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よろしくお願いします。
グランド達に連れられて、俺はアリスとミラとフェルの4人で冒険者ギルドに向かった。
ギルドに向かう途中、街中はいつも以上に活気で溢れ、そこかしらで屋台から美味しそうな香りがし肉の焼けた香ばしい臭いに魚の臭い等が漂い。
道端に広げられたシーツには、指輪や小さな色ガラスのネックレス等が並べられており、年若い恋人が目を輝かせながら眺めていたりと、街中が活気に溢れていた。
「ドラゴンに死を!災厄の竜を~打ちやぶれ~」
音楽と共に聞こえてくる歌う男と、それに集まる人だかりに、俺は物珍しさから、つい足を止めてしまう。
「あれは、吟遊詩人ですね。あの詩は、過去に勇者達が打ち倒した黒竜の詩です。
今回のドラゴン退治が、選曲の理由しょう」
俺の後ろから、アリスが教えてくれる。
「『災厄の竜』だね。昔から、人気のある詩の一つだよ」
いつの間にか、片手に肉の刺さった串を持った、ミラが補足してくる。
「やっぱりあれが吟遊詩人なんだ。初めてみたな。まぁ、今度時間がある時にでもちゃんと聴いてみようかな」
グランド達が足を止め、俺達を待っているみたいなので、少し足早に向かうと、
「でも、今回の件で、ツキヒト君の事も詩にされちゃうと思うよ~」
口元に肉の油をつけたミラが、ニヤニヤとしながら言ってくる。
「あっ!私もツキヒト様のドラゴン退治の詩、聴きたいです!」
アリスがハンカチでミラの口元を拭ってるのを見ながら、フェルの言葉に、若干嫌な顔をしてしまう。
「当事者としてはあんまり聴きたくなはない。結構みっとも無かったし」
なんたって、怖くて泣いたからな。
普段から魔物を簡単に葬っている俺を見ているだけに、3人は不思議そうに首を傾けていた。
「それにしても随分と盛り上がってるな」
グランド達に追いつくなり、声をかける。
「そりゃあ、災害級のドラゴンが現れたのに、ドラゴンからの被害が一切無かったからねえ~」
「逃げる際の怪我や、火事場泥棒は一応あったみたいだけどね。衛兵達は今のお祭り騒ぎの見回りの上に、そっちの対応もあるから大変みたいだけどね」
ミールとユリーカが歩きながらもこちらに顔を向けて、教えてくれる。
「だけど明後日以降からもっと凄くなると思うよ~」
こちらを向き、後ろ歩きをしながら、ニヤニヤと前かがみになってミーがこちらを見上げてくる。
「なんでだ?」
不思議そうに首を傾げる俺に、ユリーカが呆れた様に言う。
「ツキヒトがドラゴンを倒したからよ」
んん?
