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Sonja〜ソニア〜  作者: 中島Vivie
第10章
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第3部10章『雪原の彼方に』10

 見る間に触手の動きは統制されてきて、やおら化物の本体が起き上がる。豪風が止んでいないので、少しだけ目を開けて獲物の姿を確かめた。恐怖と怒りが綯い交ぜになった唸り声を上げ、その元凶たる彼女を暗緑色の目で睨み付けた。

 また彼女の手は顔の前に翳されてしまい、どうにも魔法が使えない。いざとなったら自分も浴びる覚悟で魔法攻撃をしなければならないだろうとソニアは考え始めた。

 触手が喉を絞めつけ、息ができなくなる。可能な限り力での脱出を試みるが、蜘蛛に捕えられた餌食のようなこの状態では、どう足掻いてもまともな方法では埒があかなかった。

 ――――――その時、

「――――――フレア!!」

集束された質のいい火炎が化物本体目掛けて何処からともなく放たれ、見事巨大な目に命中した。化物は絶叫して身を仰け反らせ、触手の一部を引っ込めて目を覆い護ろうとする。煙の中で、ソニアは術者の姿を確かに目撃した。

「――――――ルビリウス?!」

小さなルビがそこにいて、杖もなしに素手で敵に向かって手を翳している。急いで駆け付けてきたようで、激しく息を切らせていた。

「――――――お姉ちゃん! みんな! 大丈夫?!」

触手の力が緩んだその隙にソニアは身を捩り少しずつ自由になって、絡め取られている剣を取り戻して斬って、斬って、斬りまくり、自由の身になった。

「――――――ルビ!! 下がって!! 来ちゃダメ!!」

まだ触手が蜘蛛の巣状に残っている空間ではすぐに彼の側に駆け付けることができず、ソニアが助ける間もなく怒りの触手でルビは捕えられ、軽く振り上げて石の床に叩き付けられてしまった。

「――――――ルビ!!」

ソニアは『アイアスの刃』で再度本体を攻撃しようとするが――――――

 化物は狡猾にも、捕えたルビを本体の前に翳して人質にし、身を守ろうとした。

言葉が喋れないのが不釣合いな程に知能が高い証しだ。

「こんな化物なんか……! こんな化物なんか……!」

ルビはクラクラとしている様子ながら必死で暴れてもがくが、到底脱出できる訳がない。

 熱攻撃には弱いのか、隙間から見える化物の火傷は剣のものより再生回復が遅く、目は灰色に濁ってジュワジュワと泡を吹いていた。だから視界はまだ戻っていないはずだ。

 急所を攻撃された怒りがビリビリと伝わってくる。ソニアは子供を盾に取られた憤りと闘争本能の高まりで目を吊り上げながら、化物から発される波の中に新たなイメージを見つけた。

 何処か薄暗い屋内空間で、この化物が複数の魔物達と居並んで統率者の言葉を受けている。化物自身はまだ小さな姿で、見上げるようにして統率者を拝んでいる。負けてなるものかという意気が、この集会風景を呼び起こしているのだろうか。その後ろに飾られた軍旗の紋章は――――――杯と心臓を手にする髑髏だ。

 ソニアはそのイメージに衝撃を受けつつ、意味を考えながら化物と向かい続けた。ルビを助ける方法を真っ先に考えなければならないのに、このイメージが与える恐ろしい可能性があまりに強烈なので、頭が混乱しかける。

 リヴェイラの示した紋章と同じ物……こいつはあの大隊の差し金なのか? 何故? この国を襲撃したのは違う大隊のはずなのに。

 問答できる相手なら問い質したいが、それはできそうにもない。ソニアは迷いを払うように頭を振って目の前にだけ集中し、風を強めていった。

 人間の誰より早く、この化物は風の操作者が彼女であることを見抜き、視力が回復しないうちにそれがまた強まったので威嚇の雄叫びを上げた。そして人質を掴む触手から電流を発し、ルビを感電させた。バチバチと青白い電光が閃き、弾ける。

