初めての狩り!
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よろしくお願いします。
3/7修正しました。
「さーって、クエスト頑張ろー!」
森につくと、ミラは右手を握って上に突き上げる。
「おー!」
俺もそれにノッて手を上げる。
「おー」
俺がしているのを見て、アリスも若干恥ずかしそうに手を上げる。
「いいねいいね!こういうのがしたかったんだよ!」
ミラが興奮気味に言う。
まぁ、気持ちはわからんでもないな。
「んで、目当ての物はどこだ?」
「えっとねー、ここからもう少し奥に行った所だね。
あ、定期的に探知魔法で魔物がいないか調べてくれる?」
「あー、あったなそんな魔法。アリス使える?」
存在自体は知っているが、こちらに来てまだ4日目なうえ、
魔法の練習も全然してなので、当然探知魔法なんてやったことがない。
「はい。範囲はとても狭いですが、一応できます」
お、どうやらアリスはできるみたいだ。
「それじゃあアリス先生お願いします!」
アリスに頭を下げる俺。
「お願いします、アリス先生!」
そんな俺の真似をして頭を下げるミラ。
「ご、ご主人様!頭を上げてください!」
慌てて頭を上げるように言ってくるアリス。
慌ててるアリスもかわいい。
「えっと、それではやりますね」
アリスが目を閉じ、右手を前に出す。
すると何かが俺を通り過ぎた感覚があった。
「私達以外には、小鳥などといった生物しかいないみたいです」
右手を下ろし、結果を述べるアリス。
「そっかー!魔物もいないみたいだし、早速行こうか!」
ミラが元気良く森に入っていく。
「迷子にならないようにちゃんと付いてきてねー!」
「あいあいさー、ほら、アリス行こう」
「はい、ご主人様」
ミラに続き俺達も森に入っていく。
ミラに続いて歩いていくとすぐに、リーリア草を見つけた。
「おっ、リーリア草はっけーん!」
リーリア草を見つけたミラが小走りに取りに行く。
俺達もミラに続く。
「へぇ~、これがリーリア草か~」
リーリア草の見た目はヨモギみたいだった。
「あれ?リーリア草を見るの初めて?」
「あぁ」
「へ~、リーリア草なんてどこでも取れるのに珍しいね。
ツキヒト君て、どこ出身なの?」
不思議そうに聞いてくるミラ。
さて、なんて答えよう。
詐欺スキルがあれば、恐らく適当なことを言っても信じる可能性もあるが、
さて、どうしたものか。
「日本からだよ」
正直に言おう。
そして騙そう。
アリスは若干驚いた顔をしている。
たぶん俺が正直に言うとは思ってなかったのだろう。
「ニホン?聞いたことないなー」
指を顎に当てて首を傾げるミラ。
「そりゃ、超がつくど田舎だからな」
「ふ~ん、そうなんだー。機会があったらいつか連れてってね!」
連れてってやりたい気持ちもあるが、この世界にはないから無理だな。
フィリアの力が戻れば可能だろうけど。
「ご主人様!私も連れて行ってください!」
なんて考えていたら、アリスがまさに必死という形相で言う。
「あ、あぁ……、行けたらな……」
俺は驚きつつ、コクコクと頷く。
絶対ですよ!と言うアリスに、わかったわかったとしか言えない俺。
そんな俺達を見て
「二人って本当に恋人じゃないの?」
と、ミラ。
「ち、違います!ご主人様と私はそんな関係じゃ!」
必死に反論するアリス。
そんなアリスに
「え~、本当かな~?」
なんて、ニヤニヤしながら聞くミラ。
そのまま二人が仲良くじゃれているので、俺は今のうちにリーリア草を集めることにした。
