昔と今の気持ち
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よろしくお願いします。
翌日、早朝から俺は、面倒事は先に終わらしてしまおうと、王宮にゲートを開き、王に謁見を求めた。
すると、何故か謁見の間ではなく、王の自室に呼ばれたので、使用人に王の自室まで案内されると、
そのまま中へと通された。
「おはようございます」
席に付いている王に、とりあえず挨拶をし、さっさと要件を済ませて帰ろうと思ったのだが、
そう簡単にはいかなかった。
「おはよう。とりあえず座れ」
一応、こちらは家臣であるので、王の座れと言われたら座るしかないので、王の対面の席に座る。
すると、即座にメイドさんが紅茶を入れてくれた。
やはり、王宮使えのメイドとなると、皆、美人、美少女ばかりで最高だな。
老人もいるが、男も女も格好良く年を取ったという感じの人達ばかりだ。
「こちらに来たということは、出来たということだな」
「はい、こちらになります」
アイテムボックスから、完成した防御に特化した指輪10個を机に並べる。
王はそれを一瞥した後に、俺に質問をしてくる。
「各種の説明と、魔石の有無等、あるなら教えろ」
当たり前だが、上から言うなぁ~。
どうも、この人苦手なんだよな。
偉そうだから、とかじゃなくて、生理的に苦手というか、なんというか、とりあえず苦手だ。
「左から順に、火・水・風・土・光・闇・精神・毒・魔力・物理に耐性を持っています。
全て、神代言語でエンチャントしてる上、一つ一つが私の魔力全てを注ぎ込んでいますので、何事もなければ1000年程、何かあっても100年位は魔力補給無しで起動します。装備してるだけで常時展開していますので、一々魔力を通す必要もありませんし、心配なら、ご自身で魔力を補充するなりしてください。
後、どの程度の効果というと、この前の災害級のドラゴン程度のブレスなら余裕で防げます。」
俺の説明に、控えている使用人達は驚愕しているが、王は眉一つ動かさず、ただ
「そうか」
としか、言わなかった。
流石に、この反応は予想してなかったので、思わず、「信じるのですか?」なんて、聞いてしまった。
「嘘なのか?」
「……、いえ、本当ですけど」
なんか、本当にやりづらい。
「悪いが、一つだけ形状を変えて貰えないか?」
「え?」
やりづいらいし、もう帰ろうかなと思ったら、王がそんなことを言い出した。
そこで、王が左手の薬指に指輪をしていることで、察することができた。
「分かりました。形状はどうします?一応、常に肌についている方が良いので、ブレスレット辺りが良いと思いますが」
別に肌に直接触れていなくても、効果は発揮するのだが、あまり離れすぎると、装備状態と認識されずに、効果が発動しないので、指輪という形にしたのだが、結婚指輪があるのなら仕方ない、と、ブレスレット型を提案してみる。
「それで頼む」
「分かりました」
俺は一番攻撃魔法としての効果が薄く、使用者が少ない闇耐性の指を取ると、アイテムボックスから、指輪に使ったミスリルを取り出し、ついでに装飾用としての飾り用にと、エメラルドと一緒に魔法で変形させ、ブレスレット型を作成し、王に渡す。
「本当に、なんでもできるのだな、お前は」
今の一連の流れを見ていた王が、感情の読めない顔でこちらを見つめる。
「そうですか?」
「あぁ、少なくとも、アルフレッドは、こんなことは出来なかった」
ふむ、アルフレッドか……、正直あまり思い出したくないな……。
「おい、席を外せ。それと、宰相に遅れると伝えておいてくれ」
王が、控えていた使用人にそういうと、室内には、王と俺だけになった。
「さて、報酬の件だが、フィリア神に関する情報をくれてやる」
………。
今、なんて言った?
フィリア神て言ったのか?
