叙勲と婚約発表
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よろしくお願いします。
フラウラを屋敷に迎えてから2日が立った。
連れいていった当初は、新しい奴隷と皆に思われたが、一応機密情報であるので、なんと説明しようと思ったものかと、考えていたら。
「ご主人様の新しい婚約者です」
と、アリスが爆弾発言をしたので、皆、大騒ぎな上、一部の女性陣から、白い目で見られてしまった。
別に婚約者ってわけじゃないはずなんだけど、どう考えてもあの時の言葉って、プロポーズとしか思えないので、そういう事になるんだよな……。
一応、今回の公式発表は、アリスとミラだけになっているので、フェルとフラウラは婚約者発表は、その内というになった。
そして、式典前日ということで、今、俺達は、王宮で衣装の試着と、式典のリハーサルを行い、本日はそのまま王宮で、宿泊することになった。
ちなみに、あの日から、フラウラは、基本的にずっと俺の側にいる。
移動する時も、ほとんど手を繋いで歩いているので、アリス達が、嫉妬しているのが、ヒシヒシと伝わるので、なんとかご機嫌を取らなければいけないなぁ~と、考えている。
ベットの上で、機嫌を取ろうと思うにも、フラウラも一緒に寝ているので、フラウラだけ置いて、3人の相手をするわけにもいかず、この調子では、王の思惑通り、フラウラも、早々に夜の営みをいたす事になりそうだ。
フラウラと別に寝るという手段も、考えはしたのだが、フラウラが俺と離れたがらない上、守ると誓ったなので、そうそうにその考えは却下となった。
「やっぱ似合わないな……」
部屋の姿見には、式典で着る服に、アルフレッドが装備していた、フェンリルのローブと世界樹の杖を装備した俺が写っている。
「そんなことないです。よくお似合いですよ」
「そうですよ!とっても格好良いです!」
「……似合ってる」
三者三様の感想を聞きつつ、姿見をもう一度見る。
うん、完全に服に着られていると、いった感じだ。
まぁ、仕方ないと思って諦めるか。
「………」
「…ふむ」
いつもなら、真っ先に声を上げるミラが、静かなので、チラッと見てみると、何か思い詰めた様な表情をしている。
あの日から、ミラは何かと考え込む事が多くなった。
いつも明るいだけに、こう静かだと、心配だ。
「ミラ、どうしたんだ?」
ローブと杖を外し、アリスに渡すと、ベッドに腰掛けているミラの横に座る。
「う~ん、……あのね、あの日の事を思い出してたの」
「うん」
膝に置いた手を見つめるように、視線を落としている、ミラがゆっくりと語りだす。
「私ね、お父さんは王様だから、国や、国民の為に一生懸命働いてるんだって、ずっと思ってたの……」
「うん」
「でもね、それは違うんだって、あの日、初めて知ったの。お父さんは、王様だからじゃなくて、お父さんだから、皆の幸せの為に、頑張ってたんだって……。
お父さんはいつもお兄ちゃんに、言ってたんだ。王とは国があるからこそ王であり、国は民がいるからこそ国なんだって。そして、国は民を守るためにある、だからこそ、王族である私達は、民を守るために
国を守るんだって。
私はね、あんまり頭が良くないから、お父さんの言うことは、あんまり分からなかったけど、それでも、
皆を幸せにするのが、私達の役割なんだってことは分かったの。
お父さんは、国民を笑顔にする為に、いつも一生懸命働いてた。
それでも、悪い貴族を処罰しないで、放って置いたこともあったの。
私は、それがすごく嫌だった。だけど、私以上に、お父さんの方は、もっと嫌だったってことが分かったの。
悪い貴族でも、利用価値があるから、放って置く。それのせいで、苦しむ人がいるけど、それ以上に多くの人が助かる。だから、お父さんは、我慢して、悪い貴族を放って置いたんだって。
全部を救いたいっていう願いは、王であっても叶える事ができないから、例え、悪を利用してでも、
