同期会
8月初めに、同期で久々に集まろうということになった。場所は、2階のビアホールからテラスへと降りることができ、そのまま、庭園内も散策できるというのが売りのホテルだった。8月中はバンドの生演奏もあるということもあって、連日盛況だと評判だった。
少し遅れて着いた時には、早くから飲んでいたコはかなり出来上がっていた。
どこに座ろうかと見渡す。橘の横が空いているけど、遠慮したい。女の子のテーブルに行こうかとした時、袖口を引っ張られた。
幹事の山路だった。演奏がうるさくて、声が聞こえない。
山路は橘のテーブルを指差して、
「橘が指名してる。」と騒音に負けないよう怒鳴る。
指名されたのなら仕方ないと、諦めて橘のテーブルに向かった。余所へ行って、からまれたりしたくない。
「よ、」と軽く声をかけられる。
珍しく酔ってる? 橘の目がトロンとしてる。
こんな橘を見るのはひさしぶり。
無防備で、かわいらしい。
ここんとこ、毒舌大魔王だったもんね。
などと思いながら、隣に座る。
「大分、飲んでるね。」 と言うと、
「飲んでみんなでワイワイ騒ぐ雰囲気、
いいよな。」と、愉しそうだ。
ビールをグビグビ飲んでいる。
テーブルの上には食べ物がのったお皿がところ狭しと並べてある。
橘がビールのお代わりをねだる。
私は橘のビールを貰いに行ったついでに、自分のビールも貰う。
テーブルに戻り、愉しく語らう。
橘は自分の失敗談を、面白おかしく語る。
こんな橘が好きだなぁと思いながら、彼に付き合った。
「ねぇ、佐倉、
俺、佐倉といると、愉しいよ。
佐倉、面白いし、見てて飽きない。
俺と付き合わない?」
急に何を言い出すのかと思ったら、いうに事欠いて
付き合おうだなんて、相当酔ってるね、橘。
私が悪い女だったら、言質をとって、結婚まで持ってくよ。
「はい、はい。」と軽くいなす。
私がいい女で良かったね。
と、前回の飲んだ時の仕返しもしながら、夜を過ごした。




