クエスト前
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よろしくお願いします。
3/8修正しました。
俺達は宿に戻り、もう1日分だけの宿泊費を払い、2日後に街を出ることをミミちゃんに伝えた。
「えっ!ツキヒトさん達、この街を出て行くんですか!?」
「うん、とりあえず王都に行こうかと思って」
「そうですか……」
悲しそうに俯くミミちゃん。
この短期間で随分と懐かれたものだ。
スキルのせいだろうか?それとも、元々こういう子なのだろうか?
「まぁ、ここは野菜が美味しいし、たまに戻ってくるつもりだよ」
「本当ですか!?」
一転して笑顔になるミミちゃん
「ふふ、ミミ様はご主人様のことがお好きなのですね」
アリスが俺とミミちゃんとのやり取りを見て、楽しそうにいう。
「はい!ツキヒトさんは、とても優しいです!奴隷のアリスさんにも優しいですし!
部屋も綺麗に使ってくれてますし!」
「ん?他の客はそうじゃないってこと?」
ちなみに、部屋も綺麗っというところは、思わずドキッっとした。
昨晩は、シーツが大変なことになってしまったからな。
浄化魔法が無ければやばいところだった。
「そうですね……。ここは、冒険者ギルドで紹介される宿なので、冒険者の方が多いのですが。
たまに、粗野で粗暴、部屋もあまり綺麗に使ってくれないこともありまして……それに、奴隷に
ひどいことをすることもあるので……」
優しい人もいるんですけどね、っと、悲しげな笑顔をするミミちゃん。
正直、まだこの世界の冒険者のことはよく分からないから、そういうやつもいるんだな~としか、
思わないが、ミミちゃんはこの年で、そんなのばかり見てきたんだと思うと同情してしまう。
「……あっ」
俺は、ミミちゃんの頭を撫でる。
「まぁ、俺が優しいかどうかは分からないけど、ミミちゃんが悲しくなるようなことはしないように、気をつけるよ」
ミミちゃんが呆けた顔で俺の顔を見て、満面の笑顔を浮かべた。
「はい!」
「ご主人様は本当にお優しい方ですね」
部屋に戻るなりアリスが言ってきた。
「そうか?」
「そうです」
即答するアリス
正直俺は自分が優しいとは思えない。
前の世界では、ぶっきらぼうだけど優しい、などと言われたこともあるが、
ぶっきらぼうな時点で優しくないんじゃないか?
そもそも俺は……
「ご主人様?」
アリスが顔を覗き込んでくる。
アリスは俺より身長が低いので、当然覗き込むように見られると、上目遣いになってしまう。
「んっ!ん……」
思わず抱きしめてキスをしてしまった。
「……ふぅ、アリスは本当に可愛いな」
「……ありがとうございます」
一々顔を赤くして照れるアリスが可愛い。
その調子でアリスといちゃついていると
「ツキヒトさん!ご飯できましたよー!」
ミミちゃんが呼びに来たので、食事に向かった。
食事を終えると、ある意味一番楽しみにしていたことをしにいく。
え?どうせエロイことだって?
違う違う、日本人ならほとんどの人が好きなことだよ。
「あぁ~、いきかえるぅ~」
そう、俺は今、風呂に入っている。
いくら浄化魔法があるとはいえ、4日も風呂に入っていないとなると、
身体は綺麗でも、心が汚いと叫びまくっていた。
「銭湯があると知っていたら、ここに来た日に来てたのに……」
ちなみに、中は日本の銭湯とあまり変わりがない。
シャワーもあったが、これは昔のシャワーみたいな簡素なものだった。
あと、銭湯は全種族が入れるのだが、獣人だけ、専用の風呂があった。
なんでも抜け毛のせいらしい。
入浴料は大人350リアとリーズナブル、あとで知った話だが、銭湯は魔石と湯を沸かす魔道具を
使っているのだが、定期的に銭湯の主人である魔法使いが、水と火魔法で湯を沸かしているので、
かなりコストを下げているらしい。
魔法便利すぎ。
あ、シャンプーやリンスーは無かったが、石鹸はあった。
だが1個1000リアとかなり高額だ、まぁ当然買ったがね。
普通の人は使わないらしいが、身体や髪を洗う習慣がある日本人の俺は、
例え財布が厳しくても迷わず購入した。
たっぷりと4日ぶりの風呂を堪能したあと、俺はアリスと合流して、
予め冷やして置いた水を二人で飲んでから、宿に戻った。
なぜ牛乳でないかというと、俺が牛乳が嫌いだからだ。
宿に戻って、約束通り、アリスに膝枕をして貰う。
アリスが楽しそうに俺の頭を撫でているのを楽しみながら、
