第五話 不安
ローズベル城下町の東に存在する、居住区へ向かう。
距離が離れている為、大聖堂近くには馬車乗り場がある為、いつも利用している。
「東の、居住区の方へ向かいたいのですが」
「はい、かしこまりました。どうぞ、お乗りください」
「ありがとうございます。」
今日は利用者が少なく、すぐ利用することができた。
これなら速めに到着するであろう。
.....馬車に乗っている最中、私は今日の出来事を思いふけっていた。
-----はい.....できました..........いえ、そのようなことは...........見せしめにしました........バレてはいません.........分かりました、ではこれで------
あの不審者が誰と会話していたのか。
言ってた言葉、見せしめ....どう想像しても、良い意味にはならない。
不安.....だな。
毎日が平穏であったからこそ、恐怖心が簡単に侵食していく。
本当に、臆病だな私、一度死んでいるのに。
色々考えては不安になり、モヤモヤが募っていく中、あっという間に馬車が居住区へ到着した。
近くにある時計を確認すると、意外と時間は経っていたようで30分程度時刻が進んでいた。
考え事をしている時って、時間が経つのが速い。
「ありがとうございました。この辺りで降ろしていただいて大丈夫です」
「かしこまりました、それじゃあ30Gですね」
「はい、どうぞ、確認ください」
「丁度頂戴しますね、ありがとうございました。またご利用ください、忘れ物もないようにね。」
「はい、ありがとうございます。頑張ってくださいね」
「ああ、頑張るよ。ありがとうね。」
そう言うと御者さんは笑顔で頭を下げ、来た道をそのまま戻っていくのであった。
平和なやり取りに少し救われる。
おセンチな気分にになってないで、私もいつも通りに頑張ろう。