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2章④

 白女の文化祭へ行こうと思いついたまではよかったが、亮太にとって気軽に誘える友人は牧人しかいなかった。だが、牧人は野球部の練習があるので難しい。女子高にひとりで行くのは気が引ける。

 どうしよう?

 とりあえず、まずはダメ元で牧人にメッセージを送ってみることにした。

「練習だろうけど、来週の土日どっちか空いてない?」

「ちょうど来週は土曜に試合があって日曜は練習休みだ。なに用だ?」

「お、それはラッキー! 実は千香から白女の文化祭来ない? って誘われたんだけど、一緒にどう?」

「んだとおおおおお! うおおおおおお、あの招待してもらわないと入れないという伝説の白女の文化祭か! 行く行く行くの七乗だ。うひょー!!! 千香ちゃんにも会えるんだろ? 最高だ!」

「へえ、招待してもらわないと入れないんだ? 知らなかった」

「そう。じゃないと亮太みたいエロい男子高校生やカメラを持ったキモオタやおっさんだらけになるだろ」

「エロいのはおまえだろ。まあ、そういわれてみればそうかもな。じゃあ来週の日曜よろしく」

「このwkwkもはや楽しみで眠れやしねえ」


 そのあと亮太は千香に電話した。千香の場合メッセージを送っても電話で返ってくることが多いので、はじめから電話することにした。チャットやメールで何度もちまちまやるのが嫌いらしい。

「もしもし」

「亮太? 電話なんてめずらしい。どうしたの?」

「文化祭の話だけど、牧人に聞いたらちょうど日曜練習休みらしいから一緒に行こうかなって思って」

「わっ、うんおいでよ」

「白女の文化祭って招待してもらわないと入れないのか」

「招待というか、入口でわたしの名前を書けば大丈夫。二年B組渡部千香って」

「ん、千香ってB組なんだ? なあ棚橋さんって知ってる?」

「棚橋さん……? あっ棚橋うたさんのこと?」

「そう」

「なに? なんで亮太が棚橋さん知ってんの?」

 千香の声が三段階くらい低くなった。

「いやその、この前いってた栞の女の子が、棚橋さんだったんだ。この前図書館でまた会って少し話す機会があってさ、クラス聞いたら二年B組だっていうから」

「うん、同じクラス」

「どんな子なの、棚橋さんって?」

「たしか一年の冬に転校してきたって聞いたな。そこまで親しくはないんだけど、クラスでは静かかな。昼休みとかもひとりで本読んでいるし」

「そうなんだ……。でも、暗い感じには見えないけどな」

「転校してきたときは別のクラスだったから詳しくはわかんないけど、消極的というかなんか元気がない感じがする。高校で転校ってめずらしいよね。やっぱり転校したくなかったのかな」

「うーん、それはわからないけど」

「でも前、席が近くだったときね、棚橋さん消しゴムがなかったみたいで困ってたから、わたしの貸してあげたの。そしたらすっごくよろこんでくれて、瞳を潤ませてありがとうございますっていうの。二つあったから貸しただけなのにね。返すときもすごく丁寧で、棚橋さんって実はすごくいい子なんだなーってそのとき思ったの」

「うん、いい子なのは知ってる。サンキュー。じゃあ行く時間決まったらまた連絡する」

「うん……」

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