夜泣き
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よろしくお願いします。
3/10編集しました。
風呂上り、一息ついた後に女子達はまだ時間が掛かるだろう、と時間を潰してる最中に子供達がうとうとし始めたので、部屋に連れて行き寝かした後アリス達と宿に戻る事にしたのだが、アリスからアムの話を聞いて途中で家へと引き返す事にした。
「どうしたんだ大将?ガキ共ならちゃんと寝てるぞ?」
家に戻るとすぐにエメラとガラドを外へと呼び出し、アムの事を話した。
「あー、そりゃあ可哀想だとは思うが、良くある話だぜ?」
「いや、それに関しては俺も分かっているから、敢えてちび達には今までの事は聞かないようにしたんだが、アムみたなトラウマを抱えてるなら、恐らく夜鳴きや粗相をする可能性があると思って、
俺達も今日は泊まることにしたんだよ」
最初はそうするつもりだったが、今日一日子供達の様子を見て大丈夫だと思い、宿に戻ろうと思ったのだが、それが如何に甘い判断だったのかが直ぐに実感した。
「うわぁぁぁあああ!」
「っ!」
突如、家から聞こえた叫び声に俺達はすぐに叫び声が聞こえる部屋へと向かった。
「うわああああ!ひっく、わああああ!やめてぇよおお!いやああああ!」
「うわぁあん!やだよおおおおおおお!おかあさあああん!」
叫んでいたのはソルとガルムだった。
うなされている二人は、泣きながらベッドの上で暴れていた。
「落ち着け、大丈夫、大丈夫だ」
俺はガルムを抱き上げ、背中を撫でながらあやす。
最初は暴れていたガルムだが、しばらくすると落ち着いて寝息を立て始めた。
ソルの方はアリスがあやし、そちらも寝付いたほうだ。
寝付いた二人をベッドで寝かし、離れようとすると又ぐずり出すので今日は一緒に寝ることにした。
「ミラ、エメラは悪いけど、女子の方を頼む」
「分かった」
「分かりました」
二人は頷くと、すぐに女子の家へと向かった。
「大将……」
「まぁ、しばらくはこうだろうな……。お前はギルとグライムの部屋で寝てくれ。防音の魔法を掛けとくから安心しろ」
「分かったよ」
ガラムは軽く肩を竦めると、ギルとグライムの部屋へと向かった。
「ご主人様……」
「アリスも悪かったな」
「いえ、ご主人様の目的の為ですので、覚悟は出来ていました」
「……そうか」
アリスにはなるべく悲惨な奴隷を買うとは事前に言っておいたから、こういう状況も予測済みだったのだろう。
俺は防音の魔法を掛けると、ベッドに横になり、ガルムの背中を撫でてやる。
背中を撫でるとガルムは落ち着くみたいだ。
「……ふぅ。これから新しい奴隷を買う度にこんな感じになるかもしれないが、大丈夫か?」
「はい、問題ありません」
「俺は妹とか親戚の子とかでこういうの慣れてるけど、アリスはそうじゃないだろ?」
「そうですが、ご主人様の為なら頑張ります」
「……そう」
(俺の為……か、アリスの俺への思いは忠誠心か、それもと愛なのか……)
アリスが俺の為、俺の目的の為、なんていうと、最近になって急に色々考えてしまう事がある。
一体何故そこまでしてくれるのだろう、っと。
「ご主人様」
「ん?」
「あの、先ほどの妹様のお話を聞かせて貰えないでしょうか?」
「……妹か」
俺がアリスの事を深く聞かないように、アリスも俺の事を深く聞いてこないのだが、
今日は珍しく、俺の事を聞いてきた事に少々驚きがあった。
俺は天井に顔を向け、天井をしばらく眺める。
正直、家族の事は思い出したくない。俺にとっては現実逃避していた大きな要因でもあるからだ。
それでも、楽しい思い出は確かにあった。
「俺には遥と葵っていう二人の妹がいてな、10歳以上離れた兄妹だったんだ」
ぽつり、ぽつり、と昔の事を思い出しながら妹の事を話していく。
