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第130話「トライアルアンドエラーで行こう」

ミリアンとカミーユは、担当のエステルに連れられ、講座を申し込み……

タイミングと折り合いがつけば出来る限り受講すると気合を入れ、

1階フロアから移動して行った。


……受講が終わったら、ホテルへ直接戻る事となっている。


ちなみに本日だけでなく、ホテルをチェックアウトするまでは様々な講座を受け、

ふたりとも、改めて基礎から鍛える事となる。


残されたリオネル、モーリス、そしてマルセルは3階の応接室へ移動。

これから暮らして行く新居の本契約『正式な賃貸契約』を取り交わした。

名義上はモーリスが『借り手』となる。


「本契約が完了し、これであの家はモーリス様のご自宅となります。ちなみに、いつお引越しされますか?」


マルセルが尋ねると、モーリスは優しく微笑む。


「ふむ、ウチの弟子ふたりが(こと)(ほか)、ホテル暮らしを気に入りましてな」


「ほう、それはそれは」


「私とリオネル君を含め、日々のギルド通いも便利です。サブマスターのご厚意で1週間も部屋をご手配して頂いたから、甘えさせて頂いて、期間いっぱい滞在するつもりです」


何故、モーリスの滞在期間を確認したのか?

マルセルの仕事はまだ終わっていないのである。


「成る程。ではその間に、ウチの不動産部でご自宅の内外の清掃、芝刈りなど庭の手入れ、そしてご購入された荷物のお受け取りと管理を致しましょう。不在の間は警備員を置きましょう」


「ありがとうございます! 本当に助かりますぞ!」

「マルセルさん、感謝します。ありがとうございます!」


「ははは、お安い御用です、万事が万事、お任せください。それとサブマスター秘書のクローディーヌから打ち合わせが終わったら、すぐ連絡するように言われております」


「クローディーヌ殿が? 何でしょうかね?」

「多分、モーリスさんと俺の講座の申し込み手続き、依頼の確認等でしょうね」


「はい、リオネル様のご推測の通りです。今後、皆様の業務担当者はエステルとなる予定ですが、現在はミリアン様、カミーユ様のケアで手一杯です。その間、クローディーヌが代行すると申しておりました」


「おお、クローディーヌ殿が? それはそれは、申し訳ない」

「本当にそうです。クローディーヌさんはサブマスターの秘書業務でご多忙でしょうに」


「まあ、全ては『サブマスターの指示』ですし、総マスターも皆さんを後押しするよう申しているようですから……では、私はこれで失礼致します。お引っ越しする際には必ず、私までご一報ください。そしてクローディーヌに打ち合わせ終了を伝えますから、おふたりはこのままここでお待ちください」


「「ありがとうございます!」」


という事で、マルセルは退室した。


……10分ほど経ち、入れ替わりにクローディーヌがやって来た。


クローディーヌは美しいストロベリーブロンドと、端麗な顔立ち。

特に切れ長の目と小さな唇が魅惑的で、背はすらりとしており、スレンダーな体型である

爽やかな石鹸の香りもしており、王都のナタリーとは、また違うタイプの美女であった。


そしてクローディーヌは透明感のある声も美しい。


「モーリス様、リオネル様、おはようございます!」


「「おはようございます!」」


「マルセルからお聞きになっていると思いますが、しばらく私がおふたりの業務窓口を代行致します。これはサブマスターの指示でございます」


「はきはき」と話すクローディーヌ。

彼女を見ながら「素敵な人だ」と、リオネルは思う。


聞く事など出来ないが、クローディーヌの年齢はナタリーより少し上、25,6歳であろう。


俺って、年上の美人タイプが好きなのかなあ……


リオネルはそんな事を考えながら、クローディーヌの話を聞いていた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


1時間後……

クローディーヌとの打ち合わせが終わったリオネルとモーリスは、ワレバッドの街中を歩いている。


リオネルの予想通り、クローディーヌの話は講座受講の問い合わせと受付け、

そして依頼は、彼女がピックアップした、サンプルではない現在受諾者募集中であるリアルな案件のリストであった。

ちなみに、今回クローディーヌが提示したリストの依頼には、喧々諤々(けんけんがくがく)したファイアドレイクに吸血鬼の始祖、コカトリスの案件はさすがに含まれてはいなかった。


そんなこんなで……

結局リオネルは、念願ともいえる『召喚術』の講座を選択し、申し込んだ。


物心ついてから学生時代まで、リオネルは何度挑戦しても、課題の『使い魔』召喚は成功せず、失敗続きであった。


冒険者ギルドでも『召喚魔法』を見学したが、残念ながら『見よう見まね』は発動しなかった。

自身の才能の無さかもしれない。


リオネルは子供の頃から『召喚術』が大好きで憧れていた。

実務的にも、使い魔を召喚して使役すれば、今後の冒険者人生にも大いに役立つ。


だから諦めきれない。

ダメで元々という気持ち。

手を尽くし、結果が得られず、無駄でも構わない。


それに、とことんやってダメならば諦めもつく。 

人生の合言葉、トライアルアンドエラー……で行こうと思う。


そしてクローディーヌが提示してくれた『依頼』であるが、

「売り違い容赦」というルールらしい。

つまり、「ギルドが依頼を受けたまま、ずっと冒険者へ未発注」というわけにはいかないので、誰かが先に受諾したら、当然その依頼はリオネル達が受諾出来なくなるという事だ。


クローディーヌのリストには様々な依頼があり、リオネルは少し迷った。

答えはすぐに出ず、リオネルはその場でモーリスと相談し、とりあえず保留とした。


「申し訳ありません。すぐにご返事が出来なくて。サンプルも含め、せっかくリストを作って頂いたのに」


リオネルが詫びると、クローディーヌは微笑み、首をゆっくりと横へ振った。


「全然構いません。お気になさらずに。但し『売り違い容赦』です。ひと足違いで発注済み、受諾済みになったら、『ごめんなさい』という事になります」

 

笑顔で応えてくれたクローディーヌに、リオネルはますます好感を持った。


こうして、打ち合わせは終了、解散となり、クローディーヌは去ったが……


ここでモーリスが、街の探索を提案する。


「リオ君、昨日は馬車で移動だったしね。気分転換も兼ね、一回ワレバットの街をじかに歩いて、雰囲気に慣れてみないか。私が案内するよ」


この提案、リオネルにとって『渡りに船』である。


「分かりました。しばらく暮らす街ですから、早く慣れたいです。故郷の王都とは、どこがどう違うのか、凄くワクワクもしますし」


「うむ、では途中でランチも摂ろうか」


「了解です! 楽しみですね!」


と、いう事で……

リオネルとモーリスは、冒険者ギルド総本部を出て、ワレバットの街中へ出かけたのである。

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