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第192話「よお! 『荒くれぼっち』ご一行さまじゃないか!」

※本日12月19日から、新作を公開しました。!

⛤『騎士をやめて花嫁修業しろと言われた私は、公爵家お嬢さま御付きの騎士メイドとなりました!』

本日6時から19時までに、『段階的』に『5話』まで公開致します。何卒宜しくお願い致します。

英雄の迷宮地下5階層……

ここは、地上からの出入り口から入った地下1階層の大ホールと同じく、

人間には無害の、強力な魔法障壁で囲まれた『安全地帯』である。


4階からの降下階段、6階への降下階段の出入り口には、万が一のリスクを想定し、

1階同様、これまた冒険者ギルドから派遣された屈強な守衛が4人ずつ、

24時間詰める、時間制の交代で立っていた。


先述したが……

この『地下第5階層』で、このまま難度の高い下層へも探索を続けるか、

それとも、地下第4階層までのフロアにて、地道に修行を続けるか、

どちらかの選択が問われる事となる。


そしてこの地下5階層フロアの様子はといえば……

事前の打合せで、モーリスの言った通りであった。


冒険者ギルドによる大規模工事が行われ、

小規模ながら、まさに地上にあるのと同じ、『ひとつの街』と化していた。

中央に円形の広場があり、その周囲には宿泊施設や店舗等が(のき)を並べていたのである。


当然、地下5階層には、

今までこの迷宮のどこに居たのか? と思われるくらいの冒険者、

修行中らしき騎士や戦士等々の人々で、ごった返していた。


そんな中を、リオネル一行は歩いて行く。


一行はまず、宿の確保をした。

その後で、買い物も。

不足していた資材、ポーション等を購入したのだ。


商店の中で、最も需要がある宿屋は、このフロアに全部で40軒ほどあり、

全店合わせると、約1,000人の宿泊が可能という事である。


ちなみに、このフロアの宿は、全て食事が出ない『素泊まり』の宿である。

なので、リオネル達はこれから食事に行くのだ。


……リオネルは、この地下5階層フロアへ入る少し前から気付いていた事がある。

「石橋を叩いても、すぐには渡らない」リオネルは、

『安全地帯』といえど、索敵を欠かさない。


その索敵に、憶えのある『気配』があったのだ。


憶えのある『気配』は。先ほどからリオネル達の後をついて来ていた。

リオネルは勿論、モーリスも、ミリアンとカミーユも、

つけられているのを気付いているはずだ。


頃合いだとつけている『気配』の当人は、判断したのだろう。


背後から大きな声がかかる。


「よお! 『荒くれぼっち』ご一行さまじゃないか!」


リオネル達が振り返ると、

『無骨』という文字を人間にしたような、

身長2m近い筋骨隆々の『いかつい』男が、にやにや笑っていた。

金色の短髪で顔立ちは整っており、年齢は30歳過ぎくらいである。


リオネル達をつけていたのは、

冒険者ギルド総本部サブマスター、ブレーズ・シャリエの副官、

剛直な騎士ゴーチエ・バラデュールであった。


ゴーチェは戦士と、支援回復役、攻撃役らしい魔法使いをひとりずつ、

都合、配下3人を連れていた。


「ははははは! せっかく会ったんだ。このフロアの馴染みの居酒屋(ビストロ)で、一緒に美味いメシでも食おうじゃないか! 当然、全て俺のおごりだ!」


高笑いして、食事を誘うゴーチェには何か意図があるらしい。


リオネルは一瞬、念話――読心魔法を使おうと思ったが、やめておく。

ゴーチェからは熱い好意の感情しか伝わって来ないからだ。


断るのも、角が立ちそうである。

とりあえずここは「OK」の選択肢だ。


「モーリスさん、ゴーチェ様のご厚意をお受けしましょう」


対して、モーリスも同じ思いだったらしく


「おお、分かった」


と、リオネルへ頷き、


「ゴーチェ様、せっかくのお誘いですから、ご厚意をお受け致します。宜しくお願い致します」


と返事をし……

リオネル達は、ゴーチェ達と夕食を共にする事となったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ゴーチェ達に(いざな)われ、リオネル達が連れていかれたのは、

