第118話「ワレバッド到着」
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翌日、リオネル達は宿を朝早く出立した。
モーリスが立てた予定通り、冒険者の街ワレバットへ午前9時過ぎに到着する。
リオネルが見やれば……
ワレバッドの街の外観は、彼の故郷『王都オルドル』とあまり変わらない。
高さが20mはあろうかという外壁、そして外壁と高さがほぼ同じ、
頑丈な鉄製の巨大な正門が、街の高い防衛力を裏付けしていた。
そして、ワレバットを治める領主ローランド・コルドウェル伯爵は……
かつて巨大なドラゴンを倒した事から、英雄と称えられ、
ワレバッドの領主とギルドの総マスターを兼任する王国貴族である。
領主ローランドの方針で、公務を行う役人は冒険者ギルドから、
冒険者が出向しているという。
だからなのか、正門には衛兵というよりも冒険者の戦士という出で立ちの門番が多数居て、周囲を鋭く睥睨していた。
それとは別に、これもまた冒険者風の役人達が街へ入る為、
街へ入場する為、行列を作って並ぶ人間を丁寧にチェックしている。
リオネル達は車両用の列に並び、順番を待つ。
やがてリオネル達の順番が来た。
革鎧姿の役人がやって来る。
30代前半くらいの人間族の男であり、中肉中背ながら、バランス良く筋肉がついていた。
なかなか『出来る』ようだ。
「おはよう! 冒険者の街、ワレバッドへようこそ! 歓迎するぜ! えっと、都合4人か? ならば代表のひとりが身分証明書を提示してくれ。後の3人は、姓名と職業を名乗るだけでOKだ」
ここは、リーダーで最年長たるモーリスの出番だ。
「おはようございます! お疲れ様です。私はモーリス・バザン。冒険者で元・創世神教会の武闘僧です」
モーリスから提示された、冒険者ギルドの所属登録証を一瞥した役人は、
柔らかく微笑む。
「ふむ、武闘僧のランカーさんか。宜しくな」
リオネルは、クランメンバーではなく『客分』だが……
事前に相談して、このように名乗る際には、モーリスの次と決まっていた。
「おはようございます! お疲れ様です。俺はリオネル・ロートレック、冒険者です」
「おはようございます! お疲れ様です。ミリアン・バザン、冒険者見習いです」
「おはようございます! お疲れ様です。カミーユ・バザン、冒険者見習いでっす」
補足しておこう。
姓がバザンなのはミリアンとカミーユはふたりとも、
モーリスが孤児院から『養子』として引き取った形となっているから。
つまり、双子の姉弟にとってモーリスは師匠であり、養父でもあるのだ。
さてさて!
モーリスに続き、リオネル、ミリアン、カミーユが名乗ると、
役人が、リオネルの名前に反応する。
「む? リオネル・ロートレックだと?」
「ええ、俺がリオネル・ロートレックですが、何か?」
リオネルが肯定すると、役人はいきなり気安くなった。
どうやら、リオネルの名を、評判を知っているらしい。
「お~! 君がリオネル・ロートレックかあ! わっかいなあ!」
「は、はあ……どうも」
困惑するリオネルを、役人は「しげしげ」と眺める。
「ふむふむ、成る程……だが、ゴブリンどもに無双する、極悪非道、残虐無慈悲な、『荒くれぼっち』……には見えんなあ」
「うお!? 極悪非道!? 残虐無慈悲な『荒くれぼっち』!? いきなり、それですかあ!」
「ははははははは! ほんのジョークだ! 極悪非道、残虐無慈悲は冗談さ。どうやら仲間も居るようだから、もう、ぼっちじゃないしなあ」
「は、はあ……」
「ギルド総本部でも、寂しい暴れん坊『荒くれぼっち』は有名なんだよ」
リオネルが、寂しい暴れん坊?
