第3部19章『回帰』3
少年は、時とともに歩みが重くなるのを感じていた。
今はもう主都グレナドが目前で、世界一と謳われる富裕国の華やぎが其処彼処に溢れている。建物は丈高くなっていくし、門構えや柱彫刻や窓の形状も様々に変化して優美さを競い合っている。これが主都になれば、そこら中がお屋敷になるのだ。
懐かしい風景なのに、何故か胸が苦しくなる。自分がこの国を飛び出した後、記憶の中ではまだ帰還していなかった。
そして、昨夜は初めて夢の中にある少女が現れ、共に旅をした愛の日々が甦った。悪いことには、目覚める前に彼はその少女を置き去りにして旅立っていた。その胸の潰れる想い、苦しみがあまりに酷かったから、起きた時に彼は涙でグショグショに濡れていた。
思った通り、記憶の先には良くない事が待っている。
自分は、あんなに幼い可哀想な少女を泣かせ、異国の地に1人置き去りにしてしまったのか。なんて酷いことを……
自分に責任のある、気になる事項が夢の中で甦ってからは、その後どうなったのかが知りたくなって、早く記憶が呼び起こせないものか気が急いたが、どんなに強く願っても、記憶の番人が小出しを鉄壁の意思で決めているかのように、一度に沢山甦ることはなかった。
あの少女はどうしたのだろう。自分の秘密を唯1人共有するあの娘は……
少年は、毎日道に横たわって背を測るようになっていた。起点となる線を引き、そこに踵を合せて寝転がり、頭頂部の上で印をつけてその長さを紐で計るのだ。数値を計測するのではなく、自らの背の伸び具合を確かめているのだ。
その日の印に結び目を作って次回に計測すると、今度はその結び目より少し背が伸びている。結び目は計る度に増えていった。
前触れもなしに節々が強烈に痛むことがあると、その後は決まって大きく背が伸びている。幼い子供だった彼の姿は、この数日で、父親の手伝いをして海や山に行ける程の少年にまで成長していた。もう、あの山奥の村人が彼を見ても同1人物だとは思わないだろう。
こんな不思議なことが起きているのだから、やはり自分は天使なのかもしれない。だが、今起きていることは一体何なのだろうか。それがさっぱり解らない。少年は考え込んでは度々立ち止まり、空を眺めた。
このまま主都に戻っても、両親に会うことはできない。自分自身が今のこの事態を理解していないのだ。赤の他人と思ってくれるなら都合はいいが、おそらくそうはなるまい。
水鏡に映る自分の姿を見る限り、記憶の年齢との差異はあるものの、自分は自分そのままの形をしている。両親も、どうしてか若返ったとしか思えないくらい我が子に似た子供が帰ってきたと驚き、とても心配するだろう。ショックを受けて具合が悪くなってしまうかもしれない。そんな騒ぎは無用だ。
そう判断した少年は、この辺りからマントを深く被って自分を知る人に見つからないよう気をつけるようにした。このマントも、道中魔物に襲われて死んでいた旅人から拝借した物だ。
国と両親の様子だけサッと見て回り、それでまた何処かへ行こう。どうせ記憶が甦れば、行くべき場所が判るはずだ。
少年はそうして、両親の眼差しや、こちらを振り返り、振り返り微笑む少女の面影を思い出しながら歩んで行った。
運命としか思えぬ不思議な巡り合わせや同期を経験してきた彼だったが、ここでまた彼の到着を待ち構えていたかのような出来事が起きた。主都グレナドに近づき、王城の形や旗までが認められるようになった頃、大きな影が頭上を横切っていったのである。その影が先触れであった。
影は滑るように高度を下げて、挑発的な尖った形状を持つ城郭近くを掠め飛んで何かを吐き出し、壁に打ち当てた。その後、警戒を知らせる花火が上がり、城から煙が上がるのが見えた。
――――――何てことだ! 自分の帰りを待っていたかのようではないか!
