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フィリアの信仰  作者: 緑茶おいしい
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エピローグ

ガバガバ設定

ぐだぐだ

行き当たりばったりなので設定が変わる可能性大

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よろしくお願いします。

ゆったりと冷たい波に流される感覚があった。

ゆらり、ゆらり、ただひたすらに波に流されて行く。

それ以外には、何も無く。

ただただ、冷たい波に流されて行く。


手を動かそうとした。

でも、手が動かない。


足を動かそうとした。

でも、足は動かない。


首を動かそうとした。

でも、首は動かない。


目を開けようとした。

でも、目は開かない。


それからしばらくして、自分に身体が無いという考えに至った。

『あぁ、なら動かないのは当たり前だ』

それからは、ただひたすらに、冷たい波に流されて行くだけだった。

それから一体どれほどの時間が立ったのだろう。

1時間?1日?1ヶ月?1年?それよりもっと長い年月が立ったのだろうか?

それとも逆に、1秒も時間が立ってはいないのだろうか?

次第に思考は失っていき、元々薄かった意識はもう消える寸前だった。

そこに、女の子の声が聞こえた。


「あー、忙しい忙しい、なんで最近こんなに一杯くるのかしら?

やっぱり、フィリアの喚んだっていう子のせいかしら?

あの子が来てから、魔族達は動き出すし、まさに戦乱の世の始まりってやつかしら?


えーっと、あなたは人族ね。

じゃあ次も人族になるから、安心しなさい。

ここでは、人は人、獣は獣、植物は植物、魔物は魔物に生まれ変わるんだから。

あたしの所に来たってことは、人か竜人か獣人かエルフかドワーフかホビットか、魔人だけなんだから。

あぁ、もちろん絶滅したら生まれ変わることは無いから、その時はおとなしく消滅しなさい。


ってことで、はいさようなら。

次の人生を楽しんで来なさい。


さてさて、次はどこのだれかしら?


ってあら、あなたはフィリアが喚んだ子じゃない!

まさか死んじゃったの!?

って、冥界にいるのだから死んでいるのは当然ね。


あーぁ、これで、この世界が消滅するのも時間の問題かしら。

後では皆に伝えなくちゃ。


さてさて、死んじゃったものは仕方がない。

大丈夫、安心しなさい!

例え異世界人でも、この世界で死んだからには、ちゃんとこっちの人間として、生まれ変わらせてあげるわ!


え、なに?生き返りたい?

ダメダメ!例えフィリアが喚んだ子だったとしても、それは出来ないわ。

だって、それがフィリアが決めたルールなんだもの。


死者は蘇らない。

そんな奇跡はこの世界には存在しないのよ。


って、あれ?なんで、あなたの言葉が聞こえたのかしら?

こんなの初めてね。

不思議だわ。全くもって不思議だわ。


ふーむ、仕方ないから少し調べてみましょう。


えーっと、どうやって視るんだっけー、長い事使ってないから全然覚えてないわ。

ラジーに聞こうかしら?あの子なら知ってそうだし。

それともリノ?やっぱりシノにしようかな?

う~ん、もう面倒だからフロマにしましょう。

あの子ならどんなことだって知っているでしょうし!


さぁ、そうと決まればさっそく、聞きましょう!


はーい、フロマ。元気にしてる?実はちょっと聞きたい事があるの。

えっ!ちょっとまって!


………、何よあの子!いきなり切ることないじゃない!

全く、本当にあの子は人の話を聞かないわね!


……、ちょっとフロマ!いきなり切らないでよ!

今回はちゃんとした理由があるの!


え、理由を早く話せって?

全く、フロマは本当にせっかちね。

って、ちょっと待って!切らないで!


はぁ~、全く、えっとね、フィリアが喚んだ子がいるじゃない。

そうそう、あの子。

その子が今、ここに来てるのよ。

え?知ってるって?全部視てた?


なによ!じゃあ私の要件も分かってたってことじゃない!

なんでさっき切ったのよ!


なんとなく、うざかったか?

