表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/24

プロローグ2

根拠もなく自分が特別な存在だと思っていた時期が、大なり小なり誰にでもあるのだとは思います。


普通なんてつまらない。俺はその他じゃない。


それが本当にそうなのかどうかは自活していない時は分かりません。


しかし社会に出て仕事をして初めて自分の平凡さと、多くの人達が普通にやってる事さえ困難な事であると気づかされます。


僕はそうでした。


さてこの主人公はどうでしょうか?

「クスクスクス。もう静かになっちゃったね。キサマらの腰抜け具合には僕もうガッカリだね。

 勝てないと分かるとすぐこれだよ。そんなんで良く勇者なんて名乗れるね。

 弱きを挫き強きには従順。


 まあいいや。

 策もなく徒手で挑むは蛮勇なり。退くも勇気これ戦の極意なりってね。結構結構。」


 何だこいつは。自分で黙らせといてすぐさま挑発って、いったい何がしたいんだ?


 結構結構ってのが決めゼリフなんだろうなあ。

 背伸びした子供のドヤ顔に全力ビンタを食らわせる事など簡単だ。しかし今のセリフを噛まずに言うために、ぬいぐるみ相手に必死で練習したんだろうな。ふん。


 器の大きなオレは子供の努力を汲んで、安い挑発を受け流すくらいは楽勝だ。

 そんな事より今は目の前の光景の方が重要だ。


 お姉さんの巨乳が大変な事になってます。自分の汗で作業着がスケて来てなんかポッチリが浮き出てないかい?

 こっちのツインテールもクネクネクネクネ。どうしたんだい?挑発してるのかい?受けてたとうか?

 ちっパイもしゃがみこんじゃってまあ、その泣いてるのかい?その涙の訳をオレに話してごらん?


 そんな感じでオレが集中力をフルパワーで発揮してる時に限って邪神アリスが話を続けだした。邪魔なヤツだ。

野球のボールみたいにバットでブッ叩いてやろうか?


「ブタのケツどもが静かになったところで本題に入ろうかな。いいかい?その腐った脳みそにも分かるように優しく説明して上げるから、しっかり聞くんだよ。


 いくよ?


 キサマらチート勇者はやり過ぎた。よって罰として真の異世界暮らしを堪能してもらうよ。

 レベルは1から。チート能力も、ご都合主義なユニークスキルも一切無し。筋力、体力、知力、魔力もキサマらが持って産まれたものだけだよ。

 頑張って1人で生き抜いてよ。どう?ワクワクしてきたでしょ?クスクスクス」


 ただでさえ静かにしていたところにそんな説明をされて、全員が呼吸をするのを止めたと思う程の静寂が訪れた。


 コイツラ何をそんなにビビってるんだ?そんなのフツーの当たり前の事だろうに。

 オレは今は実家暮らしでサボりぎみだが、本気を出したら1人暮らしなんて余裕だ余裕ヨユーです。


「お話の途中ですいません。邪神様。1つ質問をよろしいでしょうか?」


 いったん邪神アリスの説明が止まったところで、どこからか声が聞こえた。


 おお、君こそは真のブレイブメンだ。

 全裸、全裸、箱半分で、ぜ、ん、ら!ヘイ!!


「キサマはわきまえてるね。まあ内心は煮えくり返ってるんだろうけど、情報を得るのが優先だよね。

 結構結構。質問を許可するよ」


 許可されてしまった…テメエこの野郎ふざけんな!!温厚なオレも煮えくり返っだぞ!!

 純粋な男心を弄びやがって。くそうクソウ…ク〇〇マ〇〇のチビクソガキが……


「邪神様ありがとうございます。

 お聞きしたいのは、私が、と言うか我々でしょうか?ご説明の感じでは、見えないだけでかなりの人数がここに集められてるようですが。

 選ばれた理由と言うか基準と言うか、その辺りをもう少し詳しく教えていただけたらと思いまして。」


 アホか?そんなもんお前がアホだからに決まってるだろう。

 しょうもない質問するよりやることをやれ!

 1に暴言2に暴言だ!いけ!オレが許可する。


「いいよ。でもその質問に答える前に何故こうなったかの説明からしてあげるよ。

 僕はキサマらとは違って慈悲の心があるからね。

 ああ、形式だけの感謝はいらないから。ウザいから黙って聴いててよ。


 えーとね。


 最近部下の第二級神から別時空から召還されたり転生したチート勇者とやらが好き勝手してるって聞いてね。


 もちろんキサマらの事だよ。


 それで調べさせたらあちこちの時空に芥虫(ごみむし)の如くいるじゃないか。それも日本人ばかり。


 追跡調査させて、全員調べ上げたんだけど、時は金なりって知ってる?

 無限ではあるけど僕の貴重な時間をこんなダメ人間の為に使ったかと思うと泣けてくるよ。


 その中でも特にダメな666人がキサマらだよ。


 基準は独断と偏見だけど、チート能力で調子にのって、王殺し、人族キメラ製造、不老不死の研究、人体実験、獣姦、異種族強姦、異種体実験、竜姦、竜体実験、異種族大量強姦殺人、大量強制近親交配、大量虐殺、快楽虐殺、惑星破壊に惑星ハーレムなんてのもいるね。

 ちなみにこの惑星ハーレムってのは、その星の男達を皆殺しにしてハーレムを作ってるクソッタレだよ。

 自分一人が男でどうするつもりなんだろうね?