大勢を助ける道を選んだお父さんは、凄いと思う。
だって、全部を助けたいのに、助ける相手を選ぶってことを、今までずっとやってきたんだもん。
とっても、辛かったと思うし、苦しかったと思う。
悪い人だって一杯、罰を与えたり、処刑をしたりだってしてた、でも、お父さんにとっては、その人達ですら、助けたい相手だった。
本当に、本当に……お父さんは、ずっと辛い事を我慢して、納得できない事でも、無理やり納得させて、
それこそ、心をすり減らして、頑張ってるんだって知って、私は、今まで何をしてたんだろうって思ったの。
お兄ちゃんがいるし、どうせ私は、王様にはならないから、勉強なんて頑張らくていいやって、遊んでる方が楽しいから、よく、勉強をサボって遊んでたの。
自分が楽しいと思ったことばっかりやってた、嫌なことだって、無理やりやらされたら、文句をいつも言ってた。
……、私、とっても悔しいの。
だって、お母さんが亡くなる時、私とお兄ちゃんに言ったの「あの人は、いつも苦しんでいるから、これからは、貴方達が、私の代わりに、あの人を支えてあげて」って、それなのに、私は、遊んでばっかりで、自分勝手で……、本当に、私は馬鹿だよね……」
いつしか、ミラは涙を流し、膝を強く、手で握っていた。
「そんなことは無いよ」
俺は、ミラの手の上に自分の手を重ねる。
「ミラは、いつも頑張ってたじゃないか。
俺は知ってるよ。
外の世界なんてよく知らないのに、アリスを助ける為に王宮を飛び出した、ミラの優しさを。
ゴブリン達に襲われた、友達を助けようとしたことも、フェルを助けようとしたことも、奴隷達にも優しくして上げた事も。奴隷達がすぐに馴染んで、皆が仲良くなったのは、ミラの明るさと優しさのおかげだよ。
俺は、いつもミラに感謝しているんだ。
俺とアリスだけじゃ、奴隷達は、あんなにすぐに、懐いてくれなりしなかった。
俺達の事を信じたりしてくれなかった。
だから、俺は、いつもミラに感謝してる。
ミラがいたから、こんなに大勢の人達を救える事ができたんだ。
だから、ありがとう、ミラ」
俺がミラに向かって微笑むと、ミラは泣きながらこちらを向く。
「でも、アリスちゃんを助けようとしたことで、皆に一杯迷惑をかけた。
アリスちゃんも結局はツキヒト君が助けた。
リュー達だって、フェルちゃんだって、皆だって、全部ツキヒト君が助けた。
私は何もしてない!」
泣き叫ぶミラに、それでも俺は、優しく微笑む。
「そうだね、でも、俺がいなかったら、ミラはリューやフェルを助けなかったかい?」
「そ、それは……」
「俺は、絶対に助けたと確信してるよ。もちろん、助けられたかどうかは分からない。
でも、絶対に助けようとしたはずだよ。無茶でも無謀でも、困った人がいたら、助けようとするのが、
ミラなんだ。真っ直ぐな心を持った、とっても優しい子なんだよ」
俺は、ミラの頭を抱き寄せる。
「でも、私、勉強を一杯さぼったよ」
「子供だったら普通なことだよ」
「嫌なことからだって、逃げたよ」
「それが優しくない理由にはならないよ」
「リューやフェルちゃんや皆を助けたのは、ツキヒト君だよ」
「俺はただ助けただけだよ。皆の心を救ったのは、ミラだよ」
「でも、私、ツキヒト君がいなかったら、きっと何もできなかった」
「俺だって、ミラがいなかったら、皆とこんなに仲良くできなかったよ」
「そんなことないよ、だって、ツキヒト君は、とっても強くて、とっても優しいんだもん。
私がいなくたって、全部上手くできた!」
ミラは自分が無力だと嘆く。
だが、それは俺が許さない。
だって、この子は、本当に優しくて、とってもいい子なんだから。
「それは違う。俺は、ミラや皆が思ってる程、立派な人間なんかじゃない。
確かに、皆を救いたいって気持ちはあるよ。でも、俺は、優しくなんかない。
アリスを買った時だって、フィリアを救うために使えると思ったからだ。
