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フィリアの信仰  作者: 緑茶おいしい
21/63

一日

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よろしくお願いします。

3/10編集しました。


奴隷達がフィリアの信徒となってから1ヶ月。


「……んっ」


自作の魔道具である目覚まし時計により、頭の中に響くアラームに俺は眉を寄せながら目を覚ます。


「……、ふぅ」


未だに鳴り響くアラームを止める為に時計に向かって魔力を飛ばす。

魔力を感知した時計は俺の頭に鳴らしているアラームを止め、丁度朝の5時を差す時計になる。


ミラと奴隷達に俺の秘密を明かした次の日から、俺は毎日この時間に起きている。

あの件で俺のやり方は間違いではない事が分かったので、予定通り3ヵ月立ったら次の街に行く為、

現在予定している商売の準備を早急に終わらせなければならない。


「んー……」


横を見ると俺の腕を枕に寝ているフェルがいる。

フェルは赤いネグリジェを着ているのだが、ネグリジェの中でも嗜好性の高い物で殆ど透けてしまっている。

その為、フェルの身体が良く見え、下には同じ赤のショーツを着けており、胸の先にある小さな綺麗なピンクも見える。フェルも最初にあった頃よりもだいぶふっくらして、やっと少女らしい体つきになってきた。


反対側には、同じく俺の腕を枕にしているアリスがおり、アリスもフェルト同じ黒のネグリジェを着ている。


アリスは前から俺と寝ているのだが、何故フェルがネグリジェを着て俺と寝ているかというと、

3週間前に俺達がいない生活に慣らす為に奴隷達の家とは別に、俺とアリス、ミラ、フェルが住む家を借りることにしたのだが、その日の晩に、アリスがフェルにネグリジェを着せ、俺とアリスの寝室へと連れてきたのだ。


どうやら俺がフェルもこの旅に連れて行くと知ったアリスが、俺がフェルの事を気に入っており、アリスと同じく寵愛すると考えたみたいだ。


確かに寵愛するし、抱きたいとは思った事はあるがまさかアリスから言ってくるとは思ってなかった為、非常に驚いた。

フェルの方は、顔を真っ赤にしながらも


「よ、よろしく、おねがいします、ツキヒト様」


なんて言ってきたのだが、身体が震えており、無理をしている事が分かったので結局はモフモフを堪能しただけでその日は就寝したが、あれから結局一度もフェルを抱いてはいないし、アリスも一度しか抱いていない。


理由は、連日の激務のせいだ。


「んっ、ご主人様……」


アリスの声が聞こえたので、目を覚ましたのかと思ったが、ただの寝言みたいだ。

普段ならいつも俺より早く起きているアリスだが、ここしばらくはずっとこの状態になってしまっている。

俺達はいつも回復魔法をかけて身体の疲れを直しているが、精神的な疲れに回復魔法は効かない為、精神的な疲れが溜まると身体は万全でも気だるさが残ったりしてしまう。


二人が起きない様に慎重に腕を抜くと身体を起こし、時計を見ると、アラームがなってから10分程立っていたので、少し慌てて身支度を整え、家を出て奴隷達の家へと向かう。



「おはよう、ガラド」

「おう、大将」


奴隷達の家の庭には既にガラドが木剣を持って待っていた。


「いつも悪いな」

「がはは、俺も身体が鈍らなねーようにできるからかまわねーぜ」


早朝の為、いつもより小さな声で笑うガラドに俺は、そうか、とだけ返し、ゲートを開く。

草原に着くと俺達は軽くストレッチをした後、ガラドは木剣を持った右腕をだらりと垂らし、

俺は左半身を前に軽く腰を落とし、左手を前に出し、右手は軽く握る。


「それじゃあいくぜー」

「おう」


ガラドの気楽な声に返事を返し、油断なくガラドを見ていると行き成りガラドの身体がぶれる。

その瞬間、未来視には俺の左前方から切りかかるガラドを視る。


瞬時に左腕を未来視で見えた位置にあるガラドの切りかかる腕に当てながらいなす。

その途中、右足をガラドの足の間に入れ、右手はガラドの服の襟を掴みそのまま勢いに任せて一本背負いし、ガラドを地面へと叩きつけた。

だが、実際は地面に叩きつけられたのは俺の方だった。


「ぐぅ!」


未来視でも何も映らない程の速度でどうやら逆に投げられたみたいだ。


「がはは!相変わらず大将はカウンターは一級品だな!」


頭上からガラドの声が聞こえてくる。


「……、それでも今まで一度もお前に当てた事は無いけどな」

「そりゃ何度も言っているが俺と大将じゃ力量が違うから仕方ねーよ。だが、大将の反応速度と淀みない動きからのカウンターは間違いなく一級品だぜ。今回もひやひやしたもんだ」