「キャ――――――――――ッ」

「ルビ――――――――ッ!!」

ソニアは幼子に対する冷酷な攻撃を目の当たりにして怒りを突沸させ、体内で何かの栓が弾け飛んだように激しい憤りが噴出し、身体が熱線の如く燃えるのを感じた。

「――――――おのれ外道!!」

白熱する星が突き刺さるようにソニアは化物目掛けて飛び込み、手前で揺らめく幾多の触手も魔法で焼き、一気に懐深く入り込んで、ルビを捕えている触手を叩き斬った。命懸けで半狂乱の鉤爪が彼女を何度か切り裂くが、それには一切気を払わずルビを抱きかかえて、ソニアは後退しながら更に氷炎魔法を風に乗せて増幅させ、仲間に当たらぬ範囲のあらゆる触手と本体にぶつけた。

 ビヨルクの大雪原で逆巻く猛吹雪に匹敵する冷気が触手を凍りつかせ、本体の動きも鈍くなる。生木が焼ける音に似た悲鳴を化物は上げるが、それも徐々に弱まっていき、やがて止まった。

 屋内でこれ以上冷気を強めると人間に害が及ぶので、ソニアはそこで風を止め、腕に抱くルビの体に纏わりつく触手を引き剥がした。触手の痕に沿って火傷ができている。

ずっと様子を窺っていたソーマ達は、風が止むと驚愕して辺りを見回した。空間一杯に張り巡らされた触手が白く凍りついて、まるで冬の蜘蛛の巣にかかった気分だ。風の原因が一体何なのか、ただの低級魔法が何故こんなに強烈な威力を発揮したのかは全く解らず、ただただ、目の前の光景に呆然としている。

「――――――今の内に、凍った触手を壊して撤退を! ルビも連れていって下さい!」

動かねば事態が良くならないことは解っていて、ソニアの指示の後すぐに、ソーマとラスカ、エルマートが飛び出して触手の破壊を始めた。セザは王子に肩を貸して立ち上がる。王子は意識もハッキリとしてきて、自分でできると主張した。

 ソニアはラスカにルビを手渡して、一人本体に向かって行く。

「――――――ナルスさん!! あなたも撤退を!!」

「――――――今の内に方をつけます!!」

彼女の体は何故か発光しているように輝いて見え、皆が目を奪われた。確かに、今この化物にまともに相対しているのは彼女だけだから、倒すことができるのも彼女だけのように思われる。

 だが、誇り高き兵が女性を残して去れるはずもない。自分が生き延びることの重要さを知っている王子でさえも撤退を躊躇った。故国トライアでは誰もが彼女の力を知っていて、迷うこと無く全てを任せて引き下がるのだが、知らぬ者達のこの動揺が、ここでは足を引くこととなった。

 ソニアは刺客の時と同じ戦法をとって凍結後の破壊を狙っていた。触手は容易に叩き割れ、バラバラと欠片が落ちていく。この狭い空間で大技を振るうと仲間達に欠片が刺さる可能性があるので控え、本体に直接剣を振り下ろそうとする。

 しかし、力一杯に剣を本体に叩き付けると――――――それは砕けることなく、ただガラスを噛み合わせたような衝突音が響いて光が閃いた。

「――――――?!」

よく見れば、剣は本体の僅か上で止まってその下には達さず、見えない障壁が築かれているようだった。ソニアは震撼した。

 なんと高等な化物なのか! 呪文は唱えられずとも、それに匹敵する防御の技を持っているのだ! あの刺客が体内に流星魔術薬成分を持っていたように! 回復が見込めない窮地に入った際には、このように見えない障壁を発生させて自己防御を行うことができるのだ!

