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ラルフ様と

次の日、授業の準備をしているとまた目の前に人の気配を感じましたので、顔を上げるとまたまたラルフ様がおられました。


「アンリ嬢。昨日は残念でした。よろしければ学園でお昼をご一緒しませんか。」

囁くような声で 「え?お昼をご一緒ですの。」

(そのようなことをしたらまわりの方たちに、お付き合いをはじめたと思われるのではないですか?)


そんな思惑を顔にのせて返します。 「えぇ、お昼をです。」

ラルフ様は無駄にキラキラしたお顔で微笑みを返されました。

(お昼だから大丈夫だろうってことですか?)


今まで数々の令息をまわりに寄せてたこともありましたので、構いませんがよろしいのかしら?

「構いませんけども。」

「ではサロンを予約しますので、後程お迎えに来ますね。」


こんなに朝早くから動くなんて仕事ができる男って感じがしますわね。

授業に集中できそうもありません。髪が長くてサラサラしていてお顔も綺麗ですわね~。横に並ぶのが嫌になるくらい。ですがキラキラしたものが好きなわたくしは授業中ずっと妄想の中におりました。

善は急げではありませんが、妄想はできるだけ早く浸るに限ります。

授業に関しては・・・自宅での復習が必要です。 その様な感じで授業を終えましたら、ラルフ様がお迎えに来てくれました。

サロンに到着して席につきました。 「レディ扱いして頂き光栄ですわ。」 そういって微笑みましたら、

「逃げられたくありませんからね。」 「え?わたくし何かしましたかしら?」

なんだかドキドキしてしまいますね。 ラルフ様は目を猫のように細めて 「最近貴女が気になってしまうのです。あのブローチを頂いた日・・・いえもう少し前からだったのかもしれない。 貴女を探してしまいます。 責任を取って頂かねば。」

(対面席は荷がおも~ぃ。キラキラ眩しい~)

「それはわたくしの責任ですの?ブローチは返していただきましょうか。」 精一杯の返しでフーっと猫のような気持ちでお返事致しました。

「それは困りますね。貴女の許可が下りたら私はこれを胸につけようと思っているのに。」

(あの時はよい案だと思いましたし、何かのきっかけで殿下の目に留まったらいいなと思ったのですが思いもよらないブーメランがわたくしに向かってきています。)

学園のランチが届き、お話が途切れました。ドキドキさせる天才ですね。 顔が真っ赤になっているのではないかしら。落ち着くために食事に集中することにしました。

「アンリ嬢、デザートは足りましたか?」

「えぇ、とてもおいしかったですわ。ご馳走様でした。」

「紅茶をもう一度もらいましょうか。」

リザーブの方が退出なされて、それが合図になったのでしょうか。

またお話しが始まりました。


「率直に言いましょう。私は貴女に惹かれています。結婚を申し込みたいと思っております。

私は将来、宰相職につきますので、伴侶に頭が良く次世代を担う子が設けられる女性が好ましいのです。 もちろん一門の中で頭脳のよい子どもを宰相に選ぶこともあります。

全てを受け入れてほしいとお願いしなければならない。」

「まぁ、そんな風に思ってくださり嬉しく思います。わたくしも率直に申し上げます。 わたくしはわたくしだけを見てくださる方と縁を結びたいのです。ラルフ様と縁を結びました後を考えましたら不安ですわ。」

はっきり目を見ながらお話します。

わたくしにとって引き下がれない線なのです。前世で確かに一夫多妻制がいいなと思うことがありましたが、それはワンオペ体制があったから。この世界はベビーシッターがつくことが多く周りに手助けしてくれる人がいれば子育てもより良いものになる。 一人を巡る愛は神経をすり減らしそうだわ。やっぱりわたくしだけを見てくださる方を探したい!)

「アンリ嬢、すまない。それはもしかしたら・・・反故することもあるかもしれない。宰相職の一家だから、どうしても優秀な子が生まれることを最優先し、第二夫人も娶る場合もあるだろう。 もしかしたら、一門の中に優秀な子がいたならば宰相職を引き継ぐこともある。」


苦しそうな顔で俯くラルフ様。


「わたくしの話を聞いて下さり、誠実に返事をくださってありがとうございます。わたくしは自分の子がその役職を継げなかったとしても何も申しません。しかし、第二夫人と夫を共有することが耐えられないのでございます。」


「そうか。すまない。」


(いつも気障な雰囲気のラルフ様ですが、今日はいつもと全然違っていました。きっと緊張しながらこのお話をしてくださったのだと思います。

婚約の話を家にする前にわたくしに声をかけてくださったことは誠実だと感じました。 もしかしたら一緒に未来を生きることもあったのかもしれないと思うと胸が締め付けられる気持ちです。そんなことは申せませんが、このまま退出しましょう。)


「婚約のお話を直接わたくしにして頂き良かったです。

わたくしは貴族令嬢。国の為にこの身を捧げなければならないことも分かっております。

申し訳ございませんがラルフ様の幸せをお祈り申し上げます。」

(少し皮肉を交えてしまったかしら。わたくしの精いっぱいのお答えでした。)

カーテシーをした後、その場を退出しました。



帰りの馬車の中でお姉さまと顔を合わせながらぽつりぽつりとお話ししました。

「お姉さま、今日ラルフ様に婚約のお申し出の前のお話を頂きました。」 「まぁ、アンリ。ラルフ様からですの。よい方ですよ。でも貴女は落ち込んだ顔ですね。」


お姉さまから見て、わたくしの顔はひどいものでしょうか。

「淑女は顔に出してはいけないのですよね。お姉さまと二人の時はお許しください。」

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