無言で俺は立ち上がるとガラドは俺から間合いを開け木剣を構える。

今度は俺から攻める番だ。


「……ふぅ」


大きく息を吸い、細く吐く。

目を見開き、弾かれる様にガラドに向かう。

5mの間合いを一歩で詰め、軽く右に身体を振り、フェイント入れると左側に回るようにガラドの背後を取りつつ、後頭部に右肘を叩き込むが、俺の肘は空を切る。


「がはは!今のはちょいとばっかし危なかったな!」


声の方を向くと、ガラドは木剣で肩をトントンと叩きながらこちらを笑いながら見ている。

ここしばらくの中での一番の攻撃を簡単に躱され、むっとした俺は絶対に一撃喰らわせると心に決め、再度ガラドに向かっていく。





「お疲れさん、大将」

「……、お疲れ様、ガラド。結局今日も一撃喰らわすどころか、掠る事も出来なかった……」


あの後、未来視も最大限活用したのだが、それでもガラドに攻撃を当てるどころか掠らせる事も出来ずに時間切れとなってしまった。


「がはは!大将は身体の動かし方自体は悪くねーが、やっぱりまだまだ実戦不足だな!

だが、この調子なら半年後くらいには俺に一撃喰らわせるかもな!」

「まぁ、がんばる」

「おうよ!」


俺は汗だくの身体と服に浄化魔法を掛け、ゲートを開いて家に戻る。

ちなみにガラドは汗一つどころか、呼吸一つ乱していない。


家に戻り、キッチンに行くと胸を強調するタイプのミニスカメイド服のエメラ、アム、フェルがいた。


『おはようございます、ご主人様』

「おはようございます、ツキヒト様」


この世界にもメイド服自体は売っているのだが、ミニスカは無かったので、コピーで手に入れた裁縫スキルを使って自作した。

うちの女子達は外に出る以外は皆これを着せている。なぜって?それは俺の目の保養の為です。


初めてメイド服を着たアリスを見た時ばかりは、あれだけ疲れていたのに即座に臨戦態勢に入り、寝室に直行した。


余談だが、ミニスカメイド服なんて着て外に出たら、ナンパ待ったなしだから外に出る時は着替えろと言ったのだが、ミラが面倒臭がってそのまま行ってしまい、ナンパの嵐のあげく、ストーカー事件まで発展してしまった。

俺とガラドで対処はしたが、あれ以来ミラは外に出る時はちゃんと着替える様になった。



「おはよう、フェル、エメラ、アム。それじゃあ今日はトンカツと天ぷらを教えるから、まずは朝食の準備をささっと終わらせよう」

『はい』


「っと、その前にエメラ」

「はい」


俺はエメラの頬に手をあて肌の具合を見る。


「またちょっと荒れてるな」


俺達の中で俺の次に多忙なエメラは、少し前から肌と髪が荒れてきたと半泣きになっていたので、

俺が時魔法で荒れる前の状態に戻してやったら感激にあまりに抱きつかれるという事があった。


一応回復魔法で肌の具合が治るのではと試した事があったのだが、失敗に終わってしまった。

理由はよく分かってないが、恐らく物で例えるなら回復魔法は壊れた物を直すことが出来るが、

壊れていない物を直す事ができないといった理由だろうか?