「倒したから、こうなってるんじゃないのか?」
俺の答えに、本当に呆れたといった感じのジト目で、ユリーカが大きく息を吐く。
「あのね、ドラゴンは退治されたって言われてるけど、まだそれはギルド長と領主様に見せるまでは確定してないの。だから二人にドラゴンの死体を見せて、初めてドラゴンが退治されたと市民、大陸中、そして、世界中に知らされるって訳。そうしたら、もう世界中から商人達が稼ぎ時だって、やってくるわけよ。そうね、たぶん街中だけじゃ収まりきらずに外にまで展開すると思うわ。
その為、近隣や王都からも治安の為に騎士団が派遣されたりするわね」
右手の人差指を立てながら、教師が生徒に教える様に教えてくれるユリーカに、思わずメガネをかけたスーツの女教師をイメージしてしまう。
「はい、先生。災害級の魔物って一年に何度くらいでるんですか?」
世間知らずの生徒に、先生は律儀に答えてくれる。
「10年に1度あるかないかくらいね。災害級が出る旅に大陸中が一団となって戦い、時には、
他の種族も協力して倒すのよ。後は復興支援等も各大陸からあるわ。
今回はツキヒトが一人で倒しちゃったからそっちはなさそうね」
「へ~」
軽い返事をする俺に眉をしかめながら見てくるユリーカ。
「ツキヒト。大陸中が一団となって倒すようなドラゴンを一人で倒すって事の凄さと意味を全然理解してなさそうね……」
「そうだよ、10年前の災害級ドラゴンだって、あの世界最強の『ウィザード』のアルフレッド様ですら、多くの騎士団を伴って戦い、多くの犠牲を出しながらも、やっと勝利したんだよ。
だからツキヒト君はこれからすっごく大変になると思うよ」
ユリーカとミーの話を聴いていたら、今後の事を考え、急に頭が痛くなってきた。
「ただ、良い方向だけで大変になるとは限らないがな」
ルーツが、そう言ったのと同時に、俺達は冒険者ギルドに着いた。
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「それでは出してくれ」
冒険者ギルドに着くなり、すぐさま2階の会議室に案内された俺達は、中で既に待っていた
グルドと挨拶をそこそこに、さっそく本題に入ってきた。
「ドラゴンをですか?」
「あぁ、流石にここはでは狭いので、街の外に出よう。そうだな、南門の前でいいので、
転移魔法で連れて行ってくれないか?」
グルドの言葉に思わずドキッっとしてしまい、グランド達に目を向けてしまった。
グランドが申し訳なさそうにしながらも、謝罪をしてくる。
「勝手に喋ってしまって申し訳ないと思っているが、転移魔法の事を話さなければ、俺達がドラゴンより、早くギルドに警告しに行くことができた説明が出来なかったんだ……」
本当に申し訳なさそうにしている4人を見ていると、何も言えなくなってしまう。
「そこの4人だけでは無い。南門を災害級のドラゴンが来るというのに指示に従わず逃げずに戦った馬鹿共からも確認を取ってある。お前が黒い大穴にドラゴンと一緒に入り、消えてしまったと」
机の上に立てた両手に顎を乗せたグルドは鋭い視線で、こちらを見る。
「……、あの二人は無事だったんですか?」
ごくりっ、と唾を飲み込み、二人の安否を尋ねると、一切視線をそらさないまま、グルドが僅かに
片方の口の端をあげ
「二人共無事だ。ただ、ドラゴンの起こした風圧で多少怪我はしたようだが、それも魔法で治っている」
「そうですか……」
二人の無事を知り、俺はホッと胸を撫で下ろす。
あの二人がいなかったら、今頃街は大きな疵痕を残していただろう。
「あの二人が、ドラゴンと立ち向かってくれたお陰で、俺は間に合ったんです。
なので、二人に礼を言いたいので、後で合わせてもらえませんか?」
あの時、俺が恐怖で震えて、ドラゴンを追うことに躊躇してしまったせいで、あの二人を危険な目に合わせてしまった事に、俺は後悔をしていた。
「分かった。だが、全てはドラゴンの死体を見てからだ」
「分かりました」
俺は短く告げると、南門にゲートを繋ぐ。
ゲートを見たグルドは、僅かに目を広げ、席を立つと、ゲートの前に来る。
「これがはるか昔、神々の時代にあったとされる転移魔法か……」
ゲートを前にグルドが感動したように一通り見ると、
「これの中に入ればいいんだな?」
「はい、扉を通るくらいの感覚でどうぞ」
俺が答えると、グルドはゲートを躊躇なくくぐり、それに続いてグランド達、そして俺達もゲートをくぐる。
「話は本当だったんだな……」
突如現れた俺達に、南門の衛兵達はひどく驚いていたが、そんな事を気にする人は俺以外誰もいなかった。
「あ、あなた達は!?」
そこには、件の兵士二人がいたのだ。
「「先日は助けて頂き、ありがとうございました!」」
二人が俺を見るや否や、頭を下げて礼を述べる。
「あ、あの……」
俺が戸惑っているのを見て、二人が自己紹介を始める。
「私は、ピークスと申します!普段は南門の門番をしています!」
「私は、グラブと申します!普段は南街をの巡回をしています!」
二人の声の大きな自己紹介に驚きつつも、こちらも挨拶を返す。
「私は、ツキヒトと申します。普段は冒険者をやっております。
先日はお二人のおかげで街に被害を出さないで済みました。
どうもありがとうございます」
しっかりと腰を90度曲げて礼をする俺に二人も慌てて同じように腰を曲げて礼をする。
「い、いえ!こちらこそ、ツキヒトさんが来て下さらなければ今頃墓の下でした!