 ソニアは魔法の切れ時を待って、繰り返し攻撃を加えた。その全てが障壁に弾かれてしまう。そのうちに――――――

 突如本体は動き出し、表面に張り付いた氷を振り落としながら暗緑色の目を見開いた。魔法は確かに効いていたが、低温に強い雪猿を宿主としているだけに、火炎の傷よりはずっと立ち直りが早かったのだ。刺客との戦いで有効だった方法をつい用いたソニアだったが、今回ばかりはあまり役には立たなかったのである。

 新たに触手を伸ばして、化物はソニアに襲いかかった。今まで凍結していたとは思えない回復の早さだ。一体どうやってそれを可能にしているのか見当もつかないまま、彼女は剣で応戦する。

「――――――フレア!!」

火炎魔法ならばどうだと放つも、まだ障壁が生きているようで弾け飛んでしまった。魔法で発生させた障壁は、呼吸に必要な空気の流れや音の伝わりは残しつつ、魔法攻撃や物理的衝撃だけを遮断するようにできているらしい。弾けた火炎は壁にぶち当たり、そこで凍っていた触手を解かして焦がした。

 王子達がまだそこで破壊活動を行っているのにソニアは気づいた。ルビだけは連れ去ったようだが、戦える大人の男が皆残っている。

「――――――早く逃げて!!」

「――――――貴女を置いては行けませんよ! 出直した所で有利になるとも思えない! 貴女を援護します!」

王子達は果敢に凍れる触手を剣で叩き割り、粉々にしていった。

「――――――解ければまた全部融合します! 本体を倒さない限り! だから早く避難を! 魔法で焼きます!」

そう言ったが遅かった。回復した本体から次々と触手が生まれて伸びてくる。そして剣で防ごうとも、やがて手を捕われ足を捕われ、勇士達は再び虜囚となった。

 ソニアは鉤爪の傷を増やしながら本体に剣撃を繰り返し、障壁の有無を確かめた。まだ弾かれてしまう。風と火炎で皆を捕縛する触手を焼き、自由にしようと試みれば、今度は自分が捕まって動きを制約された。多少自由になっても、仲間達でさえ鉤爪に体を傷つけられて満足に動けなくなっていた。セザは膝を折り、ソーマは片腕の為に上体を支えられず倒れ込んでしまい、王子とエルマートは仰向けに転んでしまった。

 縛り上げ捕えるという戦法を変えて、化物は怒りのままに電気を帯びた鉤爪を振り回し、ソニアの大腿部を刺し貫いて、腕も傷つけた。

「――――――あぁぁぁぁぁぁっ!!」

電撃で体中が痺れ、手にした剣が青白くスパークする。

 血だらけの体でソーマは何とか立ち上がって足を引き摺りながら向かい、ソニアに刺さり電流を流している触手を片腕一本で掴んで、電撃の痛みに耐えながら一思いに歯で噛み千切った。衝撃でそのまま崩れ落ちる。ソニアの受けるダメージは少し弱まったものの、まだ一本刺さって電撃を続けていた。

 その時、再び幼い声が空間を響き渡った。

「――――――姉ちゃんを殺すな――――――っ!!」

一度連れ去られても自分の意志で引き返してきたルビリウスが、涙を流しながら叫んでいる。彼はもう二度と、自分に何もできぬままに大切な人を失いたくはないのだ。

 ルビリウスの掌から、炎が出現する前触れの陽炎と光が揺らめき立ち、彼がこれまでに経験したこともないレベルの魔法が発生し、火を吹いた。

「――――――ルフレイア!!」

炎熱が化物の触手と目を直撃し、みるみる焦がし溶かしていく。化物は身の毛もよだつ叫びを上げてのた打ち回った。ソニアの足を貫いていた触手も焼かれ、彼女は自由になる。

 ルビの成長ぶりに驚きながらも、ソニアは鉤爪が残って刺さったままの足で立ち上がり、止めの呪文を唱えた。もう化物には障壁がないのだ。

「――――――フレア!!」

彼女の風は遂に竜巻に変わり、その中で火炎は最上級のノヴァ・フレイア並みの威力を持って部屋中を熱した。ラスカもエルマートも王子も身を伏せ、ルビは彼女の側に寄って抱きついた。