正直、肌の事で悩んだ事はないから、理由なんてどうでもいいんだけどね。


「ほら、これでいいぞ」

「あ、ありがとうございます」


時魔法でエメラの肌をピチピチに戻すと、今度こそ朝食の準備に掛かる。


「んじゃ今朝は、そうだな……、エッグベネディクトにするか。後はサラダとスープにデザートはミリンゴにするか」


ミリンゴとはマンゴーの様な形をした果物だ。

中身はリンゴの様なスポンジ状な上、シャクシャク感があるのだが、味はみかんという初めて食べたら混乱間違いなしの果物だ。


この世界は俺の世界と同じ食べ物も豊富なのだが、偶に訳の分からない物も沢山あり、市場に行ってそういった物を買うのが最近のマイブームだ。



「フェルは卵を1個づつ人数分……は、洗物増えるし、とりあえず5個割っといてくれ。アムはサラダ、エメラはスープな」

『はい』


3人が作業に入ると俺は鍋を2つ使ってお湯を沸かす、その際にお酢を少量入れる。


「何故お酢を入れるのですか?」


横で見ていたフェルが不思議そうに聞いてくる。


「酢を入れると卵が固まるのが早くなるんだよ」

『へぇー』


俺の答えに後ろで作業していた二人も反応する。


「酢には色々な効果があるんだが、料理だけじゃなくて掃除にも使えるんだ。中々落ちない汚れは重曹かお酢を入れた水を使うと簡単に汚れが落ちたりするしな」

「そうなんですか、ツキヒト様は本当に物知りですね」


目を輝かせて俺を見つめてくるので、思わずフェルの頭を撫でる。

するとフェルは、くすぐったそうにしながらも、うれしそうに尻尾を振る。

そんなフェルを羨ましそうにアムが見ているので、アムを手で呼ぶと頭を撫でてやる。

二人ともうれしそうだ。


最近分かったのだが、どうやら子供達は男女問わず俺に頭を撫でられるのが好きみたいだ。

基本的誉めて伸ばす俺の方針としては、できるだけ愛情を直に伝えられる様に頭を撫でるなどのスキンシップをしているのだが、最近では特に女子組みが手伝いをしては頭を撫でて貰おうとするようになった。


こんなの絶対俺のいた世界だと誰かに見られたら事案発生なんて事になるんだろうなー。


「そうだな、少し実験をしようか」

「実験ですか?」


ポーチドエッグは魔法を使えばすぐにできるので後に回そう。

イングリッシュマフィンも前に大量にパンを作った際のストックがあるし。



俺はガラスのコップを一つ取ると机に置き、中にお酢を注ぐ。


「んじゃよく見てろよ」


お酢の中に卵を入れると卵から小さな泡が出始める。

そして時間を進めると殻が溶けてくるが、お酢の効力が弱くなったので一度お酢を取り替える。

そしてまた時間を進めるとスケルトンエッグの完成。


「はいよ、スケルトンエッグの完成。ほら、触ってみ」


取り出した卵を水で軽く洗うとフェルに渡す。


「す、すごいです!ぷるぷるして、柔らかいです!」

「わ、私も!フェルちゃん!」


フェルから卵を受け取ると、アムが楽しそうに卵の感触を楽しみ、エメラに渡す。


「これは本当に凄いです」

「ま、これもお酢の力の一つだな。鳥類の卵は表面に炭酸カルシウムの殻があって、内部を保護してるんだが。この炭酸カルシウムなんだが、酸性の液体に溶ける性質を持っているからお酢に溶けたってわけだな」

『へぇー!』

「ちなみにつつくと、ほら、簡単に割れる」


エメラから卵を受け取ると、さらに置いて包丁で軽くつつくと卵の膜が割れて白身と黄身が出てくる。


「んじゃ授業はここまでにして、作業を続けるぞ」

『はい』


我が家の朝食は7時半から始まる。

6時半に作業を始め、7時に朝食を作り終わったので、残り30分のうちに3人にトンカツと天ぷらの作り方を教える。


「トンカツと天ぷらだが、両方油で揚げる食べ物なんだが、トンカツはパン粉、天ぷらは天ぷら粉というつける物が違う物だ。とりあえず食材の仕込をしようか。まずはトンカツの豚肉は---」


「海老は切り目を入れて握ると……、ほら、長くなった。これが伸ばし海老だ」

『おぉー』

「んじゃ、一通り仕込みを終わったし、早速作っていくぞ。トンカツはまずは小麦粉をまぶすんだが、小麦粉には予め塩コショウを入れておくと下味をつけれるし、別に下味をつける手間が省ける。