アリスのステータスを見てみる。
ステータス
【 名 前 】 アリス
【 年 齢 】 15
【 種 族 】 人間
【 職 業 】 ツキヒト・アキヤマの奴隷
【 レベル 】 2
【 体 力 】 70
【 魔 力 】 480
【 攻撃力 】 35
【 防御力 】 25
【 俊敏性 】 34
【 魔 攻 】 130
【 魔 防 】 110
【 スキル 】 火魔法 水魔法 風魔法 土魔法 光魔法 回復魔法 生活魔法
魔力強化lv1 魔力回復力強化lv1 魔力吸収lv1 魅了lv3 アイテムボックス
「うお!」
思わず声が出てしまった。
「どうかしましたか!?もしかして、撫で方が悪かったのですか!?」
慌てるアリスが俺の顔を見ようとするが、膝枕されている状態で、そんなことをされたら、
俺の顔がアリスの大きな胸に埋まってしまう。
「むが!んー!んー!!」
口と鼻を完全に塞がれてしまい、パニッくってしまう。
「す、すみません!」
アリスが慌てて引く
「はぁー!はぁー!し、死ぬかと思った……」
身体を起こし、必死に空気を求める。
「ほ、本当に申し訳ございません、ご主人様」
謝罪するアリス
「いや、別に気にしてないよ。それに、膝枕されてる時に美少女の大きな胸で顔が埋まって
窒息しそうになる、なんて、一度は夢に見たシチュエーションだし、むしろ夢を叶えてくれてありがとうだよ」
うん、漫画とかで見たことあるけど、実際なると幸せだが、地獄だった。
「そうなのですか?その、ご主人様が望まれるのでしたら、私が出来ることならご主人様の夢を
叶えさせてもらいます」
……。
「えっと、その時はお願いするよ」
とりあえず、また膝枕をして貰い、先ほどの事を考える。
アリスのレベルが上がっていたのは、恐らく一緒に狩りをしたからだろう。
アリス自身は、敵を一度も攻撃していないのに、レベルが上がっているのは、
俺と一緒にいたからか?
まぁ、フィリアと連絡が取れたときにでも聞くか。
それにしても、俺が魔法の特訓をしている時に、アリスにも教えながら魔法を練習させていたのだが、まさか魔力セットを習得していることに驚いた。
もしかして、途中にアリスの魔力が無くなりそうになったときに、俺の魔力吸収で他の人に
魔力が分けられないかと試し、魔力を分けることが出来たのだが、あれが原因なのか?
だとしたら、コレを使えば誰にでも魔力セットをつけれるのか……。
これがあれば、戦力の強化ができるな。
とりえあず、定期的にアリスには魔力を分けるか。
そんなことを考えていたら、いい時間になったので、昨日が初めてだったし、
今日はせずに寝るかと思っていたら……
「ご主人様、今日も、ご主人様のお情けが欲しいです……」
とか言われたら、もういくしかないだろ。
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昨晩はお楽しみでした。
気持の良い気だるさの中、目を覚ます。
外は明るくなりだしたころ、隣に寝ているアリスを起こさないようにベットから出る。
浄化魔法を掛けてから服を着て、1階に降りる。
1階に行くと、すでにミミちゃんが起きていた。
「おはようミミちゃん」
「おはようございます、ツキヒトさん」
さすがに早朝の為か、ミミちゃんが声を小さくして言う。
「丁度今から呼びに行こうと思ったのですが、早起きなんですね」
「まぁ、慣れてるしね」
ちなみに、慣れているのは職業柄ではなく、ゲームの更新時間の為です。
そのまま、二人で厨房に入る。
昨日の夜に、予めミミちゃんに厨房を貸してもらえないかとお願いしたのだ。
どうやら、300リアで厨房の貸し出しをしているみたいだ。
しかし、宿泊客の料理を用意する、朝の今の時間などは、本来は駄目なのだが、
準備を手伝うという約束で、使用許可を貰った。
「おはようございます」
「おはようございます、今日は厨房を貸してもらい有難うございます」
厨房に行くと、ミミちゃんのお母さんがすでに準備を始めていた。
普段はミミちゃんとばかり話しているが、当然ミミちゃんのご両親もいる。
普段はミミちゃんとお母さんが接客しているが、ガラの悪い客には、体格の良い
元冒険者のお父さんが相手をするらしい。
先に下ごしらえをするために、まな板に浄化魔法を掛け、上にアイテムボックスから出した
鳥胸肉を出すと、ミミちゃんとお母さんが驚く。
「ツキヒトさんて、やっぱり魔法使いだったんですね!」