少年は走り出し、まだまだ歩幅の大きくない足で大地を蹴り、街を目指した。それを追い越すようにして、頭上を幾つもの影が滑っていく。右手の彼方からも続々と影が飛来する。
父上! 母上! 国王陛下! 姫! どうかご無事でいて下さい! 私がすぐ行きます!
主都を襲っているのは、彼がこれまでに見たこともない軍勢だった。羽根とは別に手足を持つ鳥が、ただの鳥を率いて隊列を組んでいる。中には竜ほどもある巨鳥がいて、ご丁寧に炎まで吐き出し、屋根に火をつけていた。人々は叫び逃げ惑い、ただ、ただ魔物に背を向けようと懸命だった。正面向き合うのは兵士や術師ばかりである。
軍隊の構成上、敵は地に降りるのを不利として上から物を落としたり、火を放ったりすることに徹していた。距離を置けるし高速移動だから、人間の反撃を殆ど食らうこともなく易々と器用に避けて一方的に損害を与えていった。
このままでは壊滅してしまう!
彼は物陰から、極力見つからぬようにして閃光弾を次々と放ち、怪鳥を射落としていった。実戦経験の少ない魔術師よりずっと正確に標的を捕らえていく。見つかりそうになると姿を隠して、細い路地裏や地下水道を伝って移動した。
この戦い方では限界がある。だが、今の自分では記憶にあるほどのことは身体能力的にできない。どうすれば――――――
自分のことすら把握し切れていない混乱の中で、彼はせめて守りたい人々だけでも守れるよう都市中心部に向かった。
アルファブラ城の最上部にある中央尖塔を守る兵士は、尖塔の一番高い位置にある国旗掲揚の支柱の先端に立ち、高みの見物をしている人物の存在に気づいた。大柄なヌスフェラートだ。兵士は思わずヒッと声を上げてしまった。立っているように見えるが、殆ど浮いているらしく、足に力は入っていない様子だ。
「――――――何者だあっ!!」
ヌスフェラートはスッと兵士に手を向けて魔法をぶつけた。あっけなく弾かれた兵士は、叫びながら塔を落下していった。その間、ヌスフェラートは兵士の方をチラとも見ることなしに、小うるさい虫をただ手で払ったかのようにしていただけだった。
彼は天空大隊とは関わりがなかったが、大将として戦況をこの目で確かめる為にここへ来ていた。もう1人、同じ用向きで赴いて来ている者がいる。
先の英雄をこの手で殺したのは間違いないのだが、このところ英雄復活の噂が頓に流れていたから、彼としても気になったのである。
英雄に見間違われるほど戦い方の似通った強者が本当にいるのなら、先の英雄とも何らかの関わりがあるのだろうから、こうして故郷であるアルファブラを攻めれば、その見間違われた誰かが現れるかもしれないと睨んだのだ。
虫王大隊の撤退の一因である強者だから、遂に現れた天使である可能性もある。何せ本物の天使が、それらしき人物を見つけたと言っているくらいなのだから、それと同じ人物なのかもしれない。
どんな者か早く確かめて、後々大きな障害となりそうだったら早々に始末しなければならない。人間はおそれるに足らぬ種族だが、天使だけは別だ。いるといないのとでは、天と地ほどの差がある。