それから溶いた玉子につけ、パン粉につける。この際出来るだけ力を入れてしっかりパン粉をつける事。

ちゃんと付いてないとパン粉が剥がれて、肉類だと縮むからな。肉だと形が崩れないように手を肉の形に合わせてやるのがコツだ。

だからといって押し付けすぎたら硬くなるから、まぁ慣れだな。

海老は左右からしっかり押して、それから上から押す。そして軽く握りながら余計なパン粉を落とす。


んじゃ揚げていくぞ。油の温度は170~180の間位でいいぞ。

油に入れる際は奥に倒すように入れること。これなら油が奥に跳ねるから火傷をしにくくなる」


本当なら低い温度と高い温度の二つの油を使ってやりたいところだが、面倒なのでしません。


「上げ時は、衣の色よりも泡の大きさとバチバチっていう音だな。当たり前だが食材の厚さで揚げ時間が変わるから、揚げ時間は経験で覚えろ。」


揚がっていくカツを次々にアミを載せたバットに揚げていく。


「バットに上げたカツは1分ほど余熱で火を通すから、気持ち程度早く油から上げるのがコツだな」


カツをまな板に載せて切っていく、肉は若干ピンクで丁度いい上がり具合だ。

予め作っておいたトンカツソースとタルタルソースで皆で味見。


「じゅわー肉汁が出てきて、お肉も柔らかくてすごく美味しいです!」

「外のサクサクも最高です!」

「海老もタルタルソースと良く合います!」


どうやら好評のようだ。よかったよかった。


「次は天ぷらだな」

「おはようございます、ご主人様。遅くなって申し訳ありません」


天ぷら粉を用意しようとしたところでアリスがキッチンに入ってくる。


「おはよう、アリス。アリスも忙しいんだからしょうがないよ、それに丁度良かった、そこの料理をアイテムボックスに入れといて昼に皆で食べてくれ」

「分かりました」


それでは天ぷら粉作りの再開。


「天ぷら粉は冷水に卵黄を入れて混ぜてから小麦粉を入れて混ぜる。冷水の理由は、小麦粉の中のグルテンが結合すると粘りがでるんだが、粘りがでると食感が悪くなってしまうが、冷水でさっくりと混ぜるとグルテンの結合が少なくてサクサクに揚がるんだ。卵の卵黄だけの理由は、卵白を入れると粘りがでてしまうからだ」

『はい』


4人に説明しつつ、天ぷら粉を作り、食材に小麦粉・天ぷら粉を付けて油に入れる。


「海老や肉はカツと一緒で衣が剥がれたら縮むからしっかり小麦粉を付け、余計ない分を落としたら天ぷら粉につけて、ある程度天ぷら粉を落としたら油に入れる。海老は尻尾の殻の部分まで付けないと殻と身の間から油が入って縮むから注意な」


そんな感じで4人に教えながら完成した天ぷらを試食しようと思ったが、これ以上は朝食が食べれなくなるので、夕食に回すことになった。


ちなみにアリスは俺から料理を教わらない。今回の様に途中で会った場合は別だが俺もアリスに教えようとは思わない。

なぜかというと、前にアリスに料理を教えようかなっと、夕食を作ってるときに言ったら、エメラがアリスが俺に内緒でエメラから料理を教わっている、と教えてくれた。


理由を聞いたら、料理を作って俺を驚かせたいとの事だ。

なんとも可愛い理由だ。


ただ、料理スキルも無く、今まで料理を作った事が無いアリスはかなり苦戦しているようだ。

別に黒こげの料理が出てきても食べてやるのに。


「フィリア様の祝福に感謝し、私達の心と身体を支える糧とし、この食事を頂きます」

『頂きます』


食事の前にフィリアに祈りを捧げるのがあの日からの決まりだ。

ちなみに祈りの言葉は俺考案。

本当はアリスがやたら長ったらしい言葉にしようとしていたのだが、面倒くさいし、フィリアにそんな風に祈るのがなんか気恥ずかしかったので、うろ覚えの祈りの言葉をはしょって今の物になった。