俺は、いきなりのことで、頭が混乱し、思わず聞き返してしまう。
「い、今なんて?」
動揺で震える俺の声に、王は淡々と述べる。
「フィリア神の情報をくれてやると言ったのだ」
今度こそ、間違いなく聞いた。
こいつはフィリア神と言った。
そして、その情報をくれてやると。
様々な疑問が頭を駆け巡る中、何故俺が、フィリアの事を知りたがっているかを聞くことにした。
「何故、私がフィリア神の情報がほしいと思ったのですか?」
自分でも分かるほど、声が動揺している。
「ミラから聞いた。お前の正体と、目的をだ」
ミラかよ!なにやってんだよあいつ!
「あいつは馬鹿だが、一生懸命なだけだ。許してやれ」
俺の心中を察したのか、王がミラをフォローする。
「それと、公の場では無いところでは、無理してそのような喋り方をする必要はない。普段、ミラ達と話す様な喋り方でいい。私もそのほうがやりやすい。特に、お前とはな」
………。
「分かった。こっちとしても、敬語とかは慣れてないから助かる。それで、情報とは?」
今まで以上に、真剣な表情になった俺は、王を鋭い目で睨みつける様に見る。
「それについては、ここでは言えん。今晩9時に来い、アリスとミラも連れてくるが良い」
時間指定?俺がいる限り傍聴等の危険等ないのだが、アリスとミラを連れてくる、ということに意味があるのだろうか?
「分かった。来る際はここに直接でいいのか?」
「それで構わん。人払いはしておく」
俺が頷くのを見ると、王はそのまま話を続ける。
「それとは別の話に移るが、内輪の問題もそろそろ片付いて来た頃なので、お前をウィザードの称号を与える式典を行う。それと同時に、ミラとの婚約もだ」
前者の話は予想できていたので、問題は無かったが、後者には疑問がある。
「結婚では無く、婚約なのか?」
俺がそういと、王は、顔を少し歪める。
「あいつはまだ14だ。来月の24日で15になり成人になるが、それを待ってから結婚だ。
そうでなければ、先にウィザードとしての式典を行った後に、貴族共がこぞって、お前にとの縁を繋ぐ為に娘を押し付けてくるぞ」
あぁ、なるほど。
ミラはそのための抑止力ってわけね。
ていうか、ミラが14ってことすっかり忘れてたわ。
日本だったら普通にアウロリで捕まってるわ。
「それは嫌だな。飛空艇でこちらに来る時でも、色んな貴族や商人達から声を掛けられたし……」
あの時の貴族達の必死さといったら……。
でも、連れてくる女の子は殆ど、美幼女、美少女だったんだよな。
あぁ、惜しい……。
「アリスも一緒に婚約はさせるが、あまり目立たせたくは無いので、式までには表舞台に立たせるつもりはない」
「そんな事をしたら、式の時に、皆驚くんじゃ?」
「アリスは、冤罪とは言え、元公爵家の令嬢で、奴隷だぞ。それを口実にグチグチ文句を言ってくる、輩が絶対に出てくる。まぁ、アリスのあの美貌を前に文句をつけるやから等、ただの嫉妬丸出しのばばあ共位しかいないだろうがな」
冤罪で処刑にしたのは、お前だろう。と、言ったらどんな顔をするのだろうな。
しかも、親友、家族同然と言える相手を、処刑か……。
「式典は3日後だ。それと、魔道具の報酬は、10年分割での10億リアにしておいて貰う。
こちらも、今は金が必要でな。避けない出費は抑えたいのだ」
別にお金に関しては困ってないので構わないのだが、式典は早すぎでしょう?
「式典が3日後と言うのは、急すぎだと思うのだけど?」
俺の不満と不安を、王は一蹴する。
「こちらの都合だ。現在も、お前を国家反逆罪だの何だのとのたまう、愚か者共をいい加減黙らせたいのでな。なので、いつでも式典を開ける準備はしていた」
国家反逆罪ねぇ……。
王の失脚を企ててるやつらの必死さがいい加減にうざいのだろう。
王なのだから、仕事は山積みだろうしな。
「まぁ、分かった。ミラも知っているのか?」
「まだ話してないので、帰ったらお前が伝えておけ。それと、式典の準備は追って説明する。
何、お前はただ用意された台詞と動きを役者の如くしとけばいいだけだ」
王が、意地の悪いような笑顔をするので、こちらも嫌そうな顔をする。
「……、ここらへんに何か舞台をやっているところはあるか?」
俺の質問に、王は眉を顰める?
