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フィリアの信仰  作者: 緑茶おいしい
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買い物!

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よろしくお願いします。

広大な大地に聳え立つ白亜の王宮。

外壁から内部にまでに至る壁は白と金細工で統一されており、まるで無垢と神々しさを表しているかのようだ。

内装に至っては、必要最低限の調度品と細工。いや、黄金比と言われれば納得してしまう程の手の加えようが無いと思える程、完璧な仕上がりになっている。その様は、大陸一の王宮に相応しい荘厳にして威厳に満ちている作りになっている。しかし、そんな王宮の中にも、一歩踏み出せば燦爛という言葉がふさわしい色彩豊かな庭園があり、初めて訪れた者なら、その素晴らしさに眼を奪われ、足を止めててしまうだろう。


そして、その荘厳にして威厳と憐憫の堺の通路を一人の男が、カツカツと音を立てながら、足早に通っていく。


「ついに来たか……」


男は、180cmほどの背丈に、茶色の髪は背中半ばまで、顔立ちは整っており、鼻はスラッと高く、眼はくっきりとした二重に、炎のような赤い瞳。睫毛も長く、唇もきれいなピンク色をしており、背丈がもう10cm程低ければ、女性と間違えられてしまうだろう。

右手に世界樹の枝から作られた杖に魔法の威力を上げるために加工された高純度の魔石を先端につけている。

彼の纏う白銀のローブは遥か昔、神々の時代に作られた、三つ首の銀狼の毛から特殊な技法で編まれた物であり、2万年たった今でも消して汚れることも無く、光が当たるたびに綺麗な白銀を煌めかせる。そして、ローブの左胸には、杖と本を合わした勲章が付けられていた。



男が足を止めると、目の前には高さ5mはある門があった。


「陛下にお目通りを願いたい」


男が短く伝えると、門の両側に待機していた白銀の甲冑を着た二人が、すぐに門を開く。

門を開き終わるのと、男は玉座まで続くレッドカーペットを歩いて行き半ばまで来ると、男は片膝をつく。


「陛下のご命令により、只今帰還いたしました」


謁見の間には、2つある椅子のうち、一席に白髪混じりのオールバックに赤い宝石が埋め込まれた金のサークレットを付けた30代前半の男が座り、後はその側に控えるように背の高い赤いローブを纏った男がいるのみ。


「よく戻った。アルフレッド卿」


陛下と呼ばれた男は、セリウス・アメリア。

アメリア大陸を纏める唯一の国王である。


「っは。それでは、陛下。災害級の魔物が現れた今、私に即時帰還しろとの命の理由をお聞きかせ願いたいのですが」


国王に名を呼ばれた男は、アルフレッド・ウィザード公爵。

世界最強の魔法使い『ウィザード』の称号を持つ者である。


「ピソールから災害級の魔物のレッドドラゴンが出現したとの報が来た後、2時間後に、

たった一人の男が、それを倒したと言う報が届いた」


王の言葉に、アルフレッド苦虫を潰した顔をしながら内心で「やはりか……」と呟いた。


「それでは、その者は王宮に召喚するのですか?」

「そうだ。既に転移魔道具にて、召喚の要請の書状を送っている」


現在では、転移魔法は神大の魔法とされているが、各所で見つかっている遺跡から、神大の時代の

魔道具が幾つも見つかっており、その中には手紙サイズの物なら送受信できる魔道具もある。


しかし、その数は世界中で100も満たぬ数であり、基本的には、王宮や、大陸の各都市の中継地点とされる場所に配布されているが、この存在を知るものは極々一部の物だけである。


本来、この場には今回の騒動によって、自らの騎士団等を出す予定だった者、静観して、どの派閥につくか等、どの程度手を出すを決める者、といった貴族達や、護衛の騎士団達がいるはずなのだが、