それにしてもあそこまで否定するとは、忠誠心が高すぎるのか、それとも昨日拒んだせいか。
まぁ、今晩はアリスに恥は欠かせないので安心してほしい。
グッバイ童貞、今日、俺は大人の階段を進むぜ。
なんて考えていると、ミラがこっちに来る。
「ねぇーねぇー、ツキヒト君はアリスちゃんのことどう思ってるの?」
「どう、とは?」
わざと白を切る俺
「アリスちゃんを恋人にしたいかってことだよ!」
女の子は色恋が本当に好きだな~、特に他人の。
さて、なんて答えたものか。
「恋人にしたいかってのは、まだ分からないな~。
まだ出会って二日だし。しかも、奴隷として買っちゃったし」
「っえ!?まだ二日なの!?」
驚きアリスを見るミラ。
「二日で、しかも奴隷として買われてこんなにツキヒト君を好きになるなんて……、
ツキヒト君まさか、好きになるように命令したんじゃ……」
あぁ、そういう考えもあるのか。
「ち、違います!ご主人様はとても優しく素晴らしいお方で、そんなことはしません!」
アリスが反論の声を上げる。
しかし、そんなことはしません。なんて言われたら、今後しずらくなるじゃないか。
「ご主人様は、世界に絶望していた私を救ってくださったのです!そして、また私に光を与えてくれたご主人様に、私は一生着いて行こうと決めたのです!」
あの時のことでも思い出しているのだろうか、頬を上気させながら力説するアリス。
「えっと、よくわからないけど、ツキヒト君はアリスちゃんを助けてあげたんだ?」
「まぁ、そうだな」
正直、特に同情はせずに、信仰復活の為と美少女だから助けただけなんだけど。
うん、俺ってクズだよね。
「へー!いいないいなー!私も素敵な王子様に助けられたいなー!」
両手を合わせながら、うらやましそうに言う、ミラ。
「王子様ではないが、ミラが困ってるならできる限りのことはするぞ?」
まぁ、今日あったばっかりとはいえ、この世界の数少ない知り合いだし、
そんな人が死んだとなっちゃ目覚めが悪い。
「っえ!そ、そんな、アリスちゃんがいるのにそんなこと言っちゃ駄目だよ!
……でも、……ありがとう」
慌てふためきながら手を振りつつ、最後は小声でお礼を言うミラ。
「えっ?なんだって?」
そして、わざと聞こえない振りをして聞き返す俺。
「えっとその!?な、なんでもない!」
顔を赤くしながらそっぽ向くミラ。
「……でも、……ありがとう」
ミラの言葉を真似する俺。
「き、聞こえてたんじゃない!」
わざと聞き返した俺に怒るミラ。
「おっほん!」
アリスのわざとらしい咳で、俺達二人は背中をピンッとする。
「ご主人様、ミラさん。いくら魔物の姿が見えないとはいえ
あまり大きな声を出していると魔物が気づくかも知れませんよ。
それに、私達は今、クエストで来ているんです。
お戯れもその程度にしてください」
アリスが怒ってらっしゃる。
「ご、ごめん!でも、そんなんじゃないからね!」
必死にアリスに弁明するミラ。
ふむ、さっきはアリスも散々大声を出していたんだけど、
突っ込まないでいてやるか。
「悪かったなアリス」
俺は立ち上がって、アリスの前に行くと、アリスの頭を撫でる。
「ご、ご主人様」
いきなりのことで固まるアリス。
「滅相もございません。出しゃばった真似をして申し訳ありません」
頭を撫でられているせいか、顔を赤くし、顔を伏せるアリス。
「むー、二人だっていちゃついてるじゃん!」
と、膨れるミラ。
うん、傍から見たらリア充爆発しろって感じなんだろうけど、