「俺は元々末っ子で、上に兄と姉がいたんだが、初めて妹の遥ができて、それはもう嬉しくてな。
よく一緒の部屋で寝て、夜鳴きに困らされたもんだよ。
俺なりに一生懸命面倒は見てたんだが、好かれなくてな。
遥が生まれてから2年後に葵も生まれて、今度こそは好かれようと頑張ったんだけど、
俺って結構短気だから、小さな妹相手でもよく喧嘩してな、本当にあの時はガキだったと今でも反省している」
「ご主人様はとても優しいお方です」
「……ありがとう。
妹達が大きくなるにつれ、俺も大人になってきてな、叱りはするが、喧嘩なんかはしなくなったし、
プレゼントだってちょくちょくしてあげてた。
でも、ある時俺は親に振り回されるのが嫌になってな、家を出ることにしたんだ。
その後、妹達は何度も引越しと転校を繰り返す事になって、俺が一緒に着いていってやれば
そんな事にはならなかったんじゃないかって、ずっと後悔してるよ」
「お兄様とお姉様はどうされたのですか?」
「兄は俺が16の時に家を出てから殆ど音信不通、姉は結婚して幸せそうにしてるよ、
妹達の面倒もちょくちょく見てたみたいだな」
「お姉様とは連絡など取られなかったのですか?」
「取ってないな。家を出た時には既に俺は、家族とは会いたくないと思ってたから」
「……申し訳ありません」
「ん?」
「いえ、どうやら思い出したくない事を思い出させてしまったようなので……」
「あぁ、別に構わないよ。今更何とも思わないし」
「そう、ですか……」
そう、どうせもう二度と会う事も無いだろうし、今は俺はやらなくてはいけない事がある。
だから、あんな家の事を思い出す余裕なんてない。
「そろそろ寝ようか」
「……はい、おやすみなさいませ、ご主人様」
「おやすみ、アリス」
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「そっちはどうだった?」
朝になり、大人組で家の外へと集まり、昨夜の報告を始めた。
「こっちはアムちゃんとミリスちゃんだったよ」
「アムちゃんは酷く怯えて、ミリスちゃんはご両親を呼んでいました」
「それで、ミリスの方はおねしょをしたと?」
「……はい」
ミリスと一緒に寝ていたエメラのパジャマは当然濡れてしまったみたいだ。
今朝の内にミラが浄化魔法と温風で、全て綺麗にしたので今は濡れていない。
こちらの方も同じ方法で処理は済ませた。
「こっちは、ソルとガルムの二人だな」
「……、随分と酷い目に合ったみたいだね……」
「まぁ、あの年で奴隷になってんだ。幸せとは程遠い人生だろうな」
『……』
沈黙が場を支配する。
「大丈夫!私達がいるから、これからは絶対幸せになるよ!」
沈黙を吹き飛ばす様に、ミラが元気な声を上げる。
「一応言っとくが、しばらくしたら俺達はこの街を出るぞ?」
「っう、そ、それは分かってるけど、エメラちゃん達が頑張れば……」
「わ、私がですか!?」
「俺もガキのお守りなんてしたこと無いからどうなるかわからねーぞ?」
重大な仕事を任されそうになり、慌てふためくエメラ。
「大丈夫です、私達が街を発つまでにまでに、ある程度状況を改善します。
それに、エメラ達にもしっかりと教育しますので問題ありません」
「えぇ!?」
「まぁ、このまま任せてさようなら、はしないから安心しろ。
そもそも、俺の予定じゃ3ヶ月くらいはいる予定だしな」
俺達がいなくても、ちゃんと生活できる様にしないといけないしな。
「あれ、そうなの?そんなに長いこといるなら、宿は引き払った方が良くない?」
「あぁ、本当なら今日宿を引き払って、借家をもう一つ借りようと思ったんだが、
現状ではここに住んだほうがいいだろう」
「それは賛成!あんなアムちゃん達は放って置けないよ!」
「だが、一応言っとくがあれば毎晩続く可能性があるから、かなりきついぞ?」
「っうぐ、だ、大丈夫!私頑張る!」
