7章①
亮太は先ほどまで図書館でうたと会っていた。
先週会ったときに、次はおたがいのオススメ本を借りようという話になっていた。
「高木さん探偵ものが好きなんですよね。でしたらこれがオススメです」
うたがそういって本棚から渡してくれたのは『エーミールと探偵たち』という本だった。亮太はこの本のこともエーリッヒ・ケストナーという著者も知らなかった。
「高木さんがいつも読んでいる、驚くようなミステリーではないですけれど、エーミールや少年たちの活躍に心踊らされる作品です」
「へえ」
「あとこれ、大好きな本なんですが、この図書館に文庫なかったので、汚いんですが私のをよかったらどうぞ」
そういって亮太は読み古された文庫本を受け取った。
『あしながおじさん』という本だった。
「あっ、これは聞いたことある。どんな話かは知らないけれど」
「孤児院にいる陽気でユーモアのある女の子の物語です。何度読んでも楽しくて心温まるお話ですよ」
「へえ、読んでみる。ありがとう。あ、でもおれ、自分の本は持ってきてないや」
「大丈夫です。私がこの本をお貸ししたかっただけなので」
亮太は迷ったあげく、『緋色の研究』を本棚から抜き取ってうたに渡した。
「やっぱりホームズではじめに読むならこれかなと思って。おれもこれ勧めてもらって読むようになったから」
「ありがとうございます。シャーロック・ホームズ読んだことないんで楽しみです」
その後それぞれ自分で読む本を数冊借り図書館を出て、歩きながら少しだけ話をして大きな交差点で別れた。