リュー達だって、助けたら、後々に何かの役に立つと思ったからだ。
フェルだって、もふもふしたかったからだし、信者を増やすために助けた。
奴隷達だって、そうだ。
なるべく悲惨な子を買って、信者を増やすために利用したんだ。
……そう、俺は、ミラと違って、ただ助けたいと思ったから助けたんじゃないんだ。
全部、自分の利益になると思ったから助けたんだ。
だから、俺には、真っ直ぐで、皆に優しいミラが、とても眩しいんだ」
ただ助けたい、そんな気持ちだけで助けた事なんて、今まであっただろうか……。
いつも、自分の利益を考えていた気がする。
全てを救いたいなんて、願いを持ちながら、なんともまぁ、矛盾した思考なんだ。
あぁ……、本当に、俺は、自分が大嫌いだ。
「……本当に、そう思ってるの?」
ミラの突然の問いかけに、俺はドキッとする。
「利益なんて無くったって、助けたんじゃないの?」
いつの間にか泣き止んだミラが、顔を上げ、俺を見つめる。
「それは……」
言葉に詰まる俺に、ミラは続ける。
「ツキヒト君は、例え利益が無くたって、困っている人が目の前にいたら、絶対に助けるよ。
人が人を助ける時に、理由や利益を考える事なんて、普通なことだよ。それは悪いことじゃない。
当然のことだよ。でも、フェルちゃんの時は、どんな子かも何も分からなかったのに、咄嗟に助けたじゃない」
ミラの瞳が、真っ直ぐと俺の眼を見る。
「あれは……、確かに、咄嗟に体が動いたけど……」
「そうでしょ。それに、非合法の人身売買の時だって、凄く怒って、すぐに助ける事にしたって、
ガラドが言ってたよ」
「………。」
「ねぇ、ツキヒト君。別に、わざわざ人を助ける為に、理由を作らなくてもいいんだよ?
別に、人を助けることは悪いことじゃないんだよ?なんで、そんなに自分を卑下するの?」
ミラを慰めていた筈が、いつの間にか、俺が追い詰められている。
………、いつからだろう。人を助ける事に理由をつけ始めたのは。
いつからだろう、自分をこんなにも卑下するようになったのは。
「ツキヒト君は立派だよ。こんなにもいっぱいの人を助けたんだもん。
胸を張ってもいいんだよ?例え、どんな考えがあったとしても、
助けたことに違いはないよ。ツキヒト君に救われた人がいることには、間違いじゃないんだよ?
ねぇ、フェルちゃん、ツキヒト君はフェルちゃんを助けるのに、信者にする為だって言ってたけど、
ツキヒト君を軽蔑する?」
ミラの問に、フェルは即答する。
「しません!絶対に、そんなことありえません!私はツキヒト様のお陰で、たくさんの幸せを貰いました。だから、そんな私が、ツキヒト様のお役に立てるのなら、喜んでこの身を捧げます!」
「アリスちゃんは?」
アリスも、ミラの問に、即答する。
「愚問です。私を絶望から救いあげてくれたのはご主人様です。
例え、ご主人様の計画の為に利用されようとも、この、今感じている幸せは、嘘ではありません。
それに、ご主人様は、私達に酷い事など、絶対になさらないお方です」
「フラウラちゃんは?」
ミラの問に、フラウラは少し首を傾げて、答える。
「ツキヒトは、私の為に怒ってくれた。
そして、私を絶対に幸せにしてくれるって誓ってくれた。
私は、それだけで満足」
3人の答えを聞き、ミラは、ほら見たか。という表情でこちらを見る。
「ね?誰もツキヒト君を恨んだりなんかしないし、ツキヒト君が酷い事をするなんて、
思ってもいないよ?それとも、ツキヒト君は、私たちに酷い事をするつもりなの?」
………。
あぁ、どうやら、俺には全く勝ち目が無いらしい。
「そんなこと、する訳がない……。俺は、皆が大好きだ……」
昔、小学生の頃、いじめられている同級生を助けた事がある。
俺は、理不尽が嫌いだ。暴力が嫌いだ。
だから、理不尽に暴力を振るわれる事が許せなかった。
俺はただ、皆で仲良くしたかっただけだった。
なのに、同級生を助けたら、今度は俺がいじめられるようになった。