とある居酒屋(ビストロ)の個室である。


大きなテーブルに大皿の料理がいくつも運ばれ、冷えた大型デキャンタには、

ワインとエール、そして果汁と紅茶がたっぷりと入っていた。


まずは乾杯を行う。

そして、乾杯後に、ゴーチェはリオネル達へ礼を告げて来る。


やはり、守衛と衛兵から『連絡』『報告』が行ったようだ。


「まずは礼を言おう。荒くれぼっち、ありがとうよ! あのルーキーキラーどもを捕縛して貰い、助かった。あいつらはたっぷり余罪がある、結構な『賞金首』だったんだよ」


「やっぱりそうだったんですね。『ヘーロース』の衛兵さんからそう言われました」


「ああ、後で賞金をたっぷり払うぞ」


「ありがとうございます!」


「うむ! 守衛、衛兵から報告を聞いた。あいつら8人に襲われて、相当ヤバかったらしいな」


ここで、リオネルの隣に座ったミリアン。

ぴとっと、リオエルに身体をくっつけた。


「ゴーチェ様、あいつらに襲われて、私、すんでのところで、おもちゃにされそうになりました」


「おお、ミリアンちゃんをか? 許せんな!」 


「でもでも! リオさんがばっちり、いつものように助けてくれたのっ♡」


「おお、それも聞いてるよ。あいつらに脅されても全く動じず、冷静に『魔導音声録音水晶』でやりとりも録音していたようだな。あれが『動かぬ証拠』となる。さすが『荒くれぼっち』だ」


「うふふ♡ 荒くれぼっちは、私が大好きな兄貴なんだも~ん♡」


「おお、リオネル君は、ミリアンちゃんの兄貴か。強く頼もしい兄貴だな」


「うん! そうなの♡」


甘えるミリアンを見て、ゴーチェは微笑み、

更に、


「まあ、余罪もたっぷりあるし、あいつらはどうせ、全員極刑だ」


吐き捨てるように言うゴーチェ。


ミリアンは、何故ゴーチェがこの迷宮に居るのか、不思議に思っているようだ。


「でも、ゴーチェ様は、どうしてこの迷宮にいらっしゃるの?」


「ああ、ミリアンちゃん。元々のパトロール業務でな、俺はこの英雄の迷宮には、月に一回は来る。さっき、リオネル君が捕縛してくれたルーキーキラーどもみたいに、ふらちな(やから)を取り締まり、捕縛するのが、俺の仕事のひとつなんだ」


とも告げた。


ここでリオネルが、


「良いんですか? そういう業務内容を、第三者の俺達に告げて?」


と尋ねれば、ゴーチェは笑顔で言葉を戻す。


「ああ、構わん、構わん。街中に衛兵が立ってにらみをきかせ、犯罪を抑止しているだろ? あれと同じで、俺達のパトロール巡回の話が広まれば、この迷宮で起こる犯罪も減るって算段だ」


更にカミーユが、


「でも、ゴーチェ様は、俺達がギルドから、迷宮地図の依頼を受けたって、知ってまっすよね?」


と尋ねれば、


「ああ、知っていたよ、カミーユ君」


とあっさり肯定。

カミーユが更に追及。


「じゃあ、やっぱりリオさんが気になって来たっすか?」


対してゴーチェは、きっぱりと言う。


「ああ、このタイミングでパトロールに来たのは、確かにそれもある。リオネル君がこの迷宮で、いかに怪物どもと戦うのかをな、見てみたいんだよ」


そして、


「さあ、今夜のメシは全て俺のおごりだ! 冷めてしまうから、話をしながら料理を食おう。お代わりもOKだ。明日に差し支えないレベルでガンガン食って、飲んでくれ!」


と朗らかな笑顔で、ゴーチェは宴の開始を告げたのである。

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