朝食が終わると、今日は一時間目は俺担当の算数なので準備をして皆で教室に向かう。

家から出ると子供達が暑い暑いと文句を垂れている。


家や学校の中では自作のクーラーがあるから涼しいのだが、もう8月に入っており日に日に気温も上がり、28度くらいになっている。


それでも日本にいた頃に比べたら30度超えないだけマシなのだが、ここではこれほど暑くなるのは珍しいらしい。


授業が終わると庭に出て、5m×10mの長方形を描き、それに合わせて深さ50cm~1mの坂の穴を空ける。


そして周りの土の材質を変化させる。

プールの材質を思い出しながらそれっぽいものを作り、強度を確かめた後に水を入れていく。


後は水路を合わせたり、梯子を作ったりして完成。


『うわぁー!』


後ろで見ていた子供達が驚きの声を上げる。


「さて、プールの完成。5時間目は体育だったな?ガラドには悪いがちび達をプールに入れてやってくれ」

「あ、あぁ、別に構わないが、この池?湖はなんだ?」

「ん、プールを知らないのか?」

「あぁ」


アリス達の方を見てみたが、皆顔を横に振る。


「俺の住んでた所に水泳の授業があってな、こういう水を溜めた所で泳ぎの練習をするんだよ」

「へぇー、漁師や冒険者以外で泳ぐ奴なんて始めて知ったぜ」

「あれ?皆海で泳いだりしないのか?」

「えぇ、海は魔物も出たりするので、海には行きませんし、そういう習慣もありません」

「そうだねー、家にこんな水溜りを作るのなんかもたぶんツキヒト君が始めてだと思うよ?」


まじか、海で泳いだりしないってことは水着も無いってことか。


「もしかして水着って売ってない?」

「水着、ですか?聞いた事ありませんね」

「……」


これも自作するのか。

いや、ノルドに紹介してもらった服屋に作って貰うか?

いやまてよ、今まで海に入る習慣が無いって事だが、魔物が出ない安全なプールなんてあったら絶対人気が出る。

そうなったら水着を売り出せば間違いなく売れる。


よし、自作して、特許を取っておこう。

どっかに土地を買ってプールを作って、入場料と水着の販売をすれば絶対儲かる。

よし、これで行こう。


「とりあえず、ガラドは泳げるか?」

「あぁ、海の魔物退治のクエストなんてのもあるからな。問題ないぜ」

「ふむ、まぁ今日はプールで遊ばせといてやってくれ」

「あいよ」

「あと、水着は俺が後で作って持ってくるから」

「分かりました」

「んじゃ行ってくる」

『行ってらっしゃいませ、ご主人様(ツキヒト様)』

「いってらっしゃーい」

「頑張れよ大将」


俺はノルドとの待ち合わせ前に衣料店に寄り、水着に最適な布を見に行く事にし、

水着のデザインを考えながら家を後にした。


布を購入した後、商人ギルドに行くと既にノルドがいたので挨拶をした後、

いつもの席に移動し、店舗開店の話を詰めていく。


飲食店と道具屋を両方するつもりだったが、道具屋に関しては、自作した道具を売るつもりだったのだが、この世界にはちゃんと著作権があるので、まずは俺の考えた道具の特許を取ることを薦められた。


特許を取るのに、同じ物があるかどうかを調べたり等と早くても2ヶ月は掛かると言われたのでしばらくはお預けになった。

今のところ特許出願中の物はキッチン用品から日用品、バネやクーラー・冷蔵庫という俺の世界で合った便利な物を一通りだ。


そして、特許を取った後に作ってくれる商会選びをして、それから交渉。

商会選びの際、ノルドに無理を言って今まで関わった商会の現場を見せて貰い、そこで様々なスキルをコピーした。


企画書・設計図を見せながら、作成に掛かる材料費、人件費、販売時の値段等々の話をしている最中だ。

ちなみに、冷蔵庫やクーラー等の魔道具は現在俺しか作れない、正確には作れるがもの凄く時間が掛かってしまうので、弾いている。


魔道具の作り方は、魔力を通しやすい特別な紙に五芒星を書き、外の二重線の中に付与したい現象の文字を書いて魔方陣を付与したい道具に転写する。

だがこれは非常に難しい物で、例えばコンロなのだが、火をつける際はコックを回すと中にある魔石が反応し、転写した魔方陣に魔力を流し、火が付くのだが、この火の強さは作った人の込めた魔力によって変わってしまうので、さらに細かな調整が必要になってくる。


今ではテンプレが出来ているが、コンロ一つ作るのに天才・秀才等といわれた魔法使い達が何年もかけて作り出したのだ。


さらに、魔道具を作るのに使われる文字は何でも構わないのだが、神代文字といわれる神(勇者)達の時代に使われていた文字がもっとも効果が強く、燃費も良いのだが、今ではもう失われた時代の文字な上、一文字に大量の魔力(1000程度)が必要な為

