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敗北感

 目標でした5000PVを越えました。多くの皆さんに読んで貰えたことを感謝します。ありがとうございました。

 次は20000PV 目指して頑張ります。


 それと、天翔けるペンギンの閃きのギルメンの皆さんお元気ですか?僕は元気です(^-^)/

 * *

 どこかの森 早朝




 何でだ。何で溶けない!!


 オレは焦りと苛立ちを隠さずに、内心で毒づいた。


 今オレは下半身に下着すら身に付けておらず、ヒザを横に折るように気絶したJKの胸の上で、全力で服を溶かそうとしている。


 同然下半身の方にも興味はあるのだが、オレは紳士なのだ。全裸にブーツのみという姿にするまではそっちには手を出さない。


 さっき見たところ、傷のオッサンに傷物にはされていないようだった。

 何か結果として助けちゃったな。まあお礼は体で返して貰おう。

 そして今に至るのだが、どうも上手くいかない。

 


 最初は簡単に考えていた。


 始めこそやり過ぎて皮膚を溶かさないように加減をしていたのだが、いくらたっても全く何も溶け出してこないので、内圧を高めて全力で溶解を発動させた。

 しかしびくともしない。


 レベルも5になって体積も大幅に増えた。

 溶解もレベル3になって威力も上がっているハズだ。

 なのに何故だ!!?



 すぐそこで自分の喉を両手で押さえて苦悶の表情で絶命している、下半身とアホ丸出しのオッサンは、簡単にスカートを引き裂いていた。

 この上着も同じ色だし、同じ素材で出来ているならばそれほど頑丈だとは思えない。

 オッサンの右手の甲には130の数字が見えたが、そんな事はどうでもいい。

 試しに地面に落ちているスカートの切れ端を溶かして見たが、やはり溶けない。


 上着を触った感じ、生地は薄くてスカートと同じなのは間違いない。

 薄いので服の上からもおっぱいの感触は十分に味わうことができる。しかし服を溶かす事ができないのだ。

 溶けないと言うことは、溶かすための条件を満たしていないのだろう。もしかしたらこの服に特殊な加工がされているのかもしれない。


 いっそ、上着を脱がしてインナーを溶かして楽しもうとも考えたのだが、そんな妥協はスライムのプライドが許さないし、溶解博士としてのキャリアに傷がついてしまう。

 スライムに生まれた意義を見失うようでは、本末転倒だろう。


 初心を笑うもの初心に泣く。だ。


 そう考えながら引き続き全力で溶解をしながらおっぱいを揉む。うん。柔らかい。ハアハア。

 これだけ揉んでも起きないのだから、まだ時間はある。

 まあ起きたところで腕も後ろ手に拘束されているし、猿ぐつわもされているので心配はいらない。

 周囲の魔物にだけ気を付けて、実験続行だ。


 その時。


「メイ様~メイ様~返事をしてください。」

 という男の声が遠くで聞こえて、その声の方向を見ると、数人の男達がこちらに向かって来るのが見えた。

 まだ遠くてハッキリとは分からないが、間違いなくJK を探しに来た仲間のエルフだろう。


 何故気づいた?JK に仲間に連絡する時間などなかったハズだ。危機を知らせるための何かしらの連絡手段があるのか?