そこで、『星を読む』とかでずっと日取り選びに時間を裂き、尻込みしてタラタラしていた(というのは彼の言葉だが)天空大隊を急かして、今日の進軍に至った訳である。
お目付け役として大将が来ているから、天空大隊も手を抜くわけにはいかなかった。何せ世界一の強国と謳われているアルファブラである。例え大将がいなくても、それなりの敬意を払って徹底的に滅ぼさねばならない国だ。誇り高い鳥人達は、緩急つけることもなしに翼を駆使して空を駆け巡り、破壊に精を出した。天空大隊長ホルスは、そんな戦模様を別の塔の高みに立って眺め、攻撃指示を出し続けた。
流星となってソニアがアルファブラ城に到着した時、既に戦火は城内にまで及んでいて、丁寧な情報収集などしている余裕がなかった。外交特権で、特にトレスからの使者は直接入城が許されていたから、いきなり城内の発着専用テラスに降り立ってホールに入ったのだが、ガラスは割れ、花台は落ちているし、垂れ幕の一部は裂け、一部には火がついていた。
ソニアは状況を見て取るや、一緒に来た魔術師達に「自分は町の方へ行く」と別れを告げて単独行動に移った。
これがアイアスの出身国なのだという感慨を心の奥底で持ちつつも、務めて心は戦士として気高く振る舞い、逃げ惑う官吏の1人を掴まえて「パンザグロス家があるのは街のどちら側か」と尋ね、一瞬呆気に取られた顔をされつつも、あっちだ、と城の西側を示してもらい、そちら側に向かって城内を横切った。
パティオと浅い噴水池の多い平板な部分と、威嚇的な尖塔の立つ部分とが混在した造りである。
ソニアは水面揺れる長方形の噴水池を飛び越え、出入口の判らない壁は面倒なので攀じ登り、その向こうに渡った。万全の体調なら、攀じ登るのではなく簡単に飛び上がって越えられたものだが、今の体力ではそれがせいぜいだった。
そして幾つかの隔壁を乗り越えて城の外壁に達し、防戦の為に扉は閉ざされているので外郭に登り、そこから城下街へ飛び降りた。
高みから一瞬見た限りでは、街中で火の手が上がり、黒煙が立ち昇っている。敵軍に地上部隊は見当たらず、全てが空中からの攻撃だ。その為、空だけ見れば虫王大隊の来襲したディライラでの戦いより、飛空部隊の数が圧倒的に多かった。
このままでは、この都市は壊滅してしまう。ソニアはそう見た。
城下街に降りてからは、通り過ぎる避難民に訊ける限りパンザグロス邸の方角を尋ね、殆ど無視されてしまったが、得られた少ない情報を頼りに角を曲がり、通りを越えて、一際大きな豪邸を見つけた。ずっと先にある小高い丘の上に、白亜の館が建っている。
そこでもう一度人に尋ねると、その館を指して「あれがそうだ」と教えてもらえたので、後は迷うことなく丘を目指して走った。1、2を争う名士の邸宅だから、さすがの大きさだ。アルファブラ城がここになければ、あちらを領主の館であると見間違えてしまうだろう。
あそこに、義理の父母がいる。ソニアは胸に隠したペンダントをそっと握り締めて走り続けた。目立つ館だから、あそこも相当の攻撃を受けている。目に見えたからこそ、ソニアはもっと気が急いた。お義父様とお義母様が危ない! 守らなければ!