「やっぱり?」
「はい、カンテラやお湯を貰わない方は、魔法使いが多いですから」
なるほど。
ミミちゃんから色々と質問をされながら、作業を進める。
既に胸肉は開いてあるので、残っている骨や、無駄な脂肪、筋などを取って掃除する。
その後、常温にするためにしばらく置いておく。
その間に新玉ねぎを1mm厚にスライスして、魔法で作った冷水にさらして置く。
長時間水にさらすと、辛味は取れるが、栄養素も流れてしまうので注意。
「ツキヒトさんてお料理上手なんですね!」
俺の手つきにミミちゃんが食いつく。
「ん、まぁ元料理人だし」
「料理人なんですか!?なんで冒険者なんかしてるんですか?」
さすがに今の発言には、お母さんがミミちゃんを叱る。
怒られてしゅんとするミミちゃん。
俺は苦笑しながら、トマトを冷水にさらす。
「うーん、成り行きかな?お金を稼ぐには冒険者ってイメージもあったし」
「そうですか……、でも、冒険者は危険なお仕事なので気をつけて下さいね?」
「俺も死にたくないからね、気をつけるよ」
「約束ですよ!」
「約束するよ」
俺が約束するというと満足したのかじゃが芋の皮むきに戻るミミちゃん。
俺も調理に戻る。
サニーレタスは買った時には、しなびてきていたので、50度くらいのお湯で3分ほどつける。
温度に関しては鑑定スキルで分かるので問題ない。
「それは何をしているんですか?」
ミミちゃんがお湯にサニーレタスをつけているのに不思議そうに見てくる。
「しなびた野菜は、これくらいのお湯につけるとシャキシャキになるんだよ
全部の野菜がってわけじゃないけどね」
「へぇー!ツキヒトさんは物知りですね!」
実際に戻ったサニーレタスを見せると、すごいです!とミミちゃんがはしゃいでいた。
トマトと一緒にサニーレタスを冷やしておく。
その間に朝食の手伝いをする。
本日は、トーストにジャーマンポテト、オニオンスープ、サラダだ。
ブイヨン自体は既に作ってあるらしく、お母さんがオニオンスライスをバターで炒めている。
俺はミミちゃんと一緒にじゃが芋の皮むきだ。
どうやらこの世界にはピーラーがないらしい。
包丁で皮むきなど久しぶりだが、めんどくさい。
そのうちピーラーを作ろう、作ったらミミちゃんにもあげるか。
皮も剥き終わり、1cm厚の輪切りにして、蒸す。
その間にベーコン、アスパラ、玉ねぎを切る。
常温に戻ったチキンをフォークで数箇所穴を開け、塩コショウ、蜂蜜、にんにくをすり込む。
ここで、本来は20分ほど置くが、面倒くさいので、時魔法の速度増加で、チキンの時間を進める。
20分ほどなら、20秒ほどで終わる。
やろうと思えば、もっと早くできるが、ミスして痛んだりしたら嫌だからしない。
予め200度に温めておいたオーブンに入れる。
オーブンはちゃんと温度調節できる優れものだ。
何でも、最新の魔道具らしく、お父さんが勝手にローンを組んで買ったらしい。
そのことでお母さんと大揉めしたと、ミミちゃんが笑いながら話してくれた。
そんな感じで楽しく調理を進めていった。
「ツキヒトさん!今日は有難うございました!」
「こちらこそ、厨房を貸してくれて有難う」
そろそろ朝ごはんの時間だし、アリスを起こしに行こうと思ったら、
2階からアリスが降りてきた。
「ご主人様!」
アリスが俺を見るなり、抱きついてくる。
「ど、どうしたんだ?」
「起きると、ご主人様がおられないので、どこかに行ってしまったのかと……」
……、思っていた以上に、アリスの俺への依存度が高いな。
「大丈夫、アリスを置いて行ったりなんて絶対にしないから。
ずっと、傍にいて貰うって言っただろ?」
慰めるように頭を撫でる。
「……はい」
涙声で返事をするアリス。
「はわわ、大人ですー」
ミミちゃんがいたのを忘れていた。
調理を手伝っていたと言うと、
「それなら、事前に言って欲しかったです……」
と、珍しく恨めし顔で言ってきた。
アリスを宥めつつ朝食を取り、一通り準備を済ますと、冒険者ギルドに向かう。
「あっ!ツキヒト君、アリスちゃん!おはよう!」
ギルドに入るなり、ミラがこちらに駆け寄ってきた。
「おはよう、ミラ」
「おはようございます、ミラさん」
「それにしても、まだ10分前なのにいつからいたんだ?」
「え?8時からだよ?」
1時間前からかよ、どんだけ楽しみにしてたんだ。
「遅刻しちゃ駄目だと思って、ここで朝ごはんを食べてたんだよ!