 彼女の命ずるままに竜巻が化物を包むと、炎に呑まれて完全な火達磨と化した。化物は断末魔の絶叫を発し、さすがの再生体もこの炎熱地獄の中では回復が追いつかず、尽きぬ業火に焼け爛れ、ボロボロと崩れ落ちていった。

 ソニアは保てる限り風を持続させて化物を包む。どんなに暴れ動こうとも、竜巻は化物に取りついて離れなかった。もはや完全に目も見えず、少しの触手も動かせない。

化物は死を悟ったのか、今際の際、最後のイメージを発した。瀕死の体に反して、そのエネルギーはとても強かった。

 何処かの暗い一室で、何の恐れもなく主の命を受けて忠誠を誓う化物。先程の集会の光景とは全く別だ。部屋には化物と主しかいない。彼にだけ与えられた秘密の任務なのだ。化物は言い得ぬ誇らしさで胸を一杯にしている。

 祝福を与える主の胸には杯と心臓を手にする髑髏の紋章が着いている。……が、リヴェイラではない。同じように若い者だが、髪が長くないのだ。それに、紋章も少し違っていた。階級を示す標なのか、髑髏の額に赤い十字が刻まれているのだ。最後の最後、使命を全うできなかったことが悔やまれて主の姿を思い出したのだろうか。

 化物からはもはや何も聞こえず、全てが床に崩れて黒い灰の塊となって動かなくなった。もう、再生する気配は少しもなかった。ソニアは確信を得られるまで炎を止められなかったが、少しずつ風を弱めていき、安堵と共にやがて止めた。

「……終わった……」

床に寝転んだまま、溜め息混じりに王子がそう呟いた。皆もすぐには動けず、その場で暫し呆然と放心していた。

 ソニアは自分の足に刺さったままの鉤爪のことも忘れて、そこで立ち尽くし考え込んだ。

見たばかりのイメージは、どれも一瞬で断片的だったが、軍旗の紋章はリヴェイラのものと全く同じように思われた。彼は高い地位にいる人物だったが、特に階級を示すものは紋章内に施されていなかった。あったとしても、どこか他の部位に――――例えば腕章や肩章――――に記されているのだろう。だが……最後に見た人物には特別な標があった。きっと、リヴェイラ以上に特殊な地位にいる人物に違いない。

 まさか……あれが大隊長? 父かもしれない男? 年輩のはずだが、ヌスフェラートの長寿から考えれば、まだ見た目は壮年期なのかもしれない。

 それとも……或いは……ゲオルグの可能性も……? 礼儀上、主の顔を直接見ない風習があるようで、イメージの中では単なるシルエットしか見られなかったが、そう思えなくもなかった。

 ソニアはこの化物を差し向けた人物のことを考え、そのおぞましさに暫く心捕らわれて何もできなかった。

 ゲオルグであっても、彼の父であっても恐ろしいことだ。そうでなければいいと願うが、可能性は高い。この化物とあの刺客にはあまりにも共通点が多いのだ。やはり、あの刺客は魔導大隊が差し向けたのではないだろうか。

 信じたくないあまりに、彼女は自らの胸を掴んで祈った。この化物はビヨルク王を殺したのだ。どうか……そんなことがありませんように。

 ルビリウスが彼女の手を引いたので、ソニアはようやく自分の傷を思い出した。

「お姉ちゃん……大丈夫? 大丈夫?」

右大腿部に鉤爪がグッサリと刺さったままだ。だが、傍らにはまだ電撃のショックで倒れているソーマもいる。ソニアを助ける為に捨て身なまでの方法で飛び込み、頭部に直接電撃を食らったのでダメージが大きいのだ。

 ソニアは微笑んで見せ、ルビの頭をグシャグシャと撫で回した。

「全く……言うことを聞かずに部屋から飛び出して来たのね? 無茶をして……。でも、あなたのお蔭で助かったわ。ルビ、私は自分で直せるから、先にソーマさんを見てあげて」