「演劇なら、毎日のように王都でやっている」
「そうか、じゃあ当日、大根役者にならないための準備をしてくる」
そういって、俺はゲートを開いて王宮前にでると、門番達は驚いていたが、俺の顔を見て納得し、
そのまま演劇場を教えてもらうと、俺は演劇場に向かった。
演劇を見た結果として、無事に演技スキルlv5を手に入れたので、俺は屋敷に戻る前に、子供達や村の人達の為に、嗜好品。
お菓子や、香料、酒、あちらにはない食料等を買い込んでから、屋敷へと戻った。
ちなみに、見た演劇は、王都で今現在一番流行っているという恋愛物。
ロミオとジュリエットみたいな物だった。
あのジュリエット役の子、可愛かったなぁー。
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「ていうことで、今晩王宮に行くのと、3日後に式典があるから、よろしく」
屋敷に戻り、書斎にいるミラ達にあうなり、王との話を説明すると、全員が驚愕する。
「こ、婚約!?も、もうしちゃうの!?」
ミラが顔を真赤にしながら、イスから立ち上がる。
「みたいんだな。まぁ、もう夜を共にしてるし、別に今更だろう。そもそも、俺は遊びで抱いたわけじゃないぞ?」
俺の言葉に、ミラは更に顔を赤くして、両手で頭を抱えて、しゃがみこみ、うーうー言っている。
「ご主人様の式典……、これは動画で保存しとかないといけませんね!」
アリスがスマホを片手に意気込んでいるのを見て、
「あっ!私も撮ります!別々の角度から取りましょう!」
フェルまで乗り気だ。
二人共随分とスマホに使い慣れた様子だな。
あぁ、ちなみに、スマホは改造して、ちゃんと遠距離との通話が可能となっている。
ただ、通話相手を、大気中の魔力を辿ってからの着信となるので、あまり遠くにいると時間が凄くかかってしまう。
地球でいう、日本と海外のライブ映像みたいな物を想像してくれたらいいだろう。
これを使って、ピソールにいるマーク達と普段は連絡を取っているのだ。
スマホの充電自体は、魔石でも可能にしてあるので、充電が切れても安心だが、つい癖で未だに充電器を使って充電してしまう。
それから、昼食を取ると、ソニーと大人数名、子供達数名を連れて町に出る。
ソニーと俺以外は、俺が買ってきた嗜好品を町の皆に、おすそ分けしに行って貰い。
俺とソニーは、教会にいる、グレイニー神父の元へと向かう。
「本日は、急な訪問、申し訳ありません」
「いえいえ、領主様自ら、お越しいただき、恐縮です」
とりあえず、テンプレ会話を済ませると、教会内にある、教会の応接室へと案内される。
正直いって、かなり質素な応接室だが、こんな小さな教会では仕方あるまい。
ただ、ちゃんと手入れされているようで、ホコリ一つ落ちておらず、とても綺麗である。
「お話の前に、こちらをどうぞ」
俺が言うと、ソニーが手に持っていた、夫妻へのお土産を渡す。
これも、町の人達に送る物と同じ物だ。
「これはこれは、どうもありがとうございます」
グレイニー神父がそう言うと、奥さんのエンシーさんが、ソニーから土産を受け取る。
香料が入っているのを見て、奥さんが若干頬を緩ませるのが見える。
やはり女性は、こういった物が好きみたいだな。
あまり町の皆にも、施しばかり与えるのも良くはないとは思いつつ、今現在の町の貿易から考えると、
つい上げたくなってしまうのは仕方ないだろう。
「それで、本日は、町に学校を作りたいというお話だと伺っておりますが?」
アポを取る時に、事前に話の内容を伝えてるため、無駄な説明をせずに本題に入れるのは便利だ。
これからは、ちゃんとアポイントを取ってから、会うことにしよう。
「はい。私は、サニース、ピソールと町を見てきましたが、子供達の識字率と計算能力が低い事を知り、
このまま成長していけば、将来の選択技を狭めてしまうと感じました。
ですが、大陸にある学校は高額で、教会ですら、月に10万リアの寄付が必要と知り、このままでは、
この大陸は、いつまでたっても成長をしないと思いました。
もちろん、全くの成長しない事は無いのでしょうが、それは一部の教養を得た者達だけが、できる事であり、学校に行けず、家の仕事を手伝うだけの子供達は将来、成人したとしても、今まで学んだ数少ない事しか、できないでしょう。
