プロローグ
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ご了承下さい。
15年くらい前にロボット人間の映画を観た。
受験生でストレスが溜まりに溜まっていた私は塾を辞めたいと親に伝えた。
もちろん怒られると思ったし、予想通り怒ってきたがそれは母だけだった。父は怒らなかった。
「辞めるのはダメだよ。その代わり1日だけサボって良いよ。」
そうして父は次の日、キラキラした夜の街に私を連れ出し、手を引いて映画館へと向かった。
あんなに積極的な父は見たことがなかったから驚いた。
映画館に入ると、新品のソファのような匂いがした。チケットを買い終わり劇場に向かう途中所々にポップコーンが落ちていた。
その時に観た映画はロボット人間を題材にしたものだった。
ポスターは夕焼けを見ながら並んで座っている2人のシルエットという、ありがちな構図だった。
なぜ父がその映画を選んだのかはわからないけれど凄く面白かったし、結構考えさせられる内容だった。気がする。
それから何ヶ月か経って無事第一志望の高校に合格した。
あの時父が1日だけサボりを許可してくれたお陰かはわからない。
けれど今でも、夜の都会の中を歩いているとその映画のことを思い出す。