もちろん抵抗した。決して屈してたまるかと思った。
でも駄目だった。
そうして、中学生になった頃には、人を助ける事に理由を探すようになった。
助けない事も多くなった。
年を取るにつれ、全てを救えないと理解し、理解してなお、救いたいと思い、そして、理不尽に押しつぶされた。
こいつらは、救う価値があるのかと、考えるようになった。
悪人は殺すべきだと思った。
だけど、それでも、救いたいという想いもあった。
『自己矛盾』
異世界なら、やり直せると思った。もっと素直に、なれると思っていた。
だけど、未だに、前の世界の事を引きずっている。
あぁ……、なんて俺は馬鹿なんだろう。
助ける事に利益を求めることは悪いことじゃない。
悪いのは、利益を天秤にかけて、助けないことだ。
「私も、ツキヒト君の事が大好きだよ」
俯く俺に、ミラが頬にキスをする。
「私もご主人様の事が大好きです」
続いてアリスも頬をにキスをする。
「私もツキヒト様の事が大好きです!」
「私も、ツキヒトが大好き」
フェルもフラウラも頬にキスをする。
「……そうか、俺って、やっぱり馬鹿だったんだな。
ミラのことなんか言えないな……」
自重げに笑う俺に、ミラが怒ったように言う。
「本当だよ!ツキヒト君は、もっと自分に自信を持つべきだよ!
ツキヒト君のやってることは、とっても良いことなの!
それに、もし悪いことをしようとしたら、私達が皆で止めるから、安心して!」
ミラの言葉に、今までずっと鉛のように重かった心が、少し軽くなった気がする。
俺は、きっとこれからも、損得勘定を考えて、行動するだろう。
だけど、例え損をするにしても、困った人を助ける。
悪人は、捕まえて、ちゃんと法に、則った処罰を与えさせる。
あぁ、全てを救うなんて、今の俺にも、未来の俺にも、きっとできないだろう。
でも、少しでも理想に近づけるように、頑張っていこうと、そう心に誓おう。
他の誰の為でもない、自分の為に。
「皆、ありがとう。少しは気が楽になったよ」
俺が皆に礼をいうと、ミラは少し不満げになる。
「少しだけなの?」
「あぁ、少しだけ」
そう、少しだけ、だけど、今はそれで許してほしい。
もうずっと、重かった心が、やっと少し、軽くなったんだから。
「じゃあ、私達が時間をかけてでも、もっと軽くしてあげるから、任せて!」
胸をドンッと叩くミラに、
「あぁ、頼りにしてるよ。俺も、皆をもっと幸せにできるように頑張るから」
そうして、俺達は、執事総括のシェバスに、明日のために早く寝るようにと、諌められるまで、笑いあい、話あったのだ。
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式典当日、まずは、俺のウィザードの称号の叙勲式を謁見の間で執り行い、その後に、王宮の会場にて、
婚約発表の後、パーティーをし、次の日には、王都でパレードといった流れになっている。
ウィザードの叙勲式は、前に公爵の爵位を叙勲した時と対して変わらないやり方だったため、
特に問題なく終わり、俺は無事に、世界最強の魔法使いの、ウィザードとなった。
ちなみに、世界最強とは、他の大陸も含めてなので、いちゃもんをつけてくる可能性があるのではと、
俺は危惧していたのだが、アルフレッドの強さ自体を既に、他大陸が理解していた為、それを倒した
俺が、世界最強を名乗っても、問題無いということだ。
もし、文句があるのなら、正式な決闘を申し込まれるという、手はずになっている。
まぁ、そういうことで、俺は本日から、ツキヒト・ウィザード・ガラヴィーゼ・フォン・アキヤマと言う
、長い名前になってしまったのだ。
今度から書類などにサインする時の事を考えると、面倒くさくてたまらない。
叙勲式が終わると、次は婚約発表となり、会場に向かうと、既に大勢の貴族達や、大富豪クラスの商人達、が大勢おり、俺達の登場を今か今かと、待っていた。
