聖夜 5
そういえばと、辺りを見回す。
「お姉さんはお留守ですか?」
と質問する。
「今晩は彼氏の所で過ごすみたいだよ。」
「それって、」
「それって、今、この部屋に君と俺の二人きりってことかな? もちろん今夜も。」
私の言葉を藤井さんが引き取る。
藤井さんから離れようとするけれど、身体を引き留められ、ストールを外される。
藤井さんの顔が近づく!
「可愛い、顔が真っ赤。」頬を撫でられる。
真っ赤になるよ。
「少し離れてください。近すぎです。」
訴えても、聞いてない。
さらに顔を近づけて、
「キス …… してもいい?」
囁かれた。
そんなこと聞かないでほしい。
会社でいきなりディープなのをしておいて、
答えられるわけがない。
「イヤだ?」
黙ったままの私に問い直す彼。
その質問なら答えられる。嫌なわけない。
「イヤ、じゃない。」
と答えたのと同時に落ちてきた唇。
角度を変え、何度も軽いキスが降ってくる。合わせるだけでなく、上下の唇をそれぞれ、ついばまれたり、舐められたり、くわえられたり、
「フフッ、甘いね。グロスかな?」
なんて、余裕な彼。
追いかけるのに精一杯な私。
自然と、涙が滲む。
彼の舌が涙を舐め取り、そのまま首に下がる。
「ねぇ、このタートルはわざと?」
「わざと?」
意味が分からなくて、聞き返す。
「まぁ、いいよ。」と、チュニックを捲り上げ脱がそうとする。
ここでするの? 明るいよ?
「ダメッ、ヤッ!」身体を捩って抵抗する。
ヤダッて言っても聞いてくれない。
なだめるように私の背中を撫でて、
「ごめんね?我慢できない。」
身体をソファーに倒され、彼が覆いかぶさってきた。