なんと感謝をしたら」
「いえいえ、こちらこそ!」
と、そんな感じで挨拶を繰り返してたらグルドが止めに入ったので、そこで挨拶と礼をやっと終わらせることができた。
そこでやっと、俺は、周りに人がいないことを気づいた。
「あれ?今日は行商人達はいないんですか?」
普段なら街を行き来する為に南門を並んでいる人達が、今日に限り兵士二人と俺達以外誰もいなかった。
「お前のその魔法はあまり知られたく無いのだろう?
まぁ、どうせ、近いうち知られることになるかもしれないがな」
どうやら、グルドの計らいだったらしい。
「それでは、頼む」
「はい」
今は俺達しかいない平原に、俺はアイテムボックスからレッドドラゴンの死体を取り出す。
「これが……」
初めて見る者も、改めて見る者も災害級と言われるサイズのレッドドラゴンを目にし、僅かでも言葉を発することができたのは、冒険者ギルドの長であるグルドだけだった。
ドラゴンの目は開いたままで俺が時魔法で直してすぐにアイテムボックスに入れたので、瞳孔も濁っておらず、今にも動き出さんばかりの様子に、皆が少なからず恐怖している。
アリスとミラとフェルは俺の後ろに、グランドの後ろにはユリーカが、アレッドの後ろにはミールが、兵士の二人は腰を抜かしている。
「触ってもいいか?」
「どうぞ」
グルドが俺の許可を得ると、ドラゴンの目の前まで行くと、恐る恐るドラゴンの顔に触れる。
「俺も冒険者として少なくない数のドラゴンと戦い、10年前の災害級のドラゴン『ブロンテー』の討伐にも参加したが、サイズばかりはあの時より少しばかし小さいが、この鱗の硬さからして、『ブロンテー』よりも強いだろう」
厳しい目つきでドラゴンを見るグルドに、10年前に現れた災害級のドラゴン『ブロンテー』について
今度話しを聞いてみるかと、俺は一応記憶に留めて置く。
「しかし、この赤黒さはなんだ。レッドドラゴンは、本来もっと濃い赤のはずだが、このドラゴンの色はやけに黒いな……」
いつの間にか、ドラゴンを調べているルーツがそんな言葉を零す。
「確かにそうだな。災害級の基準はサイズによって決まるが、どれほどサイズが大きくなろうとも
色が変化するなど聞いたことが無い。……、ツキヒト、本当にこいつはレッドドラゴンなのだな?」
突然の問に俺は戸惑いながらも
「え、えぇ。ブレスも火でしたし、火球も使ってましたから、レッドドラゴンだと思いますけど」
ただ、変異種ですが。とは、流石に言えない。
「ふむ、どちらにせよ調査は必要か……、ツキヒト。魔石の方はどうなっている?」
「え?まだ取ってないですけど、取りましょうか?」
「いや、いい。血も素材となるので、魔石を取るために無駄にしては王宮に何を言われるかわから……は?」
俺が解析で魔石の位置を確認し転移魔法を使って、血を一滴も出さずに取り出した直径5m程の赤に少し黒が混じったような色の丸い魔石をみて、グルドが呆けた声をだした。
「一応、血も漏れないように取ったんですけど……」
もしかして駄目だったのだろうか?