しかし、多くの子供が様々な教養を得れば、親の後を継ぐ以外の、多くの選択技ができると、思っています。
子供は親の後を継ぐ物、特に、技術関係であれば、そうなるところも多いでしょう。
ですが、その技術においても、様々な知識があれば、新たな技術の発展の糧になると思っています。
そして、それがゆくゆくは、この大陸のみならず、世界の産業の発展に繋がると確信しています。
もちろん、知識が増えれば、良い物だけでは無く、悪い物もでてくるでしょう。
ですが、それは、子供達に知識を与えない理由にはならないと思います。
そして、子供達が将来、成人した後に、悪に走らないようにと、真っ直ぐ成長させるためにも、
我々、大人達が、学校で知識を与えつつ、清く正しい者へと成長させるべきだと思っております。
なので、こういうってはなんですが、今現在、この領は、辺境な上に、たいした産業が無く、
今の時期では家畜の世話を見る事くらいしか無いでしょう。
ですので、私がこの町に学校を作り、この空いた時間を使い、子供達に勉学を教え、そして、人としてのあり方を説きたいのです。もちろん、この時期だけではありません。可能なら、そのままずっと学校に通わし、知識を与え続けて行きたいと思っています。
学びたい意欲のある子には、私が、必要な人材であっても、物であっても、必ず取り揃えます。
ですので、どうかその為に、グレイニー神父のお力もお借りしたいのです」
俺が長い説明と熱意を伝えると、グレイニー神父は目を閉じ、今の話を頭の中でじっくりと考える様に
ゆっくりと大きく息を吸い、そして、ゆっくりと息を吐くと、目を開き、こちらを真っ直ぐに見つめる。
「領主様のお考えは分かりました。そして、私も領主様と同じ考えを持っています。
……いえ、領主様の方が、私よりもずっと多くの事を考えています。
私は、領主様の考えは、とても素晴らしい事だと思います。ですので、ぜひとも私にも協力させて下さい」
グレイニー神父はそういと、頭を下げる。
「ありがとうございます!神父様も同じ考えだったと知り、とても嬉しい限りです」
そうして、お互いに手を差し出し、硬い握手を交わす。
そして、それからどのようにしていくかと、話を詰めていく。
まずは、町長に説明し、その次に領民への説明となるだろう。
その席には、グレイニー神父にもついて貰う。
俺は、こちらに来てから、お土産等を送る程度の賄賂では無いが、それ以外に特にこれとした事を一切していない。
まぁ、まだ来てから1ヶ月しか立ってないから当たり前なのだが、そういった意味では、どの程度領民達に信頼されているか、分からないので、ぜひとも神父の協力を得たかったので、無事に成功して良かったと
心底ホッとしている。
昔から人と話す事があまり得意では無く、一言多かったり等としていたため、こちらに来てから、
多くの人と話す機会があったが、未だにこういった真面目な話をする時は、心配でたまらない。
多少変な事を行ったとしても、スキルがあるので、なんとかなるだろうが、できるだけそういった物を使わずに、こちらの本意をしっかりと伝えたいのだ。
後、式典と婚約の事を話したら、夫婦共々、とても喜んでくれた。
やっぱり、良い夫妻だなー。
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「無事に協力が得られて、良かったですね」
隣を歩くソニーが俺の顔を見ながら微笑んで言う。
「あぁ、俺って口下手だからな。本当に緊張したよ」
俺が両肩を落として疲れたアピールをすると、ソニーはクスクスと笑う。
「そうですね。話の内容だけですと、生真面目すぎるので、相手が悪いと足元を救われる様な内容ですが、とても熱意が伝わる、素晴らしい内容だったと私は思いますよ」
冷たい風に、ソニーの肩までかかる、ウェーブのかかった黒髪が揺れ、微笑む顔を見て、思わず胸がドキッっとする。
「どうかしました?」
突然黙る俺に、ソニーが不思議そうに首を傾げる。
「いや、そういう風に褒められたことは今まで無かったから、嬉しくてな」
そう言う俺に、ソニーがまたしても面白そうにクスクスと笑う。
「ふふ、褒めてるだけじゃありませんけどね」
「まぁ、そうだけど、やっぱり嬉しくてな」
なんだろう、前々から可愛いとは思っていたが、今日はなんだかいつもより可愛く見えるぞ?
