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Sonja〜ソニア〜  作者: 中島Vivie
第31章
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第4部31章『堕天使』35

「エルフ4族は、部族によってそれぞれかなり違いがあってな、姿形や性格がハッキリ分かれているんだ。あのヴァリーは、ダーク・エルフ族といって、あのようにくすんだ青い肌色と真っ赤な髪をしている種族の1人だ。かなり好戦的な一族でね。皆が皆ではないが……オレ達ハイ・エルフ族と比べれば、かなり喧嘩っ早い。彼女を見れば解るだろう? これまで何度、彼女に“そんなにカッカするな”とか“落ち着け”と言ったか知れないよ。まぁ……それはいいとして、彼女達は地下世界アールヴ・ガードの辺境にある、ブルアーヴァーという大森林の中に都市を築いて住んでいる。彼女はそこの長の孫娘で、言ってみれば君と同じような立場なんだが、順当にいけば、やがてはダーク・エルフの長になる人物だ」

彼が言うことをイメージしようと思い描きながら、ソニアは黙って話を聞いた。先日ヴァリアルドルマンダもサラリと説明してくれたが、すぐに理解できるほど丁寧な説明ではなかったし、今の方が詳しく語られている。

 それに細かい質問を挟む気がそもそもなかったので、話を聞くことに集中するだけで一杯だということもあった。

「もう1つはワー・エルフ族といって、地下世界の更に地下に住んでいる一族だ。もしかすると、こいつらが一番人間に近い姿をしてるかもしれない。褐色の肌と濃い色で縮れた頭髪が特徴的なんだ。耳を隠せばおそらく判らないだろう。こいつらはダーク・エルフ族よりも更に好戦的だ。性格的には殆どドワーフと同じと言っていいだろう。……と言っても、ドワーフ自体をあまり知らないかな? ドワーフはワー・エルフと同じように地下の地下に住む小人族で、生まれながらの戦士であり、鋼鉄職人だ。エリア・ベルでもマナージュの番人に会ったかもしれないが、あいつらはまたちょっと特別なんで、性格的なものはあまり参考にしない方がいいかもしれん。ともかく、そういうワー・エルフという者達がいて、ドワーフと同じ国に住んでいる、奴等の国を通る時は慎重にしていないと何が起こるか判らない」

マナージュで木の実を投げつけて笑っていた髭モジャの小男ガロンや、その他のドワーフ達の姿を思い出した。ハイ・エルフ達の腰にやっと背が届くという程度の小人だった。確かに彼等の印象は“陽気だ”というだけで、喧嘩っ早そうなイメージは特になかった。

「あと1つは、エイシェント・エルフ族という、エルフの原種に最も近いとされている太古のエルフだ。ダーク・エルフの都市ブルアーヴァーとは全く正反対の辺境にある山岳地帯にひっそりと住んでいる。大人しくて戦いを好まない性質なんだが……“暗い”と言った方が合ってるかな。エルフの中では背が低い方で、真っ黒い肌に、真っ白いフサフサとした髪を持っている。竜王国に一番近い所に住んでいるから、彼等との親交も強い。竜王国というのは……その名の通り、竜や竜人達が住んでいる王国のことだ。竜人っていうのは……解るか?」

ソニアはそれにだけは頷いた。それ以外のことはぼんやりと思い浮かべるしかなかった。だが、どうしてか竜王国を一度見たことがあるような気がした。何故かは解らなかった。

「そして……オレ達ハイ・エルフ族で4つというわけだ。ハイ・エルフだけが地上世界(アルス・ガード)に住み、あの村でマナージュの番をしている。太陽の光を浴びて育つあの樹だけが、神聖な力を得ているから、それを守ることはとても大切なんだよ。木の根は地下世界にも達していて、そこにも恩恵を与えている。地下にも根の番人がいて、それはドワーフが見守っているんだ。でも、地上に出ている幹から上の部分を見守ることが何より重要なんだ。樹の上に、とても大切なものがあるからね。地上に来ている特別なドワーフは、マナージュに住んでそれを守る役目を果たしている、選ばれた特別な者達なんだよ」

ソニアは相槌を打たず、ただぼんやりと聞いているのだが、セルツァは度々彼女が話についてこれているか、顔を覗き込んで確かめてから先を続けた。そして、いつ番兵が来るとも知れないので、話をどんどん先に進めた。

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