いざ自分がやるといい気分だな。
「さて、そろそろ再開するか」
アリスの頭から手を離すと、名残惜しそうにするアリス。
「そうだね、いつまでも森にいたら危ないし、早く終わらしちゃおう!」
そうしてリーリア草の採取を再開した俺達。
採取しているうちに気づいたのだが、鑑定を発動しながら、
周りを見ると、かなり遠くに離れたものまで鑑定ができることに気づいた。
どうやら、ピントがちゃんと合っていなくても発動するみたいだ。
そのおかげでリーリア草はすぐに集まった。
「ツキヒト君て、すっごく目がいいんだね」
遠いところにあってもすぐに見つける俺に、ミラは驚いている。
「ご主人様さすがです」
そんな俺を誉めるアリス。
美少女に誉められていると、自分が何でもできるような気がして来る不思議。
そんな感じで、採取は順調で、ポース草も含め1時間もせずに終わった。
「いやー、こんな早く終わったの初めてだよ!」
「そうなんだ?」
「そうだよ、普通は半日くらいかかるよ」
それじゃあ、今日は本当に早く終わったんだな。
「ご主人様、何か魔物のような物がここから先にいます」
探知魔法を使って索敵していたアリスが報告してくる。
「えっ!本当?ここらへんで出るって言ったら一角兎だと思うけど……」
どうしようかと、考えるミラ。
そうだ、俺も探知魔法を使ってみよう。
アリスのを見てたし、もう使えるだろう。
頭の中で『探知』と念じると、身体から自分の感覚が広がるのを感じる。
周りにある物全てを感じる感覚が気持ち悪くてたまらない。
「どうかしましたか、ご主人様?」
アリスが心配して聞いてくる。
「いや、俺も探知魔法使ってみたんだけど、なんか、そこらへんの木とかも全部反応して、
すっごい気持ち悪い」
なるほど、とアリス
「ご主人様、探知魔法は自分の中にある魔力を回りに広げて、設定した物を探すものです。
ご主人様は、探したいものを絞らずに使ったため、魔力が通る際に、魔力が当たった物全てに、
反応してしまったんですね」
設定とか必要だったのか。
「探知する際に、生き物を探知などといった感じでやれば、大丈夫だと思います。
私は、動物を探すように設定しています」
「なるほど」
俺はもう一度探知魔法を使ってみる。
頭の中で動物、と考え、使う。
すると、また今度は、広がった感覚が50m程先に反応する。
大きさは、大型犬くらいだろうか。
形状はなんだか兎っぽい気がした。
「それだと、さっき言った一角兎じゃないかな?」
ミラが答える。
「ふむ、ちょっと見てみたい」
今日の昼に食べた肉だし、どんなのか確認したい。
あと兎ならかわいいかもしれない。
「まぁ、一角兎くらいなら私1人でも十分倒せるし、行ってみようか」
そうして、3人で反応があった場所に行く。
着いた先には大型犬くらいの大きさの額から角を生やしたでっかい白い兎が寝ていた。
なんかかわいいな。
アリスも寝ている一角兎を見て、かわいいです、と溢していた
「あれが一角兎?」
「うん。耳はそんなに言い訳じゃないみたいだから、10mくらい離れていたら気づかれないよ、
それでどうする?」
倒すの?と聞いてくるミラ。
「ちなみに素材はどの位で売れる?」
「えっと、角は薬の効果を少量だけど上げる効果があるから100リア、
毛皮は、毛布とか、鞄とかに色々使われていて、状態にもよるけど、大体200リア、
お肉は100g100リアかな。あの大きさなら肉だけで30kgはありそう」
ふむ、キロ1000リアか、まぁ一番弱い魔物だし、妥当なのかな?
