告白
藤井さんに訊ねられ、
忘れていた緊張が、にわかに甦る。
俯いて目を伏せて、どうしよう、怖い、
言わずに済まそうか…… 弱気になる。
でも、もう、次はきっとない。
藤井さんが足を止めてくれるのは最後だから、
きちんと言わなくちゃ。
と、
その時違うと思った。
違う。
そうじゃない、
私が伝えたいんだ。
付き合っていた時に、言えなかったことや
伝えられなかったことを
私が言いたいんだ。
私は顔を上げる。
藤井さんはじっと見てる。
視線が絡み合う。
大丈夫、聞いてもらえる。
私は言った。
「藤井さんが好きです。大好きです。」
感情が溢れて、目から涙が零れる。
藤井さんの顔が滲む。
ハンカチなんて要らない、
今は気持ちを伝えたい。
「最初から、惹かれてました。
藤井さんは遊びで、
私も割り切らなきゃって思うのに、
それなのに、心は止められなくて、
どんどん好きになって、
苦しくて辛かったです。
気持ちを知られたら、そばに置いてもらえないって思ってて、
重たい女だって嫌われたらどうしようって、そんなことばかり考えてて、
でも、でも、本当は、
本気になって欲しかった。
だけど、そんなの無理だって思って、
その繰り返しで、………
半年も経って、
やっと、分かったんです。
私はまだ、
藤井さんに何も伝えてないって。
だから、今日、
伝えたいです。」
手で涙を拭う。
大好きな藤井さんの顔、
藤井さんの目を見て、もう一度告げる。
「好きです。
私だけのものになってください。」