転移魔道具によっての通信手段がある事を隠す為に、ここにはその存在を知る3人しかいないのがその理由だ。


もちろん、その事実を知って黙っている者等も多くいることは3人も理解している。

だが、悪用や盗難を防ぐために公にはされてはいない。


「そうですか。では、私は一度領地に戻ります」

「分かった。1ヶ月後に件の冒険者はやってくる。それまでに準備はしておけ。」


王の言葉に返事を返さず、アルフレッドは立ち上がると、踵を返し謁見の間を後にした。


------------------------------------------------------------------------------


「あー緊張したー」


ガタガタと揺れる領主から用意された豪華な馬車の中で、俺はぐったりと椅子に座り、全身で疲れていますと表現をしている。


「ツキヒト君、ガチガチもんねー」


対面に座るミラは、クスクスと笑いながら、隣に座るフェルの頭を抱き寄せて撫で撫でしている。

そんな俺は、さっきからチラチラと見えそうで見えない、ミラのスカートの中に目線をやっているのだが、ミラはそんな目線に気づいてはいない。


「わ、私も凄く緊張しました!」


本来、奴隷であるフェルやアリスが領主の前に出ること等、失礼に当たるのだが、グルドの友人なのか、それとも災害級の魔物を倒した俺の奴隷だから特例として認められたのか、分からないが、

お咎めは一切なしだった。


「ご主人様は凄く立派でした。『しゃしん』と『どうが』で保存したかった位です」


アリスが自身の立派な胸に右手を当てながら、誇らしく述べる。


「いや、ぶっちゃけ一体何をしてたのか全然覚えてない。かみっかみだったのだけは覚えてるけど」


元々、人前で喋ったりするのが苦手な上、自分より偉い人と離すなど、ある意味ドラゴンと戦うよりきつかった。


「グランド達は堂々としてたのに、情けないなー」


ミラの言葉に、領主の前でも堂々と受け答えをしていたグランドを思いだし、ああいうのを出来る男というんだろうか?それとも人生経験の差だろうか?なんて考える。

でも、ミールもガチガチだったし、それどころか、兵士二人も俺よりひどかったからな。

うん、下を見て安心するのはどうかと思うので止めておこう。


「でも、ドラゴン退治の話は上手くできてたじゃん」

「あれは、前日にもやったからな」


謁見が終わった後は、昼食に誘われ、その際にドラゴンをどの様に倒したのかと聞かれたので、

前日の夜食の時に話したのを更に盛って話したのだ。

領主と奥さん、三女の16歳の娘は眼を輝かせながら、後ろで並ぶメイド達はしっかりと聞き耳を立て

ながら、俺の話を聴いていた。


そして、話を聴いた領主が、うちの娘を嫁に貰わないか?等と言ってきたが、一応、まだただの平民の冒険者なので、私等では勿体無いですと断っておいた。

災害級のドラゴンを倒した者に、勿体無いなんてことは無いと言われたが、まだ結婚とか考えてませんし、再度お断りしましたさ。


でも、領主の娘、ルルナはとても可愛らしく、胸は豊かとは言えないが、ウェーブのかかったミディアルヘアのブロンドの髪に、海のような青い瞳、鼻は小さめだが、くりっとした目に薄い紅色の唇と、非常に魅力的なのだが、下手に手を出すと貴族のどろどろに巻き込まれそうなので、鉄の意思で我慢したのだ。


「それにしても、やっぱり王都行きは確定だったな」


領主から恩賞を頂いた後に渡された、王宮への召喚の書状を右手に持って面倒くさげに眺める。


「そりゃそうだよ。災害級を倒したとなると、国からも恩賞は送らないと体裁が悪いしね。

あと、まず間違いなく爵位を与えられるよ。しかも、公爵になるんじゃないかな?」


ミラが首を傾げてながら、予想だにしなかった爆弾発言をする。


「はっ?」


公爵?公爵ってあの公爵?王様の次かその次くらいに偉い公爵?

なにそれ?意味わかんない?


「いやいやいや!俺だってそりゃ、子爵か伯爵位にはなれるんじゃと考えたけど、

公爵は流石に無いだろう!」


混乱した俺は、慌てて椅子に座り直し、両手を無駄に振り回しながらミラに捲し立てる。


「あぁ、ツキヒト君は知らないんだっけ。『ウィザード』のアルフレッドは、災害級の魔物を

倒した恩賞として公爵に叙勲されたんだよ」

「ま、まじで?」


なにそれ、怖い。

公爵って言ったら暗殺とかなんか貴族の派閥やら、ドロドロな事に巻き込まれるイメージしかないんですけど。

もっと下の方で、辺境に領地でも貰って、自分で開拓、発展させて、信者を量産しようと思ってたんですけど。


「まじまじ。正確には特例としての1代限りだけどね。あと、与えられた領地は公爵にしてはそんなに大きくなくて、子爵が与えられる程度の広さだね」

「あれ?それで世界最強さんは満足するの?」


皆が羨む公爵なったのに、大した領地が与えられない上に1代だけって、子供が継げない訳だから

不満なんじゃないんだろうか?