 これは考えても分からないので、覚えておいて後日調べよう。


 しかし、スキル異世界言語のおかげでハッキリと意味が聞き取れた。

 まあ厳密にいうと、聞こえるのはあのアッサラーム語のままなのだが意味は分かるのだ。どういう仕組みかは知らんけども。


 その声を聞いてか、小さく身じろぎしたと思ったら、JK が薄目を開けてオレを見る。

 その瞬間、緑の瞳をギョッとさせて暴れだした。


 そりゃそうだろう。目を醒ましたら自分の胸の上にスライムが乗っていて、おっぱいを揉んでいるのだから。

 オレがJK なら、また気絶するかもしれない。


 JK は跳ね起きてオレを吹っ飛ばそうとするが、しがみついたまま、まだおっぱいを揉む。そう言えば足は拘束されてなかったな。


 名残惜しいが時間切れだ。


 オレはJK の胸から背後に回り、お尻をひと舐めしてから足を伝って地面に降りた。同然足もネットリ舐めた。

 溶解は使っていないので傷一つつけていない。

 うん。小ぶりのお尻に細く張りのある足。ハアハア。


 今回はこれくらいで許してやるが、次はこんなもんじゃ済まさんからな。

 オレは心の中で誓った。


 ヒッという悲鳴を上げてJK は涙目でオレから距離をとるために後退りするが、障害物に足を取られて派手に後ろに転ぶ。傷のオッサンの死体につまずいたのだ。


 オイオイ、大事なところが丸見えだよ。ハアハア。


 JK はつまずいたのが自分を襲った男の死体だと気付いて、ウウ、ウウと、声にならない叫び声を上げて、足をバタバタさせている。


 丸見えなんだって。ハアハア。 


 そうこうしているうちに、真っ直ぐこちらに向かって来ている男達の姿が大きくなってきた。


 JKは上半身だけ起こして、自分の下半身が何も身に付けていないのにやっと気がついた様子で、バタバタさせていた足を胸に抱えるようにして大事なところを隠し、オレを許さないとでも言うようにキッと睨み付けてきた。


 オイオイオイ、脱がせたのはオレじゃないし 、その体育の座りかたでは全然隠せてないんですけど。ハアハア。


 というか許さないってのはオレのセリフだ!!


 結局上着を全く溶かす事が出来なかったのでプライドはズタズタである。おっぱいを揉んだのも、尻と足を舐めたのも、ただの八つ当たりだ。

 大満足には程遠いんだよコノヤロウ。


 この敗北感は高くつくぞ、必ず借りは返す。


 オレは再度そう誓い、落ちていたスカートの切れ端を体内に取り込んで体を伸ばして木の上に逃げる。

 JK はその素早い動きをあり得ないといったふうに呆然と眺めていたが、思い直したように睨んでいる。


 しかしオレはもうその方向にはいない。葉っぱに同化して、枝を伝い、既にJK の背後の木に移動している。

 万が一、魔法が飛んできても避けれるように二本程間に挟んで隠れて息を潜める。


 しばらくして五人の男達がやって来た。あのリーダーもいる。他の四人は後ろを向いていて、リーダーだけがJK に近づき上着を下半身にかけて拘束を解く。


 猿ぐつわを解かれたJK は「ライヤ兄様、怖かった。」と言い、リーダーの胸に顔をうずめて泣いている。

 リーダーはその頭をよしよしと撫でて慰めているが、あの二人は兄妹だったのか。なんとも凄まじい美形兄妹だな。


 そんな事を考えながら様子を伺い、聞き耳を立てているが、全然会話をしない。

 四人の男達も黙って周囲を警戒しながら傷のオッサンの体を調べている。


 と、その時リーダーが突然オレの方を見る。

 また目があった。ような気がした。

 そして良く通る声で話しかけてきた。


「我が名はライヤ。このアダシュの森に住むダークエルフ族の族長である。

 緑の小さき魔物よ。妹の報告と、状況から判断して少なからず知性があるのだろう。

 部族を守る立場にある族長としててはなく、一人の兄として妹を助けてくれたことに感謝する。そして礼として忠告させてもらおう。

 川下には我らが集落があり、集落周辺には邪悪な魔物の魂を寄せ付けない結界が張られている。深く侵入するとその身を焼くことになるだろう。注意する事だ。」


 それだけ言うとリーダーはJK を抱き抱え、一人の男は傷のオッサンの死体をおぶって、残りの三人が周囲を取り囲むように警戒しながら川下に向かって歩き出した。



 なにい~~!!!!

