圧勝
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よろしくお願いします。
『アイーフ荒原』、アメリア大陸北方にある、過去に魔人族との戦いが行われたと、言われている場所であり、そして、そこが今回の獣人族との、決戦の場として選ばれた。
「すっごい数だな……」
「そうですね……」
開戦日時の前日には、既に獣人族は到着しており、拠点を築いていた。
俺たちも、前日に到着と同時に、拠点を城築、慌ただしく、戦争の準備を初めていた。
その中に、最後の作戦会議をしたのだが、俺は特にすること無く、予定通り、最初に一人で獣人族を相手にし、圧倒的な力を持って勝利を収める、という内容だけで終わった。
一応、既に使う魔法も決めており、緊張してミスをしないことを祈るだけだ。
だが、予定の時間が近づく中、次々と獣人族が、隊列を組みあげていくのを見て、ただただ、唖然するだけだ。
隊列の数は予定通りの5万。
横およそ6km奥に5km程に綺麗に隊列を組んでいる。
前面には軽歩兵、奥には、重歩兵、さらに奥には、弓兵と魔法兵、両翼には騎馬兵と、大きな狼みたいなのに乗った兵もいる。
調べてみると、闘狼兵と言うらしい。
「あれを一人で相手にするのか……」
「ご主人様、大丈夫なのですか?」
俺の隣で、心配そうにディーナが声をかける。
「ん~、ミスさえしなければ、かすり傷一つ負わないで終わるよ」
まだ心配しているディーナに、笑いかけながら、段々と鼓動の早くなる心臓をなんとか宥めようと奮闘しているが、中々静まってくれない。
「………大丈夫、ツキヒトならできる」
そんな中、左手をぎゅっと握られ、手を握る、フラウラに声をかけられると、少しだけ鼓動がゆるくなったのを感じた。
「ありがとう、恥ずかしい所を見せないように、頑張るよ」
「っん」
手を少し強めに握り返すと、フラウラが頷く。
「それにしても、やっぱり、他種族の連中も来ているみたいだな」
「そうですね、私、エルフなんて生まれて始めて見ました」
人族と獣人族の左右には、エルフ族、ホビット族、ドワーフ族、竜人族達が、これから起こる戦いを、観戦する為に、それぞれが陣取っている。
左側には、ホビット族と竜人族が、右側には、ドワーフ族と、エルフ族が陣取っており、ホビット族は、何やら、テレビの撮影で使うようなカメラをいくつも設置しており、解析してみると、どうやら、録画再生機能が付いている魔道具みたいだ。
普通に欲しいので、今度買おうかな。
エルフ族は、大勢で大きな魔法陣を描いている。
こちらは、遠く離れた場所に、映像を映す魔法みたいだ。
そういえば遠見の魔法や透視魔法とか、まだ作ってなかったな。
今度時間が出来たら作るとしようか。
ドワーフ族は、特に録画や、遠くを映す魔法や魔道具といった物は無いみたいだ。
恐らく、獣人族に武具を提供しているので、そちらの方も含めて見に来ているのだろう。
竜人族は初めてみたが、見た目は普通に人族と変わらないな。
てっきり、頭に角が生えてたりするのかと思ったんだけど……。
服は、袴だろうか?米とかあるから、まぁそうだろうと思ってたけど、やっぱり日本みたいな感じっぽいな。
そんな風に、各種族達を眺めていたら、時間が来たようだ。
「アキヤマ公爵、そろそろお時間ですので、お願いします」
「分かりました」
副団長が、時間を知らせに来たので、もう腹をくくるしかない。
「それじゃあ、行ってくるから」
「お気をつけてください、ご主人様」
「……、頑張って」
左手から、握られていた小さな手が離れ、かすかな温もりが残る中、俺はゲートを開き、ゲートをくぐる。
ゲートに繋げた場所は、人族の陣営と獣人族の陣営の丁度真ん中だ。
「おぉ……」
「話は真であったか……」
「あれが、転移魔法……」
インパクト重視で、ゲートを使ったが、周りの反応からして、掴みはばっちしのようだ。
「……ふぅ、落ち着け落ち着け……」
万を超える数の視線が俺に集まる。
自然と俺の鼓動は早鐘のように鳴り響き、足はかすかに震える。
もう時間まで、あと少しだ。
俺は深呼吸をして、なんとか緊張を解そうとしていると、突如獣人族達の隊列の真ん中が、モーゼの奇跡のように割れる。
「なんだ?」
俺はただ、何が起こるのかと、じっと待つと、一人の豪奢な鎧と剣を携えた顔に幾つもの傷跡をつけた、大柄なライオンの様な獣人が、マントを靡かせながら、走ってくる。
そして、軽歩兵の隊列の真ん中程で、ジャンプすると、くるくると回転してながら、最後には、隊列の一番先頭に立つように、ドスンと着地すると
「俺が!ロマリア帝国皇帝!ガウレス・ロマリアだ!」
大きく息を吸い、荒原にいる全ての者に聞こえるような大きな声で、名乗りを上げた。
「………は?」
思わぬ出来事に、俺はただ呆然とするしか無かった。
皇帝を名乗る獣人は、両腕を組んで、胸を張ったまま、こちらを見て立っている。
これはもしかしてあれか?俺も名乗りを上げろってことか?