……、あなた、本当に口が悪いわね。

たった5人の仲間じゃない。もっと仲良くしましょうよ。


え?私達とは管轄が違う?

それはそうだけど、私達はフィリアに作られた、世界を循環させるシステムなのよ?

役割は違えど、やることは結局同じじゃない。

ほらね?仲間でしょ?

だから、もっと仲良くやりましょう!


え?本題から話がずれてる?

あぁあぁ、そうだったわ。

でも、それはフロマにも責任があると思うのよ、私は。


まぁ、もういいわ。

フィリアが喚んだ子なんだけど、ここにいるのに声が聴こえるの。

私、こんな事、初めてだから、びっくりしちゃって。

それで、どうなってるのか外界の様子を見ようと思ったんだけど、操作の仕方が分からくて、

視れなくて困ってるの。

だから教えて頂戴!


え、あなたが直接教えてくれるの?

あらやだ、珍しい事もあるものね。

それで、一体どうしてなのかしら?


ふむふむ、なるほどなるほど、って!

えええええええええええ!

なにそれ、そんな事あるの?

現に起こってるって言われても……。


でも、結局は死んじゃったのでしょ?

やっぱり、ルールに従って、輪廻転生させるべきじゃないかしら?


この子がいなくなれば、世界が消滅する?

そんなことは分かっているわ。

でも、私達を作った創造主様のルールなのよ?


え、一発殴ってやりたくないか?ですって?

まぁ、そりゃこんだけ私達を放っておいて、腹は立つし、ほっぺたぎゅーってして、涙目にしてあげたいけど……。


他の3人の許可は取ってある?

なによそれ!私だけ除け者にしたってこと!?


え?私の管轄だから、自分で勝手に調べると思った?

なのに、操作の仕方が分からなく無っているのが悪いって?

うー、確かにそれを言われちゃ仕方ないわね。


それで、結局どうするの?

うんうん、分かったわ。

でも、そんな事が可能なんて、異世界の技術は凄いのね。

え、こんなのはたまたまだって?

物凄い確率の奇跡かー。

そりゃそうね。普通はそんなことしたって生き返るわけないもの!

だって、魂は私達が管理しているのだから!


って、ことで、元の身体に戻しちゃっていいのね?

もうやっちゃうわよ?


え、早くしろって?

はいはい、分かりました。


ほら、あなた。喜びなさい!

死者は復活しない。

それがこの世界での絶対のルール。


でも、どうやらあなたは死んでるけど死んでないみたいよ。

なにそれって感じだけれど、分かりやすく言うと、9割9部が死んで1部が生きてるってことよ!


だから、完全に死んでいないあなたは生き返れるの!

さぁ、喜びなさい!

こんなこと、この世界が出来てから初めての出来事よ!

といっても、本当はやっぱりあなたは死んでいるのだけれどね。

だけどあなたの魂は今とっても面白い事になってるのよ!

だから死んでいるけど死んでいないという状態になっているってだけ。


だから、一応言っておくわ。

こんな事は、もう二度と、絶対に起こらないわ。

だから、次は死なないように、フィリアや私達の為に精々頑張って生きなさい。


それじゃいくわよ!

あー、こんな事初めてだから、ドキドキしちゃう!

えーっと、確かこういう時に唱える魔法の言葉があったはずよね。

なんだったかしら……あ、思い出した!

それじゃいくわよ!


『リザレクション!』


冷たい波が、暖かな波へと変わる。

そして、女の子の声が段々と遠ざかっていくのを感じる。


さぁ、行ってらっしゃい!

次に会う時は、老衰だといいわね!