 完全に位置がバレていた?勘か?何かの魔法か?

 それに、いつJK は報告した?テレパシーか何かか?

 それに結界だと…集落に入ると焼かれるって…

 ば、バカな…それではダークエルフを目の前にして手出しが出来ないって事か?


 くうう、それでは情報収集も出来なければ、溶解研究にも遅れが出る。オレはがっくりと肩を落とした。


 …

 … 

 いや、いやいやいや、オレは邪悪な魔物ではない。

 いや、まあ普通に体はスライムなんだけど。

 リーダーは邪悪な魔物の魂だと言った。

 オレは「見た目は魔物、頭脳は人間」そして「魂も人間」のハイブリッドスライムだ。

 その結界とやらが効かない可能性は大いにある。


 それに深く侵入すればと言った。つまり結界内部に少しくらい入ってもすぐには死なないということだ。


 試しに少しだけ入ってみて、なんの違和感もなければ逆にオレにとっての安全地帯になるんじゃないのか?

 同然ダークエルフ達は、集落に魔物が侵入するとは思ってないハズだしな。


 いける。十中八九いけるぜ。まあいけるかどうかは分からんけども、試す価値はある。



 結構結構。オレは希望を胸に、木の上を川下に向かって進み始めた。




 * * *


 アダシュの森上流 滝の洞窟内部



 あの滝の洞窟最奥の漆黒の空間で、8匹のスライムが横一列に並んで何やらモゾモゾやっている。


 (全員整列、番号!!)

 (2!3!4!5!6!7!8!9!)


 (よしよし全員いるな)

 フェイ2がその掛け声を聞いて満足そうに頷く。


 (お前はオレだがアホなのか?見れば分かるだろ?)

と、3が言う。


 (オイオイ、2よ。急にハリキリだしてどうしたんだ?)

と、4が言う。


 (2から始まるのはやっぱり変じゃね?)

と、5が言う。


 (だよなあ。でも一番ずらして掛け声するのもややこしいし。)

と、6が言う。


 (オレが1をやろうか?)

と、7が言う。


 (何でお前なんだよ?オレがやるって。)

と、8が言う。


 (オレは1001がいいなあ。)

と、9が言う。


 あれから10日以上はたっている。そして現在フェイは8匹にまで増えている。


 あのあと仲良く1000ml まで回復した2と3はすぐにスキル複製を使おうとした。しかし使えなかったのだ。


 その時は二匹とも既に複製の回数制限で使えない可能性が高そうだという結論を出したのだが、話し合った結果、スキルの回数制限ではなく時間か、かなりの空腹状態になることにより複製が再度使える可能性があると考えた。

 でなければ3に複製のスキルがあるはずはないのだと。


 そして3はお腹がすいたら食事をとり、2は食事をとらずに時間が経過するのを待つことにより検証したのである。


この食事係と空腹係を決めるのに生き死にの戦いがあったのだが、ここで二匹が共倒れになっていたら異世界アールグロンのその後もかなり変わっていたのは間違いない。


 その結果、空腹は関係なく、複製を使ってからある程度の時間が経過したら再度複製が使えることが分かった。


 正確な時間が分からないのでなんとも言えないが、5~7日が過ぎた頃に同時に複製を使ったら、2からは4が、3からは5があっさり生まれたのだ。

 2と4が空腹のあまり納得いかずに憤慨したのは言うまでもない。


 そしてそこから更に一回複製を成功させて8匹になったのである。先程から食事と言っているのは、あの金髪の遺体ではあるが、かなりの回数の食事をしたにも関わらず、殆ど溶けていない。

 何となく指の先が短くなったかな?という感じである。



 * *

 そして、2が全員を集めて点呼を取った場面に戻る。


 (結構結構、皆の衆、元気があってよろしい)