石階段を駆け登り、何度か踊り場で方向を変え、高台の上へ上へと上がっていく。かなりの高さがあるから、段数もかなりのものだ。トライアは平地ばかりなので、こんなに長い階段は珍しい。攻撃から逃れようと階段を降りてくる人々とすれ違い、襲いかかる鳥の足を避けながら上り続け、ソニアはようやく目的の館に到着した。
館が主都にあり、誰もが知る有名な豪邸だから、こうして直線的に来られたようなものだが、もし一般市民の家を探そうとしたら、どれほど難儀をしたことだろう。探しているうちに都は陥落し、家も焼け落ちていたに違いない。ソニアはこのことに感謝した。
石造りの白亜の館は、正面玄関前だけでも両脇に10体ずつの彫刻が居並んで来訪者を出迎えていた。今はその幾体かが油を浴びて燃えている。鳥達は足に掴めるだけ油の詰まった袋を運んで来て投下しているのだ。
テラスに絡まる蔦も燃え、狼藉は屋敷の中にまで及んでいた。壊された窓から小ぶりな鳥が入り込んでは、また違う窓から飛び出していく。その間に嘴や足が血に濡れたり、足に何かを掴んでいたりした。
ソニアは正面玄関から突っ込んでいった。
屋敷付きの衛兵は懸命に館を守ろうと苦戦していた。自警団を抱え込める程の名士とは、いやはや大したものである。白いズボンに赤い上着、背には角に蔦を絡ませた牡鹿の紋章が刺繍されている。ペンダント以 外で初めてお目にかかったパンザグロス家の紋に、ソニアはドキリとした。
「――――――アルカディアス様とヘレナム様はいずこに!」
ソニアは叫びながら屋敷の中を走り、乱入してきた鳥を一太刀で叩き落としていった。その技に衛兵達の目が留まる。
「あなたは?!」
「この家の縁者です! アルカディアス様とヘレナム様をお護りに参上致しました!」
マスク姿を訝られたので、ソニアは布を下げて顔だけ露にした。顔と声で女性だと判ると少しは安心したようで、衛兵は現場までソニアを連れて行った。
カーブを描く大階段を駆け登り、背の高い窓が並ぶ通路を抜けながら鳥と戦い、そして3人の衛兵が護る大扉の前まで来た。当主と婦人は閉じ篭って安全な場所で難を逃れているのだ。そこへの進入を防ぐ為に衛兵が必死の攻防をしている。
始め、縁者だと伝えられても仲間達はそこを通すことを躊躇った。今は誰も通してはならないのに、正体不明の自称『縁者』を認めるわけにはいかない。
そこでソニアは懐からパンザグロス家のペンダントを取り出して見せ、自分は義理の兄であるアイアスからこのペンダントを貰った、養女であるソニアだと教えた。
その効果は覿面だった。中心格である年配の衛兵が事情を知っていて、すぐに飲み込めたのである。その男は、彼女を連れて来た衛兵に自分の後を任せて、自分が彼女を案内すると言い、ソニアと共に扉の中に入った。
中は広い空間で、こんな時の為に作られた専用の避難部屋なのか窓が1つもなく、出入口はここ1つだけの閉鎖空間だった。しかし裕福な邸宅らしく、この空間でも快適に過ごせるよう家具調度品には事欠かず、あらゆる物が揃っている。
すぐそこで老齢の夫婦がソファーに腰掛け、身を寄せ抱き合っていた。当主は額に特徴的な一文字の皺のある白髪の人で、紺色の衣をゆったりと纏い金の帯で留め、手に大きな指輪をはめている。婦人は緋色の衣を同じくゆったりと纏い、髪は結い上げて金装飾の花冠を被っていた。どちらも美しい人だった。
そして、事情を知る者が見れば、確かにアイアスはどちらにも似ていなかった。
夫妻は入室してきた者が誰か判らないから、一瞬ギョッとして身構えた。普段なら初対面の者にいちいち怯えたりしない富貴の人なのだが、避難中の今は無理からぬことだった。
ソニアは紹介を衛兵長に任せ、その場で跪いた。訳を聞いた夫妻はハッと息を飲んで目を見開いた。これまでどんな娘を想像していたのかはソニアの知らぬところだが、2人の表情に見える色は決して失望感を含んではいなかった。
「あなたが……」
夫人が歩み寄って、震える手でソニアの肩を取った。淡い翡翠色の瞳が老齢のわりに澄んでいて美しい。夫人も白髪混じりだが、まだブルネットの色が多く残っている。