 変わったところでは神殺し、神強姦、魔王強姦、魔王製造ってのもあるね。え?別に珍しくないって?


 僕は知らなかったよ。

 宇宙は広いって久しぶりに感じたよ。

 その点では感謝感謝で、アホ過ぎて笑えるよね。

 クスクスクス。」


 それを聞いてのオレの正直な感想を言わせてもらうと

「ハァ?」である。

 チートだか何だか知らんが強いものが弱いものを食らうのは自然の摂理だ。


 しかしここに集められてる奴等がクソッタレなのは同感だ。なんせオレを除け者にしてそんな楽しそうな事をやってるなんて、死ねばいいのに。


「邪神様、お願いします。反論をする機会を与えてもらえないでしょうか?」


 また来た。声は同じようにヘリウムだから見分けがつかないが、何となくさっきとは違う場所から聞こえたような気がしたからたぶん別人だろう。


 しかし反論とは踏み込んだな。君も真のブレイブメンだ。オレが認める。誇っていいぞ。

 そして今度こそいけ!アイツを怒らせるんだ!猛烈に怒らせて更に恥ずかしい格好の刑を追加するよ。とかにしろ。

 頑張れ。あんたなら出来るよ。


「何?許可するよ」


「では。お言葉ですが、私も少しばかりやり過ぎたとは思うのです。

 しかし来たくもない異世界に無理矢理召還されて、魔王を倒せだとか言われて、一応世界は救ったのです。

 多少の犠牲は出てしまいましたが、そこは評価してもらえないでしょうか?

 それに弱肉強食は自然の摂理です。弱い者は強い者に蹂躙されても仕方がないと思います。」


 うおお。邪神に摂理を説いちゃったよ。

 話し方と内容は賢そうなフリをしているが、例えるなら崖に向かって大ジャンプだな。

 これはいったんじゃないか?ナイス踏み込み。ナイス暴発。

 K点越えたか!?


「さすが矮小な臭虫でも仮にも勇者を名乗るだけはあるね。邪神に摂理を説くとは、その勇気にはビックリだよ。

 言ってる事は確かに真理だよ。

 この世の全ての生命は、自分以外の命を奪う事によって生きている。


 強い者が食らい、食らった者が強い。

 その通りだよ。


 でもねチート能力は自然の摂理に反してるよね?

 それは自分で身につけた能力かい?

 努力や進化の結果、獲得した力かな?

 違うよね?

 来たくもない異世界に無理矢理連れて来られて、たまたま手に入れた力だよね。


 他の世界から勇者を召還して問題を解決してもらおうって浅はかな考えも笑っちゃうけど、たまたま手に入れた力で蹂躙するのが弱肉強食と言い切るのも恥知らずだとは思わない?ああ、思ってたらそんな事は言わないか。


 それに魔王を倒して世界を救ったのを評価しろってのもあり得ない。

 それは自意識過剰だね。


 いいかい?さっきのキサマの言葉だと、弱肉強食が自然の摂理だよね。そうすると、魔王や魔物がその世界の住人を殺すのは自然の摂理だよ。

 なんたって、その世界で産まれ、進化して、力を手に入れた存在だからね。


 ここまで言えば分かったかな?まだ分からない?

 ホントグズだよね。本題が進まないんだけど。

 仕方がない。キサマらの線虫ほどの脳みそでも理解出来るように分かりやすく例えてあげるよ。


 キサマらの世界も家畜がいるよね。

何でもいいんだけど、ブタのケツの穴どもに説明するなら、ブタでいこうか。


 そのブタが異世界からチートブタ勇者を召還しました。

ああ、このチートブタ勇者ってのはキサマらの事だよ。


 ブタは言います、我々はあの憎い人間共に食用として飼われているのです。お願いします。助けてください。

 そして召還されたチートブタ勇者は、召還された時にたまたま手に入れたチート能力を駆使して、人間共を皆殺しにして平和なブタの王国を築きましたとさ。


 それで、キサマは僕にこのチートブタ勇者の功績を評価しろって言った訳なんだけど。

 いいの?なんならキサマらの世界に神クラスの力を持ったチートブタ勇者を送り込んじゃうよ?


 なすすべもなくブタに焼かれて、ブタに虐殺され、ブタに犯され、ブタの子を産まされ、ブタに征服されちゃってもいいんだね?

 クスクスクス。それも面白いかもね。」



 怒れよ!!普通に説明してんじゃねえよ!!それに全然面白くねえよ!

 話の流れから怒らなさそうだとは感じたが、やっぱりか!!邪神にガッカリだよ。よくそれで邪神を名乗れるな。そして怒れよ!!


 そして、続いて思ったのは最近焼き肉食ってないなあ、だ。ブタブタ言い過ぎなんだよ。まったく。


 なんせオレは家から出ない、と言うか部屋から出ないので焼き肉なんて食いようがない。

 言えばババアが用意するだろうが、ああ、ババアと言うのはオレの母親だ。ちなみに本名ではない。


 リビングで家族と一緒に食事など一年以上やってないし、自分の部屋で1人焼き肉を食うのもためらわれる。

 別に1人が淋しいとかではなくて、山ほど積まれた漫画本に臭いがつくのが嫌なのだ 。


 でも目の前の三人と一緒に焼き肉食ったら旨いだろうなあ。

 お兄ちゃん、わたし牛タン食べさせてほしいのとか。

 お兄ちゃん、カルビ焼けたから食べさせてあげるとか。

 タレが胸に付いちゃった。拭いてもらえる?とか。


 それでお願いします。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