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歌ってくれますか?

教室へ参りましたら、見慣れないわたくしが入ってきてザワザワと騒がしくなりました。


そこへ・・・「アンリ嬢。」

「え?」

小首を傾げて見ると、お顔が真っ赤なレンゾ様が立っていました。

「その装い、とても素敵ですね。いつもの貴方と違いますがとてもよく似合っています。」

「まぁ、ありがとう存じます。褒められてとっても嬉しいですわ。」

黒い扇で半分顔を隠しながら、微笑みました。 「あ、あの、よろしければ授業の後にお時間頂けませんか。お茶でも。」

「まぁ、レンゾ様。お誘いいただきありがとうございます。えぇ、是非喜んで。」

「や、やった。では、後程またお誘いしますね。」

パタパタと可愛く小走りで去って行かれて、わたくしもなんだかお顔が赤くなっている気がします。

照れって伝染しますのかしら・・・。

周りの方もなんだかお顔が緩んでおりますわ。 レンゾ様はふわっとした髪質で短めの茶色の髪に焦げ茶色の目の男性で可愛らしいお顔をされています。

お話できるのが、楽しみですわ。




授業の後、席で教科書の片づけをしながらほっと溜息をしたところに目の前に男性が現れました。 お迎えかしらと顔を上げると、サラサラの銀色の髪で輝くような美貌のラルフ様が立っていました。

「ん?」

あんまりお話ししたことがありませんし、ほぼ用事がなさそうですが・・・。髪のサラサラ自慢? 「アンリ嬢、この後お時間はありませんか?」 「申し訳ありません・・・。お約束がございますの。(な、何かしら?)」

「そうですか、麗しい貴女と過ごしたいと思ったのですが。」

小声で囁くように言われて胸が苦しくなりました。

「あ、やっぱりお顔が好みですわ。」

ラルフ様が、「嬉しいですね。」と少し微笑まれて美貌が増しました。

(また、声に出してしまいました。)

「歌は歌えますか?歌ってほしいです。」

「歌ですか?劇のような?」

(やばいですわ、飲み込まれてしまうのではないかしら。前世のアイドル的な方ですもの。ファンサ用の団扇がいりますわね。手を振って~みたいなキラキラのやつ)

現実逃避的な思考回路で止まったままのわたくしでしたが、そこにレンゾ様が現れて

「アンリ嬢、お迎えに来ましたよ。」 と近づいて来られました。

あまりない組み合わせをみて、レンゾ様が固まっておられました。

ラルフ様は「麗しいアンリ嬢をお茶に誘いたかったのですが、遅かったようですね。また別の日にお誘いします。」と去って行かれました。 (あ、あれ。歌ってくれる話はどこにいったの?メンバー集めてくれば歌ってくれるんだっけ?でも、実はロックな恰好をしてほしいのです。) レンゾ様は、ラルフ様を眺めていましたが「アンリ嬢、支度はできてますか。行きましょうか。」 と微笑まれてそれにぼーっとした頭でついて行きました。

「お姉さまに・・・お姉さまに・・・」

レンゾ様が侍女を用意してくださり、馬車に一緒に乗りました。 王都で人気のカフェに連れて行ってくださるそうです。あまり貴族の令嬢はあちらこちらに移動できないのでお勧めを教えてくれるのはとても嬉しいことです。


「あ、お姉さまに用事ができたことをお伝えしておりませんでしたわ。」 とつぶやくと、

レンゾ様が「アンリ嬢が気にされていたので、シルベーヌ様には馬車の処で侍女よりお伝えしましたよ。」

「まぁ、お気遣いありがとうございます。助かりましたわ。」 カフェについてメニュー表を見ます。紅茶とケーキを注文しました。ケーキはチョコレートケーキです^^

レンゾ様はショートケーキと紅茶を頼まれました。そちらも美味しそうですね。

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