量も多いし、30kgなら3万か、これは行っとくべきだな。
だが、あんなかわいい兎を殺してしまっていいのだろうか。
「ちなみに、動きは遅いけど、前歯の攻撃力はすごくて、腕くらい簡単に毟り取るよ」
よし殺そう。
「さっきまでかわいく見えてたのに、今じゃ猛獣にしか見えなくなった」
俺は両腕で身体を抱きしめて、身ぶるいする真似をする。
「はは、魔物なんて皆そんなものだよ。それで、私がやる?」
「いや、俺がやる」
そういって、先ほどと同じように指を立て、今度は氷を作り出し、
それをライフルの弾丸の用に形成し、回転させる。
「氷も作れるの!?しかも無詠唱!?ツキヒト君って、魔法使いになってどれくらいになるの?」
いちいち驚いてくれるミラがかわいい。
「今日が4日目だな」
うそだ!っというミラの声を聞きながら、一角兎の頭を狙って氷を飛ばす。
一瞬で一角兎の頭を貫通した氷が、そのまま木を貫通していく。
慌ててまた、手を握るようにして、氷を消す。
「また威力強すぎたな。もっと練習しないと」
とりあえず、威力調整だけは完璧にしときたいな。
「えっ?もう終わったの?」
倒れた一角兎を見て驚くミラ。
「脳を破壊したから死んでるはずだよ。傷もなるべくつけない様にできるだけしたし」
ミラが信じられないという顔で見てくる。
チラッとアリスを見ると、さすがはご主人様です。とでも言うような表情をしていた。
「さすがはご主人様です」
やっぱり言った。
「ありがとう、それであれどうするんだ?」
あのまま放置してたら腐ってしまうぞ。
「えっと、そうだね。解体しようか」
ミラが一角兎に近寄ると、解体用のナイフを取り出し、鞄から出した大き目の布を
兎の横に敷く。
「二人は解体したことある?」
「いや、ないな」
「私もないです」
二人揃って首を振る。
「そっか、私もつい最近慣れたんだけど、かなりグロイけど大丈夫?」
心配そうにアリスの顔を見るミラ。
「俺は別に大丈夫かな。解体自体はした事ないけど、解体してるのなら見たことがある」
「ご主人様が見られるのなら、私も見ます」
いや、別に無理してみなくていいんだけど……。
「わかった。それじゃあ、やるね」
そういうとミラが手際よく一角兎を解体していく。
うん、グロイ。
見慣れてるわけじゃないけど、まぁ、料理やってたらこういうのを勉強したりする機会もあったし。
心配なのは。
チラッとアリスを見ると、アリスは顔を蒼白にして、口元を手で覆っていた。
「アリス、無理なら離れてていいぞ」
若干躊躇しながら、結局は離れていったアリス。
まぁ、慣れてないとああなるな。
程なくして解体は終わった。
「終わり!毛皮も全くといっていいくらい傷もないし、これなら250リアで売れるんじゃないかな」
満足そうに言うミラ。
「ほう、それならあと何匹か狩っていくか」
この程度なら楽勝みたいだし、お金もないからサクサクと稼ごう。
ちなみに、売れない内臓などは、地面に埋めた。
「えっ!でも、こんな重いの持ちながら狩りなんてできないよ?」
「え?」
「え?」
二人して固まる。
「あぁ、そうか、忘れてた。俺がアイテムボックスに入れるから大丈夫だよ」
そうそう、便利なアイテムボックスがあったんだ。
「ツキヒト君、アイテムボックスまで使えるの!?」
驚愕といった顔のミラ。
「うん。ってことでいれちゃうぞ」
布に包まった素材をアイテムボックスに入れる。
当たり前だが手に血がついた、気持ち悪い。
俺は浄化の魔法を使い身体を綺麗にする。
ついでにミラも。
「わっわっ!」
本当にかわいい反応するな。
アキヒト君って本当に何者なの?なんてミラが言っていると、
アリスが戻ってきた。
「まだ顔が白いけど大丈夫か?」
「アリスちゃん大丈夫?」
「はい、だいぶマシになりました……」
アリスが弱々しく答える。
「うーん、今日はコレで終わりにするか?」
「それがいいかもね~」
ミラと二人で帰ろうかと相談すると、
「もう大丈夫です、このまま続けましょう」
っとアリスが強く言ってくるので
「じゃあ、あと1匹だけ」
っということになった。
アリスが探知をした後に、俺も探知をすると、俺のほうがアリスよりも探知範囲が広いことがわかった。
アリスが50mほどで、俺は300mほどだ。
「う~ん、昨日、大気の魔力を感じたり吸収したりしたから、それのせいかな~?」
「大気の魔力ですか?ですが、草原には森のように魔力はありませんよ?」
探知に反応があった場所に移動しながら、アリスと俺の探知魔法の差を考えいてた。
「えっ?いや、魔力なんてそこら中に溢れてるじゃん?」
「たしかに、この位森の中を進めば少しは魔力がありますが、平原や街などでは魔力なんてありませんよ?」
「そうだね、それに大気の魔力を吸収なんてのも聞いたことないよ?」
お互いの顔を見て首を傾げる、アリスとミラ
まじか、普通の人は感じないのか。
「うーん。俺には、草原も街にもちゃんと大気の魔力を感じるよ。
昨日のアリスの時に使った魔法だって、俺の魔力じゃ全く足りないから、大気の魔力をかき集めて使ったんだから」
そうそう、まだ魔力制御や効率が全然甘いせいか、それとも時魔法自体が大量の魔力を消費するのか、無茶苦茶魔力消費したんだよな。
あんまり連発したりできない魔法だなー。
「ツキヒト君は、人一倍魔力に関しては敏感なのかもしれないね」
「ご主人様なら当然のことです」
二人して勝手に納得している。
「でも、大気の魔力を吸収は聞いたことないなー」
「それは、聞いたことないだけで、できる人もいるんじゃない?
