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Sonja〜ソニア〜  作者: 中島Vivie
第31章
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第4部31章『堕天使』49

人間の姿を取っていた者が見る見るマキシマに変貌いていく様を目におさめると、ヴォルトはすかさず攻撃に出た。様子を見ようという意思はまるで感じられない。報復の欲望だけで満ち満ちているのだ。

 ヴォルトの戦い方は武器を使わない。ヴィヒレアのように飾り物の武器すら携帯しておらず、いきなりの肉弾戦だ。マキシマも同じであるから、辺りには重い衝突音が鳴り響いた。ヴィヒレアの虫族としての時間感覚、素早さ、そしてルークスから取り込んだ特殊能力を合わせて、かなりの高速移動ができるマキシマであったが、ヴォルトもまた、それら全てを備えていて、それを更に超えている者なので、彼は攻撃を避けるのが精いっぱいだった。それでも度々パンチを食らってしまうものだから、落下して家屋が大砲を受けたかのように破損していく。正気である人間達は町を離れようとしているから、その辺りにいるのは人形のような人間達と魔物達ばかりだ。マキシマとヴォルトの戦闘が始まったせいで、皇帝軍の襲撃だと人々は信じて疑わないから城下町はパニックだ。

 ヴォルトの攻撃を受けても虫族の外骨格は硬いから、マキシマに致命的なダメージを与えることは難しく、町の方ばかりが被害を受けていく。

 そしてヴォルトが際どい攻撃を休みなく繰り出してくるので、無意識のうちにマキシマは何度も竜時間(ディナソル)を発生させた。ルークスとの戦いでは本人に自覚がなかったのだが、何度も繰返し発生するうちに、マキシマ本人も外界で起きている変化に気づくようになった。野菜の魔物達や人間が止まったように見える。これが竜時間というものなのかと彼は驚いた。

 そしてヴォルトもまた、やはりルークスの才能をこのマキシマが盗み取ったのだということを目の当たりにして、更に怒りがこみ上げてきた。止まった世界の中でもヴォルトは動けるから、戦闘の役には立たず、マキシマは防御に徹した。

 どう考えても持てるものの総合的優劣の差でヴォルトの方が勝っているから、ここはやはりマキシマのマキシマたる性質に頼るしかないと彼は思った。肉弾戦だから容易にヴォルトの体細胞を取り込めるであろう。この身体にヴォルトの能力もプラスして迎え撃つのだ。竜人の、しかも天使の肉体的性質を取り込むのは初めてであるから、このような場にありながらマキシマは興奮を覚えた。取り込んだ結果の差が、この決闘の勝敗を決するだろう。

 ルークスの時は大量殺傷用の武器を使って四方八方に細長い針を飛ばし、出血させてそれを頂いた。今度はどうやって竜人の体、或いは血を自分のものと触れ合わせようか、マキシマはそれを考えながら攻撃の組み立てを決めて行った。

 対峙しながら、攻撃の合間合間にヴォルトが言う。

「……あんたは根っからの戦士ではない。全く訓練されておらぬな。本業は何だ? 魔術師か? 科学者か?」

「……答えられることは何もない」

また強烈な体当たりを食らって、マキシマは人家数軒を薙ぎ倒す弾丸となる。一方的に暴力を受けて尋問されているような状況だ。体が頑丈であるからダメージは大きくないが、ゼロでもないから長期化して幾つも喰らいたくはなかった。

 すると今度はヴォルトが魔法を仕掛けてきた。マキシマの魔法耐性や知識の程を探ってやろうというのだ。素早く繰り出してきたので、それが何の魔法かすぐには判別できなかったマキシマは、とにかく球状に発生した魔法陣から逃れようとした。飛んできたそれは地面に着弾すると爆発的に大きく膨らんで紫色に光り輝いた。質のいい魔法陣が敷かれた時に生ずる独特の和音が辺りにコォーーーンと響く。マキシマはその中に取り込まれずに済んだ。が、ヴォルトは同じものを立て続けに幾つも繰り出してマキシマを追撃した。

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