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第1章(1) ースカートの下にハーフパンツは邪道ー

「ワガハイは猫である」



なんのヘンテツもない道端で、なんのミャクラクもなく、猫はそう俺に告げこちらに視線を向けている。


突然そんな自己紹介をされてもこちらとしては「はあ、そうでしたか」としか言えないのだが、猫に精通した知識人なら「なるほど、名前はまだ無いのですね」とか返しつつ世間話にでも発展させるのだろうか。


厳密には植え込みから現れたこの猫が、それこそ人間然として言葉を発した訳ではなく、ああいった内容のことが奴から俺の脳内に直接届いたといった方が正しい。だから仮に俺が英語圏の人だったら


「I am a cat.」


と文学的情趣とはかけ離れたなんとも合理的な文章で伝わっていたに違いない。


さておき丁重に会話を断ち切った俺はまた重い歩みを再開した。向かっているのはとある研究所である。十六歳といえば巷じゃ高校に通っている年頃であるが、俺はというと中学卒業と同時にその研究所に勤めている。俺としてはこの貴重な十代後半は高校に入学してキャッキャウフフな青春を送ることこそが至上だと信じてやまないのだが、なんでも最新の研究には他ならぬ俺が必要だそうな。いやあそこまで期待されちゃったら仕方ないなあー、まあ白衣のインテリおねいさんもわるくないかあー、と満更でもなく入所したそこは、野郎とオッサンの巣窟であったとさ。


ああーだりー。今日も来てしまった。道中、木の枝がクルクル回っていたり風が下から上に吹いていたりしたが、割とどうでもいい。スカートはいた女子高生でもいれば気分も上昇気流だったのだが。



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