 と、2が言うと。


 (このクソッタレのアホボケごみ野郎が、中身が無いのに格好つけるな死ねカス、うんこ垂れ、お前のババアは出べそ)と、凄まじい罵詈雑言が残りの7匹から飛んできた。


 全部同じフェイなのだが、全員慣れてきたのか、2が寸分違わず自分であるとは考えていない。

 2は泣きそうになるのを堪えて発言する。


 (静粛、静粛に!!今回皆さんを集めたのは他でもない、そろそろスキル統合を試してみようと思ったからです。)


 このスキル統合については全員が気になっていたのだろう。それまでの喧騒が嘘のように静まり返る。


 (まあそれはいつかは試さないといけないもんだからな)

 (だな。確かに頃合いではあるな)

 (やるか)(おう)


 と、好感触であった。


 2はその声を聞いて、少しだけほっとした。

 このわがまま気まま集団に、これ以上反対されたら心が折れるよ。全く。


 (では皆さん統合を使いますからね?いいですか?)


 (ちょっと待った!!)

 その声に2がビクッとする。


 (何が起こるか分からんから、一応全員で食事をしとこう。そうだろう。)


 2はなるほどと思った。さすがはオレだ。

 そして全員で食事をしたあとに2は掛け声をかけた。

 (皆さん用意はいいですか?ではいきます。)


 (おう) (どんとこい) (OK) (アイよ) (グーグーZzzz)

等と声が掛かる。

 食ってすぐに寝てるヤツがいるような気がしたが2は心の中で「統合」と唱える。


 その瞬間、2に他の7匹が吸い寄せられ、一匹の巨大なスライムが生まれた。


 その巨大スライムは念じる。

 メニューオープン!! 


 フェイズ レベル1 種族=スライム(ヘッド)

 体積 8000ml

 装備なし

 魔法なし

 スキル 分離

 特技  溶解レベル1

     自切レベル1


 

 予想はしていたがは、8000ml …巨大って程でもないな。


 それにスライム頭ってなんじゃそりゃ?


 名前もフェイズになってるし…とにかくパワーアップしたのは間違いないな。

 このまま数を増やしてでかくなれば、あの滝の入口から安全に出られるもしれない。


 フェイズはそう考え、そして「分離」と心の中で念じた。

 もとの8匹のスライムに戻った。


 (みんな大丈夫か?どうだった?体に異常はないか?)

2がそう問う。


 (ああ、問題ない。意識はあるんだが、半分寝ているみたいな変な感じではあったけどな。)

3がそう言うと、他のスライムも口々に、そうだな、悪くはない、そんな感じだと言っている。


 そのあと全員で相談した結果、この金髪の遺体を食い潰すまでは時間がかかっても数を増やそうと言うことになった。


 この日は、後に異世界アールグロンを震撼させる大緑嘯(だいろくしょう)と呼ばれる緑の悪魔が産ぶ声を上げた日であった。


ハアハア


ハアハア


ハアハア


いいのかな?これ?


こんな話で申し訳ありません。


主人公に替わりお詫びいたします。


コイツ、全く更正しそうにありません。


僕の分身とはいえ、スライムになった位では、全く堪えないようなのが頭が痛いです。


あれ?スライムに転生って、かなりキツいですよね?


正直言って僕は嫌です。ヘラクレス大カブトムシに転生させられるのもまっぴらゴメンです。


足の指の間をベロベロ舐めてでも勘弁してほしいです。


クスクスクス。キサマはスライム確定だよ。


と言われても、それでも指をベロベロ舐めて、取り消すまで舐め続けます。舐めます。舐めます。



ま、まあ、それはいいとして(いいのかな?)


フェイズが増えました。


はい。確実に増えてます。


そしてまだまだ増えるみたいです。


大緑嘯は、ポロロッカで有名な満潮時に海水が河川を遡る際に、前面が垂直の壁となって、激しく波立ちながら進行する現象。のアレをイメージしてます。


あの水竜の召還獣の水属性全体攻撃のアレのイメージでもOKです。それの緑の感じでしょうか。


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