妹達の時に経験したのだが、夜鳴きは連日続くと死にそうになる。
睡眠不足に加え、日中も常に見てないといけないので、その為育児ノイローゼになる親も多いのが
よく分かる。
だが、昨夜は一度あやした後は、再度夜泣きする事は無かったので断然ましだろう。
「幸い赤ん坊じゃないから、日中に何度も泣くとかないから大分ましだろう。
一応ちび達には昼寝の時間をやるから、その時にでも少しは寝とけ。
とりあえず、今日の昼寝の時間はミラとエメラは休んでおけ。
ちび達は男子の家で寝かして、アリスに見てて貰うから」
「分かりました、任せて下さい」
「俺はやる事があるから、その間にガラドは悪いがギルドに行って、
Bランクで近くて稼げそうなクエストを探しといてくれ」
「あいよ、だけど大将はいいのか?」
「ん?何がだ?」
「あー、ほら……」
ガラドが少し言いにくそうに頬をポリポリとかく。
「しばらくこっちに寝泊りするってことは、ほら、アリスの姉御とできねーだろ?」
『……』
一瞬何を言っているのか理解できなかったが、理解したとたん全員言葉を失ってしまった。
「お、お前は何ってるんだ!」
「そ、そうです!何を言ってるんですかガラド!」
こんな場所で変な心配をするガラドに怒鳴る俺とアリス。
「別におかしくはねーだろ?男と女なんてそんなもんだぞ?
大将もアリスの姉御もまだ若くてやりたい盛りなんだから別におかしくなんかねーよ」
「なっ……!」
アリスが絶句してしまった。
ミラとエメラは顔を真っ赤にして俯いている。
「はぁ……、まぁお前の言う事は否定はしないが、こんな状況なんだ、我慢はする。
それに、我慢できなくなったら宿を取るから問題ない」
「ご、ご主人様!?」
「そうか、それなら短時間だけでも使える宿を教えといてやるよ」
「ガラド!?」
「ツキヒト様ー!ご飯できましたよー!」
短時間だけでも使える宿があるのか。
後でちゃんと教えて貰おう。
「分かった!今行く!んじゃ、飯に行くぞ」
「あいよ!」
「ま、待ってください!ガラド!あなたには言いたい事が沢山あります!」
俺に続き、ガラドとアリスが家に向かっていく。
その後ろで取り残されたミラとエメラが、先ほどの会話の内容に固まってしまっていた。
「……大人の会話だ」
「……大人の会話ですね」
『……はぁ』
やっと出た言葉は、自分よりずっと先に進んでしまった友人と、先輩との自分の差による為の
溜息だった。
「……」
朝食の時間、昨夜の事のせいだろうか、酷く静かに食事が進んでいった。
ミラもなんとかしようとしているが、中々喋りだせずにいた。
「……はぁ」
『……(ビクッ)』
思わず零れた溜息に子供達が小さく肩を震わす。
「……お前達、今朝も言ったが、あの程度の事で一々怒ったりなどしないから気にする」
『……』
「返事は?」
『……はい』
小さく返事をする4人を見て、他の子供達も心配そうに見ている。
さて、どうしたものやら……。
「俺の言った事がちゃんと分かったなら朝食を食べ終わったらこれを食べていいぞ」
『わぁ……!』
俺はアイテムボックスからプリンをテーブルへと取り出すと、子供達は驚きか嬉しさか分からない声を小さく上げ、プリンに目が釘付けになる。
単純だが子供相手には食べ物で釣るのが一番かなと思ったが、どうやら正解のようだ。
「で、俺の話が分かったか?」
『はい!』
「…はい!」
「……はい」
ソルとミリスが真っ先に返事をし、ガルムが遅れて、アムはそれでも少し考えてから返事をした。
まぁ、アムは一番年上で一番大人に近い分、色々考えてしまうんだろうか。
「ツ、ツキヒト君!それ、私の分もあるよね!?」
……、この王女は子供か!って、子供だったか、14歳だし。
俺はアイテムボックスからプリンを取り出し、ミラのに渡すと、エメラも欲しそうな顔をしていたのでエメラにも渡す。