--------------------------------------------------------------------------------------


瞼に光を感じる。

眩しくて、思わず顔を顰める。

鼻で大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す。

頭はぼーっとしてして、思考が定まらない。


ただ、何か夢を視ていたのだけは覚えている。

でも、どんな夢だったのかは思い出せない。

まぁ、夢なんてそんなものか……。


俺はゆっくりと、瞼を開けると、見知らぬ天井が見えた。

次に、首を横に向けると、窓から日差しが室内に入り込んでいた。

カーテンが開け放たれていたので、眩しかったのはそのせいだろう。

窓際の小さな机の上には、花瓶に花が飾られており、綺麗だなぁ~と見ていると、


ガチャっと扉の開く音がした。

俺は首だけをそちらに動かすと、小さな花束を持ったアリスが立っていた。


アリスは、驚き、目を大きく見開くと、持っていた小さな花束を落としてしまった。


「ご……、ごしゅ、ご主人、様……」


「おはよう」と声を出そうとして、うまく声が出ない事に気づいた。

心なしか、視力も下がっているようだ。


「ご主人様!!」


アリスが駆け寄り、ベッドに寝ている俺に、強く抱きしめた。


「ご主人様!ご主人様!ご主人様!」


何度も泣きながら俺を呼ぶアリスに、重たい手をなんとか持ち上げ、アリスの頭を撫でてやる。

すると、一層アリスは泣き出してしまった。


「…あ、……り……す」


なんとか声を出すことが出来た。


「はい、アリスです!ご主人様のアリスです!本当に、本当に良かった……」


俺に、首筋に顔を埋めて、泣きじゃくるアリスの声に誘われたのか、


「アリスちゃん!?ツキヒト君が起きたの!?」


廊下を走る音が聴こえると思ったら、部屋を通りすぎてしまったのか、「わっ、っちょ!?」という声が聞こえ、少ししたら部屋にミラが入ってきた。


「ツキヒト君!!」


部屋に入ってきたミラをしっかり見据える俺を見て、ミラが大きな声を上げると、ベッドに近づき、抱きしめたいのだろうが、アリスが俺を抱きしめているため、手を握る事にしたみたいだ。


「ミ、…ラ」


どうも、喉の調子がおかしい。

視力も下がってる事から考えると、長いこと眠っていたのだろう。


それから、アリス達が俺を抱きしめていると、メイドが部屋に来て、俺が起きた事を医者や神官等を呼びに言ったので、それからは、しばらく慌ただしかった。


目を大きく開けられたり、口を開かされたり、意識がはっきりしているか、記憶があるか、身体が動くか、回復魔法をかけられたり、祈られたり、等など、1日かけて色々と調べられたせいで、

ただでさえ、起きたばかりでぐったりなのに、余計に疲れてしまった。


だが、おかげで、終わる頃には意識がはっきりとし、記憶も戻ってきた。


喉と視力に加え全体的に筋力が衰えていたので、時魔法で治すことにした。



「あれ?」


何か、前よりも魔法の流れが強くなった気がする。


「どうかしました?」


隣で甲斐甲斐しく世話を焼いてくれているアリスが、心配そうに聞いてくる。


「いや、何でもないよ。それより、俺は確か、死んだと思ったんだけど……」


そう、たしかに心臓が完全に破壊されていたはずなので、てっきり死んだと思ったのだけれど、


「それは……、私にある奴隷紋に反応があったので、ご主人様に何かあったのかと思い、急いで駆けつけ、重症のご主人様を私が、治したのです」


俯きながら言うアリスを不思議に思いながらも、


「そうか、ありがとう、アリス」


きっと、心臓が破壊されてから、そう時間がかからないうちに治してくれたから、助かったんだなと、

納得した。


でも、アリスに部位欠損など治す事等できたのだろうか?