やばい、すげー嫌だ……。
「仕方ないか……」
先程の皇帝の行動のせいか、不思議と緊張はほぐれ、足の震えは止まり、心臓は僅かばかり早く動いているだけだ。
俺は覚悟を決め、息を大きく吸う。
「私は!アメリア王国騎士団!世界最強のウィザード!ツキヒト・ウィザード・ガラヴィーゼ・フォン・アキヤマだ!」
俺も負けじと、大声で名乗りを上げると、皇帝は満足そうに、うんうんと頷く。
というか、勢いで騎士団て言っちゃったけど、別に俺は騎士団に所属してないんだよな……。
「世界最強を名乗るアキヤマ公爵よ!その力、我らに見せてみよ!いくぞ我が最強のロマリア帝国獣王団!!世界最強を打ち破り、我らこそが世界最強だと世界に知らしめるのだ!」
「「「おおおおおおおおおおおお!!」」」
皇帝が、剣を振りかざし、軍の士気を高めると同時に、獣王団も剣を振りかざし、戦争の開始の合図を出す。
そして、一斉に走り出そうとする獣王団を相手に、俺は右手に握る、世界樹の杖を前に出す。
既に範囲は指定済み、相手の動きも未来視によって、把握している。
そして、俺はたった一度の魔法で、この戦いを終わらせる。
「グラヴィティ」
俺が一言発すると、その瞬間、獣王団は一歩も踏み出すこと無く、軽歩兵も重歩兵も、騎兵も、闘狼兵も、弓兵も、魔法兵も、そして、皇帝すらも、全員が地に伏せる。
まさに一瞬の出来事。
獣人族だけではなく、観戦していた各種族、そして、仲間の騎士団ですら、一言も発すること無く、ただ目の前の光景を呆然と眺める事しかできない。
ただ、そんな中、重力に押しつぶされそうになる呻き声以外に、重力に抗おうとする声が、聞こえる。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
皇帝が、必死に立ち上がろうと全身に力を入れ、一部の獣人族が持っている固有スキル【獣化】を使う。
【獣化】を使った瞬間、皇帝のステータスは爆発的に上がり、爪や牙が伸び、全身の筋肉がはちきれんばかりに肥大する。
他にも【獣化】を使える者もいるらしく、皇帝と同じように必死に重力に抗う。
そして、皇帝が立ち上がろうとした瞬間、俺は更に重力を強め、また皇帝は地に伏せることになる。
「ぐぅぅぅううう!があああああああああああ!」
大声を出し、またも必死に重力に抗い、立ち上がろうとするが、今度は1ミリたりとも立ち上がる事ができずにいる。
「く……、くそ、があああああああああああ!」
皇帝の悲痛な声が荒原に響き、こうして、獣人族との戦争は、人族、いや、俺の圧勝で終わった。
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「お疲れ様です、ご主人様!」
「……お疲れ様」
「ただいま」
決着がつくと、俺はゲートでフラウラ達の所に戻ると、二人から労いの言葉を貰う。
ディーナの手元を見てみると、どうやら、スマホで先程の光景を録画していたようだ。
普通のスマホなら、あの距離では、俺は豆粒程度かそれ以下でしか映らないはずだが、事前にアリス達に頼まれ、通常の1000倍程の拡大ができるように改造した特別製のスマホなので、ばっちりと俺の勇姿は映っていただろう。
あぁ……帰ったら皆に見られると思うと、恥ずかしくて堪らない……。
「ア、アキヤマ公爵、お疲れ様です!!」
副団長が小走りにやってくると、俺の前で止まり、敬礼をする。
先程の光景を見て、ひどく緊張しているのがよく分かる。
「別に疲れてませんよ。それで、王と俺に敵対している貴族達は、今ので黙ってくれるかな?」
「は、はい!皆、アキヤマ公爵の活躍を見て、ただ呆然としているだけでした!これで王とアキヤマ公爵に、敵対しようとする者はいなくなるかと思います!」