上級の魔法使いでも一日2・3文字が限界みたいだ。


そんな凄い文字なのだが、異世界言語がある俺は自由に使えたりする。

なので、俺が作った魔道具は売り出せば巨万の富を得る事は確実なのだが、特許を出す際に、その古代文字を見られてしまうので、何故使えるか等と突っ込まれる可能性もある。


その時は詐欺スキルを使って全力で誤魔化すがな。


ちなみに、魔道具を作る際、ものすごく大変で頭が禿げるかと思いましたが、

一般的に売られている魔道具を片っ端から解析して、作り方を参考にしたので

なんとかなりました。


「それでは、9月1日にオープンとしまして、改装工事の日程なのですが---」


ノルドとの話が終わり、2日後に相談してもらう事になり、一度家に戻る。


既に12時を回っており、皆食事をしていたので、俺も一緒に食事をする。

水着の方は作っている時間が殆ど無いので、ささっとスク水と男子は半パンの海パンを作り、

魔法で複製して材質とサイズをいじって渡す。


「ど、どうでしょうかご主人様?」

「これはちょっと、恥ずかしいな……」

「はぅぅ……」

「最高です」


良い、すごく良い。

やっぱりアリスとミラが着ると反則級の物になってしまうな。

エメラも二人ほどではないが中々の物をお持ちなので大変素晴らしい。


「ツキヒト様、私はどうですか?」


フェルの方は少しある膨らみに細い手足に白い肌が最高だ。


「凄く可愛いよ」

「あ、ありがとうございます……」

「ごしゅじんさま、わたしはー」


ミリス達も大変可愛らしいです。


さて、名残惜しすぎるがこれから内装業者との話し合いがあるので家を出なくてはいけない。


「ミラは水の温度調節を頼むけど、あんまり冷たくしすぎるなよ。アリス達はプールに入る前に軽く

水を浴びさせてから入らせてくれ。急に冷たい水に入ると心臓麻痺になる可能性があるから。

あとは、ガラドに任せるって言っといてくれ」

『わかりました』


ボールを変化させて作ったビーチボールと浮き輪をアリス達に渡し、家を後にする。





「こことあそこにシンクを置いて高さは----、オーブンとコンロは----」

「それでしたら、厨房をもう少し広くしたほうが---」


現在俺は、既に購入をした中古の元定食屋にて、内装業者と内装の相談をしている。

2階建てと地下室のある建物で、築10年と割と新しい建物、場所は町の中央の少し北西という好立地だ。


人通りも多く、衛兵もよく巡回しているので治安も良い。

周りに同種の店が複数ある為、飲食店街となっており、大体この道を通る人は外食をしに来る人ばかりだ。

さらに周りの店はリサーチ済みである。

味は確かに悪くないが、エメラ達が作る料理の方が若干上であり、さらに言えば、俺の世界の料理を複数出す為、物珍しさで入ってくるだろう。

一応この世界の人の意見として、うちの者以外にもノルドに意見を貰うためにいくつか試食して貰ったが、どれも食べたことが無く、味も非常に素晴らしい、これなら絶対に繁盛すると太鼓判を押して貰えた。