まぁ、今まで試す機会も無かったし、アリスもちゃんと暇を見つけては魔法の練習をしてたから、

きっとできるようになっていたんだな。


「いえ、ご主人様の奴隷として当然のことです」


微笑みながらもどこか陰を感じさせる笑顔で、アリスが答える。


「そう、ところで、俺はどれくらい眠っていたんだ?」


場所は既に王宮の客室ということは分かっている。

ただ、自分がどれほど眠っていたのかが、まだ聞いていなかった。


「丁度1ヶ月です」

「そうか……、最近、随分と忙しかったから、疲れが溜まってたのかもしれないな」


俺の軽い冗談に、アリスは少し驚きながらも


「そうですね。ご主人様はずっと頑張っておられましたから」


クスリと笑った。


「皆はどうしてる?」


屋敷の皆が心配だ。

今回の事は事情が事情とは言え、国家転覆罪となっても可笑しくない出来事ではある。

幸い、王女であるミラがいるから最悪な事にはならないだろうが、もしかしたら屋敷の皆にも何か及んでいるかもしれない。


「あの後、3日後に王宮にある転移道具を使ってピソールの領主館へと、戦いの結果とご主人様のご様態、

そして、しばらくこちらで様子を観るという内容の手紙を送った後、1日をおかずに、屋敷にそのまま全員残るという内容の手紙が返ってきました。


「全員て、地下組の子達も?」

「はい」


………。


「王を洗脳していた彼を倒したとはいえ、ご主人様は現在、微妙な位置に立たされています。

一部の貴族では、国家転覆を目論でいる等申していますし、王自身が、自分がアルフレッドに洗脳されていたということを、他の者達に話したので、王自身の立場も危うくなったり等、現在、王宮の内政はとても騒がしい状態なのです」


「じゃあなおさら、さっさと返して、俺との関係を切ったほうがいいと思うんだけど……」


俺の不安げな顔に、アリスが微笑んむ。


「大丈夫です。王は、全ての者の弱みを握っております。それに、王は民への信頼も厚いので、今、王を責め立てる愚かな貴族は、後々、取り潰されるか、不幸な事故に合うでしょう。

それと、王は、ご主人様に感謝をしておりますので、爵位の取り上げも領地の取り上げも行わないと申しておりました。ただ……」


そこで、意味深にアリスが言葉を小さくする。


「ただ?」


アリスは、非常に困ったような顔をしながら、見たことを話してくれた。


「王が、ご主人様を一度見に来たのですが、その、何故か、一目見て、物凄く嫌そうな顔をしていたので……」


「嫌そうな顔?もしかして、ミラを連れ回してたからか?」


大事な娘を連れ回してる男なんて、そりゃ嫌だろうしな。

そう思っていたのだが、アリスがそれをすぐに否定した。


「いえ、それはありません。逆に娘が迷惑ばかりかけただろうからな、すまない。と謝られてしまいました」


ふむ、まぁ色々助けられた事もあるが、迷惑も色々かけられたことは確かだな。


「じゃあ、なんで?」

「それが、私も詳しくは分かりませんが、ミラちゃんが言うには、偶にあることだそうです。

だからといって、嫌がらせをしたりとかそういったことは無く、結果に応じてちゃんと出世をさしたりなどしていると」


ふむ、謎だな。


「あっ」

「どうかしました?」


急に声を上げる俺に、アリスが心配そうに声をかける。


「いや、なんとなくわかったかもしれない」

「本当ですか?」

「あぁ、心当たりはある、最初にあった時に違和感を感じたんだが……、まぁ、今度あったら分かると思うよ」


俺の、曖昧な答えに、アリスは「そうですか」と、だけ返した。


とりあえず、その日はもう寝るには少し早かったが、色んな人達にあれこれと調べられて疲れたので、

寝ることにした。


アリスは、俺がまた目を覚まさなくなるじゃないかと心配しているので、一緒に寝ることにした。


-----------------------------------------------------------------------------------


「それで、俺は何をしたらいいんだ?」


部屋で朝食を終えると、ミラがやってきたので、一応、王女なんだから俺のする事位把握しているだろうと、聞いてみる。


「とりあえずは、お父さんとの謁見だね。着替えたらすぐ来るようにって言ってたよ。

あと、今回の件に関しての罰は一切無いけど、恩賞は、現在の内政状態じゃ出せないから、しばらく待てって。まぁ、とりあえず、顔合わせだけですぐ終わるから」


………。

どうしよう、ミラが賢く見える。


「……、そう。それじゃあ、もうすぐ行くってだけ言っといて」

「わかったー」


ミラが部屋を出ていくのを見て、俺は用意されていた、まさに貴族が着るといった服を着ようと思ったのだが、結局どうすればいいのかわからないので、メイドさんが手伝ってくれた。