「い、いや。問題ない。……、それにしてもこのような色の魔石は初めて見るな。だが、純度は今まで見た事もない程良い……ふむ。もう閉まっておいていいぞ」
「はい」
俺がアイテムボックスに魔石を仕舞うと、グルドがブツブツいいながらドラゴンの周りを見て回っている。
何時の間にか、ミラ達もドラゴンを見に行っており、ベシベシと叩いている。
しまいには、
「ねーねーツキヒト君!私、ドラゴンの背に乗るのが夢だったんだ!だから背中に乗せてー!」
なんて、言ってくる。
まぁ、その夢には同感だ。だが、できれば生きてるドラゴンの背に乗って空を飛んでほしいな。
「はいはい」
俺は魔法でミラをのドラゴンの背に乗せると、グランド達も羨ましそうにしているので、
結局全員乗せることにした。
ドラゴンの背は、鱗でゴツゴツして硬く、鱗を引っ張って外そうとしても、魔法強化無しじゃ
無理だった。
「きゃああああ!」
ドラゴンの背の上で走り回っていたミラが足を滑らして落ちそうになる等もあったが、一通り堪能すると俺達はドラゴンの背から降りる。
ちなみに、高さは3階建てのビル位あるので、落ちたら今のミラでも大怪我じゃ済まないだろう。
「それにしても随分と傷が小さいな」
隕鉄を当てた部位を見たグルドが眉を寄せながら言う。
「ツキヒト、一体どうやってこいつを倒したんだ?」
「え?こうやってですよ」
グルドの質問に、俺はアイテムボックスからドラゴンを倒す時に使った隕鉄を取り出し、
重力魔法で持ち上げ、グルングルンと上空で回す。
それを見て、アリス以外が絶句する。
「正確には、宇宙から隕鉄をドラゴンめがけて撃ち落としたんですよ」
俺が軽く上空10m程まで上げた隕鉄を、離れた地面に軽め落とすと、それだけでも軽い揺れがあり、土埃が舞い上がる。
後でちゃんと直しとかないと。
「……、その隕鉄というのを見せてもらってもいいか?」
「どうぞ」
俺がグルド達の前に隕鉄を置くと、皆が隕鉄に集まり、ペタペタと触る。
「これは、鉄の塊か?」
ルーツが当たり前の事を言う。
「そうだけど?」
何が不思議なんだろう?
「……話から察するに、宇宙とは数多の星がある遥か上空のことで、お前はその星を落としたという事か?」
「いえす」
……。反応が返ってこない。もしかしてイエスってのが通じなかったのだろうか?
「いえす、ってのは肯定って意味で」
「いや、それは分かる。ただ……いや、星が落ちる事はあっても、星を落とす事等、神話でも
聞いたことが無いので、驚いていただけだ」
あぁ、なるほど。
昔の勇者達も大したことないな。
なんて呑気な事を考えていたら、皆の視線が集まっている事に気づく。
「ツキヒト。前々から思っていたのだが、お前はもしかして、神の使いなのではないのか?」
ルーツの突如発せられる言葉に、皆に聞こえてしまうんではないかと錯覚するほどの、心臓が
鼓動した。
「な、なにいきなり馬鹿なこと言ってんだよ?」
やばい、一瞬どもってしまった。
いや、もしかしてこれはフィリアの事を話す好機か?