大気の魔力は使ったら無くなって、元に戻るまでに多少は時間かかるだろうから、
だれも彼もがやってたら、いざというとき使えなくて困るから、
黙ってるんじゃない?」
俺もいざという時に使えないと困るから、あまり吹聴する気はない。
「そうかー、オリジナル魔法とかもあって、魔法使いは秘匿癖があるって聞いたことあるし、
そうかもしれないね」
なんて話をしていると、一角兎を見つけた。
「おぉ、でっかいねー」
「そだなー」
先ほどの一角兎の1.5倍はありそうなやつがいた。
「ご主人様、あちらのほうにもいます」
アリスがさらに奥にいる一角兎に気づく。
「んー、ミラって魔法使えたりしないの?」
「えっ!?な、なんで?」
急に慌てるミラ。
「いや、なんとなく水魔法とか使えそうなイメージがあって」
髪と瞳が青だし
「えっと、うん。水魔法と風魔法が使えるけど、水魔法のほうが得意かな」
「それじゃあ、奥のほうは俺がやるから、手前のでか兎はミラがやる?」
一匹やってるうちに逃げられたら困るし。
「でも、私、ツキヒト君みたいな威力ないよ?たぶん一発じゃ倒せないと思うし」
自身無く言うミラ。
「大丈夫大丈夫。さっき俺がやったみたいにやればいけるって、
ほら、まずは氷を作って」
「えっ、う、うん」
ミラが指を立て魔力を集める。
「清らかなる水よ、凍てつく氷になれ」
ミラが詠唱をすると、水の玉ができ、それが氷へと変わる。
うん、すっげー効率悪そう。
「じゃあ次は俺のやつの形を真似してみて」
俺の作った氷を見ながら、氷の形を変えていく。
「じゃあ次は回転をイメージ、ゆっくり回して、だんだん早する」
氷をゆっくりと回転させていき、だんだんと速度を上げる。
「よし、OK。じゃあ、あいつの頭を狙って撃って」
「わ、わかった」
初めての魔法で緊張するミラ
そして、でか兎の頭を狙って指を振るう。
ついでに俺も、奥にいる一角兎を狙う。
放って一秒せずに、一角兎の頭を氷が貫通して、木に当たった氷が砕ける。
ちなみに俺のは、ミラより一瞬遅れて放ったが、ほぼミラのと同じタイミングで当たっていた。
俺のほうが速度が速いみたいだ。
倒れる一角兎を見て
「で、できたよツキヒト君!」
と俺に抱きついてくるミラ。
くっそ、なんでこいつプレートなんてつけてんだよ。
「ご主人様……」
アリスが鋭い眼で見てくる。
嬉しさのあまりそんなアリスの目に気づかないミラ。
「アリスちゃんも見てくれた!?一発で倒せたよ!」
俺から離れると、アリスの手を取り嬉しそうにぶんぶんと振っている。
「え、えぇ……。お見事でした」
アリスが困っている。
俺はその間に倒した一角兎をアイテムボックスに入れて置く。
ちなみに、あんな重い一角兎を持つことはできないので、アイテムボックスの出入りに使う歪んだ空間を押し当てるようにしたら、勝手に入っていった。
いいやり方を発見したわ。
「んで、解体はどうする?」
未だにアリスと手を繋いでいるミラに言う。
「あ、ごめん。えっと解体だよね?そろそろ暗くなってきたし、森の外でやろうか。」
「ギルドでは解体はしてくれないのか?」
「してくれるけど、手数料取られちゃうんだよ」
「なるほど」
そうして、俺達は森の入り口に向かって歩き出す。
「それにしてもアキヒト君て、あんな魔力を使う魔法を使ってたんだね」