その時のアリスの悔しそうな表情は珍しかったなぁ~。


「じゃぁ行くか」

「はい」


アリスは俺より先に、ドレスへと着替えており、俺が着替え終わると、一緒に役人に連れられて、

謁見の場に向かった。



室内にいる人数は少なかった。


王と王子、ミラ、宰相、役人数名、に俺とアリスだけだ。


どうやら非公式の謁見みたいだな。


そして、また玉座より5m程のところで止まると、今回は膝をつかなくていいと言われているので、

そのまま立ったままだ。


そして、そのまま王の顔を見ると、俺はやっぱりあのときの違和感は正しかったと再認識した。


あぁ、こいつは俺という人間にとっての天敵であると確信した。


「よく来たな、アキマヤ卿。先月はよく、暴走したアルフレッドを止めてくれた事に感謝する」

「いえ、私はこの国の臣となったのですから、当然の事をしたまでです」


テンプレ通りの答えに、王は嘆息する。

若干イラッとしたが、我慢我慢。


「さて、今回、貴殿の起こした問題は、アメリア大陸の切り札である、アルフレッドの殺害となっており、それすなわち、国家転覆を目論んでいるという貴族も多数いるが、それについては、アルフレッドの暴走と、洗脳されていた私達の失態であると、言うことであり、貴殿には、むしろ国を救ったという英雄という扱いになる。そして、この機に乗じて、王政を乗っ取ろうとするもの、内政を掌握しようとする者等多数出てきたので、丁度いい機会として、邪魔な奴らは全て処理するつもりだ。

なので、貴殿は何も心配せずにいたらいい。むしろ、よくやってくれたという感じだな」


王が物凄く悪そうな笑みを浮かべるので、若干引いてしまう。


「それで、結局私はどうしたら?」

「そうだな。あまり長くなっても面倒だから簡潔に述べていくぞ。

一つ、公爵として領地の運営をする。

二つ、他派閥からの声は片っ端から無視をしろ。曖昧な返事等もするな。

うちの官僚を一人つけるので、他の貴族や大富豪達と会う時は必ずそいつと共にし、そいつに任せておけ。

三つ、アルフレッドの代わりに、災害級の魔物・及びそれに準じる災害等が起きた場合の解決。

四つ、アルフレッドの代わりに、私の護衛をしてもらいたいが、どうせ断るだろうから、私の身を守る

神器級の魔道具の作成をしろ。

五つ、ミラを嫁に迎えろ。

以上だ」


王の最後の言葉に、ミラが顔を真赤にして吠える。


「ちょっと!お父さん!ななな、なに言ってるの!?」

「何とは、お前がアキヤマ卿と結婚しろと言ったのだ。お前はそいつの事が好きなのだろう?」


王は、何言ってんだこいつ?という顔をしながらミラを見る。


「すすすす、好きだなんてそんな!そもそもツキヒト君にはアリスちゃんが!」

「別に貴族が多数の嫁を迎えるのなど珍しくも無いだろう。アリス、お前はどうだ?」


王がアリスに顔を向ける。


「はい。ミラちゃんなら全然構いません」

「アリスちゃん!?」


アリスを見て驚くミラなのだが、どうもこうも俺の意思に関係なく話が進んでいる。


「あの、俺の意思は?」


一応、確認しておこう。


「なんだ、ミラでは不満か?」

「いえ、お前にはやらん!と言われても勝手に貰うつもりでしたけど」

「ツキヒト君!?」


俺の爆弾発言に、ミラが驚愕する。

まぁ、ミラが俺に好意を持っていることは分かっていたし、アリスに遠慮している事も分かっていた。

そして、俺は貴族で一夫多妻がOKになったわけだし、遠慮する必要も無くなったので、万事OK。

一夫一妻が普通だった日本ならまだしも、異世界の貴族で一夫多妻がOKで、お互いが納得しているのなら

問題ない!

ということで、俺は念願だったハーレムを、合法的に作れる事になったのだ!

やったー!


