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6章①
千香の投げた球がすっぽ抜けて青空へ向かったのを、おたみさんがジャンプして取った。昭和顔のおたみさん、顔に似合わず俊敏だった。
「あっごめーん」
「千香先輩、今日調子悪いですね。何かありました?」
「いや、別に何もないけど……」
「そうですか。なんか集中してないように見えますよ。さては今日発売のアニメ誌が気になるんですね」
「えっ?」
「それは私でした。てへっ」
「あははっ……」
「部活明日からテスト休みですし、今日は早めに切り上げませんか? 休んでる人もいますし」
「そうだね。そうしよっか」
「よしよし。これで帰りアニメショップへ行けるでし」
「なんかいった?」
「ぬ、ぬわんでもないです」




