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第68話

 所変わってゴルダラ大陸、凜々花達の居る場所からほとんど真反対にある場所。

 凜々花とベイタの二人がタルーティア王国首都であるメンシュシュに到着した約一日後に、ダイガント、ミニッツ、ヒストリアの三人もダムニスモ連邦国首都ボスティオに到着した。


 メンシュシュでは見せしめのように獣人の首が吊されていたが、ボスティオでもまた、中央の広場に人間の首が据え置かれていた。


 元々は亜人排斥主義を掲げるタルーティア王国に対する防衛のために始まった戦争で、獣人達に特別、ヒト種を毛嫌いするような理由は無かった。しかし長年に渡って戦争を続けていれば悪感情も澱のように溜まり、さらし首に唾吐く者こそ居ないものの、侮蔑の視線は多く向けられていた。


 そして、そんな者達に向けて侮蔑の視線を向ける女性が一人。


「まったく……胸くそ悪い光景ね」

「落ち着け」

「ヒストリアがそんなこと言うなんてめずらしいね」


 たった今到着し、やっと肩の力を抜けると思った矢先の光景に、ヒストリアは嫌悪感を隠そうともしない。

 ここで一悶着を起こすのが目的でない以上、ダイガントも宥め役に回るが、この光景を見たら凜々花が驚くであろうことは間違いない。


 とは言え宥めるダイガントも、興味無さげにしているミニッツも、本心はヒストリアと同じである。普段、凜々花という異世界人だがヒト種と変わらぬ少女と付き合い、かつての仲間にもヒト種の者は居た。目の前に広がる光景は凜々花に加えてかつての仲間までも侮辱されるような光景であるのだ。

 そうでなくとも、この光景を見てなにも感じない者はどこかおかしい。


「とりあえず飯にしようぜ。冒険者ギルドなら飯もダンジョンの情報も得られるだろ」

「なーんか、ダンジョンの中の方が気も休まるんじゃないかと思うわね」

「その気持ちもわからなくもないよ」


 そんな愚痴を吐きながら三人は冒険者ギルドへ向かう。

 広場の向こう側にあり、さらし首の前を通らねばならなかったのはちょっとした不幸か。

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