「アルフレッド自体は満足してるよ。そもそも孤児である自分を拾ってくれた恩があるから、

側でおと、……国王に遣えさせて貰えるだけで満足だって。あと、一応子供ができた場合は、

子供には領地はそのまま譲られて爵位も子爵が与えられるんだって。後は政治的な理由で

世界最強をアメリアに縛り付けておく為ってのもあるみたいだよ」


こいつ、さっきから国王の事をお父さんって呼びそうになってんな。

ていうか、これでバレてないつもりなんだろうか?


「ふ~ん。それにしても随分と詳しいな?」


王女だから詳しくてもおかしくは無いのだろうが、ミラが頭を良さそうに見えるのが、

なんとなく不満だ。


「これ位は常識だよ。知らないのは王都から離れた辺境の村位じゃないかな?」


なんだ、皆知ってるのか。

それにしてもミラはいつまで正体を隠すんだろう?

王宮に言ったら一発でバレると思うんだけど、一体どうするんだろうか?


「そういえば、ミラは王宮に行くのか?」


もし、正体がバレるのが嫌だから行かないというのなら、魔法を使って姿を変えてやってもいいんだが。


「っえ、う~ん……。行こうかな~、私も一応『フィリアの騎士』の一員だし」


ちょっと悩む素振りをしたが、特に問題ないと言った感じで答えるミラに、何かやらかすんではないかと一抹の不安を浮かべる。


「でも、これでやっと信仰復活の為の準備が出来たんじゃない?」


いつの間にかミラの膝の上に、頭を載せて寝てしまったフェルの頭をミラが撫でるたびに耳がピクピクと動いているのを見て和んでいると、突如ミラが真面目な口調で言ので、俺は自分もその事を考えていた事を伝える。


「そうだな。自分の領地が手に入るんだから、俺の好き勝手……っての無理だろうけど、

信仰を説いて、信者を集めることはしやすくなるとは考えているが、教会がどう動くかが問題だな」


俺の疑問に、ミラが「あー……」と、目線を上にやりながら、自分の楽天的な考えをしていた事に気づく。


「教会に関しては、そう難しくないと思います」


今まで黙っていたアリスが、あっさりと述べる。


「そうなのか?」


俺の疑問にアリスは真面目な口調で答え始める。


「そもそもフィリア様はこの世界の創造主であらせられます。そして、現在、神とされている勇者達に力を与えた神。つまりは、現在の神々の主神に当たるわけです。なので、今の神を排斥する必要は無く、神々の主神として崇めてもらえばよろしいのです。そして、教会の神官は階位が高くなるにつれ、信仰よりも金銭や娯楽等といった私欲を満たす事を目的として活動しています。

もちろん全ての者がそうだと言いませんが、現教皇は間違いなく教会を私物化しております。

なので、国王の協力さえ得る事ができれば、背徳者達を排斥するか、金銭等で協力させ、フィリア様の事を世界に広め、信仰を得る事が出来るかと思います」


淡々と述べるアリスに、俺とミラは唖然としてしまう。

だが、アリスの言うことは正しい、別に今の神を否定する必要は無いんだ。

今の神を残しつつ、新たな神、といってもこの世界で唯一の神で創造主なのだが、フィリアの事を

古い文献から分かっただの何だのと言って、主神として、崇めさせればいいだけなのだ。


うん、なんかいける気がしてきた。


「流石はアリスだ、愛している!」


テンションが上った俺は、アリスを抱きしめる。

アリスは嬉しさと恥ずかしさで顔を赤くしつつも、俺の背中に手を回し、抱きしめる。


うん、今日もアリスはいい香りで、胸も柔らかい。


そんな俺達を、ミラは羨ましそうに見ている事に俺は気づかなかった。


----------------------------------------------------------------------------------


