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言葉で伝わらなくても。  作者: モロキ
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告白の後の続き

藤井さんの肩に顔を擦りつけていたら、歩きにくいよって言われてしまった。

「ごめんなさい。」顔を起こして、腕を解く。

一歩下がる。

私ったら、図々しいよね。と恥ずかしい。

藤井さんが、こっちこそ、ごめんね。と謝る。


少し距離をあけて歩いて、駅に着いた。

送って行けなくて悪い、と言われて、

「ここで十分です。ありがとうございました。」とお礼を言う。


改札口で、じゃあ、おやすみ。と言われた時……

彼のスーツの裾を握って、引き止める。

皺になるって、さっきも言ったと苦笑される。

彼の右手が、裾を握った私の左手を包み込む。

「俺、君の彼氏じゃないよ、こういうの困る。」

彼の低い声。

困らせた? 視線をネクタイから上げる。

見上げた彼の顔は困っているようには見えない。

喜んでる?

目を細めて、笑う一歩手前みたいだよ。


私は、

「困っているようには見えませんよ。」と

言ってみる。

彼は、

「そりゃ、嬉しいもの。

まだ一緒にいたいって、意思表示。

そんなこと、君、したことなかったでしょ?」

と聞かれる。

「そうでしたか?」と問い返す。

「そうです。

いつも、あっさり背を向けてた。

別れ難いのは、俺だけかと思ってたよ。

気づいてなかったでしょ?」

コクリとうなづく。


「いいよ、これから知っていけば、」


「って、何言ってんだか。

ごめん。俺、今、舞い上がってる。

やっぱ、君の告白、嬉しかったから。」


その言葉にキュウゥっとくる。


見上げた藤井さんの顔は赤らんでいる。

もしかして、照れてる?

表情も、いつものシャープさが影を潜めている。

かわいいなって思った時、

「見すぎ。」

と、頭を軽く小突かれた。


くるりと向きをかえた藤井さんは、

手を軽く振り、

「気をつけて。」と、去っていった。










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