5章④
「このあとどうする?」と球場を出たところで千香は亮太に聞いた。
「この結果じゃ牧人や野球部のやつらには会いづらいよな。帰ろうか」
「ねえ、なんか食べてかない? おなか空いた」
「いいよ。どこ行く? ラーメン?」
「いうと思った」
亮太は昔からラーメンが好きだった。千香も好きなのだが、ラーメン屋ではゆっくり話すことができない。
千香はこの前牧人がいったことを亮太に話そうかどうか迷っていた。話すならいましかないと思うのだが、いってどうする? という思いもあった。
結局二人は帰り道にある街道沿いのファミレスに入った。
「亮太は何にする?」
千香はメニュー越しに亮太の顔を見て聞いた。
亮太はメニューに集中していて千香の視線には気づかない。
「ハンバーグ……エビフライかな」
「わたしはハンバーグ&カキフライ」
「やっぱここはハンバーグだよな」
「だね」
「カキフライもいいな」
「しょーがないな、じゃあ一個あげる」
「おっマジ?」
「ドリンクバーもつけるでしょ?」
「もち」
「じゃ押すよ」
千香は注文のベルを押した。
ドリンクバーへ行き、千香はアップルティーを入れてくる。
「亮太はコーラ? 相変わらずワンパターン」
「いいじゃん、別に」
「まっ、いいけど」
「そういえば、千香の学校ってさ……」
そういって亮太は白女のテストや行事の時期、特別教室や図書室のことを聞いてきた。
うたとの会話のために亮太が聞いてきているのは千香にもわかったが、亮太と二人で食事するのは高校生になってからはじめてだったし、余計なことをいってこの雰囲気を壊したくなかったので、結局この日牧人のことはいわなかった。
夜、千香に牧人からメールがきた。
「今日情けない試合見せちゃってごめんね」
「ううん。二高強かったから仕方ないよ。牧人くんの二塁打、ナイスバッティングだった」
「あれはたまたまだよ。大敗しちゃってホント恥ずかしいよ。それでさ、近いうちに会えないかな? 話がしたいんだ」
この前の話かな? きっとそうだよね。どうしよう? でも、断ったところでどうなるわけでもないし、きちんと返事を伝えなくちゃいけないよね。
「うんいいよ。いつ?」
「明日は部活のミーティングあるから、明後日の放課後は?」
「うん、テスト休みになるから大丈夫」
「じゃあ授業終わったらまた連絡するよ」
「うん、わかった」
千香はベッドに仰向けになった。