「はいみんなー、この方は領主様の屋敷で働いている庭師のポリーさんだ。今日から暫くうちに通って庭園作りに協力してくれるから、ちゃんと挨拶をしましょう!」


先日、領主に庭園の作りたいので、詳しい人がいないかと聞いたら、庭師を一人貸してくれるというので、庭園づくりの間に、うちに毎日来てくれることになった。

もちろん給金は出すつもりだが、最初は領主は、そのくらい恩賞の一部として出させてくれと言われたが、そういうことになれていない小心者の俺は、自分で出させて下さいとお願いし、結果として、領主が折れてくれたのだ。


「「「初めまして!これから宜しくお願いします!」」」


予め決めておいた挨拶を終えると、次は班分けに入る。

なんたって、今日は大人数での買い物だからな。


「それじゃあ班分けするぞー」


本来なら今日から飛空艇で王都に行く予定だったが、準備があると1日遅らせたので問題なく買い物に行けのだ。

そもそも、向こう側もそのつもりだったらしく、1週間程度なら問題ないと言われた。


ちなみに、買い物には、アリンちゃんはよしとして、何故かユリーカとミールまでもがちゃっかりと着いてくることになった。


まぁ、金には困ってないし、子共達の面倒も見てもらうということで自身を納得させておいた。


班は全部で4班


1班 俺、アリス、フェル、ミリス、アリン、ファラリス、ラクリス、ポリー


2班 ミラ、エメラ、アム、リコ、ウェルチェ、


3班ミール、ユリーカ、マリー、ヴィリーナ、エメラダ、


4班 ガラド、ギル、ガルム、グライム、ソルウ、ウール、


といった感じで纏めた。



一応、各班に護衛としての能力を持つ者を入れて、予め欲しい物を聞いての効率良く班決めを行った。

まだ決まってない者に対しては、欲しい物があったら買うという方式だ。


資金も潤沢に渡してあるので、問題なく買えるだろう。


ちなみに、マーク、とユーラは居残りをしてもらっている。

今頃マークの指示でユーラはこき使われているだろうな。


ルーツとエリーさんもいるが、ルーツには屋敷の護衛をしてもらっている。

アリンちゃんを連れて行くお礼だそうだ。


特に、うちに来だしてから、段々とアリンちゃんが明るくなったと、お礼を言われる事が多くなってきてしまった。

うちとしても、奴隷である子供達と仲良くしてもらっているおかげで、奴隷だからというマイナス的な考えが減ってきたみたいで感謝してるのだが。


子供が奴隷だからって人生を諦めるような生き方はしてほしくないからね。


後、ポリーさんには、ミリスの考える庭園を作る為のアドバイスをしてもらう予定だ。

本来なら、領主か商業ギルドのツテで必要な物を買うのが効率的なのだが、子供からしたら、

一秒でも早く実物が欲しいだろうと考えて、今日はある程度だけ買い、後はポリーさん経由で

揃えて貰う様にお願いしている。


「んじゃ、人が多いからちび達は手を繋いで2列でいくぞー。大人組はちゃんちび達を見とけよー。

ちび達は、はぐれた際は、渡した笛を吹くように。あと、万が一誘拐されそうになったら、渡したアラームのヒモを引くように!食事は各班で決めて取る事!以上!それではいくぞー!」


「「「おー!」」」


斯くして、俺達の買い物は始まったのだ。


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8月も終わりだと言うのに、日差しは強く、道交う人達は汗を拭いながらも、それでも楽しそうに

笑っている。


どうやら領主から本日、災害級のレッドドラゴンを退治したと正式な発表があったせいだろう。


街中の掲示場に貼られた、書面には、今回関わった俺達全員の名前が街を救った英雄として載っていたので、非常に気恥ずかしかった。

だがそれよりも、アリスがその書面を引き剥がして、ご主人様の偉業が書かれているので、家で保管する!と言い出し、周りから注目され、もう恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなかった。