「そう、まぁ、どうせ力を見せたって、他に色々と考えてくるだろうけど、一時しのぎには十分過ぎる効果はあっただろうな」
今回のデモンストレーションは、各種族だけではなく、王と新しく公爵となった、ウィザードの俺達に敵対し、隙きあらば王と俺を追い立てて、王国の実権を握ろうとしている輩にも向けているのだ。
だが、今回の戦いで、俺の圧倒的な力を前に、馬鹿みたいに権力や金を行使してまで、邪魔をしようと考えるやつはだいぶ減っただろう。
それでも、まだ向かってくるのであれば、相当な野心家か、ただの馬鹿のどちらかだろう。
どちらにせよ、今度は俺に寄りすってくる奴らが増えてくるんだろうな……。
ただでさえ、貴族達からのパーティーだの、お見合いだの、使用人として雇ってくれだのと、大量の手紙が屋敷と王宮に送られて来ているのに、それが更に増えるとなると、ソニーが発狂するかも知れないな。
「まぁ、これで俺の仕事は終わったし、後は死なないように頑張ってくれ」
「はい!アキヤマ公爵につまらない物を見せぬよう、全力でやらせて頂きます!」
「……まぁ、死なない限りは俺が治してやるから」
「分かりました!では、私はこれで!」
副団長が、作戦会議室に戻っていくのを見送り、俺は、俺用に当てられた天幕に行く。
「本当に大丈夫かなぁ?」
「何がですか?」
天幕の中の椅子に座り、ディーナが入れてくれた紅茶を飲みながら、騎士団の心配をしていると、ディーナが不思議そうに聞いてくる。
「演習だよ、演習。幾ら演習とはいえ、あれだけの数が争うとなれば、死人も出るだろうと思って」
「そうですね。ですが、騎士団に所属しているのなら、それ位は最初から覚悟していると思います」
「まぁ、そうなんだろうけど……、やっぱ人死は好きじゃないからな……」
一応、名目上は戦争となっているが、それ自体は、先程の戦いで、アメリア王国の勝利となっている。
そして、今からやるのは、もう戦争ではなく、ただの演習だ。
その為、刃を潰した剣等を使うが、あんな鉄の固まりで殴れたら、鎧を着ていても死ぬ時は死ぬだろう。
それが嫌なんだが……、仮に魔人族との争いが起きた場合の事を考えたら、平和ボケしていても困るので、実践形式の今回の演習は、非常に良い経験となるだろう。
「まぁ、開始までまだ時間もあるし、ちょっと一眠りでもするか」
ぶっちゃけ、凄まじい緊張とプレッシャーで、顔には出してないが、体力と精神的に、大変疲弊しているので、ぐっすりと眠りたいが、演習の方も見ないといけないので、2時間程しか眠れないだろう。
俺は、マントと杖をアイテムボックスに仕舞い、服装も簡素な者にすると、天幕に備え付けられたベッドではなく、自分の屋敷から持ってきたベッドを、アイテムボックスから取り出し、ベッドに入る。
すると、フラウラも入ってき、反対側に、ディーナも入ってくる。
「寝るだけだぞ?」
「……本当に?」
「そうなのですか?」
俺の両腕は、二人の枕代わりになっており、俺の腕を枕代わりにしている二人は、何故か俺の下腹部へと手を伸ばしている。
「……戦いの前と戦いの後は、男は高ぶる物と、本に書いてあった」
「私もそのように聞いた事があります」
「……、なぁ、フラウラ?お前、普段どんな本読んでんだ?」
「……ツキヒトを喜ばせる為に、勉強している」
喜んでいいのか悪いのか、そんな微妙な事を言うフラウラの赤い瞳が、俺の目を見つめる。
一応、防音魔法と、空間魔法と光魔法で、防音と、中に入れないようにと、中が見れないようにだけしておこう……。
そうして、もう俺は諦めるように、布団の中に潜り込んでいく二人を止めること無く、目を瞑るのであった。
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先の戦いから3時間、既に獣王団は回復し、先程と同じ陣形で、対面のアメリア王国騎士団と向かい合う。