ぷうっ、くくくくく……
う、くくくくくく………
ぶっ、くくくくく………
そんなリオネルと役人のやりとりに、モーリス、ミリアン、カミーユは懸命に笑いをこらえていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ワレバッドへ着いた早々、いきなり「洗礼を受けた」リオネルであったが……
所定の入場税を支払い、市内へ入り、馬車を走らせて、早速冒険者ギルドへ向かった。
さすが、冒険者ギルドの総本部である。
王都支部も広大な敷地に5階建ての本館、別館、図書館、闘技場、倉庫などを備えていたが……
ワレバッドの総本部の敷地は、王都支部の5倍はあった。
10階建ての本館に、5階建ての別館が3つ、地下書庫付き王都支部の3倍の大きさの図書館、訓練所も兼ねた魔法研究所に、武技の道場が3つ、様々な地形を模した訓練研修合宿所、
5,000人収容、1,000人収容、の大と中の闘技場、そして500人収容の小闘技場が3つある。
地下収容付きの倉庫が10棟、ホテルに、広大な公園まである。
桁違いのスケールの総本部を見て……
勝手知ったモーリス以外、初見参のリオネル、ミリアン、カミーユは感嘆の連続である。
そして何と!
10階建てのワレバッドの街の庁舎が隣接しているのだ。
そんなギルド本部へ到着した時間は午前9時30分過ぎ……
モーリスの読み通り、『ラッシュ』時間を過ぎていたので本館1階フロアは閑散としていた。
「折角渡された」のだから活用しようと、リオネルは託された王都支部マスターが書いてくれた『推薦状』をモーリスへ渡した。
「手続き等がスムーズに済めば」との意図である。
「おはようございます! 頼もう~~!!」
例によって、受付けで大声を張り上げたモーリス。
閑散とした1階フロアにおっさんの太い声が響き渡った。
「ええっと……また、道場破りパターン?」
リオネルが苦笑すると、ミリアンとカミーユも、
「う~、恥ずかしいよぉ」
「俺も恥ずかしいっす。この場から速攻で走り去りたいっす」
……既に学習済みなので、リオネル、ミリアン、カミーユは少し離れた場所で、
『他人のふり』をしていた。
一方、モーリスは受付けの女性に、リオネルから託された『推薦状』を渡し、いろいろ話していた。
やがて……話は終わった。
モーリスが戻って来る。
「おい、お前ら! 無視するな! そっぽを向くな! 他人のふりをするなっ!」
そんなこんなで……
モーリスが言う。
「少し待てという事だ。ご領主で総本部マスター、ローランド・コルドウェル様はご多忙の為、ご不在だが、アポなしでも、サブマスターのブレーズ・シャリエ様がお会いしてくれるそうだ。様々な手続きも引き受けてくれるそうだぞ」
「モーリスさん、それは良かったですね」
「うむ、預かったリオ君の推薦状の効力が大きいね。ありがとう、助かったよ」
「いえいえ、どういたしまして」
「うっわ、総本部のサブマスターと会見なんて緊張するぅ!」
「本当っすね、姉さん!」
みたいな会話をしていたら……
受付けから、リオネル達へ声がかかる。
「お待たせしました。モーリス・バザン様、ご用意が出来ましたので、サブマスターの秘書がご案内致します」
迎えに現れたのは……ストロベリーブロンドのスタイル抜群な長身美女、
彼女がサブマスターの秘書であろう。
「おはようございます! 初めまして! サブマスター秘書のクローディーヌ・ボードレールです。私がご案内させて頂きます」
クローディーヌは一礼し、リオネル達が挨拶を返すと、
魔導昇降機へ案内し、全員で乗り込んだ。
いよいよ、サブマスターとの会見である。
王都支部では、マスター、サブマスターと親しくしていた。
なので、総本部のサブマスターといえど、リオネルに緊張感はない。
……総本部のサブマスターって一体、どのような人だろう?
そして、どうなるのだろう?
少しわくわくしながら……
リオネルは、モーリス達とともに、会見に臨んだのである。
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