結局、同じ書面を衛兵達が配っていたので、そちらを10枚程貰っておいた。

アリスは、保存用、観賞用、布教用、もしもの時用等で100枚は欲しいと言っていたのだが、

この世界では、紙はそこまで安い物ではないので、流石に止めさせて置いた。


その後、俺達は露店で果汁水を飲んでから、花屋に向かった。

果汁水を飲んでいて思ったのだが、ストローが無い事に気づいたので、そちらもとりあえず特許だけ

取っておこうとメモをしておいた。


最近覚えておかないといけないことが多すぎるので、メモ帳が大活躍だ。

日本にいた時は仕事では、数ページしか使ったこと無かったのになぁ~。


「わぁ~!きれー!」

「ほんとー!あっちのあかいおはなも、あおいおはなもみんなきれい!」


街一番の大きな花屋に行くと、ミリスとアリンちゃんが大はしゃぎだ。


「おや、お嬢ちゃん達、お花を買いに来たのかい?うちのはどれも元気で綺麗だよ!」


店の中にいた店員であろうおばちゃんがミリス達の声につられてやってきたのだ。


「はい!おうちでていえんをつくるからおはなをいっぱいほしいんです!」


元気に答えるミリスに、


「そうかい!うちには沢山の種類があるから、まずは一通りみて見なさい」

「「はーい」」


おばちゃんが言うやいなや、店の中に入っていくミリスとアリンちゃん。


その間に、ポリーさんがおばちゃんに説明をしてくれている。

ラクリスは妹の手を引き、一緒に店内に入っていった。


ラクリスは特に欲しいものが思いつかなかったみたいなのだが、妹のファラリスは姉とお揃いの

物がほしいと言うので、あとで、装飾品か何か見に行こうと思う。


「そういえば、アリスの欲しい物って何なんだ?」


店先に並ぶ花を見ながら、アリスに似合いそうな花を探しつつ、そういえばアリスは欲しい物言ってなかったなぁ~と思い出した。


「欲しい物はありません。ただ、ご主人様とずっと一緒に入れたら幸せだとは思っています」


平然を装いながらも少し顔を赤くするアリスがまた可愛い。

そんなアリスの髪に、店先に並ぶ中で一番綺麗に咲いたハイビスカスを挿す。

もちろんお金は後でちゃんと払いますよ。


「うん。よく似合う」


今日のアリスの髪型は、ハーフアップなので、前髪のアクセントとしては丁度良いだろう。


「………。あ、ありがとう、ございます……」


両手をもじもじとしながら、顔を赤くして俯くアリスがまた可愛い。

いつまでもそのままの君でいてくれ。



「フェルにはこれだな」


そんなやり取りを羨ましそうに見ていたフェルには、鮮やかな紫のアスターをつけてあげる。


「あ、ありがとうございます!」


満面の笑みで返すフェルに、こちらまで笑顔になってしまう。


そんなやり取りをしていると、ミリス達が集まって話をしていたので、聞きに行くと、

どうやら買う花を決めたらしいので、庭園用を少しと(ミリス達を満足させる為に)と

屋敷に飾るように幾らか購入して、次はフェルが服が欲しいと言っていたので、とりあえず、

若い女性に人気があるという服屋に向かった。


「でも、フェル。服はミラにいっぱい買って貰ったんじゃないか?

それに、必要ならいつもで買っていいんだぞ?」


服屋に着くそうそう、フェルに尋ねると、


「あ、あの、今日は、その……、ツキヒト様に選んで貰いたくて……」


もじもじしながら上目遣いで答えるフェルに、思わずドキッとしてしまう俺。

もう童貞じゃないのに!