アメリア王国騎士団の陣形は歩兵が三日月形のように、中央を前面に出しており、その左右後方に、重砲兵、そして、両翼に騎兵、歩兵と騎兵の間には弓兵と魔法兵が並んでおり、ここからどう兵を動かし、勝利へと導くかは、指揮官の腕にかかっている。
「今回は、皇帝は先頭に立たない見たいですね」
「そもそも、皇帝が先陣を切るという事自体がおかしいのだ」
護るべき王が先陣を切り、死亡する事があれば、それすなわち敗北である。
それでも先陣を切るのなら、圧倒的な力を持つか、兵の士気を上げる為以外にない。
ロマリア帝国の皇帝は、単純な戦闘能力であれば、ロマリア大陸一を誇る。
だが、戦局をたった一人で決める程の力は無い。
なので、本来ならば、後方に座すのが常識なのであり、先の戦いは例外である。
「それで、今回の作戦は上手くいくのでしょうか?」
「分からん。だが、成功すれば、歴史上初の圧倒的勝利となるだろう」
後方から陣形を見渡し、何かあればすぐに指示を出せるようにと、団長と副団長は後方で待機している中、団長は、作戦会議で提案した、王より預かった、一冊の手帳を開く。
「この作戦、成功させるには、騎兵の役割が大きい。そして、それをサポートする魔法兵だ。この2つが歩兵が突き破られる前に、勝負を決めれるかに全てが決まる」
「だけど、騎兵に魔法兵を一緒に乗せるなんて、大丈夫なんですか?」
副団長は、後方の騎兵に、魔法兵を同乗させているのを、心配そうに見つめる。
「魔法の力は強大だ。剣で一人殺すより、魔法を一発放つだけで大勢の敵を殺す事ができる。だが、魔法には、詠唱と集中力を必要とする。その為、本来なら、魔法使いを護るために、騎士等が、詠唱の時間を稼ぐのだが、騎兵に同乗させた魔法兵が、魔法を使う事ができれば、極めて脅威になるだろう」
馬の速さで迫ってくる魔法使いを想像し、その恐ろしさに、副団長は身震いをする。
魔法使いを大砲とするなら、馬に乗る魔法使いは、さしずめ、動く移動砲台だ。
だが、練習も無しに、騎兵に同乗しながら魔法が使えるかは、賭けである。
少しでも可能性を上げるために、歴戦の魔法使いを同乗させているが、もし失敗すれば、ただでさえ、そう多くない魔法兵の半分を使っているのが、全くの無駄どころか、騎兵の足手まといになってしまう。
それでも実行するのは、これが演習である為だ。
将来的な事を考え、これが実用的になれば、これからの戦争は大きく変わるかもしれない。
「そろそろ時間だな……」
「それでは、アキヤマ公爵に、お願いしてまいります」
「頼む」
この演習の開始の合図は、ツキヒトの魔法によって開始される事になっているので、副団長は、自分達より後方にいるツキヒトの所へと向かう。
「アキヤマ公爵、そろそろお時間なので、お願いします!」
「はい、それでは、時間になれば丁度中央あたりに、魔法を爆発させますね」
「はい!よろしくお願いします!」
ツキヒトに敬礼すると、副団長は、団長の元へと戻り、演習の開始まで、ただ静かに待つのであった。
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アメリア王国騎士団団長達がいるより、後方に位置する場所に、アンティークな椅子に腰を掛け、ディーナが入れてくれた紅茶を飲んでいると、副団長がやって来ると、そろそろ開始の時間なので、開始の合図を頼むとのことだ。
「さて、それじゃあ、いっちょやりますか」
俺は席を立つと、先程、副団長の伝えた通りの場所に、爆発魔法をセットし、わざと分かりやすいように、大きな魔法陣を作り出す。
大勢の者達が、上空の魔法陣を見つめる中、魔法陣の光が段々と強くなり、大きな爆発音と共に、魔法陣が消滅し、演習の開始を告げる。
開始と同時に、両兵は勢い良く駆け出す。
