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「お久しぶりです。恭也様」
「おう、久しぶりだな。しかし、お前らには未来がいつも迷惑かけてるようですまんな」
「いえ、そんなことは」
恭也と話をしている研究員は恍惚とした表情を浮かべている。それは好意というよりも尊敬、信仰に似ているものがある。確かに恭也はイケメンであるがそれだけではない。この国の軍隊で最も戦力のある1番隊の隊長であり、何より強いカリスマ性を持っているのだ。この研究員以外にもこの国で恭也にそのような感情を持つ者は少なくない。
「そうだよ。迷惑なんかたまにしか掛けてないもん」
「そうはいっても、このよなことは自重していただきたいです」
研究員は呆れて部屋を見回しながら言った。
「ていうか、どんな研究しててんだ?」
ふと疑問になった恭也が未来に尋ねる。
「支配空間の拡張についての実験。脳波をいじってみたんだけどどうもうまくいかなくて」
「お兄ちゃんみたいに才能がなくて私って本当駄目だよね」
落ち込んだ様子でいる未空。どうやら才能あふれる兄にコンプレックスを抱いているようだ。
「い、いや。支配空間が半径90メートルって才能があるってレベルじゃないぞ・・・」
「いえ、恭也様。先日、室長の支配空間が100メートルに広がりました。認めたくはないですけど本当に恭也様と室長は同じ血が流れているんですね」
二人は落ち込んでる未来に対して本音を言う。しかし落ち込んでいる未来にはその言葉は届かなかったようだ。
「ところで恭弥様、どのようなご用件で?」
「ああそうだな。少し未来に頼みたいことがあったんだ」
その言葉は届いたのか落ち込んでいた未来がバッと顔を上げ
「お兄ちゃんの頼みならなんでもオッケーだよ!」
「そ、そうか実はな…」