アリスは気にしてない顔をしていたが、一瞬プリンに目をやったのを俺は見逃していない。
「あ、ありがとうございます」
アリスが恥ずかしそうに礼を言う。
恐らく、一番奴隷としての威厳を出したかったりしたのだろうが、親しみ易さも必要ですよ。
ガラドにもやろうとしたが、甘いのは余り好きじゃないと、断られた。
「んじゃ、宿に行って来るから後はよろしく」
「分かりました、行ってらっしゃいませ、ご主人様」
朝食の後、奴隷達の服等の必要品を買わないといけない事を思い出し、全員で街の中央の市場へと向かい、ガラドにアリス達の護衛を任せ、俺は途中別れ、宿にチェックアウトをしに行った。
チェックアウトした後、商人ギルドに向かい、必要な物を売っている場所を教えて貰った後
店へと向かい、購入した後に家へと戻り今後の為の作業に取り掛かる。
「ただ今戻りました」
「ん、お帰り」
寝室で作業をしているとアリス達が戻ってきたので作業を一旦中止し、フェル、エメラ、アムと一緒に食事を作りにキッチンへと向かい、その間アリスは、残った奴隷達に教育をしている。
「フェル、じゃが芋がそろそろ茹で上がるからお湯を切ったらタオルで水気を取って、ボウルに入れて塩、胡椒、酢を入れて木ベラで潰してながら混ぜて」
「は、はい!」
「エメラ、もうちょい塩と胡椒入れたほうがいいぞ、アム、材料は切り終わったか?」
「も、もう少しです」
「ツキヒト様!どれくらい入れたらいいんですか!?」
「適量、少しずつ入れて味を確かめながらやってみろ」
「はい!」
昼御飯の調理はフェル達に任せつつ指示を飛ばし、俺は晩御飯用のシチューの準備をしている。
「ツキヒト様、どうですか?」
「んー、おっけー、んじゃ次は人参とマヨネーズを入れて混ぜて」
一口味見した後、問題なかったので、アイテムボックスから取り出したマヨネーズをフェルに渡す。
「ご主人様、まよねーずとはなんですか?」
「卵黄、酢、塩コショウで作った調味料、味見していいぞ」
エメラがマヨネーズの味見をしに行っている間、トマトソースの様子も見ておく。
そろそろ出来上がるので、パスタを茹で始め、エメラと一緒にマヨネーズの味見をしていたアムに、
食材を切り終えたのを確認し、フライパンで炒めさせる。
「ご、ご主人様!これ凄く美味しいですね!」
エメラが大興奮で戻ってくる。
「美味しいけど、油の塊だから食べ過ぎると太るぞ」
「っえ!?き、気をつけます……」
野菜とベーコンを炒めているフライパンにトマトソースを加えたのだが、
大人数用にと大きいフライパンにしたせいで、アムが重くてフライパンをうまく振れないので、
エメラと交代させる。
あれって手首に来るんだよなぁ~。
「お、重いです……」
「悪い悪い、次からは小さいのでするから」
「ツキヒト様!出来ました」
「はいはい、んー、もーちょいだけ胡椒足してから、サラダと一緒に盛り付けて、アムは皿にサラダ盛っといて」
「はい!」
パスタの方は、寸胴に人数分が入りきらないので2回に分けて茹でるが、最初の分が冷めない内に2回目を時魔法でささっと茹でてしまう。
「んじゃ、パスタにオリーブオイル入れて少し混ぜてから、ソースを入れて混ぜて」
水を切り、ボールに入れたパスタにソースを入れて混ぜさせると、あら簡単、ナポリタンの出来上がり。
本当はソースを入れた後に、もう一度軽く炒めたかったが、エメラの腕が限界っぽかったので止めておいた。
多少料理はしたことあるみたいだが、腕の細さを見るに大鍋等使ったことが無いのだろうな。
盛り付けが終わったところで、俺もシチューが出来上がったのでアイテムボックスに鍋ごと仕舞っておく。
「んじゃ落とさないように持って行くぞー」
『はい!』
それぞれお盆に料理を乗せてリビングに向かうと、丁度奴隷達の教育も一段落したみたいだ。
子供達に手を洗わせに行かせ、戻ってきたら皆で昼食にする。
「いただきます」