「そ、そうか……。それじゃあ一緒に見て回ろうか」


アリスは俺達に気を効かせたのか、先にラクリス達の欲しい物を購入しに行くと、皆を連れて行ってしまった。


本当はあんまり、側を離れさせたくは無いが、日々ガラドにしごかれている今のアリスなら、そこいらの犯罪者なんかに遅れを取らないだろうし、まぁいいか。


一応、出て行く前にざっと防御魔法と魔法でマーキングしておくので、何かあったらいつでも駆けつけられる用にしておく。


アリス達を見送ると、俺はフェルと一緒に服を見て回った。


フェルは、出会った時に比べ、だいぶふっくらし、普通の子供と言える体型になっていた。

髪は少し伸び、肩より少し長い位だろうか?髪も尻尾も相変わらずふわふわのサラサラのさわり心地の良い毛並みをしており、胸はBカップだが、まだまだ成長の余地ありだ。

背丈も少し伸び、思わず、子供の成長は早いなぁ~なんてじじくさい事を思ってしまう。


ちなみに、手足は特に太いわけでもなく、極々平均的なのだが、子供達の中では一番力が強く

速さもあり、戦闘訓練の方も、ガラドが天才だと認めるレベルだ。

流石は銀狼族といったところか。


そんなフェルに似合う服はどれかなぁ~なんて、探していたら、店員さんが試着しますか?と提案してきたので、現在はフェルのファッションショーの真っ最中である。


素材がいいだけに、何を着ても似合い、俺だけはなく、店員さんまでもが熱中してしまう。


とりあえず、試着した分は全て購入する事は決定済みとして、ちゃんと俺が選んだ服も買わないとと思い、真剣に考える。


じっくりと、フェルを頭の上から爪の先まで見る。


「ふむ、アスターの紫がよく似合ってるし、白と紫で合わしてみるか」


俺がそう言うやいなや、店員さんが、それならこちらにございます!と、

俺達を案内する。


そこから俺は、裾に二本の薄い紫で縁取った、ノースリーブワンピースと紫のサッシュベルトを選んだ。


「ど、どうですか?」


試着のカーテンを開けて、姿を見せるフェルは今までのと違い、俺が真面目に選んだ物なので、

非常に緊張しているみたいだ。


「すっごくよく似合ってるよ。超可愛い!」


思わずフェルを抱きしめる俺は、きっと周りからみたら、父親か少女趣味のどちらかと思われているんだろうな。


ちなみに、フェルが試着中に先程の全ての試着した服は購入済みだ。

折りをみて渡そう。


試着した服はそのまま着ていくことにし、代金を支払い、どうやら少し離れた宝石商にいるアリス達の元へ、フェルと手を繋ぎながら向かった。


姉妹はお揃いのネックレスを買ったらしいんだが、店で一番安い物にしたと聞き、理由を尋ねると

奴隷にはこれでも過ぎる物ですと返された。


アリスにも、あまり高級品を身に着けさせて置くと、誘拐等されやすくなると言われて納得した。


そのまま俺達は、適当に食事ができる場所を探し、丁度席が空いた店で食事を取ると、家に帰った。


どうやら俺達が一番最後だったらしく、他の物達は自室にいたり、ダイニングにいたり等、自由にしていた。


一瞬アリスが怒るのかと思ったのだが、

「本日位は、楽しい気持ちのままで終わらしてあげようと思っています」


などと言うので、内心、非常に驚いた。

最初の頃のアリスなら怒鳴りはしないが、間違いなく注意はしていただろうに……。

アリスもだいぶ丸くなったなぁ~。


「それじゃあ夕食まで時間もあるし、明日の準備でもしようか」

「はい。荷物はアイテムボックスが有りますので、いつでも行ける準備はできているのですが、

カモフラージュの為の分を用意しといたほうが宜しいでしょうか?」


一応アリスはアイテムボックス持ちだということは、屋敷にいる者達と他に少数しか知らないので、

今はまだ、他の人達には隠しておいたほうがいいだろうと思っている。


「そうだな。まぁ、そこらへんは任せるよ。あぁ、今更だけど礼服なんて持ってないけどどうしよう!」


領主にあった時は、皆、冒険者としての格好だったから気にしていなかったけど、流石に王様となると礼服が必要だろう。


「そうですね、王都には礼服の貸出等もしていますでしょうし、あちらに着いてからで問題ないと思います」

「そうか、それはよかった」


アリスの言葉に胸を下ろす。


「じゃあ、マークには仕事を増やして悪いけど、適当に持っていく物を見繕って貰おうか」


正直、箱入り娘のアリスは一般常識が無い所があるので、行商人をしていたマークに任せるのが良いだろう。

そうして、今日中に仕事の引き継ぎ等し、後をエメラ達に任せ、次の日には、俺達は飛空艇で王都に向かった。


友人の書いてくれたフェルです。

挿絵(By みてみん)

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