゴブリン相手に『暴れまくり』をしていたケルベロスを異界へ帰還させ……
リオネル達は再び地下5階層へ戻って来た。
やはり、出入り口にサブマスター、ブレーズの副官、ゴーチェの姿はない……
ホッと安堵したリオネル達は、いくつかの商店で買い物を済ませ、宿に戻ると……
カミーユの懸念が、ビンゴ!とばかりに当たっていた。
何と何と!
宿のフロントに、ゴーチェからリオネル宛で、手紙仕様の『伝言』が入っていたのだ。
部屋に持ち帰り、封を切ると、中に入っていた紙片に書かれた文面は……
リオネル・ロートレック君へ。
依頼の遂行、お疲れさん!
無事で帰還して何よりだ!
まあ、地下4階層までの雑魚どもなら、余裕のよっちゃんだと、
俺は楽観していたけどよ!
と、いう事で、
昨夜と同じ、地下5階層の居酒屋で、また一緒にメシを食おうや!
午後6時に待つ。
ゴーチエ・バラデュール
「という、事みたいですね」
文面を読み上げたリオネルが苦笑。
大きくため息を吐き、肩をすくめると、ミリアンもうんざり顔。
「……カミーユ、あんたの『読み』が当たったね……でも、ゴーチェ様って、一応、体育会系の『さわやか・おじ』だと思ったのに……すっごい粘着で、退くわあ……」
そして、カミーユも。
「姉さん、やっとわかったっすか? あの人、やっぱり! ストーカーっす!」
と、小さく叫び、顔をしかめたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それから……
部屋で片付けと6階層の打合せをしたリオネル達。
宿を出て、昨夜ゴーチェと食事をした居酒屋へ。
時間は午後6時10分前。
入り口でリオネルが「待ち合わせだ」とゴーチェの名を告げれば、
個室に案内された。
既にゴーチェは待っており、
「よぉ!」
と、笑顔で手を振って来た。
昨日一緒だった、配下3人は居なかった。
名指しで招かれたから、リオネルが挨拶する。
「こんばんは、ゴーチェ様。昨夜と違い、今夜は『おひとり様』ですか?」
リオネルの物言いを聞き、ゴーチェは楽しそうに笑った。
「はははは! リオネル君は面白い事を言うな、ああ、『おひとり様』だ! 配下の奴らはもう、地上へ帰した。今回のパトロール任務は終わったのでな!」
「成る程、で、俺達と『打ち上げ』をしてから、地上へ帰られると? でも、魔物がうようよ居るのに地上までもおひとり様ですか? 守衛あたりを護衛につけて戻られるとか?」
「はははははは、おひとり様で帰還っていうのも面白いな。やってみても構わんが、さすがに若い頃みたいに無茶、無謀は出来んよ」
「無茶、無謀は出来ませんか?」
「ああ、無茶、無謀と、勇気は全く違う。まあ、『蛮勇』という言葉は、嫌いではないがな。ははははははは!」
「成る程。……それで今夜は、俺達をどういう理由で呼んだのですか?」
「どういう理由かだって? まあそうだ。全ての物事には大体、しかるべき理由があるからな……とりあえず座ってくれ、乾杯しよう」
ここで逆らうとか、帰るという選択肢はない。
ゴーチェからは相変わらず、『好意』の波動しか感じられない。
心を読むまでの緊急事態でもない。
リオネルは、モーリス、ミリアン、カミーユの順序で座って貰い、最後に自分が座った。
飲み物は既にテーブルの上に用意されていた。
モーリスとゴーチェは冷えたエールを、
リオネル、ミリアン、カミーユは冷えた果汁を。
各自が杯を持ち、唱和した。
「「「「「「乾杯!」」」」」」
乾杯が終わると、ゴーチェが微笑み、
「では、メシを食う前に、先ほどリオネル君が尋ねた理由を言おう。今夜メシに誘ったのは、冒険者ギルドからの依頼を伝える為さ」
ゴーチェの話を聞き、リオネルが首を傾げる。
「え? 冒険者ギルドからの依頼? でも俺達は既に、英雄の迷宮公式地図発行の為の調査依頼を、ギルドから受けていますよ」
「分かってるって! まあ、追加のオプション依頼だな!」
「追加のオプション依頼?」
「おお、そうさ! 迷宮を探索しながらな、リオネル君達は、俺ゴーチエ・バラデュールを、ワレバットまで連れて帰れ、という『オプション依頼』さ」
「ええっ? そ、それは」
「ははははは! つまりだな、地下6階層以降は、俺も探索に同行する! ……という事で、ワレバットまで宜しくな!」
「うっわあ……」
「おいおい! リオネル君! そう、どん退きするなって! 忘れないうちに言っておくが、明日朝の7時、第6階層への出入り口で待ち合わせだ! 頼むぞ!」
ゴーチェはそう言うと、
「はははははははは! さあ今夜も俺のゴチだ! ガンガン食え!」
と、またも高らかに笑った。
そんなゴーチェを見ながら……
「ほら、姉さん。……この人、やっぱり、リオさんをつけまわす、ストーカーっすよ」
「うん、激しく同意」
と小声で、こっそりと言い合い、双子の姉弟は納得していたのである。
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