『いただきます!』
子供達は一斉にナポリタンに手を伸ばす。
「おいしー!」
「このサラダもおいしいよー!」
評価は上々、だが子供達の口周りが凄い事になっている。
昼食を済ました後は今度は先ほど調理で不参加だった3人を含めて、アリスが教育を再開する。
ガラドは今朝話した通りに、ギルドに良さそうなクエストを見に行って貰う。
「んじゃよろしく頼む」
「あいよ」
「あとこれで酒とお前が使う武器を買って来ていいぞ」
「まじか大将!」
家の外でギルドに向かうガラドに金貨の入った袋を渡すと、
ガラドは嬉しそうに懐へ仕舞う。
「いやー、奴隷商に行ってからずっと酒飲んでなかったから飲みたくて仕方無かったんだよ!」
「言っておくが酒に全部使うなよ?お前の武器の分もあるんだからな?」
「分かってる分かってる!」
俺が渡した袋には、金貨50枚、50万リアが入っているが、ガラドの様な高ランクの使う武器を
買うには到底足り無いが、2日でかなりの額を使ってしまった為仕方ないので妥協して貰おう。
ガラドを見送った後に俺は二つの家の間に行くと、土魔法を使って建物を作る。
昨日買った檜の板をまた複製し、壁と床に貼り付けていき、扉を付け、机と椅子と黒板を設置し、
教室を作り上げる。
次はこの世界に来る前から鞄に入れていたノートと筆記用具の複製を開始。
筆記用具は筆箱ごと中身も全て複製しようと思ったが、複数を一度に複製しようとすると、
集中力と魔力が1個づつするより結果的に多く消費する事が分かったが、これも修行の一環と思い
ひたすら集中と複製。
途中、魔力が切れそうになったらゲートで街の外に移動して、マナを吸収のローテーション。
ノートと筆記用具の複製が終わると次はスマホと充電器の複製ができるかと試してみたら、
時間が掛かったが見事成功。
部品が多ければ多いだけ、集中力と魔力の消費が多くなるので、かなり大変だったがとりあえず20個づつ複製をした。
起動も問題なく出来たし、充電器の方もちゃんと充電できたので、これで充電切れの心配が無くなった。
スマホの方は、異世界では使える機能が大幅に制限されるが、電卓やカメラ、アラーム、ストップウォッチなどあれば十分だろう。
さすがに複製の連続で疲れたので、椅子に座って少し休憩しているとアリスが冷たい紅茶を持ってきてくれた。
「ご主人様、お疲れ様です。よろしければこちらを」
「あぁ、アリスか。ありがとう、頂くよ」
アリスから紅茶を貰い、一度に半分ほど飲むと、冷たい紅茶が身体に染み渡る様に感じ
少し元気がでる。
「はぁ……、おいしい」
「それはよかったです」
アリスが立ったままでいるので、隣に椅子を引っ張り、座るように勧める。
「ちび達は?」
「眠っています。しばらく様子を見ていましたが、泣いたりする子はいません」
「ミラ達は?」
「部屋で眠っているかと」
ふむ、ということは久しぶりにアリスと二人きりか。
俺は座っている椅子を引きずらせながら、アリスの真横に行くと、
アリスの腰に手を回し、抱き寄せる。
アリスは少々驚いたが、俺の意図を察し、顔を赤らめながら目を閉じ、唇をこちらに向ける。
俺は向けられたアリスの柔らかい唇に自分の唇を押し付けた後、そのまま舌をアリスの舌へと絡ませる。
「っん、んんっ、んちゅぷ、…ぁ、はふ……」
舌を絡ませると、アリスも積極的に舌を絡ませ、こちらの舌を吸ってくる。
しばらく、お互いの口内を貪る様な口付けを交わし、顔を離す。
「ご主人さまぁ……」
アリスがとろんとした顔でこちらを見つめてくるが、さすがにここでは出来ない。
「近いうちに宿に行こうか」
「……はい」
アリスが俺の胸に頭を預けてきたので、優しく頭を撫でてあげる。
しばらく、久しぶりの二人の時間を過ごした後、そろそろ子供達が目を覚ますころだろうと、
アリスを家に戻す。