「え?あれってそんなに魔力使ってる?」
俺の感覚では、火を出すのに10、形状を変えるのに5、回転を加えるのに5の、魔力を20くらいしか使ってないつもりだ。
「そうだよ、私なんか魔力の半分くらい使ったよ」
むむ、ミラの魔力が少ないのか、それとも効率が悪いのか。
そんな話をしながら、森の入り口にまで戻ってきた。
「んじゃ、ちゃちゃっとやっちゃおうか。とりあえず1匹だして。」
「あいよ」
アイテムボックスから、俺が倒したほうの一角兎を出す。
「そうだ、アキヒト君がやってみる?」
「ん、いいのか?肉を潰したりしないか不安なんだけど」
「誰でも最初はそんなものだよ!経験経験!」
まぁ、そういうならと。解体用のナイフを受け取る。
ちなみにアリスは離れたところで待機している。
「……ふぅ、それじゃやりますか」
「それじゃあ、指示する通りにやってね」
そんまま、ミラの指示の元、俺は解体をしていく。
ナイフの切れ味がいいのか、思ったよりもサクサク切れる。
「アキヒト君上手だね?私が最初にやった時はもっとぐちゃぐちゃだったよ」
「一応料理人の端くれだから、包丁やナイフの使い方は多少心得はあるよ」
「えっ!アキヒト君て料理人だったの!?あんな魔法使えるのに!?」
「魔法が使える用になったのはつい最近だって、それに今は冒険者だよ」
それにしても、もう4日も料理してないな。
久しぶりに料理したいなー。
「よし、終わり」
解体が終わった。
我ながら初めてにしては上出来だと思う。
「じゃあ次もやっちゃおうか」
メインのでか兎をだし、解体していく。
さっきよりも大きいせいか疲れる。
腹を割って内臓を出していると、心臓に石がついてるのに気づく。
「これなんだ?」
「どれどれ?って、魔石だよこれ!」
魔石ってあれか、魔力が貯まっている石とかか、
「そうそう、でも魔石持ちかー。そりゃこれだけ大きいならおかしくないかー」
1人で納得するミラ。
「大きい魔物なら持ってる物なの?」
「えっと、大体CランクからSランクの魔物なら皆持ってるね。
ランクが上がるにつれ魔石が大きいよ。
EからDの魔物は持ってるほうが珍しいかな。」
ふむ、でもなんで持ってないやつもいるんだろう?
「EからDの魔物は大体魔力の影響で魔物化したものだからだよ」
なるほど、なんとなくわかった。
EからDの魔物は、動物が魔力で変化して魔物になったもの。
それ以外は、最初から魔物ってわけか。
「そうそう。もちろん全部が全部そうってわけじゃないけどね。
ちなみに一角兎はEランクの魔物だからね」
まぁ、初心者用の魔物ならそうだよな。
「ちなみに、この大きさでも3000リア位で売れるよ」
心臓から抉りだした、小指の先程度の石をミラがつまみながら言う。
「へー、魔石って高価なんだな」
「そりゃあ、魔道具を使うのに魔石が必要だから、いくらあっても足りないって感じだよ」
そんなことも知らないの?っと聞いてくるミラ
「俺の住んでたところに魔道具なんてなかったからなー」
解体が終わると、素材をアイテムボックスに、他は埋める。
そしてまた浄化魔法を掛けると、アリスのところに行く。
「お疲れ様でした」
アリスが一礼する。
「お疲れ様」
「お疲れさまー!それじゃあ帰ろうか!」
3人で街に向かって歩き出す。
道中アリスとミラは楽しそうだ。
アリスに友達ができて良かった。