特に、俺達の姿を動画に収めるべく、フェルとエメラは、左右に別れ、ベストポジションをキープしていた。もちろん、この二人は、本来なら、この会場に入れる立場では無いが、俺達の使用人という立場な上、王の許可もあるので、例え公爵だろうとなんだろうと、文句を言うことはできない。
ちなみに、ウィザードの叙勲式の際は、アリスが張り切って動画を撮っていた。
なんか、入学式とか、体育祭の時とかに、ビデオを取られているのを思い出してしまった。
「はぁ、緊張する……」
入場の扉を前にして、俺は軽く息をつく。
これから、大勢の人達の前で婚約発表かと、考えると、胃が少々痛くなってきてしまった。
「わ、私もだよ……。というか、私、本当にツキヒト君と結婚しちゃうんだよね」
俺とよりさらに、ガチガチなミラを見ると、若干冷静になる。
「結婚じゃなくて、婚約な。といっても、ミラが成人すると同時に結婚だから、1ヶ月ちょっとの間だけど」
「そうだけど、ていうか、私達って、出会ってまだ、半年経ってないんだよ!半年前に、こんな事になるなんて、夢にも思わなかったよ!」
それに関しては、全く持って、同意見だな。
全く、世の中は不思議な事がいっぱいだ。
「私は、ミラちゃんと一緒にいるようになってから、いつかはこうなると思ってましたよ?」
俺の左隣で、控えるアリスは、さも、当然なように言うので、アリスの頭の中は一体どうなっているんだろう?と、少々本気で覗いてみたくなってきた。
「そうなの!?私は、アリスちゃんとツキヒト君の二人だけが結婚するとばかり思ってたから……」
「ミラは俺との結婚は、嫌なのか?」
俺の質問に、ミラは慌てて手と首を振る。
「そんなことないよ!とっても嬉しいよ!ただ、驚いただけだよ」
「そうか、俺もミラとの結婚は嬉しいぞ。もちろん、アリスとの結婚もだ」
「私もミラちゃんと一緒に家族になれるなんて、とても嬉しいです」
まさか、こんな美少女二人と結婚できるなんて、一番、夢にも思わなかったのは、間違いなく俺だろうな。
なんて、思っていたら、そろそろ入場するようにと、控えていた使用人に言われたので、俺達は腕を組むと、使用人によって開けられた扉に向かって歩を進める。
扉をくぐり、ゆっくりと階段を降りる。
キラキラと輝く会場。
大勢の人達が、ミラとアリスに眼を奪われる。
俺は若干得意げになりながら、階段を降りていると、左右から、スマホで動画を撮っている二人を見つけ、軽く微笑んでから、階段を下りきり、用意されている席へと向かう。
それからは、まずは、王の仕事だ。
王が招待客達に向かって、長い長い口上と俺達の事を説明し、祝辞を述べる。
それから次は、ミラの兄である殿下が、祝辞を述べ、それからは他の公爵等が、後5名程、祝辞を述べた後に、やっと俺達自身の挨拶が始まる。
「皆さん、本日は、私達の為にお集まり下さり、ありがとうございます。
私は、本日、ウィザードの称号を叙勲された、ツキヒト・ウィザード・ガラヴィーゼ・フォン・アキヤマ公爵です。こちらは、私の婚約者のミラ・アメリア王女です。そして、同じく、私の婚約者のアリスです。
貴族としても、王国の臣下としても、まだ新人ですが、そんな私に、王女であり、大事な娘を、婚約者として、許可して下さった王に、深い感謝を申し上げます。
そして、本日、私達に、祝辞を述べて下さった方々にも、深い感謝を。
そして、最後に、本日、私達の為に、お集まりになって下さった皆様方に、深い感謝を申し上げます。
どうか、私達の事を、末永く見守っていただけますよう、心からお願い申し上げます」
感謝の言葉を述べる終えると、会場から、凄まじい程の拍手喝采が響き上がり、
そうして、俺達の長い長い婚約発表会は、始まった。
「本日はおめでとうございます、アキヤマ公爵。私は、ヴァナリス・ゴーランド・フォン・ウェルダム伯爵です。この度は------」
「本日はおめでとうございます、アキヤマ公爵。私は------」