「何言ってんのよルーツ。ツキヒトみたいな世間知らずで美少女侍らすようなやつが
神の使いなんて訳ないでしょ?」
ユリーカの言葉が若干心に刺さりながらも、一応平静を保とうとする。
どうやら今のは好機では無かったみたいだ。
「確かにそうだな。神の使いの癖に世間知らずな上に、容姿もさほど良くもないしな」
おい、ルーツ。一応言っとくが俺は日本でも彼女が二人できたことがあるくらいのフツメンだぞ。
この世界のやつらの平均が高すぎるだけだ。
「私はご主人様が世界で一番格好いいと思っています」
アリスのフォローが嬉しい。
「わ、私もツキヒト様は格好良くて素敵だと思います」
慰めてくれるフェルには頭を撫でてやると、少しこしょばしそうにしながらも尻尾をぶんぶんと振っている。
あぁ、この子は間違いなく将来美人で素敵な女性になるなぁ。
「わ、私もツキヒト君は、あの、ほら、安心する顔だと思うよ!」
それはフォローになっていないと思いますよ、ミラさん。
「まぁ、男は顔より、中身よ。中身なら間違いなくイケメン……、いえ、美少女を侍らかしてるし……でも、奴隷達にも優しくして、子供達にも勉強を教えてるしから、イケメンでいいのかしら?」
「そろそろ、泣きそうになるからやめてくれませんかねぇ?」
フォローしているのか、していないのか分からない、ユリーカに肩を落としながら言う。
「そろそろいいか?」
俺達のやり取りが終わるのを待っていたのか、グルドが声を俺達に声をかける。
「災害級のレッドドラゴンの討伐についての顛末を詳しく書類に纏めないといけないのでな、
ツキヒトには悪いがこれからギルドにある会議室で詳しく話を聞かせてもらう。
ドラゴンの死体に関しては、間違いなく王宮が買い取るので、ひとまずお前が管理しておいてくれ」
グルドの言葉に思わず質問してしまう。
「冒険者ギルドじゃなくて王宮がですか?」
「そうだ。災害級の魔物に関しては王宮がまず買い取ることになるとだろうが、まぁ、詳しい話はギルドに戻ってからにしよう。では、転移魔法を頼む」
俺がゲートを会議室へと繋げ、全員が通ると兵士二人だけを残してゲートを消す。
後で聞いた話だが、あの門番達には口止め料とドラゴンの足止めをしたことの報酬として、2階級特進と多額の報酬があったそうだ。
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会議室に戻ると、グルドが書記を呼び、俺達から聴取を取り、偶にある質問を答えると言った感じで淡々と進んでいた。
あまりにも淡々とした物だったので、ミラは途中で飽き
「今晩にでも皆と一緒に聞くよ~」と、フェルを連れて先に屋敷に戻っていった。
ちなみに、聴取だが、ドラゴンにびびって泣いた事とかは内緒にしておいた。
聴取が終わった頃には丁度昼食の時間になり、ギルド長の奢りで食事をすませた。
「さて、次だが、先程のツキヒトの質問は後で関係してくる事なので、まだ置いといてほしい。
今からするのは、明日行う領主館での領主への謁見の説明だ」
なんとなくそんな気はしていたのだが、グルドが神妙そうな顔で言うので思わず身構えてしまう。
「領主様への謁見ですか?」
俺の言葉にグルドは顔をコクリと動かし、俺からグランド達全員に視線をやる。
「今回の災害級ドラゴンの討伐という多大に領に貢献をした『フィリアの騎士』に加え、事前に災害級ドラゴンが来ることを伝え、領民達に避難する時間を与えた『グラヴェル』、そして、勇敢にもドラゴンに立ち向かい、時間を稼ぐことにて、被害を防いだ兵士二人には、領主からの恩賞が与えられる」
「「「………」」」
グルドの言葉に皆が静まりかえる。
「お、俺達もですか?」
長い沈黙を破ったのは、グランドだった。
「当然だ。結果として、避難の必要が無かったが、それは結果論だ。
もし、ツキヒトが間に合わなければ、街は今頃瓦礫とかしていただろう。
なので、お前達にも恩賞を与えられる権利は十分にある」
グルドの言葉に、グランド達は身体を震わし、ミールはユリーカの腕にもたれかかるように倒れる。
「ということで、お前達は明日に領主館に行ってもらう事になる。
まぁ、安心しろ。ここの領主のガロッグは気さくなやつだからそう身構える必要もない。