あっ、また今、すごく怖い笑顔のフィリアが見えた気がした。


「ミラ、お前は頭が良くない上に、お転婆で、王政や内政に関わらせる事も難しい。

なら、せめて王族の役目として、現、世界最強の魔法使いの嫁となって、国とそいつを繋ぐ役割になれ」


王が、真面目に王国の事を考えてのことだと分かると、ミラ自身も王女としての自覚もあるらしく、

一応は納得したみたいだ。


「で、でも、ツキヒト君とアリスちゃんは本当にいいの?」


心配そうに上目遣いで聞いてくるミラにアリスは。


「はい、私は二番目でも構いません。ミラちゃんになら正妻を譲りますよ。形だけですけど」


おっと、思っていた展開とは全然違う方向に行ったー!


てっきり、俺達との間に入るのがいいのかと、聞いてるのかと思ったら、そうい話だったのか。

ていうか、今のアリスの笑顔で発する言葉にはびっくりだわ。

さすがに、ミラも驚いたのか、


「わ、わかってるよ……」


ふむ、二人で勝手に話を決めてしまったが、3番めはフェルになるんだろうな。


「話はまとまったな。とりあえず、アキヤマ卿はミラと婚約という形でしばらくいてもらう。

正式な発表と式は、今のごたごたがある程度済んでからにしよう

一応聞くが、他にも嫁にしようと思っている者はいるか?」


王の言葉に、ギクリとしつつ、正直に答える。


「えぇと、10歳の獣人の子なんですけど……」


王は俺の言葉を聞くと、少し渋い顔をする。


「獣人は別に構わんが、成人していない者との結婚は流石にできんので、結婚自体は成人してからにしろ」

「分かりました」


ごもっともな事を言われてしまった。


「それと、式をする際には、ミラとアリスを同時に行おう。二人を同時嫁にすれば、貴殿と自分の娘をくっつけようと考える愚か者も減るだろう。まぁ、貴殿が望めば別だが、あまり考えなしに娶ると、面倒が増えるから気をつけておくことだな」


王からのありがたい助言に素直に感謝しよう。


「はい、肝に命じておきます」


「それで、何か質問はあるか?」


先程の内容を思い出しながら、一つだけ気になった事があったので聞くことにする。


「4つ目ですが、神器級と言うのは流石に難しいんですけど」


前回作った俺の装備で、最大で30%なのだ、もちろん良い素材があれば別だろうが。


「それは貴殿の腕の話か?素材の話か?」

「うーん、腕も多少あるでしょうが、やはり素材の話ですかね」


ただの銀で30%だせるなら、もっといい素材なら更に高い効果を発揮できるという自信はある。


「なら、宝物庫にある素材を好きに使って構わん。とりあえず、各種耐性のついた物、防御を強くする物

を作ってくれ、特に毒物と防御に対する物は可能な限り早く頼む。形状は指輪が好ましいな」


おぉう、簡単に言ってくれるなこいつ。

エンチャントの大変さを知らないな?

まぁ、そんなことを言ったら、貴殿こそ王政の大変さを知らないな?と返されそうなので止めておこう。


「わかりました、それでは後で宝物庫の方に行ってみます。あぁ、あと、領地経営なんですが、

ド素人なので、資料等を貰ったのですが、それだけでもどうしていいのか分からないので、人材をほしいのですが」


そう、領地経営だ。

街づくり自体は大体どうすればいいかは、分かる。

だが、帳簿やら資料やらなんやらとかは絶対に分からない、なので分かる人がほしい。


「それについては、最初から用意している。もう既に、領にて最低限の準備はしているだろう。

何、安心しろ、皆一流の物だ。人柄も悪くない。ただ、給料は高いぞ」


お、おう。この王、できるな……。


「分かりました。質問は以上なんですが、一度、ピソールの屋敷に戻ってもいいですか?