延々と続く貴族達の挨拶に、内心、辟易としながらも、俺は笑顔で挨拶を繰り返していく。
そして、結構な頻度で、アリスとミラに見惚れるだけならまだしも、胸をガン見していくやつらに、
イライラしていき、顔を覚えて、今度締めてやろうか、なんて事まで考え出すほどの、長い長い挨拶で
、結局、途中で何度か休憩を挟んだが、婚約発表会の終わる8時まで、俺達は、ひたすら、挨拶を繰り返して行くのであった。
そして、婚約発表会が無事終わって、王宮関係者以外いなくなった途端、俺達3人は机に突っ伏してしまう。
「この位で情けない。貴様は回復魔法で体力を回復できるのだろう?私の時など、そんな物を使わずに、やり遂げたぞ」
頭上から、かけられる声に、俺は、顔だけ上げ、王の顔を見る。
「回復魔法で回復できるのは体力だけだ。精神的な回復なんてできない。っていうか、今回ばかりは
普通にあんたが凄いと尊敬する」
完全に疲弊しきってしまっている俺達を見て、王は、もう部屋に戻って明日の為に寝るように言うので、
俺達は、まずは男女別で、衣装を脱ぎに行ってから、部屋に戻り、この日はろくに話しもせずに、泥のように3人で眠り、フラウラも、特に何も言わずに、一緒に眠っていた。
ちなみに、フラウラは、ずっと王の横で座っていたので、貴族達から様々な憶測がされていたようだが、
王が、どのように貴族達をあしらったかが、謎である。
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一日が明け、本日は王都全体での、パレードと、なっている。
昨日と違い、今日は、ただ、馬車に座って、手を降っているだけでいいので、随分と楽だ。
そう思っていた時期が有りました。
「やばい、顔の筋肉が攣りそうだ」
「私も、攣りそう……」
「私もです……」
王都は広い、ルートを決めているとは言え、王都のほぼ全体を、馬車でゆっくりと外側から内側へと、
回り、王宮に戻るのだが、朝の9時からパレードが始まり、王宮に戻ったのが夜の9時という、約12時間、ひたすら、馬車の上に座って、(トイレ休憩は俺のゲートを使って素早く済ます)笑顔で手を振り続ける俺達は、王都を何周かした後から、一周するたびに、あと何週あるんだと、精神的に、疲弊仕切ってしまっていた。
ただ、それでも最後までやり遂げれたのは、うちの子達が、俺達の晴れ舞台を見たいと、言うので、
王都に連れてきたからだ。
子供達の手前、疲弊や辟易している姿など、見せれないので、俺達はこの苦行を、見事、成し遂げたのだ。
ちなみに、皆には、ガラドやルーツ達以外には、うちの騎士団を少々と、王宮の騎士団が護衛をしていたので、無事に、誘拐などといった事もなく、屋敷に戻る事ができた。
後日に、ガラドから聞いた話なのだが、王宮の騎士団は、普段は奴隷達の護衛など絶対にしないのだが、
俺達の子という事もあり、少しでも粗相があったり等したら、即、首が飛ぶどころか、お家の取り潰しや、一族の首が飛ぶと、王に脅されていた為、必死に護衛をしていたらしい。
俺が、なんでそこまで王は言ったんだろう?と、ガラドに言うと。
「大将の関係者に問題を起こしたら、最悪、大将が他の大陸の臣下となる可能性とかもあるから、
王としちゃ、大将の機嫌を可能な限り損ねたくないからだろ?」との事だ。
それを聞いて、普段、人の事を馬鹿にするのに、そんな所で気を配るのかと、思ったが、
よくよく考えたら、たしかに、うちの子達を馬鹿にしたり、死ぬような事があったら、
たぶん、そいつらを死ぬよりも辛い拷問にかけ、王宮の対応次第では、他の待遇の良い大陸に移る可能性も、無くはないという、自分の考えに至った。
ふむ、やっぱりあいつは、俺の事をよく分かっているな、気持ち悪い。
なんにせよ、無事に、叙勲と婚約発表も終わり、屋敷でのパーティーも終え、久しぶりに、ゆっくりしようと考えていた矢先に、王宮から、獣人族が宣戦布告してきた。という、報が届いたのだ。