3日後にアリスとミラ婚約して、来月にはアリスとミラと結婚するっていうのに、節操なさすぎだろ俺。
そのまま、俺達は仲良く、お喋りをしながら屋敷へと戻った。
書斎に戻ると、皆に、話し合いは成功と伝えると、皆も喜んでくれていた。
まだ、町長達との話合いもあるが、町にお土産を配りに行った子達からの話を聞く限り、
領民達の俺への高感度はやはり高いらしいので、問題ないだろう。
物で釣ってばかりで、なんとも心苦しいが、今、できることといったらそれくらいしかないので、
我慢しよう。
そして、その晩の夕食は、パーティーでもするのか?とうい程の豪華な物で、何か合ったのか?と、頭を悩ませていると、エメラに、
「ご主人様の、式典と、アリス様とミラ様の婚約の前祝いに加え、学校制作の第一歩の成功のお祝いですよ」
と、言われたので、とんだサプライズに、驚きつつ、皆で美味しく夕食を頂いた。
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「それじゃあ行くぞ」
時刻は夜の8時55分。
王との約束の5分前だ。
「はい」
「はーい」
俺はゲートを王の自室へと繋ぐと、アリスとミラの3人で行く。
「来たか」
俺達が来るなりそうそう、王が、席から立ち上がる。
「アリス、息災か?」
「はい。皆様にもよくしてもらっています」
アリスがそう答えると、王は目を細め、じっとアリスを見つめる。
「昔より更に魅力的になったが、やはり力が弱くなったな」
「え?」
王の言葉に、俺達3人は首を傾げる?
そして、王が俺に目を向け、一人で勝手に納得する。
「やはり、お前一人に強く愛情を向けているせいだな。だが、お前はよくそれで堪えていられるものだ」
「「「???」」」
何が言いたいんだろうか、こいつは。
「何を言ってるの?お父さん」
ミラが皆を代表して聞く。
「分からんなら構わん。それとも分かっていてその態度なのか、それとも、神の力が原因か……」
勝手に一人で納得する王に、ミラが怒る。
「もー!何一人で勝手に納得してるの!本当に昔っからそうなんだから!ちゃんと説明してよ!」
大声で叫ぶミラに、王は顔を顰める。
「ギャーギャー喚くな。人払いしている意味が無いだろう。全く、道中で説明してやるから、付いてこい」
そういって、王が部屋を出ると、俺達もそれに続く。
夜とは言え、廊下には転々と明かりがついているので、特に周りが見えないということも無いのだが、
人の気配が全く無い。ここまで人払いするとは、相当な機密なのだろうか?
