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8章⑥
信明はシャワーを浴び、朝食を食べ、新聞に目を通し、コーヒーを片手に一服してからようやく出かけることにした。
亮太はイライラしながら社務所で待っていたが、信明はうたの無事を確信しているので急ぐ気はまるでなかった。
「いつものボロいバンじゃない。こんなすごい車持ってたんだ」
「あれは仕事用。これはプライベート用だよ」
黒いドイツ車に乗り込み、信明はエンジンをかけた。
「それでのぶさんはなんで棚橋さんのこと知ってるの?」
車が走り出したあと、亮太が聞いた。
信明は「うん」といってタバコに火をつけ、話し始めた。




