手違い
心地よい微睡みの中、誰かが自分を呼ぶ声がして目が覚める。
辺り一面真っ白な場所で体を起こす。
「え?……どこだ、ここ?」
「ようやく起きたか、ソウタよ」
名前を呼ぶ声がして振り向くとそこには何とも形容しがたい人物がいた。
顔は分かるのだが、すこし視線をそらしたらどんな顔をしていたか忘れてしまいそうな感じの人だ。
それと何となくだが神々しいような不思議な感じがする。
「あの、貴方は?てか、ここは?」
「そうだな、話は色々とあるが……永い時を生きると色々あるよねっていうのが結論だ」
「は?」
「ごめん。手違いで君、死んじゃった」
「は?」
どういうことだ?目の前のこの人は何を言ってるんだ?
そう思った瞬間色々と記憶から溢れ出る。
いつものように期末テスト前日に一夜漬けしたせいで遅刻ギリギリの時間に起床して、今時古いシチュエーションでしかない食パンを口に咥えながら必死に走って……
「曲がり角から飛び出した車にはねられた訳だな」
「そ、そうだ思いだしてきたぞ、そこから意識がなくて」
「目が覚めたら、ここにいる訳だな」
「ってことは」
「死んだってことだね、うん」
「まじ?」
「まじまじ」
どうやら、まじらしい。