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言葉で伝わらなくても。  作者: モロキ
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クリスマスの前日

ウフフフフ、

エへへへへ、

顔が弛む。

なにせ、明日はクリスマスイブ!!

待ち合わせ時間と場所も確定したし、

エステに行って、お肌の調子も万全だし、

懸案だった、

藤井さんへのプレゼントも用意したし、

ニヤニヤがとまらない。


岩瀬さんに、

「佐倉 、顔がだらしないぞ。

シャキシャキ動け!そして、働け!」

なんて言われても、全然ヘーキ。

ほら、「平気」が「ヘーキ」になってしまうくらい

浮かれている私。

見てた岩瀬さんは、処置なしって感じで口に手を当て吹き出した。

「ぷっ、変な顔!

お前、その顔は反則だろ?

重力に任せて、何もかもが垂れ下がってるぞ。

その顔は永久保存だな。

藤井にも送ってやろ。」

と、写メを撮ろうとする。


「ギョギャァー、

絶対ダメです。

止めてください。」

手で顔を覆い隠して、撮られまいとする私の様子がツボだったらしく、岩瀬さんは爆笑。

ますます悪ノリする。

ひとしきり攻防が続き、

何とか撮られないことに成功して、

ホッとする。

イブの前日に変顔発信ってあり得ないよ!などと思っていると、

岩瀬さんはチェッと舌打ちして、スマホをポケットに収めた。


「明日は藤井と?」

岩瀬さんに尋ねられる。


「はい。」

と素直に答える。


「そう、… 可愛がってもらえよ。」

岩瀬さんが優しい声で言う。


岩瀬さんの普段にない声色と言葉に狼狽した私は、

「えっ?い、い、岩瀬さん、

何てことを言われるんです?

いつもとキャラが違いますよ?」

と、うろたえまくる。


そんな私を知ってか知らずか、

岩瀬さんは、

「兄ちゃんが妹を手放すのって、

こんな気持ちになるのかなって、

感傷的になってるのさ。

気にするな。」

と、言い添えた後、

「さあ、休憩はおしまい。

定時に上がれるよう働け!」

と、いつもの岩瀬さんに戻った。


私は それまでのニヤケ顔と浮かれ気分を封印し、眼前の仕事を片付けることにした。






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