だが、食べて貰う事には始まらないので、最初に客寄せとしてアリスとミラには頑張って貰う予定だ。


内装業者との話が終わると、次にここ最近何度も通った飲食店御用達の大手魔道具屋のスターズに向かい、必要な物と大雑把な値段を調べて行く。


「内装も殆ど決まったし、明日にでもエメラとアムを連れて購入する物を選びに来るか……」


店を出ると、疲れから大きな溜息が出る。


ここ最近ずっと頭を使っているので、精神的にかなり参ってきてしまっているのだが、

フィリアの信仰を集めるために、いつまでもここでぐだぐだやっている暇は無いため、

オーバーワークでも頑張るしない。


「結局あれから一度もフィリアと会ってないんだよな……」


俺が始めてこの世界に来た時以外では、一度もフィリアからの連絡は無い。


奴隷達から信仰を得る事とが出来る様になったので、フィリアからの連絡があるのではと、

しばらく待っていたが結局こなかった。


「時間切れ……なんて事はないよな……」


信仰を得ることは成功した、しかしフィリアからの連絡が無い。

その為に最近は少し焦りが出てきてしまっている。

これがオーバーワークをする原因だと気づいているのだがどうしようもない。


この世界はフィリアが作った。もし、作った神であるフィリアが消えたらこの世界は消えてしまうのかも知れない。

そんな考えもあり、尚更心労が溜まっていく。

だが弱音を吐いてなんていられない。

時間切れも、この世界が消えるなんてのも何の根拠も無い、弱い俺の心の被害妄想だ。


それに、俺はアリス達を救った。


いや、救ってしまった。


だからもう辛いから逃げる事なんてできない。


救ったからには全て面倒を見る、なんて事は言わないが、最低でも1人でちゃんとやって行ける位までは面倒を見ないといけない。


それが救った者の責任であり、信仰を集める為に必要な行いだ。


だから、絶対に逃げれない。





家に戻り、書斎に行くと、アリス、ミラ、フェル、エメラが作業をしていた。


『おかえりなさいませ、ご主人様(ツキヒト様)』

「おかえりー」

「ただいま」


アリスが駆け寄り、恐らくアイテムボックスから出した冷たい紅茶を差す出すので受け取り、

一気に全てを飲み、遅れて駆け寄ってきたフェルにコップを渡す。


「……ふぅ、ありがとう」

「いえ、お疲れのようですが夕食までお休みになられますか?」

「いや、回復魔法を使ったから大丈夫。エメラ、明日はアムと一緒に店と魔道具屋に必要な物を

見に行くぞ」

「は、はい!」

「あぁ、そういえばプールはどうだった?」

「最高だった!」


ミラがガタッっと立ち上がり興奮しながらプールであった事を話す。


どうやら皆楽しめたようで何よりだ。


「フェルはどうだった?」

「凄く楽しかったです!水の中って気持ちいいんですね!」

「そうか、それは良かった」


楽しそうにプールの事を話すフェルに、つい笑顔になる。


俺は自分の席に座るとフェルを呼び、膝の上に座らしてモフモフを味わう。


「はぁ~、フェルのもふもふは最高だな」

「あ、ありがとうございます」


溜まっているストレスも、フェルのもふもふを味わうことでかなり解消されるので、

ここ最近はずっとフェルを膝に乗せながら作業をしている。


ちなみに、俺以外の3人もフェルをちょくちょくもふっている。

アニマルセラピーは最高だな。


定期的にフェルをもふりながら作業を始め、18時にエメラが奴隷達の家に夕食の準備に戻る。


「予算は大体600万程度で家賃は要らなくて、変動費はとりあえず人件費の内、保険料とかはいらなくて---、原価はまだ出てないから---、店舗維持費、限界利益……、固定費は-----」


やばい、頭がめちゃくちゃ痛くなってきた。


店舗を経営する知識と経験は俺の世界でやった事があるが、オープンからとなると初めてなのでかなり苦戦している。

初期投資が大きい為、何年を目処に利益が出るようにするかなんて考えていたら吐きそうになる。


ぶっちゃけ、クエストをすれば金なんて幾らでも稼げるが、安定した収入と、子供達に経験を積ませる為を目的としている為、可能な限りは店の売り上げで何とかしたい。


「原価はどのくらいできてるんだ……」


メニューの原価はアリス達にやって貰っているので、二人の方を見ると、ミラだけが熱心に電卓代わりに渡したスマホをいじっているので、防音の魔法を掛けて音を立てずに後ろに行くと、どうやらゲームに夢中のようだ。


「おい」

「っ!!」


行き成り後ろから声をかけられたミラは驚きながら背筋を伸ばす。


「楽しそうだな、ミラ」

「あ、あはは……、その、歩留まりの計算をしてたんだけど、その、ちょっと息抜きをしようと思ったんだけど……」


額に汗を垂らしながら言い訳をするミラ。


「それで、ゲームが楽しくて長い息抜きになってしまったと?」

「う、うん……、あ、あのツキヒト君!このリバーシブルってゲーム楽しいね!これを商品化したら

絶対売れると思うよ!」


なんとか誤魔化そうとするミラを見ながら、ミラの言葉を少し考えてみる。

この世界ではテーブルゲームといったらトランプのようなカードかチェスみたいな物しかない。


なのでリバーシブルのような誰でも出来る簡単で知恵を使うゲームを売り出せば売れるかも知れない。


(玩具か、確かにそれもいいな。大人から子供も遊べる物、あぁ、ベビー用品とかもいけるか……)


「なるほど、それじゃあミラが担当な。とりあえず1週間以内に企画書を作れ。どういった物かは既にわかってるんだから、後は素材探しと設計図か。工房の方は俺と契約してる所があるからそこを使え」