皆に顔を見せてあげたいので」


いくら手紙を送っているとはいえ、やはり顔を見せたほうが安心するだろう。

俺も皆の顔を見たいし。


「あぁ、構わん。むしろ、しばらく戻ってこなくていい。貴殿がいるほうが、派閥関係で邪魔になる。

とりあえずは、宝物庫に行き、必要な素材を取ったらそのまま戻れ。あぁ、先程いった役人も連れて行け。ソニー!」


「っは!」


王の呼びかけに、控えていた役人のうちの一人、ソニーが俺の前にやってきた。


「本日から、アキヤマ公爵の下で働かせて貰います、ソニー・アルメシア・フォン・シャンリー伯爵です。以後よろしくお願い致します」


そう言って、ソニーと言う、栗色の肩までかかる長さのウェーブのかかった髪に、鳶色の瞳をした女性が

挨拶をする。


「ソニーは17と若いが、王都の官僚育成の学園を飛び級で卒業している。なので、安心しろ」

「若輩者ですが、既に2年と内政に関わった仕事をしておりますので、安心して下さい!」


あまり豊かではない胸に手をあて、自信の高さからか若干得意げな表情をしている。


「あぁ、あと、抱きたいなら抱いても構わんぞ。それも仕事に入っているからな」

「「「えっ!?」」」


王の発言にアリスやミラ以外にもソニーまでもが驚いている。


「それは、ハニートラップ的な意味で?」

「そうだ。貴殿の力は一大陸を及ぼすからな、ベッドの上で少しでも怪しい発言があれば伝えさせるという事だ」


あぁ、やっぱりそうだろうな。


「当の本人は全然理解してなかったみたいですが?」

「お、王よ……これは……」


身体を震えさせながら、王に顔を向けるソニー。


「仕事だ」


短い言葉で終わった。


「……はい」


ソニーは諦めた表情でうなだれる。

なんつーか、ご愁傷様。


「何、ソニーは今は17だが、働きだしたら年月等あっという間に進んで、気づいた時には行き遅れだ。


なんか、王様が凄いこと言ってるんですけど?


「それって、結局俺に娶れって言ってるってことだよな?」


おっと、思わずタメ語になってしまった。


「別に好みでないならそれはそれで構わんが、若い女を使うということは、そういとこにも気を配れという事だ」


さいですか……。


「あー、ソニーさん。まぁ、とりえあえず、よろしくお願いします」


俺が右手を差し出すと、ソニーが若干強張った表情で握手をする。


「こここ、こちらこそ、誠心誠意頑張って働かせて貰います」


あ、この子絶対処女だわ。なんて思いながら、謁見は終了したので、そのまま宝物庫に行き、

アダマンタイトやミスリル等と言った鉱石を適当に見繕って、ゲートを使ってピソールの屋敷に戻ってきた。


「あーーーー!ご主人様だー!」


丁度庭園をいじっていたミリスが一番に俺を発見すると、そのままダッシュで俺に飛び込んでくる。


「おかえりなさい!ご主人様!」

「ただいま、ミリス」


俺は、優しくミリスの頭を撫でると、嬉しそうに目をつむる。


「ごごご、ご主人様ーーー!」

「あー!本当にご主人様がいるー!」

「「「ほんとだー!いそげー!」」」


エメラに続き、フェルに子供達や、他の奴隷達が、全員庭に走ってやってくる。


皆が庭に集まり、綺麗に整列すると、先頭に立つエメラが、頭を下げる。


「おかえりなさいませ、ご主人様!」


そして、それに続くように、後ろの皆も頭を下げる。


「「「おかえりなさいませ、ご主人様!」」」


そして、全員が頭を上げると、俺は胸に募る幸福な思いを持って、皆に聴こえるように、大きな声でこう言うのだ。


「ただいま!皆!」



1章の最終話です。

正直な所、書いてて思ったのですが、この1章はどちらかというと『フィリアの信仰』とうい話の中では

プロローグの位置づけなのでは?と思っています。

なので、2章からが本番といった感じになってくるのかもしれません。

結局行き当たりばったりのガバガバ設定でやっていたせいですね。すみません。


2章からは、もっと語彙を増やし、上手く文章を書け、なおかつ面白い物が書ける様に頑張って行きたいと思います。


今までありがとうございました!

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