その際、アリスが名残惜しそうにするので、もう一度熱いキスを交わした。
「さて、もう一踏ん張りするか」
大きく伸びをした後に、今度は算数の教科書の作成に入る。
教科書といっても、四則演算以外は、現状使うことはそうないであろうので、省く事にした。
とりあえずは、足し引きを覚えさせた後に、掛け算、割り算の順番で教えていく予定だ。
「分数とかも教えといた方がいいのかなぁ~」
なんて、頭を悩ませているとガラドが帰ってきた。
「大将、戻ったぜ!」
「おかえり、クエストはどうだった?」
ガラドは紐の付いた酒瓶を3つ持ち、腰には分厚い剣が携えられていた。
「近場で稼げるのは、2つしかなかったな。1つはトレント伐採、トレントの15匹の集団を発見したので全て討伐の依頼。報酬は100万+素材。
もう1つは一角タマスの討伐1匹50万+素材だ」
「ふむ、両方と戦った事はあるか?」
「あぁ、トレントはそんなに強くないが、一角タマスは突進力に角が合わさって簡単に腹に穴を開けられるぜ」
「特徴と戦い方は?」
「Bランク以上の敵は基本5人パーティーで盾役、攻撃役、回復、魔法って感じで戦うな。
トレントは木に擬態しているが、下の方の両側に腕となる枝が生えているからすぐ分かる。
倒し方は腕を切り落とすと何もできないからまずは腕を切り落とす。
次に真っ二つにするんだが、結構硬いから斬るのに骨が折れるぜ。
後は集団で行動した場合は、相手を囲ってくるからめんどくせえぜ。
あと、トレントの木材は、高温を簡単に出せる炉の燃料としてそこそこの値段で買い取られてる。
一角タマスは猪をでっかくして鼻先からツノを生やした感じだな。
皮が硬くて安物の武器じゃ傷一つつけれねえ、だから良い武器を使うか、魔法で倒すかだな。
素材は、角と皮が高く売れるぜ」
「なんかめんどくさそうだな」
「Bランク以上の敵はそんなもんだぜ。だが、大将が本当にアルフレッドと同じ強さなら全部一人で倒せるだろうな」
んー、正直どれくらい敵が強いかがいまいち分からないから、何とも言えないな。
とりあえず行ってみて、無理そうなら瞬間移動とゲートで逃げればいいか。
「んー、じゃあ明日行ってみるか。お前も付いて来いよ」
「それは別に構わねーが、とりあえず大将がどれくらいの強さか一度見せて貰ってもいいか?」
「別にいいぞ。んじゃ今から行くか」
俺は椅子から立ち上がり、ゲートを開く。
「うぉ!な、なんだこれ!?」
「転移魔法、ほら、さっさと行くぞ」
俺は先にゲートに入り、サニースの外れに出た後、中々ガラドが来ないので呼びに行こうかと思った所で、ゲートからガラドが出てきた。
「す、すげぇ……」
ゲートから出たガラドは、周りを見渡し、驚きの声を上げる。
「これって転移魔法だよな?こんなの御伽噺でしか聞いたことねーぞ」
「あぁ、アリスもそんなこと言ってたな」
「なんか既に、大将の強さが分かった気がするぜ……」
「まぁまぁ、そういわずに思う存分俺の力を見てくれよ」
それから俺は、小さめの竜巻を作ったり、擬似太陽で世界を照らし、雪を降らせ、
巨大なゴーレム(動かない)作ったり、そのゴーレムを雷で壊したり、残骸をソーラービームで溶かしたり、など、様々な魔法を見せてあげた。
「……、もう大将が世界最強でいいんじゃないか?」
長々と俺の魔法を見せ付けられた後にガラドが言った言葉はこれだけだった。
家に戻ると晩御飯まで少し時間があったので、教科書作りの再開。
そういえば読み書きが出来ないからそっちの教科書も作らないといけないのか、
そっちはエメラにでもやらすか。
ちなみにガラドは俺の横で、ノートと筆記用具に驚いている。
この世界の紙は基本パピルス紙なので、白い紙に驚いているのだろう、後はシャーペンやら消しゴム
の事もいちいち聞かれて、なんか面白かった。
「失礼します、ご主人様、そろそろお食事の時間です」