それに、俺とガロッグとピソールのウォーレンは昔パーティーを組んで冒険者と活動してた事もあるからな、俺から簡単な式で終わらす様に伝えておくから安心しろ」
その言葉を聞いて、俺達はホッと胸を撫で下ろす。
式典とか苦手だから本当に助かった。
「さて、次はドラゴンの買い取りの件についてだ。」
グルドが紅茶で喉を潤し、一息つくと俺が聴きたかった質問について答えてくれる。
「まず確認するが、災害級の魔物が出た場合の通常の対処法は知っているか?」
グルドが確認する様に聞いてくるが、丁度これは今日、ユリーカから聞いたので覚えている。
「はい。大陸が一団となって対処する。場合に寄っては他種族の大陸とも協力すると」
俺の答えに満足したようにグルドが頷く。
「そうだ。当然だが、兵を一人動かすだけでも金がかかる。装備、食料、給金、手柄を上げればそれだけ報酬もある。それを何千の数を動かすのだ。当然莫大の金がかかる。
なので、退治した魔物を王宮が、オークションや商人ギルド等に適正価格で売り払い、金を工面するのだ。
退治した魔物に関しては、大陸が一団となって対処する為、その中での騎士団や冒険者を雇うのは王宮であるので、倒した魔物は王宮の物になる決まりなのだ。
だが、今回は災害級を一人で倒すと言う、過去にない例ができてしまったわけだが、ドラゴンの素材は非常に優秀で特に災害級の魔物から取れる巨大な魔石は喉から手がでる程欲しい、だが、今回王宮は何もしていないので、ツキヒトに対して、買い取りを申し出る事になるだろうな。
けれども、ツキヒトが買い取りを拒否する事も可能である。だが、それをされると困る。
魔石は飛空艇に欠かせない燃料であり、災害級の魔物の魔石は純度も非常によく、それ一つで
10年分の燃料になると言われている。特に、今回の魔石は例に見ない程の純度が良いので、更に価値は上がるだろうな。補足すると、飛空艇は全て国の持ち物であり、商人ギルドが幾つか借り受けているという状態だな。
だから、何としてでも買い取りをする為にあれこれとしてくるだろうな」
あれこれってなんだよ。こえーな。
俺が不安げな顔をしていると、
「安心しろ。まずは穏便な方法で来るはずだ。金だの爵位や女等だな。
それが通じなかったら暗殺や、人質だな」
つまりは素直に売れってことか……、あー、でも売る前に複製できないかだけ試して見るか。
「あっ」
そこで、ふと、思わず俺はこれこそ好機なのではと思ってしまった。
「どうした?」
「いや、なんでもないです」
そうだ、この魔石を取引材料に、信仰集めの協力をしてもらえるんじゃないのか?
王宮なんだ、どうせ教会とも絡みがあるだろうし、もしかしたら、過去の文献等も読めるかもしれない!
そうすれば、フィリアを助ける事を早めることができるかもしれない!
「買い取りの件、分かりました。こちらとしても、持て余すだけですし、あまりに低い値段でもない限りはちゃんと売ることにします」
「あぁ、それがいいだろうな」
俺の言葉にグルドが頷くと、明日の領主館へ行くための馬車の場所と集合時間を聞いて、俺達は部屋をでた。
ついでに、1階でワイバーンのクエスト報酬と買い取りを頼み、報酬を受取次第、グランド達と精算を行い、今夜は家でグランド達と一緒に宴会をすることになった。
グランド達の言っていた、ワイバーンのステーキは適度な柔らかさとくどくない脂、そして牛肉の旨さを凝縮した様な味で非常に満足だった。
ちなみに、普通の店で食べようとすると、部位によっては100g2万リアするらしい。
神戸牛より遥かに高いな。
子供達にはドラゴン退治の話をせがまれ、絵本の様な感じで分かりやすて、格好いい感じに
話を盛ったりしたおかげか、非常に好評だった。
大人の奴隷達も、俺の偉業に感服したのか、俺への視線に熱が篭っていたいたのは気のせいではないだろう。
これなら、もうすぐにでもフィリアの事を言えるな。っと、確信し、王都に行く前に伝えることにしよう。
さぁ、待ってろよフィリア!
つじつま合わせがだんだん大変になってきた今日この頃
説明したいこともあるけどどうすればいいのか頭を悩ましてますが、
てきとーにやっていきます。