ルビは誉められて嬉しそうに笑顔を見せ、コクンと頷いてソーマに声を掛けに行った。

 ソニアは鉤爪に手を掛けて歯を食い縛り、一気に引き抜いた。完全に貫いていたので、鉤爪が抜かれると更に出血が激しくなった。即座に彼女は治療呪文を施した。徐々に血が止まり、傷も塞がっていく。『ヒール』だけで癒すにはあまりに深い傷だったので時間がかかる。それに鎧と服の血糊と黒ずみまでは取れないし、欠けた部品や破れた布は元に戻らない。

 寄って来た王子達もその様を見て、酷い傷を負っていたことを改めて知らされる。腕の方もまだ未治療で血が滲んでいた。

 すると、早々とソーマの治療を終えたルビがまた彼女の所に戻って来た。彼は誰よりソニアの為に働きたいのだ。見る限りソーマも十分な様子ではなかったが、彼も彼で他の者を優先するよう命じていた。

 ルビはすぐに彼女の足に治療呪文をかけ始めた。ソニアは「自分のことはいい」と言うが、ルビもう言うことを聞かずに呪文をかけ続ける。見回しても特に応急処置が必要な者は見当たらなかったので、自分が治れば自分が彼等を治療できるから、まぁいいだろうと、ソニアもしたいようにさせた。

 やがて、ルビは手を止めこう言った。

「……お姉ちゃん、僕……できるかもしれない」

「えっ?」

ルビリウスは目を閉じて精神集中し、手をソニアの足に翳したまま静止した。そして、慎重に1つの呪文を唱えた。

「ジャヒール……」

『ヒール』よりも強く柔らかな白光が掌から放たれ、ソニアの腕に浸透していき、急速に傷口を癒し塞いでいった。その場で見守る誰もが驚き、言葉を失う。ヒールを蝋燭の炎に例えるなら、ジャヒールは松明の炎並みだ。見た目も効き目も格段に違う。

 腕も足も血が止まって完治すると、ルビは嬉しそうに立ち上がった。

「よし! できた! 」

自信と誇らしさで輝くような笑みを見せ、ルビはソニアの胸に飛び込み、ソニアも彼を受けとめた。

「できたでしょ? できたでしょ? すごいでしょ?お姉ちゃん!」

「本当に凄いわ! 素晴らしいわ! よくできたわね! ルビ!」

この幼い少年は、この日の内に2つの基礎呪文を上級に高めることができたのである。『ルフレイア』も、洞窟と雪原の旅では一度だって使えたことがなかった。

 ソニアも皆も驚嘆の声を上げて、小さな魔術師を褒め称えた。

「さぁルビ、他の人達にも『ジャヒール』を試してごらんなさい」

「うん!」

興奮気味の少年は意気揚々と他の仲間達にそれを試した。まぐれではなく本当にもう一度『ジャヒール』が発生し、ソーマに残っていた火傷や切り傷はきれいに治癒していった。それを見て体感する内に、あの時言い合いにはなったものの、結局この子を連れて来て良かったとソーマは改めて思い、満足したのだった。この子は必ず、国の未来を担うエリートとなるだろう。

 その頃、階段入り口に待機していた兵士も、ルビが勝手に飛び出して行った後を追い駆けて来た他の兵士達と一緒に到着し、現場の惨憺たる有り様に驚いた。しかし、もう戦いは終わっている。それを見て取ると、彼等はホッと胸を撫で下ろして皆に手を貸した。

「ご無事で何よりです! 王子!」

「団長もご無事で良かった……!」

「ハハハ、……ナルスさんとルビのお蔭さ。2人がいなかったら、今頃全員死んでいたかもしれん」

焼け焦げた床や壁、血糊の飛び散り様に戦いの激しさを読み取って、いかに危険な戦闘が繰り広げられたかを悟った彼等は背筋を振るわせた。

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