「アリスは昔から多くの者に好かれていた。それこそ生まれた時からだ」
しばらくして、歩きながら王が、先程の話の説明をし始めた。
「赤ん坊が可愛く、好かれる事等な普通だが、アリスは異常だった。ありとあらゆる人間がアリスに魅了され、5歳になった時には、皆、アリスのお願いを断れる者はいなかった」
淡々と語る王の話に、俺達は口を挟まずに、静かに聞く。
「唯一、その異常性に気づいたのは、私だけだった。そして、アリスには、人を魅了する力があると言う事が分かった。その力は凄まじく、アリスを我が物にしようと、多くの者が、アリスを誘拐しようとした。
そして、その邪魔をし、アリスの愛情を一番受けている両親を、暗殺しようとする者も大勢いた。
私は、一日一日に増す、アリスの魅了の力に、このままでは危険すぎると考え、グリュースに、アリスを屋敷から出さず、必要最低限の人間しか、合わせないようにしたほうがいいと相談したのだ。
もちろん、グリュースもヴィオラもすぐに賛成した。二人はアリスに完全に魅了されていたからな。
一応言っておくが、魅了の力だけではなく、純粋に親としての娘に注ぐ愛情と心配もしかとあった。
そして、アリスの遊び相手はうちのミラだけになった。ミラにはどうやら、アリスの魅了の力は、
あまり効果が無かったのだが、それはミラの本質のためだろう。
アリスの振りまく好意は、まさしく凶器であった。
アリスが一度微笑めば、その者は至福を得、触れられれば、二度と離したくなる。
アリスを我が物にせんと、多くのものが争った。
食事の配膳をするだけだったメイドも、洋服を着せるだけのメイドも、少しでも関わる者は、アリスに心酔した。いつしか、アリスに接する者は、両親と、私とミラだけになった。
しかし、あのアルフレッドですら、惑わした魅了の力を持つアリスの愛情を、一心に受けているお前が、
正常なのが、不思議でならん」
王が足を止めると、振り返り、真っ直ぐに俺を見つめる。
「………。」
王がアリスの魅力の力にやられなかったのは、王自身の持つカリスマのスキルのおかげだろう。
王のカリスマスキルはlv5とアルフレッドよりも高い。
だが、他の者はアリスの魅了の力に対抗するだけの能力が無かった為に、そのような惨劇になったのだろう。
だが、俺はどうだ?
最初の頃、アリスの全身に負う怪我を治し、アリスを見た時から、俺はアリスの事で頭が一杯だったはずだ。
あの時のカリスマのレベルは確か1だったはずだし、魔防も対して高く無かった。
そうだ、だから俺はすぐにアリスを欲したんだ。
日本にいた時、あれだけ奥手だった俺が、あんな事ができたはずがない。
だが、レベルが上がるにつれ、アリスへの感情は激しい物から静かな物へと変わっていった。
これは、恋が愛に変わっただけだと、思っていたが、そうじゃなかったのかも知れない。
王は言った、アリスの愛情は俺へと全て注がれている、と。
それは……、つまり……、俺は、アリスが本当は好きじゃ……。
そこで、俺は心配そうにするアリスの顔が映る。
恐らく、王の言葉を気にしているのだろう。
自身の魅了の力のせいで、俺の意思に関係なく、自身を愛させているのだと。
俺は目を閉じ、アリスと初めて会った時から今までの事を思い出す。
たしかに、この上ない美少女だった。
そして、自分に対して一心に愛情を注いでくれた。
俺のために、なんでもしてくれた。
確かに、最初はアリスの魅了の力にやられていただけ、なのかもしれない。
でも、今は間違いなく、アリスの事が好きだ。
異世界に来て、フィリアとは早々に連絡が取れなくなり、寂しくて、辛くて、弱音を吐いた。
いつも不安で堪らなかった。魔物と戦うのも本当は怖かった。日本より治安の悪い世界で、殺されたり、騙されたりするんじゃないのかと、不安で堪らなかった。
でも、アリスが側にいたお陰で、俺は今まで頑張ってこれた。
女の子に弱いところを見せたくないという、ちっぽけで、吹けば飛ぶようなプライドも、
アリスがいたから守られた。
ずっと、俺を支えてきてくれた女の子、きっかけは魅了なんて力のせいかもしれない、
でも、今は違う。
「俺は、アリスが好きだ」
不安な眼差しのアリスの目が見開く。
「王の言う通り、今の俺は昔と違って正常だ。理由もちゃんとある。その上で、言う。
俺はアリスの魅了の力なんかではなく、ずっと、側にいて俺を支えてきてくれたからこそ、
アリスが好きになったんだ。きっかけは、魅了の力かも知れない、でも、今のこのアリスが好きだという
気持ちは、昔の好きだという気持ちと違って、俺の本当の気持ちだ」
そう、昔の気持ちは、本当に好きだったかなんて分からない。
でも、それは重要じゃない、今の、この気持こそが、本当の気持ちなんだ。
「ご主人様……」
アリスが涙を零しながら、両手で口を覆う。
「アリス、君を愛している。だからこそ、聞きたい。君は俺の事が本当に好きなのか?