「お兄様にパンザグロス家の名を頂き、今日まで語らせて頂きました、ソニアです。アルファブラ襲撃の噂を聞きまして、お2人をお守りするべく参上つかまつりました」
「まあ……あなたは、トライアで国に仕えているのではなかったのですか?」
「事情がありまして、訳は後でお話しします。今は身の安全だけをお考え下さい」
そこへ、見守るばかりだった当主もやって来てソニアを見下ろし、言った。
「……アイアスには会うたか?」
その問いだけで2人の切なる気持ちが伝わり、ソニアは悲しく瞼を伏せた。
「……私は、16年前にお兄様と別れて以来、一度も会っていません。お2人も現在の消息はご存知ないのですか?」
目に見えて夫妻は落胆した。婦人などは目を潤ませ、今にも涙が零れそうである。
「……我々は……息子が旅立ってから一度も会っていない。そなたの方が、私らよりも後に会っていることになる。……手紙は何度か貰っているが……今は全く何も知らせがないのだ」
ソニアも肩を落とした。両親が本当に知らないのだとすれば、訳あって姿を隠しているというような可能性は非常に薄くなる。
本当に、いないのだ。彼は消えてしまった。
長くは感傷に浸らず、ソニアはキッと顔を上げた。
「お兄様不在の噂は聞き及んでおりました。もしお兄様がいなければ、私が代わりにお2人をお護りしようと参ったのです。それに、アルファブラ襲撃の話を聞けば、さすがにお兄様は現れるのではないかと。――――――まずは私がお護りしますので、お2人は引き続きここで身を隠していて下さい。外のことはお任せを」
ソニアはそれだけ言って深く頭を垂れ、すぐに立ち上がって部屋を去った。
通路では衛兵が鳥との攻防を繰り広げている。ソニアは剣の一旋で青い猛禽を叩き落した。そして打ち破られている窓から外に飛び出して、テラスに立った。
高台にあるから都市がよく見渡せる。城は煙を上げ、街の至る所でも炎が上がっていた。黒煙の為に空が徐々に濁っていく。
このままではこの都市は陥落する。この屋敷と夫妻を護るだけでは足りないだろう。全てを護るくらいのつもりで挑まねば、夫妻を救うことはできないかもしれない。
ソニアは、全てを見渡せながら自分の姿は目立たぬテラスの木陰を選んで手をつき、精神集中をした。鳥が相手なら、何とかなるかもしれない。リスクは大きいが、このまま放っておく方が滅びてしまうだろう。やってみたことはこれまでにないが――――――
すると、都市の上空で空気の流れが変わった。
少年は、身を隠しながら木陰を伝って崖の斜面を登り、高台の館を目指していた。
その時、空気の変化に気づいて振り返り見ると、都市の上空で煙が渦を巻き始めていた。
――――――いけない。火炎の熱が気流を急激に上昇させて竜巻を作り始めているのかもしれない。そう思ったが、少年に止める術はなかった。
煙は黒い蛇のようにとぐろを巻き、やがて集束して下降してくる。1本ではない。そこら中で竜巻が発生している。1つ目が街の屋根に達した。
するとどうだろう。飛び回っていた鳥達が風をおそれて、注意を向ける先を地上から竜巻へと変えた。
間に合わず風に弄られて彼方にまで飛ばされてしまう者あり、逃げても風の強さに負けて街に落下する者ありと、鳥の軍勢の形勢が変わる。いやはや、鳥というのはこんなにも風の影響を受け易いのかと誰もが驚いた。
地に落ちた鳥は、鳥人のように特別な手足を持たぬ者は次々と兵士達の標的にされ、都を守ろうと必死の刃にかかって羽毛に覆われた体を刺し貫かれた。
竜巻が発生する時の風の流れと違い、街を覆う空気の流れそのものが滅茶苦茶にうねっており、上昇気流よりも、外に弾かれる突風や、押しつけられるように吹き降ろしてくる風ばかりが逆巻いて鳥達は戸惑った。
風の強さが炎を広げる助けにもなってしまっているが、石造りの都だから逃げ場がなくなるほどではないし、鳥達にやられるよりはマシである。
袋小路に追い込まれていた人々は上空で起きていることを呆然と眺め、火の気配を感じてからようやく我に返って街の外へと逃げ出した。