ガラドに色々と説明しながら作業をしていると、アリスが呼びに来たので女子の家に向かう。
「ん、じゃあ行くか」
リビングに向かうと既に俺達以外全員着席していたので、俺はアイテムボックスから昼に作っておいたシチューを取り出し、配膳しようとしたらアリスが自分がやると言って来たのでお願いした。
「んじゃ、いただきます」
『いただきます』
今日のメニューは、ホワイトシチュー、パン、サラダだ。
奴隷だった子供達は同年代の子に比べたら身体が華奢なので、なるべく栄養を取らせようと
野菜多めのメニューにしている。
もちろん嫌いな野菜がある子もいるが、アリスが有無を言わさず食べさせる。
まぁ、サプリも無い世界だし、子供のうちは成長の為にも好き嫌いしないでちゃんと食べた方がいいかな。
「ねぇねぇ、ツキヒト君。デザートのプリンは無いの?」
「……ねーよ」
「えー!そんなー!」
こいつは……、作り方教えて今度から自分で作らせるか……。
食事が終わると風呂入れという名のエメラの魔法特訓。
「ほら、ちゃんと無詠唱でやれ」
「そんな行き成りできませんよー!」
「エメラちゃん、まずは魔力の流れをちゃんと感じるんだよ」
「ほらほら、もっとちゃんとイメージしろ」
「ひーん!」
1時間程かけてなんとか無詠唱で浴槽一杯のお湯を入れることに成功。
温度にばらつきが何度もあったが、今日始めてやらせてこれだから上出来だろう。
後でアリスとミラに聞いたのだが、どうやら俺が魔力を流すと魔力の流れを感じやすくなり、
魔法が使いやすくなるらしい。
うーん、やっぱりこの世界の人間は、魔力があるのが当然な世界な為、魔力に対して鈍いのかもしれないな。
逆に魔力なんて無かった世界にいた俺は敏感に感じるのだろう。
男子の家に戻ると、既に皆風呂に入っていたが俺は先にやることがあるので時魔法でさっさと終わらせてしまう。
「ほら、風呂上りのデザートだ」
女子達が風呂から上がってリビングに戻ってきたら、風呂上りのデザートとしてバニラアイスをやった。
「んー!冷たくておいしー!」
「これは凄く美味しいです」
「こんなの初めて食べました!」
全員の反応は上々。
「あ、エメラ。それ食べ終わったら、読み書き用の教科書を作れ」
「っえ!?」
「ほら、これ使え」
「は、はい。……な、なんですかこの白い本は!?」
「本当だ!何これ凄い!表紙の色とかも凄い!」
「ご主人様、こちらは?」
「俺の私物」
「そうでしたか」
俺の私物というだけで、俺の世界の物とアリスはすぐに理解した。
「ちなみにこれで文字を書く」
「凄い!インクを使ってないで書けるよ!」
「てぃっしゅも凄かったですが、こちらも凄いです!」
皆の反応がおもしろくて仕方ない。
一通り説明が終えたので、俺は一人でゆっくり風呂に入ろうと男子の家に戻ると、
ガラドが酒を飲みながら子供達に冒険者時代の話をしていた。
やはり男の子だろうか、皆目をキラキラさせながらガラドの話を聞いている。
俺も今度聞かせてもらうとしよう。
「……ふぅ。やっぱ広い風呂はいーな」
一人で湯船に浸かりながら俺は一日の疲れを癒す。
「……、なんだろうな、本当に」
少し前から、たまに違和感を感じるようになってきた。
この違和感は一体なんなんだろう?
最初に感じは違和感は、確かゴブリンの集落を壊滅させた日だったか。
「うーん?」
いくら考えても違和感の正体が掴め無いまま風呂を上がった。
「おやすみ、アリス」
「おやすみなさい、ご主人様」
就寝の時間となり、今日も俺とアリスは、ソルとガルムと一緒に寝ることし、
二人が寝た後、アリスに明日ガラムとクエストに行くと話すと、自分も行くと言い出したのだが、
ミラとエメラだけじゃ子供達が心配と言って留守番して貰うことにした。
アリスがしぶしぶ納得すると、俺の欠伸が切っ掛けとなり、就寝する事になった。
さぁ、明日は久しぶりの狩りだ。