俺には、カリスマという人を惹きつける能力がある。そのせいで、アリスは俺に心酔しているんじゃないのか?」
この質問は、正直に言うと、無駄だと思う。
何故なら、あの時の俺のカリスマレベルは1だったからだ。
だけど、もしかしたら、絶望から救ったという条件が合わさって、俺に心酔したのかもしれない。
そんな、不安がずっとあった。
「私は……、絶望していた、私を救ってくれたから、ご主人様に心酔していたのかもしれません。
ですが、日々、一緒にご主人様を共にするうちに、心に温かい物が溢れて来ました。
そして、いつしか、それが愛なのだと分かりました。」
アリスが両手を大切な物を抱くように胸に当てる。
「ご主人様は、いつも優しく、そして自分に厳しい人です。
別の世界にから来て、本当は心寂しかったはずです、不安だったはずです、辛かったはずです、魔物と戦う事も怖かったはずです、最初の頃は分かりませんでしたが、でも、ある時から分かるようになりました。
この人は、誰かの為に自分を犠牲にしてまで頑張る人なんだって。誰かの幸せの為に、頑張る人なんだって。それが分かった時、私はあなたに恋をしました。
一緒にいるだけで、胸がドキドキして、心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと、思うこともありました。
ミラちゃん達と仲良くしてると、嫉妬する事だってあります。
そのたびに、あぁ、私は恋をしているんだなって実感しました。
私も、最初の頃の気持ちは、ご主人様の能力のせいかもしれません。
ですが、今のこの好きという気持ちは、……紛れもなく本物です」
涙を流しながら微笑むアリスに、俺はゆっくりと近づき、優しく抱きしめる。
アリスも、それに答える様に、俺の背に手を回す。
そうして、アリスが泣き止む頃に、王が声を掛ける。
「そろそろいいか?」
……。
正直な所、まだまだ抱き合っていたいが、元々別の用事で来ているし、仕方ないとアリスと離れる。
「さて、まずはお前に謝らなくてはならんな。試して済まなかった」
「え?」
いきなり頭を下げて謝罪する王に、俺は唖然とする。
「さっきも話した通り、アリスには魅了の力がある。おまえはそのせいでアリスの事が好きなのかと思って、試したのだ」
その言葉に、俺は驚く。
「なんでそんな事を……」
俺の問に、王は、顔を顰める。
「何度も言っているだろう。アリスは我が子も同然だと。
自分の大切な娘が嫁に行くのだ。心配になるのが当然だろう」
あぁ、なるほど。
魅了のスキルの事もそうだし、俺が使徒であり、その力でアリスが俺の事を好きになっているのかと
心配だったのだろう。
「あ、あの……、お父さん。私は?」
場の空気に入りづらそうにしながらも、ミラが小さく手を挙げる。
「お前のような単純な娘は、わざわざ話を聞くまでもなく、こいつが好きだということくらい、態度で分かるわ」
「そんなー!」
暗い廊下に、ミラの大きな声が木霊する。
そんなミラには悪いが、俺はアリスと手を繋ぎ、二人で微笑むのであった。
これで一応、最初の頃のアリスへの夢中っぷりの理由が説明できたと思うのですが、
できたのでしょうか?
恋愛物とかも上手く掛けたかとかなり心配です。
まぁ、これからも、生ぬるい目で読んでください。