俺はそんな兵達を見ながら、今回の作戦を思い返し、溜息をつく。
「はぁ……、騎兵に魔法兵を乗せるって、移動砲台かよ。つーか、あの陣形、完全に包囲を狙ってるよな。闘狼兵は、狼自体も戦力だから、通常の騎兵より、魔法兵を乗せて、潰すってのは案外いい手なのかもしれないが、ちゃんと魔法使えるのかなぁ~」
接敵まで、時間はある、その間に魔法の詠唱を終え、敵に当てることができれば、間違いなく先手は取った事になるだろう。
だが、失敗すれば、ただのお荷物になってしまうのだが……。
「あ、成功してる……」
俺の心配は杞憂に終わり、見事騎兵に同乗した魔法兵は、魔法を放つ事に成功をし、敵の騎兵と闘狼兵の足止めと殲滅をこなしている。
もちろん失敗している者達もいるが、3分の1も撃てているのなら、成功と言っていいだろう。
そうして、魔法によって、土煙を上げる中に、騎兵は突撃する。
「あとは、騎兵の頑張り次第だな」
騎兵から歩兵へと目を向けると、獣王団の歩兵が、前面に出ている中央歩兵へと向かい、騎士団の中央歩兵とぶつかる。そして、ジワジワと、騎士団の中央歩兵は、どんどん押し込まれていってしまう。
だが、それ自体が作戦であり、最初の三日月とは逆向きの三日月へと陣形が代わると、騎士団の重歩兵が、両翼から回り込むように、獣王団の三方を包囲する。
「あー、三方を包囲してる。やっぱ三日月陣形だから、中央歩兵に集中したせいで、重歩兵の接近に気づくのが遅れたせいだな。つーか、獣王団って、脳筋っぽいな。見てて、ただ単に突進してるだけに見えるし……。あれ、絶対指揮官悪いだろ」
ただの突進しているように見えるのだが、実際は、獣王団は個々の戦力がアメリア王国騎士団よりも高く、その為、一気に突破できると見、中央歩兵に突撃を仕掛けたのだが、予め包囲を目的としていた騎士団は、攻撃よりも防御に徹し、突破をなんとか防いでいたのだ。しかも、中央歩兵をジワジワと押し込んでいるせいで、突破できると錯覚させてしまったのも原因だ。
「あー、これはもう勝負決まったんじゃないかな?」
「そうなのですか?」
俺の後ろで控えているディーナが、まだ三方を包囲されたとはいえ、獣王団の兵はそれほど数が減っているわけで無いのに対し、勝負が決まったと言う、自らの主人の言葉に疑問を持つ。
「あぁ、ほら、両翼の騎兵を見てご覧」
「ん~……よく見えません……」
一般人であるディーナは、数キロ先の様子等、詳細に見える訳も無いので、俺は手製の双眼鏡をディーナに渡す。
「あっ、相手の騎兵達が、ほとんど倒れてます!」
双眼鏡を通して見た光景は、凄惨な物で、多くの騎兵と闘狼兵達が倒れている。
「うん。どうやら、騎兵に魔法兵を乗せるのは成功したようだね。そのまま、相手の魔法兵と弓兵を駆逐していってるし、このままいけば完全包囲してしまうから、騎士団の勝ちだ」
そして、俺の言った通り、完全包囲までは、そう時間もかからず、完全包囲が成功した時点で、演習開始から2時間とかからず、演習は終了となった。
「さて、仕事をしますか……」
俺は席から立ち上がると、世界樹の杖を振りかざし、用意していた超巨大なヒールサークルを発動させる。
すると、戦場を全て納めたヒールサークルが、サークル内にいる者全ての傷を癒やしていく。
予め両者の陣営側にも、小規模なヒールサークルを発動させていたので、戦闘中の負傷者は、そちらに運ばれ、怪我を癒やしてるはずなので、今回のは、動けない者、移動させる暇がなかった者を含めての魔法だ。
それから、両軍の代表者同士の話し合いが終わると、アメリア王国騎士団の勝利が正式に決定し、騎士団のから、「うぉおおおおおおおおおおおお!」という、大きな勝利の歓声が上がり、こうして、アメリア王国騎士団とロマリア帝国獣王団の演習は終了した。