それより今日はどんなクエストを受けるの?」
そういえば言ってなかったな。
「今日は魔物狩りのクエストを受ける」
「魔物狩り?それなら一角兎のクエストかな?」
クエスト掲示板に話しながら向かう。
「んー、一角兎5匹、3日以内で2000リア、ガルー羊5匹1500リア、私達のランクならこの二つかな」
掲示板に張られた用紙を見ながら、ミラが言う。
「ガルー羊って?」
「魔物化した羊だね、ガルーって鳴くからガルー羊。毛皮が普通の羊よりも丈夫だから、素材として
そこそこの値段で売れるんだよ、それに、腸も腸詰に使えるし、だから討伐報酬自体は、
一角兎より安いんだよ」
「なるほど、素材で稼げるから討伐報酬は安めと、この羊もこの前行った森にいるのか?」
「うーん?基本的に羊牧場の近くの森かなー、逃げた羊が森に入ってなることがあるんだよ」
森の方がマナが濃いからかな?普通の兎とかもいたけど、個体差か?
「知らない所より知っている所のほうがいいし、一角兎にするか、二人ともいいか?」
「私は構いません」
「いいよ!」
それじゃ、クエスト用紙を取り、受付に行く。
「あれ?リュー?」
先に受付にいた冒険者達の女性に声を掛けるミラ
リューと呼ばれた女性がミラの方を向く。
「あ、ミラじゃん!あんたもクエスト受けに来たの?って」
リューがミラの後ろにいた俺に目を向けると
「あんた、もしかしてミラにちょっかい掛けてんじゃないでしょうね?」
「は?」
リューが俺に詰め寄ってくる。
さっと、アリスが俺とリューの間に割り込み、リューを睨み付ける。
アリスの美貌に息を飲むリュー。
「ち、違う違う!ツキヒト君とアリスちゃんには、私から声を掛けたんだよ!」
慌ててミラが止めに入る。
「はぁ?あんたが男に声を掛けたの?あれだけナンパに困ってたのに?」
訝しみながらミラを見るリュー。
「え、いや、その、えーっと、そう!二人が新人だから手伝ってあげようと思って!
それにアリスちゃんみたいな可愛い子がいたらナンパなんてないと思って!」
「ふ~ん、まぁ、確かにこれだけ可愛い子がいたら大丈夫とは思うけど、ミラだって十分
可愛いんだし、そもそも、男なんて1人だけで満足なんてしないんだから、気をつけることに
こしたことないわよ?」
一瞬ギクリとしてしまった。
ばれてませんように。
「そうなの?」
ミラがこちらを見て言う。
「うーん、人それぞれじゃないか?第一、綺麗どころに囲まれたいなんて、男だけじゃなくて、
女性もそういう人いるだろ?格好良い男を侍らせたいって」
「あー、確かにそういう女の人知ってる!」
ミラが納得したようにいう。
「で、あんたはどうなの?」
誤魔化せたと思ったら、リューが突っ込んできた。
やばいだれか助けて。
「リュー、そろそろ行くぞ」
リューの仲間のリーダーと思わしき男が、声を掛ける。
「ふん、まぁいいわ。あんた、ミラを悲しませたら絶対に許さないからね」
そのまま、リュー達はギルドから出て行った。
「えっと、お友達?」
「うん、ここに来た時にナンパされて困ってる私を助けてくれたんだよ。あと、
リューはランクCで、色々知ってるから、私にいろんなことを教えてくれたんだ!」
その時の事を思い出したのか、嬉しそうに言うミラ。
「へぇー、良い先輩だな」
「うん!」
そのまま上機嫌なミラは、受付で受注を済ませ、一緒に街に出た。