「えぇっ!!そ、そんなのできないよ!」

「ミラにこの言葉を送ろう。言いだしっぺがやれ」

「そ、そんなー!……、あ、あの、これをするなら今やってる作業は……」


チラッっと上目遣いでミラが馬鹿な事を言ってくる。


「やらなくてもいいが、その代わりもう一つ追加するから」

「そ、そんなー!」


俺はささっともう一つの玩具のジェンガの企画書を作り上げ、ミラに渡す。


「あ、これ楽しそう!というか、木を切って色を塗るだけだからすぐできそう」

「ルーレットや命令カードもあるからそっちも考えないといけないぞ」

「あ、本当だ……、命令カードって何を書いたらいいんだろう」

「当たり障りの無いやつでいいぞ、だけどちょっと過激なのもあったほうがいいな」

「例えば?」

「隣の人の頬にキスをするとかだな」

「えぇ!?そんなのいいの!?」

「こういうのは、男女の仲のきっかけになったり、カップルの愛を深めたりなんて効果もあるからいいんだよ。謳い文句にもそれっぽいのを入れるのもいいな」

「な、なるほど……」


ミラが企画書を作り始めたので俺は席に戻り、フェルを膝に乗せてもふもふする。


(やばい、作業が増えた。現在でもかなりきついのにどうしよう……、仕方ない、アムとギルにも手伝わせるか……。あぁ、そろそろ奴隷を買うつもりだったし、明日買いに行ってそいつらも使おう)


買った奴隷が即使えるかどうかも分からないのに、皮算用をする俺。

そしてそれに気づかない俺。


「……」


アリスが心配そうに俺の事を見ているが、うまく働かない頭を無理やり働かし、作業をする俺は

それに気づかない。


しばらくして、エメラが夕食が出来たと呼びに着たので、ゲートを使って奴隷達の家に移動。


夕食は朝に教えた天ぷらだ。

天つゆと塩で食べるのだが、アメリアの一般的に使われている塩は結構しょっぱいので、各大陸で使われている塩を購入し、皆でどれが言いかと言って貰う。


それぞれの意見を聞いた結果、ドワーフのハロリア大陸の塩に決定した。


食事が終わり、風呂の準備を始める前に、アリスとエメラにアムとギルを手伝わせ事と

明日奴隷を買いに行く事を伝えた。


俺以外の全員が風呂に行くと、俺は1人ゲートを使い、草原に出ると、魔法で穴を開け、夕食を吐き出した。


「はぁ……はぁ……、っくそ!」


最近は食事が全然喉を通らず、無理やり食べては後で吐くを繰り返している。


一通り吐き終わると、口を濯いでから家に戻る。


「ご主人様……」

「ア、リス……」


ゲートで家に戻ると、目の前にアリスが心配そうに立っていた。


「風呂に行ったんじゃ……?」

「最近ご主人様の具合が悪そうだったので……」


可能な限り誤魔化していたつもりだったが、どうやらアリスにはばれていたみたいだ。


「そうか……」

「あ、あの、しばらくお休みになられては如何でしょうか?このままでは倒れてしまいます」


アリスの言葉は今の俺にとってはこれ以上無いといった魅力的な物だった。


「ありがとう。ちゃんと回復魔法も使ってるし、フェルももふもふしてるから大丈夫だよ」


でも、それは出来ない話だ。


(あれ?なんで出来ない話なんだ?)


「ご主人様?」


急に黙り込む俺の顔をアリスが心配そうに見つめる。


「いや、アリスは可愛いなって思って」

「……、ご主人様、本当に大丈夫ですか?」


どうやら誤魔化されてくれないみたいだ。


「大丈夫だよ、ほら」

「えっ?んっ!ん……」


アリスを抱き寄せ、唇を合わせる。


「ふぅ、これで元気になった。さて、それじゃあそろそろ風呂に行こうか」

「……、はい」


唇を離し、これ以上何も言われないように無理やり話を切り上げ、風呂へと向かう。


その途中、昔にも似たような事をあった事をぼんやりと思い出す。


(あの時は全部終わった後に高熱を出してぶっ倒れたんだっけ……、それ位なら問題ないか。

じゃあもっと頑張れるな)


「っ!?」


廊下を歩いていると急に視界がぶれ、膝を突く。


「……たった一ヶ月だぞ、この位で倒れるわけないだろ」


自分に言い聞かせる様に言うと、回復魔法を掛けて立ち上がり、重い足取りで風呂へと向かう。

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