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踊場
エレベーター横の階段を一気にかけ上がって、踊り場で立ち止まる。ハアハアと息があがってる………日ごろの運動不足がたたってしんどい………。
運動しなくちゃと考えていると、
「里菜はまだ藤井さんのこと好きなんだね。」と、後から八重の声。
「そんなわけない!」声を荒げてしまう。
「じゃあ、何であんなにむきになるの?
知らんふりしとけばいいじゃない。」
八重の言うとおりだ。軽くやり過ごせばよかったのに、むきになって反応して、あいつの思うツボじゃん。
ああ、だめだ。
まだ、こんなに引きずってる………。
「………………」何も言い返せない私。でも、これだけは確実。
「お見合いするよ。」
「まだ言ってるの。今のままでお見合いするのは、相手にすごく失礼だよ。」
「失礼じゃないよ、好きになるもの。いい加減じゃないよ。」
「馬鹿里菜!」
「見合い相手、楽しみだな。」
「馬鹿里菜!………。」
「行こう……午後が始まるよ。」
八重に馬鹿馬鹿と言われながら、部屋に戻った。