みんな、エスパーだよ!
デジャヴを体感したことがあるだろうか。
「あれえ、この場所はじめて来たはずなのに前にも来たことがある気がするーキャー」
とかいうアレだ。
常人ならばそこで、自分には予知能力が備わっているんじゃないか、とか運命に導かれてるんじゃないかしらんとか、そんなような余韻に浸るんだろう。
だが俺の場合は違った。
俺ならデジャヴに遭遇したときこう考える。
「ああ、前にも来たのか……」
と。
意味不明なのは承知だ。しかし実際にそうなんだから俺を説明不足で糾弾してはいけない。
自分と同じ顔の人間が世界に三人いるというが、認識しうる自分という存在は当然世界に一人のはずで、記憶が曖昧でない限り以前に来たことがないのは明らかなのに何が「前にも」なのかと。
ーー世界が二つあるとしたら?
もう一つの世界に自分と全く同じ、表裏一体の自分が存在するとしたら、この仮説は成り立つだろう? "向こう"の自分が先に経験したことを、自分が後から経験し、既視感を覚えるーー
つまり、デジャヴとは本来決して出会うはずがなく、存在も認知しえないもう一人の自分と、超次元的にリンクした瞬間なのである。
ここまでくればもうお分かりだろう。そう、世界は二つあります! いやん言っちゃったっ!
デジャヴを感じた時に、「俺ってエスパーじゃねえ?」と思うことはあながち間違いではない。そこから平行世界の存在を悟り、デジャヴを意図的に発生させられる者こそが、超能力者なのだから。